研究開発活動

5【研究開発活動】

 

(1)研究活動

当社グループの創薬活動はCullgenを中心に、新しい創薬基盤技術であるuSMITE™(ユビキチン化を介した標的タンパク質分解誘導技術)を活用した、革新的な新規化学物質(NCE)の開発を目指しています。

 

Cullgenは、がん、痛み、及び自己免疫疾患の適応症に対する酵素及び非酵素タンパク質の両方を標的とした複数の新規分解剤を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。

Cullgenの新しいE3リガンドプログラムの開発は、タンパク質分解誘導の将来を担う技術で、毒性の低減、薬剤耐性の緩和、組織・腫瘍・細胞内コンパートメントの選択性の提供、基質スペクトルの拡大を実現させるNCEの開発の可能性があると考えられております。

なお、Cullgenは、リード候補薬(IND)の前申請をするためのコンサルテーションを中国国家薬品監督管理局(NMPA)と開始いたしました。

 

(2)開発活動

① アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)〕

a.糖尿病腎症(DKD)

 アイスーリュイの3番目の適応症であるDKDは、Ⅰ型糖尿病またはⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。中国では9,240万人が糖尿病に脅かされており、このうち20~30%がⅠ型糖尿病またはⅡ型糖尿病を患い、腎機能障害を引き起こすと言われております。本第Ⅰ相臨床試験につきましては、2021年末時点で予備研究として24名の被験者が登録されております。

 

b.結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)

 2016年9月、CTD-ILDの治療に対するアイスーリュイの4番目の適応症のNMPA承認を受けました。このINDの承認により、全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)の2つの適応症について、直接第Ⅲ相臨床試験に移行することが承認されました。

 2018年6月には、強皮症(SSc-ILD)及びDM-ILDの治療を対象とした第Ⅲ相臨床試験の各段階において、無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、52週間の試験に第1期被験者を登録しました。強皮症(SSc-ILD)には144名、DM-ILDには152名の被験者が登録される予定で、2021年末時点で、それぞれ15名、43名の被験者が登録されております。

 

c.じん肺治療薬(Pneumoconiosis Disease)

 2019年5月、当社グループは、アイスーリュイの5番目の適応症として、じん肺治療薬の治験許可(IND)申請に対する承認をNMPAより取得しました。じん肺疾患は、肺に炎症や瘢痕化(線維化)を引き起こす慢性的な肺疾患で、吸い込まれた粉塵や微粒子が、肺の細胞に蓄積することによって引き起こされます。中国には、およそ43万3千人の患者様がおり、更に、適切な診断を受けていない患者様が、最大60万人いると推定されており、中国のみならず、世界中でアンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ)が存在します。当社グループは、病院との提携を進め、治験実施計画書を決定し、第Ⅲ相臨床試験を開始して参ります。

 

② F351(肝線維症等治療薬)

 F351(一般名:ヒドロニドン)は、当社グループの医薬品ポートフォリオにおける重要な創薬候補化合物であり、他の世界の主要医薬品市場へ臨床開発活動を拡大する戦略の重要な部分を占めています。

 

 F351は、アイスーリュイの誘導体である新規開発化合物であり、内臓の線維化に重要な役割を果たす肝星細胞の増殖及び、TGF-β伝達経路を阻害します。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国及び欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。

 

 2020年8月、当社は肝線維症の候補薬であるF351の中国における第Ⅱ相臨床試験の初期段階分析の良好な結果について発表しました。この試験は、中国における慢性ウイルス性B型肝炎患者の肝線維症に対するF351の安全性と有効性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ・コントロール、多施設、用量逓増試験で、プラセボと比較して52週の治療で肝線維症スコアが統計的に有意に改善するという主要評価項目を満たしました。

 

 なお、中国の医薬品評価センター(CDE)との協議を経て、2021年3月にF351はNMPAより肝線維症の画期的治療薬に指定されました。これにより、F351についてのCDEとの協議が優先的、かつ有利な臨床試験を進めることが可能となっております。その後、2021年7月29日に中国において第Ⅲ相臨床試験許可申請承認がされ、2022年1月17日、第Ⅲ相臨床試験の最初の被験者登録が行われました。詳しくは同日に開示いたしました「(開示情報の経過)中国におけるF351の第Ⅲ臨床試験(被験者登録)開始についてのお知らせ」をご覧ください。

 

 米国における第Ⅱ相臨床試験については、米国の当局と協議を継続しております。

 

③ タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)

 タミバロテンは、前骨髄球が「がん化」する急性骨髄性白血病の一種であるAPLの治療薬です。共同開発者の東光薬品工業株式会社および当社グループのGNI Hong Kong Limitedは、2015年10月に輸入医薬品としてタミバロテンをNMPAに登録申請いたしましたが、一旦却下されました。ただし、NMPAは臨床試験の継続による再申請の可能性も示しておりますので、当社グループは中国での再申請に向け、今後の進め方を東光薬品工業株式会社と協議しております。

 

④ F573(急性肝不全・慢性肝不全急性時(ACLF)治療薬)

 F573はアイスーリュイ及びF351に次ぐ3番目の創薬候補化合物として、カスパーゼを阻害する可能性を持つ強いジペプチド化合物であり、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、アルコール性肝硬変による重症肝炎に関連して発生するアポトーシスや炎症反応に重要な化合物です。2020年9月に仁安病院より第Ⅰ相臨床試験実施の承認を受け、第Ⅰ相臨床試験において使用する人類遺伝子情報の届け出をHGRA(Human Genetics Resources Administration)に提出、受理され、2022年1月20日、第Ⅰ相臨床試験の最初の被験者への投与が行われました。詳しくは同日に開示いたしました「(開示情報の経過)中国におけるF573の第Ⅰ相臨床試験開始についてのお知らせ」をご覧ください。

 

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、全体では2,015,875千円となりました。医薬品事業の研究開発部門に所属する従業員は2021年12月31日現在148名で、主に中国で研究活動を行っております。

 

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