課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、多国籍ヘルスケア企業として、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ)を満たす技術・製品の開発、市場開拓・上市、製造・販売を通して、世界中の患者の皆様に希望をお届けすることをミッションとしております。当社グループの経営における基本方針は、革新的な創薬への継続的な投資および当社グループ全体の収益性拡大です。これらの基本方針の下で、当社グループは外部環境の変化に対応し、来るべき機会を的確に捉え、株主の皆様に対し利益を還元できるようになるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、医薬品及び医療機器(生体材料)の研究開発投資を効率よく管理しながら、収益源を多様化させることに重点を置いて、持続的な成長を続けることを目指しております。この観点から目標とする経営指標を売上収益の伸びと研究開発費の売上収益対比としております。当社グループでは医薬品事業と医療機器(生体材料)事業という事業特性も成長ステージも異なる事業を展開しており、目標とする経営指標はそれぞれ異なります。

 

医薬品事業:

(a)新薬の導入及び適応症の拡大などによる20-40%の売上収益の伸びを目指します。

(b)医薬品候補のパイプラインを拡充することにより医薬品開発への投資を拡大いたします。

(c)研究開発費を売上収益対比20%以内とするように管理し、収益性を維持いたします。

医療機器(生体材料)事業:

新製品導入及びコスメティック領域の手術等への事業展開により適正な売上収益の伸びを実現し、適正な利益の確保を維持いたします。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、医薬品事業における革新的な創薬活動への投資と製造販売の強化、医療機器(生体材料)事業の拡大を軸に、上記経営方針を満たして参ります。

 医薬品や医療機器の開発は、その多くの開発候補が各国の規制当局からの承認を受けることができないため、開発のリスクが高いという特徴を持っています。また、医薬品および医療機器の開発には多額のコストと長い期間が必要であると同時に、厳しい競争と当局の監督管理にも直面します。このような状況と、当社グループの人員・資金・設備が比較的小規模である点を考慮し、競争の厳しい当業界におけるリスクの軽減と成功確率の向上のために、以下の戦略を着実に実行いたします。

 

① 基本戦略
 中国において、垂直統合により一貫して事業展開を行っていることによるコスト優位性を元に、米国における事業拡大も目指します。医薬品及び医療機器(生体材料)事業を通じ、地理的・事業的に分散された収益を確保することで、リスクを軽減し、クロスボーダー・ライセンス・アウト、提携及び共同開発契約を通じて相乗効果を実現させ、グローバルに収益源の更なる拡大を図ります。

 

② 新薬開発戦略

 患者のニーズが最も緊急である分野における画期的医薬品の開発に焦点を当て、「ファスト・トラック」制度(新薬優先審査制度)と小規模臨床試験制度を活用しつつ、より適切なコストでこのような緊急の医療ニーズを充足することを目指します。当社グループは(a)中国における研究開発基盤を活用し、まだ治療法が確立されていない疾患向けに新薬開発を目指す、(b)より多くの患者の方々を治療するために当該医薬品の適応症拡大を図ると同時に、当該疾患の治療方法について中国の大手病院や重要なオピニオン・リーダーの間で強力なネットワークを構築する、(c)直接販売、ライセンス・アウト、提携等を通して、当該医薬品の世界市場への拡大を図る、という3つのステップを研究開発における戦略に据えております。

 

③ 持続的な収益の確保
 当社グループは、連結子会社の中国の北京コンチネント薬業有限公司(以下、BCという。)の主力医薬品アイスーリュイの製造・販売・マーケティングを強化するとともに、その適応症の更なる拡大を通じて、売上収益の継続的な拡大を目指しております。また、BCおよび米国のCullgen Inc.(以下、Cullgenという。)における創薬活動を基に、その核となる知的財産権を当社グループ内に確保しつつ、成果物である新規化合物や創薬技術を販売またはライセンス・アウトすることにより、創薬事業の収益化を図ります。更に、米国のBerkeley Advanced Biomedicals LLC(以下、BABという。)の医療機器(生体材料)事業を引き続き推進するとともに、蓄積した生体材料技術とブランドをコスメティック分野へ応用することで、医療機器事業の収益拡大を目指します。これらの施策を通じ、当社グループ全体の連結売上収益の増大及び多様化を目指します。

 

④ 事業投資

 当社グループは、医薬品及び医療機器(生体材料)事業を通じて培ったノウハウを基に、当社グループと相乗効果が期待できる革新的な企業に対して、適切な時期に戦略的な投資を行います。

 

⑤ 日本における事業の拡大

 当社グループは、これまで米国と中国という経済規模がそれぞれ世界第1位と第2位の国で事業を着実に拡大して参りました。これまで当社グループ本社は日本で上場しているものの、持ち株会社としての機能のみを保持しておりました。今後、当社グループ事業の第3の柱を経済規模が世界第3位の日本で確立すべく、M&Aや事業提携を含めた事業拡大の方策を積極的に模索いたします。

 

⑥ ESGに代表される非財務価値の向上
 当社グループは世界のアンメット・メディカル・ニーズを満たし、患者の皆様に新たな希望をお届けすることをミッションとして日々事業に励んでおります。従いまして、当社グループの事業活動そのものがESG(環境、社会、ガバナンス)に関する課題を解決することに直結していると考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 研究開発への持続的投資による成長の実現
 バイオ創薬企業として、当社グループは創薬及び臨床開発活動に継続的に投資を行わなければなりません。新規化合物の探索や臨床開発を常に推進していかなければ、当社グループの製品の陳腐化時には、収益機会や市場シェアを失うことになります。当社グループは、利益への影響を最小限にするため、研究開発プロジェクトを厳選し、投資決定しております。

 

② 資金調達の多様化と安定化
 当社グループは、有望な新規開発化合物の研究開発への投資を続け、着実な企業価値の向上を図ります。ビジネス基盤と研究開発活動を強化するため、新たな資金調達先との関係構築やグループ会社の上場等の模索を通じ、資金調達手段をグローバルに多様化・安定化させることを目指します。

 

③ グループ会社の連携による企業価値の向上
 当社グループは、日本の東京に本社を置き、世界2大医薬品市場である中国及び米国の子会社を通じて、収益源及び研究開発活動の多様化を実現しています。このグローバル戦略は、財務の安定性と研究開発業務全般にわたるシナジー効果をもたらします。当社グループは、研究開発における主要子会社間の連携強化による生産性の向上とコスト削減に注力していくとともに、ステークホルダーの皆様の利益のために、コーポレート・ガバナンスを強化することで、企業価値の更なる向上を目指して参ります。

 

 

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