課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営方針、経営戦略等

 当社は、医薬品、医療器具、食品、化学品等の安全性や有効性を研究する業務を主として行っております。近年において医食に対する安全性への要求は益々高まり、加えてにiPS細胞を始めとする医療分野における革新的な展開は目覚しいものがあり、当社が果たす社会的役割は一段と大きなものになっております。

 このような社会的環境において、当社は、「人類の永遠の平和共存を願い、生命科学の探求を通じて明日の医療を実現すると共に、地球環境の維持向上に貢献する。」ことを基本理念としております。

 そのために私達は、常に次の事項を自らに課しております。

1.常に社会を見据え、私達がやるべき事、私達にしかやれない事、に取り組みます。

2.研究する心、創造する心、を忘れません。

3.人を信頼し、人から信頼されるよう常に務めます。

 当社では現在の市場環境に対応しつつ、基本理念を実現するため、2022年度(2023年3月期)を初年度とする「中期経営計画(2022年度-2024年度)」(以下、「中期経営計画」といいます。)を策定しております。中期経営計画では、以下の点に重点的に取り組んでまいります。

 なお今後の新たな感染症等の拡大やロシア・ウクライナ情勢や原材料の需給バランス次第ではさらなるエネルギーや試験資材の供給不安定化等のリスクがありますが、現段階では、当社の業績には重要な影響を与えないものと判断しております。

 

① 海外市場のさらなる開拓と国内ベンチャー支援強化による事業拡大

 国内の既存顧客との関係を堅持しつつ創薬ベンチャーへのサポートを強化するとともにグローバル市場でのプレゼンスを高め国内外のバランスの取れた事業成長に取り組みます 併せて事業提携先との関係強化を図り充実したサービス網の構築を目指します

 

② 信頼性の遵守、サービスの向上、改善活動の継続

 これらはどの時代もどの様な環境下にあっても、当社事業の根幹を成す永遠の課題です。

 外部環境の変化にも囚われる事なく、経営方針、教育活動、日々のコミュニケーション、改善活動などあらゆる事業活動を通じて維持向上に取り組みます。

 

③ 自動化省力化を進め生産性向上と従業員満足度向上を両立する会社へ

 非臨床事業の特徴として労働集約的な業務が多くかつ年間を通じて常に施設を稼働させる必要がありますが自動化やシステム化が可能な業務を切り出し積極的に設備投資による効率化を進めることで安定的な品質の確保と生産性向上従業員にとってより働きやすい企業となることの両立を図って参ります

 

④ 遺伝子治療薬試験で業界有数の存在に

 長年良好な関係を培ってきたアカデミアとともに前期に完成した遺伝子治療研究施設を積極的に活用し遺伝子治療楽・治療法の分野で傑出した存在となるべく注力いたします

 

⑤ DX事業推進

 既に競争優位を確立しているSEND事業に加えてデジタルトランスフォーメーション分野における新たなビジネスシーズの創出に取り組みます

 

⑥ エネルギー及び試験資材の安定確保

 国際情勢の流動化や中国等医薬品開発新興国の試験資材需要増大等により調達ルートと価格がより安定したエネルギーや試験資材の確保は喫緊の課題となっておりますSDGs対策ともなり得る一部代替エネルギーの自力確保や大動物のより安定した調達ルート確立に鋭意取り組んでまいります

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、売上高、経常利益、当期純利益を重要な経営指標として用いております。2022年度(2023年3月期)の直近の業績予想は、売上高4,328百万円、経常利益350百万円、当期純利益298百万円であります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の主要顧客である製薬業界においては、薬価改定による国内売上高の成長鈍化は見られるものの、経済産業省による創薬ベンチャー企業への支援が決定したこと及び研究開発テーマは従来テーマに加え感染症治療薬などの開発需要も加わり、総じて増加傾向にあるものと見られます。医薬品の種類については低分子医薬品、バイオ医薬品、それぞれにバラエティーが増えつつあり、また、AI創薬や過去情報利用による新たな創薬手法の登場など、各社の差別化戦略を伴い、変化と広がりを見せております。

 また近年、アジア圏における創薬の拡大も見受けられるなか、海を越えたCROの役割や期待も増えているものと認識しています。

 なお、新型コロナウイルス感染が全世界に拡大し影響が経済面だけではなく、社会全般に及んでおりますが、2022年3月末段階で、受託試験事業と環境事業の受注残高の合計が、4,324百万円(前年比42.1%増)となっている上、提出日現在の受注状況も新型コロナウイルス感染拡大前と同程度以上の水準で推移していることから、現段階では当該事象は業績に重要な影響を与えないものと判断しております。

 環境事業においては、研究施設の更新需要は依然あるなかで、新型コロナウイルスの蔓延による、設備投資計画の延期や建設会社の活動鈍化などの影響が懸念されておりますが、新規取り扱い製品などのテーマもあり、これらを売上に繋げる必要があります。

 この様な状況において、高い成長性を確保するために、以下のような課題があるものと認識しております。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大と事業継続に関する取組

 新型コロナウイルスについて、現在のところ直接的な影響は顕在しておりません。しかしながら、製薬会社の多くは在宅勤務によるテレワークが中心となっており、当社の営業活動も同様であります。委託者との試験の進捗確認等においては今まで以上に時間を要することが考えられます。また環境事業におきましても同様であります。このことから、売上、受注ともに上期に予定している最終報告書の提出が下期に延期になることにより、下期の比重が大きくなることが予想されます。また今後の過程によっては経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、この度の新型コロナウイルスの国内における拡大にあたり、社員及び社員の家族のウイルスからの感染防止対策と、万が一の発症時の被害の最小化などの対策が不可欠です。

 当社においては、感染防止対策として、可能な限り職員の在宅勤務を進めておりますが、業務の性質上、出社しなければ遂行できない業務が大半です。その様な状況において、職員の行動制限、全従業員の日々の健康チェック、出社職員のマスク着用や手洗い等の励行、時間差通勤、部門の分散化、密度の軽減、執務机毎のビニールバリケード設置、外部との接触機会の低減、微酸性電解水生成装置の活用等、考えうる限りの対策を実施しております。

 幸いにも必要資材は十分確保できている事などから、受託試験の遂行に障害は生じておりませんが、引き続き感染防止対策を進め、万が一災害が発生した場合にも、人的、物的被害を最小にするべく、総合的なリスク対策を進めて参ります。

 

② 収益の確保

 近年、上記の市況や営業拡大に伴う業務量の増加に対応するべく、増員、施設改修によるキャパシティーの増加、各種高額検査機器などの投資を行い、成長に向けた拡大を図っておりますが、これらは先行投資であり、回収までにタイムラグが生じることが見込まれます。

 その様な状況において、収益率を上げる事が最大の経営課題になっております。

 このため、経営企画室の業務を拡大するとともに、これらの経営課題を分析し解決にあたるべく経営管理を強化します。

 

③ 新技術対応

 新薬開発のバラエティーの拡大を受け、研究開発専任部門を設置し、これに取組んでおります。具体的には、国立研究開発法人日本医療開発機構(AMED)の支援のもと国立大学法人信州大学(以下「信州大学」)と共同で進める、遺伝子・細胞療法研究開発センター(CARS)の運営や試験の実施、産学連携、社内での新たな試験系の開発等に取組んでおります。特に信州大学が推進する「遺伝子・細胞治療研究開発基盤事業(遺伝子改変T細胞(CAR-T細胞)の医薬品化に向けた研究基盤整備)」の研究拠点として当社内に設けられた施設には、新たにAMEDからより遺伝子可変試料等の取り扱いを可能とする為の投資予算がつき、遺伝子治療法開発のノウハウ蓄積が加速度的に進むことが期待されています。

 また、環境事業においても、新規取扱商品や従来製品のコストダウン対策などに取り組んでおり、これらを売上につなげて参ります。

 

④ 新規事業の拡大

 近年開始した、SEND受託、海外代理店事業については順調に売上を拡大しております。これらの事業については、体制強化と信頼性強化に努めつつ、引き続き営業活動を推進し、環境事業に続く第3、第4の柱事業に成長させるべく努めて参ります。

 

⑤ 人材の育成

 当社の事業継続及び拡大にあたっては、より質の高いサービスの提供に努め、医学・薬学・獣医学などの専門的な知識・技術を有する人材のほか、IT技術やマネジメントに優れた人材が不可欠です。また海外の取引先との応対が出来る人材も求められます。

 この様な人材を育成するための教育研修を重要課題として継続して取組んでまいります。

 

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