当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また当社でコントロールできない外部要因や必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。当社では、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針ですが、本株式に関する投資判断、当社の経営状況及び将来の事業についての判断は本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1) 新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリスク
当社において本報告書提出日現在、直接的な影響は顕在化しておりません。長野県内における発生が限定的であること、必要資材も十分確保できていることなどから、受託試験の遂行には障害は生じておりません。感染防止対策として、職員の行動制限と毎日の健康チェック、マスクの着用と手洗いの励行、テレワークと時差出勤による密度の軽減等を継続して実施してまいります。万が一感染が発生した場合にも、人的、物的被害を最小にするため総合的なリスク対策を可能な限り進めてまいります。当社では、2022年3月末の段階で、受託試験事業と環境事業の受注残高の合計が4,324百万円となっている上、提出日現在の受託試験の受注状況も新型コロナウイルス感染拡大前と同程度以上の水準で推移しており、また、受託試験等の実施状況等、資材の調達等にも影響は生じていないことから、現段階では当該事象が業績に重要な影響を与えないものと想定しております。しかしながら、今後の推移が想定と異なる場合、経営成績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。その場合、適時適切にその内容を開示いたします。
(2) 受託試験事業固有のリスクについて
① 法的規制について
当社の事業は、現在、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」及びそれに関連する厚生労働省令等による諸規制を受けております。実験動物の調達にあたっては、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」及び「感染症の病原体を媒介するおそれのある動物輸入に関する規制」等の諸規制を受け、試験実施施設はGLPに基づくGLP適合性確認のための調査の対象となっております。
当社は、信頼性保証室及び内部監査室を配置しており、それぞれが機能しつつ法的規制への抵触を予防する措置を取っておりますが、何らかの要因により、当社における「輸入検査場所としての指定」「輸入サル飼育施設としての指定」「特定外来生物の飼養許可」のいずれかが指定又は許可の取り消し・停止処分を受けた場合、GLP適合確認において高い評価が得られなかった場合及びその他諸規制に抵触する事態が発生した場合には、事業の進捗に支障が生じる可能性があり、これまで取引してきた企業からの受注が激減することが予想され、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
② 必要資材の取得について
当社にとってカニクイザルは最も重要な資材であり、現時点では需要を賄う物量を確保しておりますが、以下のようなリスクが内在しております。
a.今後の需給動向により、取得数の減少や購入コストの高騰が生じた場合、当社の経営成績や財政状態及に影響を与える可能性があります。
b.人獣共通の感染症が発生した場合には、移動禁止措置がとられる可能性があります。今後、移動禁止の措置がとられた場合や必要な物量が確保できない場合、もしくは調達が遅延するといった事態が発生した場合、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 試験の変遷について
近年ヨーロッパなど一部の地域においては、カニクイザル以外のサルを用いる試験が出てきております。現在のところは背景データの豊富さからカニクイザルが主流となっておりますが、将来、カニクイザル以外のサルが実験用途として世界のスタンダードとなった場合、当社の有利性が失われ、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 感染症等の発生について
実験動物は、当社試験施設において、外部と遮断され、気圧調整により相互の汚染が防止された試験室内で、温度・湿度等が一定に制御された環境下で飼育されております。また、実験動物を受入れる際の厳重な検疫体制やGLP基準に基づく研究施設への試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。しかしながら、施設内外のトラブルや、実験動物及び試験従事者のウィルスによる感染症の発生等、予期せぬ事態が生じた場合には、事業活動に支障をきたし、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 動物福祉について
非臨床試験は、実験での使用を目的として生産された動物を使用しております。新薬の開発過程において非臨床試験は、ヒトでの臨床試験を実施する際の科学的・倫理的妥当性を客観的に評価するため、現状では必要不可欠な試験と考えております。当社では、実験動物の使用に当たっては、「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管等並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び自社で策定した「実験動物指針」を遵守し、実験動物の適正な管理を行っております。また、2005年には実験動物の取扱い、管理及び福祉における世界的基準である、AAALAC Internationalによる認証を国内で初めて取得し、その基準に合わせた管理体制及び実験方法の選定を行っております。
しかしながら、動物福祉の観点から実験動物の利用に関して否定的な意見が多数を占めるような社会情勢に至った場合、当社のイメージに悪影響を与える可能性があります。また、実験動物利用の規制が行われるようになった場合には、その入手が困難となり、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 特定の業界への依存度が高いことについて
受託試験事業は、製薬業界への売上依存度が高く、製薬業界全体の動向が当社の業績に大きな影響を与えます。近年、国内製薬企業大手は積極的に海外製薬企業の買収を進めており、今後の研究開発の軸足を国内・海外のいずれに置くことになっていくかは不透明になりつつあります。また、欧米の製薬企業は大型のM&Aにより企業規模を拡大しており、日本の製薬企業が、その創薬能力の優秀さや、日本が米国に次ぐ大きな医薬品市場を抱えていることから、海外企業の買収ターゲットとなる可能性を十分に持っています。今後、国内製薬会社の研究開発の海外移転が進んだ場合及び海外製薬企業による買収が行われ、当社の取引先である国内製薬企業の絶対数が減少した場合、国内における新薬開発の件数が減少し当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 競合について
CRO業界は、海外を含めその競合は大変厳しいものとなっております。当社が提供する商品は、品質、信頼性等での優位性を保持しておりますが、競合他社が当社の商品の品質、信頼性等を凌ぐ商品を開発し市場に投入した場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 知的財産権について
当社は、研究開発活動に関わる成果を、特許権その他の知的財産権として確保することは事業戦略上極めて重要であると考えておりますが、これらの研究成果をすべて特許等として申請しても、必ずしもその権利を保全できるとは限りません。その結果、後発の第三者が同様の技術を開発した場合、市場における優位性が保てなくなり、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
本書発表日現在、第三者の知的財産権を侵害している事実はないと認識しておりますが、万一、第三者から訴訟を提起されるような事態が発生した場合は当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 情報セキュリティ管理体制について
当社は、医薬品開発企業等から委託された開発品の情報等(以下「秘密情報」と言います。)を得て受託試験を実施しております。秘密情報の取り扱いについては、委託先と秘密保持契約を締結し秘密情報を厳重に管理するとともに、役職員に対して在職中、退職後を問わず秘密情報の保全を義務付けております。しかしながら、万一、当社に起因した第三者に対する秘密情報漏洩が発生した場合等には、顧客の信頼が損なわれ当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 人材の確保及び育成について
当社の事業推進にあたっては、薬学、獣医学及び農学等の専門的知識の保有者並びに薬剤師、獣医師、臨床検査技師等の有資格者が不可欠であります。こうした人材は、これまでのところ支障なく確保及び育成できておりますが、今後、計画した人材確保ができない場合や、現在在籍する人材の流出が生じた場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 為替変動について
当社は、海外との取引があります。このため、為替レートの動向は当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 売上高の季節変動について
当社の取引先である大手製薬会社や大学等の予算は、4月から翌年3月を区切りとして編成される場合が多く、当社に委託される試験や工事案件にも同様の期間内での完了が求められるものが多数あります。このため、当社の売上計上は3月に集中する傾向があります。
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