(1)事業の内容について
当社の事業内容は「受託試験」、「環境」のセグメントから構成されております。
なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
「受託試験」は、医薬品開発企業・食品関連企業及び大学等研究機関等から委託を受け、実験動物や細胞を用いて開発薬物や食品素材の安全性や有効性の確認を行う試験を実施しております。
「環境」は、製薬会社及び大学等動物施設、脱臭材搭載装置、殺菌装置、実験動物用機材の設計・販売等を行っております。
当社の事業系統図は次のとおりであります。
[事業系統図]
(2) 「受託試験」について
新薬として市場で流通する医薬品は、次のような開発過程を経て販売されます。
[医薬品の開発過程]
この開発過程において当社は医薬品開発企業の委託を受けて、非臨床試験段階の開発支援を行っております。非臨床試験は、探索・創製された医薬品候補物質を、実験動物、細胞、細菌を用いてその安全性や有効性を確認するものです。非臨床試験から得られた試験成績は、新薬の承認申請に際して必要な資料として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に定められており、その後のステップである臨床試験(治験)において、ヒトに適用した場合の安全性に関する適切な情報を得るために不可欠な試験となっております。
新薬の承認申請の添付資料となる試験成績は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定されるGLP(注1)に適合した施設においてGLPに従い実施した試験から得られたデータを用いることが求められております。当社が新薬開発支援を目的とする非臨床試験を行うためには、GLP適合施設であることが不可欠であり、GLP施行以来12回のGLP適合性調査(注2)を受け、常に適合の評価を得ております。
委託者の試験依頼から最終報告書提出に至るまでの試験の流れは、以下のとおりであります。
当社で実施する非臨床試験は、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験、遺伝毒性試験等の毒性試験、依存性試験、安全性薬理試験、トキシコキネティクス試験)、薬効薬理試験及び薬物動態試験があり、試験の種類と内容は次のとおりであります。
[非臨床試験の種類と試験内容]
試験の種類 |
試験内容 |
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安全性試験 |
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毒性試験 |
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単回投与毒性試験 |
被験物質(注3)を1回投与した時の毒性を、質的・量的の両面から調べます。 |
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反復投与毒性試験 |
被験物質を繰り返し投与したときに生ずる毒性変化を用量及び時間との関連で把握し、明らかな毒性変化が認められる用量とその変化の内容、また毒性変化が認められない用量を調べます。 |
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生殖発生毒性試験 |
生体の生殖機能に対して、被験物質が及ぼす悪影響があるかどうかを、親世代の生殖機能から次世代の成長・発達までの期間について調べます。 |
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遺伝毒性試験 |
細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異、染色体異常、DNA損傷を誘発する可能性を調べます。 |
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がん原性試験 |
被験物質の発がん性リスクを調べます。 |
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局所刺激性試験 |
被験物質を皮膚、血管内、筋肉内等の限られた部位に適用して、その刺激性を調べます。 |
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抗原性試験 |
被験物質がヒトに対してアレルギーを誘発する可能性があるかどうかを調べます。 |
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皮膚感作(光感作)性試験 |
皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚に対する接触や光照射によるアレルギー誘発性を調べます。 |
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依存性試験 |
中枢神経作用を有する被験物質の依存性を明らかにすると共に、乱用の可能性及び乱用された場合のリスクについて調べます。 |
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安全性薬理試験 |
被験物質が、ヒトの生命維持機能に対する有害作用(副作用)があるかどうかを調べます。 |
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トキシコキネティクス試験 |
毒性試験に用いた動物から採血し、血液中の被験物質の濃度を調べ、全身暴露と発現された毒性症状を比較します。 |
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薬効薬理試験 |
被験物質の薬としての有効性を評価します。ターゲットとする疾病の病態モデル動物を用いて評価します。 |
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薬物動態試験 |
被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物質の吸収、分布、代謝、排泄について血液、尿、組織を採取して調べます。 |
(注1) GLP:医薬品GLPは「医薬品の安全性試験に関する非臨床試験の実施の基準(GLP:Good Laboratory Practice)」の略称で、医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなければならない事項を定めた厚生労働省令であります。
(注2) GLP適合性調査:独立行政法人医薬品医療機器総合機構によりGLPに従って試験が行われているかを調査します。GLPが適用された試験について計画・実施等に関するすべての要素や過程(ハード面・ソフト面)について調査します。
(注3) 被験物質:試験において安全性の評価対象となる医薬品(医療機器を含む)または化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤のことを言います。
(3) 「環境」について
実験動物施設の運営を通し、長年にわたり培ってきた空気環境対策のノウハウを生かした脱臭システムの設計・販売を行っております。実験動物施設をはじめ、全国的に環境保全のための規制強化が進む中で、より良い空気環境を求める様々な業界に向け販売しております。
また、O157、ノロウイルスといった食品業界を根底から脅かす感染症対策に有効の微酸性電解水生成装置を提供しております。
さらに、多くの研究施設が更新時期を迎え内装等の改修工事が活発になっていることから、自社での経験をもとに顧客の求める最適な機材を提供することを通じて販路を拡大しております。
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