当社グループの経営成績、財務状況および株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、外部環境・内部環境それぞれにおいて、経営方針・経営戦略を実施していく上で重要度の高いものは以下のものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
外部環境に起因するリスク
①建設投資減少に関するリスク
当社グループの売上高の約6割が、土木を中心とした国内建設市場向けへの販売等によるものであります。中期経営計画の期間中においては、国土強靭化・インフラ耐震化を進めていくために公共投資予算が割り当てられるとみておりますが、長期的には公共投資は漸減傾向となることが予想されます。また、財政健全化等を目的として公共投資が急減する場合や景気後退による民間の設備投資が縮小する可能性があります。度重なる台風災害や地震による災害の影響の激甚化が見られる状況下、これらのリスクが急激に顕在化する可能性は低いとみておりますが、以下の懸念材料より政府の一時的な政策の優先順位の変更等がないとは言えません。これらは当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・世界的な金利上昇による日本銀行の金融緩和策からの転換(国債の発行余地低下)
・金利上昇による国債利払い費の増加による財政圧迫
・ウクライナ情勢の影響による日本の安全保障政策の変更(防衛費の増強)
リスクの影響を軽減する方策:新しい収益の柱となる事業の構築、製品種類の分散化、海外展開
②原材料高騰に関するリスク
当社グループの主力製品群は、製造原価の約7割は原材料費となっております。その中でも鉄や鉄を素材とするPC鋼線・線材等市況により大きく価格が変動するものを多く使用しております。
今後、原材料が急騰した場合には、原材料費の上昇により当社の業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの影響を軽減する方策:販売価格への適正な反映、調達ルートの多様化
なお、「原材料高騰に関するリスク」につきましては、鋼材等の一部の原材料の価格が高騰しており、仕入価格への影響が出ており、今後更に懸念される状況となっています。2022年度の業績予想には、予想作成時に合理的に見込まれる影響については対応策とともに折り込んでおります。但し、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰等のコストプッシュ・インフレについては合理的に見積もることが困難なため、折り込んでおらず、期中での状況に応じたリスクの影響を軽減する方策を速やかに採っていくこととなります。このリスクの影響を受ける可能性のある当社セグメントは、建設用資機材の製造・販売事業、建築用資材の製造・販売事業、補修・補強工事業であります。
③災害に関するリスク
当社グループの製造拠点は全国に点在しております。また、主力のケーブル製品においては製造拠点が山口工場だけとなっております。近年頻発しています集中豪雨や今後発生が想定されています南海トラフ地震等の災害発生が考えられ、いずれかの工場が被災した場合には、操業に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの影響を軽減する方策:拠点の分散化、BCPの更新
④海外事業展開に関するリスク
「中期経営計画2020-2022」では、海外建材市場を積極的に開拓していくことを計画しております。特にベトナムではこれまでもエンジニアリング事業を展開してきましたが、建材市場の開拓にも注力していきます。また長期的にはベトナム以外のアジア市場向けの販売拡大にも注力していきます。海外展開においては、言語、地理的要因、法制度・税制度等各種規制、当局の監督、政情、商慣習の違い等の様々な潜在的リスクが存在します。これらのリスクに対処できない場合、当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの影響を軽減する方策:情報収集機能の強化、海外管理体系の整備
⑤気候温暖化への対応に関するリスク
「中期経営計画2020-2022」では、プラズマ発電事業等気候温暖化への対応は新たな事業機会としてこれまでも注視してまいりました。2020年度に入り各国がCO2の排出目標を引き上げ又は早期化する動きが顕著になり、長期的に高い目標に自国の企業が対応できるようにする施策を打ち、他国の企業の競争力に影響を与える動きが活発化してきています。また、機関投資家は投資対象のメルクマールに気候温暖化対応を入れる動きや対応状況の開示を求める動きが活発化させております。東京証券取引所においてもプライム市場への上場企業についてはコーポレートガバナンスコード等にて開示の充実を求めています。
このような動きは、今後当社グループの企業活動に大きな負担になるリスクがあります。
リスクの影響を軽減する方策:情報収集と定量的な対応策の検討
内部環境に起因するリスク
①新規事業投資に関するリスク
長期的な公共投資予算の削減に対応すべく、これまでも新規事業の研究開発に積極的に投資してきました。「中期経営計画2020-2022」においても、新しい価値の創造に積極的に投資していく計画になっております。当社グループの期待する成果が得られない場合、又は想定しなかった重大な問題が生じた場合等には当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクを軽減する方策:事業化のステージに応じた投資効率の点検
リスクの影響を軽減する方策:財務的なリスクバッファーとしての自己資本の充実
②人材の確保に関するリスク
当社グループの持続的成長は、土木建築等に係る専門性の高い知識・技術に基づく人材の確保・育成に大きく影響されます。こうした人材の確保・育成が想定通りに進まない場合は当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクを軽減する方策:人材採用力の強化、働き甲斐の向上(会社と従業員の成長同期感向上)
③仕入製品の減少に関するリスク
当社グループでは、販売する製品付属品の一部を外注業者にて製造しております。外注業者への発注量の管理や財務状況は常時管理しておりますが、これら外注先において信用不安や後継者不足による倒産・廃業が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクを軽減する方策:発注数量の安定化、外注先数の増強
[新型コロナウイルス感染症の影響]
上記[外部環境に起因するリスク]に記載のリスクについて、新型コロナウイルス感染症の拡大によりそれぞれのリスクが顕在化しております。変異株の出現等により短期的な振れはあるものの、ワクチン接種が進み、鎮静化に向かっており経済活動も回復途上にあります。しかしながら、建築市場や海外市場での一時的な需要縮小・喪失を招き、企業活動への影響も当面は続くと思われます。また、世界的なコロナ禍からの急速な需要の回復、及びそれに端を発するサプライチェーンの混乱は、原材料価格の高騰や各国金融当局の金融引き締めへの転換に波及しており、コロナ禍後の環境の不透明感は急激に強くなっております。
中期経営計画においては、足元の実績や今後の見通しを基に年度単位でローリングを行い、これらの影響を織り込んだ計画に見直し、現時点で見積もれるものは織り込んでおります。想定以上に鎮静化に至る期間が長期化する場合は再度適切な時期を捉え速やかに見直しを実施し、必要な開示を実施していきます。
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