課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「信用を重んじ、堅実を旨とする」「人の和と開かれた心で活力ある企業を築く」「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を企業経営の目標を達成するための活動指針である「社是」に掲げ、事業に対する信頼性と堅実性を経営の基本に位置付け、長期的視野から安定した経営基盤の確立に努めるとともに、卓越した開発力、技術力で多くの新しい商品を世に送り出し、事業活動を通じて社会貢献することを基本理念としております。

 また、新たな中期経営計画の策定に合わせ、創業150周年となる2028年に向けた「Ashimori Vision 2028」を見直しました。「ミッション・ビジョン・バリュー」を刷新し、会社の存在意義、ありたい姿と価値観を明確にするとともに、意思統一をはかるためにスローガンを作成しました。

 ≪スローガン≫ つむぐ技術(ちから)、つなげる未来

 ①『ミッション』 “私たちの使命は、命と暮らしを守る製品を提供することです”

 ミッションは当社の存在意義です。

 当社の製品の多くは、事故や災害時に人命を守ることや救助すること、また暮らしの中で事故・災害を未然に防ぐことを目的に使われます。このような製品を確実な品質で提供することにより、当社は社会から存在意義を認められます。

 ②『ビジョン』 “私たちは、すべての人々に信頼される企業グループであり続けます”

 ビジョンは当社がミッションを通して目指す会社の姿です。

 当社の存在意義であるミッションを長期に亘り果たし続けることで、取引先やエンドユーザー、株主、地域社会、そして従業員やその家族から信頼を得ることができます。

 ③『バリュー』 “私たちは、誠実に、ルールを守り、品質最優先のものづくりに取り組みます”

 バリューは当社が重んじる価値観です。

 ミッションを果たしビジョンを達成するためには、製品に求められる品質が揺るがぬよう、あらゆる意思決定と業務実施の場面において高い規範意識が必要となります。

 「社是」を経営理念として最上位に位置付け、新たな「ミッション・ビジョン・バリュー」と一体であるべき姿を目指す会社の『道標』とし、日々業務を遂行していく上での指針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、2022年から3ヵ年に亘る「第123~125期(2023年3月期~2025年3月期)中期経営計画」を本年5月に策定いたしました。当該中期経営計画においては事業評価の指標としてROIC(投下資本利益率)を導入し、経営効率と財務体質の改善をはかることとしております。

 

(3)経営戦略

 当社グループでは、“新たな成長軌道への挑戦”として、成長市場である自動車分野と管路更生分野に経営資源を集中してまいります。自動車分野においては昨年5月に締結した豊田合成株式会社との資本業務提携契約を通じて、製品競争力、開発力を強化させることにより当事業拡大の起爆剤となるよう、取り組んでまいります。また、管路更生分野においては拡大する市場に対応するための人材増強と開発投資を行います。

 また、「Ashimori Vision 2028」の見直しに合わせて、「人材ビジョン」を作成しました。高い専門性と幅広い視野、論理的展開力を持った世界に通じる人材を育成することにより、企業風土の改革を進めてまいります。

 近年、SDGsへの取組みが国際社会の共通テーマとなり、企業による社会課題の解決への期待が高まっています。当社では「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を社是に掲げ、CSR活動を推進し、SDGsと親和性の高い商品の開発や女性が働きやすい環境づくりに取り組んでまいりました。昨年11月にはサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ行動指針を策定しました。引き続き事業活動を通じ、社会課題解決に向けて取り組んでまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の経済は、地政学リスクの増大を背景とする原材料価格の高騰に加えて、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、なお先行き不透明な状況が続くものと思われます。自動車業界においても、サプライチェーンの混乱を背景とした生産の落ち込みもあり、回復トレンドの本格化は未だ見えない状況であり、経営環境は以前にも増して不確実性が増大しております。

 このような状況下、当社事業ごとの取り組みについては、以下のとおりであります。

 

自動車安全部品事業
 自動車業界は、電動化や自動運転を始めとする技術革新の真っただ中にあり、100年に一度といわれる大変革期を迎えています。当社の製造する自動車安全部品につきましては、性能・コストへの顧客要求が高まりながらも、用途の拡大や安全規制の強化により需要が拡大するものと見込まれます。しかしながら、競合他社と比較し経営資源の小さい当社では、経営資源を集中した商品展開や開発が求められます。資本業務提携を行った豊田合成株式会社の経営資源と連携することにより、新たな提案型営業の実施、サプライチェーンの見直し、設計・製造・調達の効率化、相互の海外拠点の活用等が必要と考えており、以下の重点活動方針に取り組んでまいります。

 (ⅰ) 豊田合成株式会社と連携し新規顧客・新規市場を開拓する

 (ⅱ) 商品競争力の向上

   ①品質力向上

   ②コスト競争力向上

   ③開発・営業力強化

 (ⅲ) 「人材ビジョン」に基づく人材育成

 引き続き、収益性を重視した事業運営を最優先とし、徹底したコストダウンの実施、責任の明確化と収益の見える化、生産性・コストを意識した部門間連携の強化を進めてまいります。

 

機能製品事業
 機能製品事業では、自然災害による国内の防災・減災意識の高まり、国土強靭化政策を受けたインフラ強化といった流れから、今後も需要増加が見込まれるため、以下の重点施策に取り組み、収益拡大を目指します。

 (ⅰ)パルテム関連では、市場動向を注視し、増加する下水道分野の管路更生需要への対応として人材の増強と開発投資を行います。またパルテム各工法は、従来の開削工法と比べると環境への負荷が少なく、持続可能な社会に貢献できる事業として広く訴求し、上水道・農業用水分野における地位確立を目指します。更なる品質の向上、設備の改善・改良によるコスト低減や人材の育成、次世代製品の開発を進め、一層の市場シェア向上に注力します。

 (ⅱ)防災関連では、消防用ホースにおいて新型低圧力損失ホースの市場投入を通じて拡販活動を推し進めるとともに、新たな災害対策市場の開拓を進め、近年の異常気象をはじめとした自然災害に対する防災システムの提供と防災関連資機材の販売強化により拡大をはかります。

 (ⅲ)産業資材関連では、グループ会社を含めた営業・技術部門の業務効率を追求、広巾織物やロープなど主要分野における新規顧客開拓と新規開発のほか、再生可能エネルギー関連資材等の低炭素化社会に向けた製品提供と更なる新規分野の開拓による事業規模の拡大に取り組んでまいります。また、生産体制の再構築・効率化を推進、製造コスト削減に努めます。

 機能製品事業は、市場ニーズと当社の独自技術をマッチングさせた商品・システムの開発推進及び既存技術の品質を向上させることにより、「総合インフラ防災メーカー」の地位確立に引き続き取り組んでまいります。

 

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