当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、収益認識会計基準)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績の状況
前述のとおり、当連結会計年度は、創業50周年を機に刷新した経営理念とともに策定した中期経営計画2023(以下、中計2023)の2年目にあたります。基本方針である「VCP経営」「連結経営」「新常態経営」に基づき、当社グループの成長を通じて社会課題を解決し、「レジリエントで持続可能な社会」を目指した取り組みを進めております。
当社グループの基盤事業であるリサーチ・コンサルティング事業・金融ソリューション事業については、価値提供力に磨きをかけるとともに、シンクタンクとしての政策提言機能の強化、成長領域であるDX事業、ストック型(知的資産を活用した汎用サービス提供)事業、海外事業などへの先行投資を進めています。
新型コロナウイルス感染拡大の長期化やロシアによるウクライナ侵攻はわが国経済に様々な影響を及ぼしていますが、当連結会計年度の当社グループ業績に大きな影響はありません。ポストコロナの「新常態」への流れは、当社グループにとっての事業機会でもあると捉え、中計2023の基本方針に沿って取り組み、成果も顕在化し始めています。
成長事業の牽引役と位置づけたDX事業では、民間、公共、金融の3つの重点テーマを設定し、例えば民間向けには、DXコンサルティングとクラウド移行を組み合わせた支援や、ビッグデータ分析を採り入れたデジタルマーケティングなどに積極的に取り組み、化学、保険、電力など幅広い業種のお客様に対し、DX化の的確な推進やAIの活用、ビッグデータを活用した予測・予兆型経営等への実績を重ねています。また、公共向けでは、当社グループの中核2社である当社と三菱総研DCS株式会社が連携し、中央省庁や地方公共団体のDX関連案件の受注実績をあげており、取り組みを進めています。
このような結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高は116,620百万円(前年度比13.2%増)、営業利益は9,165百万円(同33.7%増)、経常利益は10,493百万円(同38.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,707百万円(同53.9%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2,582百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,030百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は567百万円増加しております。当影響を除いた場合においても、増収増益となりました。
(シンクタンク・コンサルティングサービス)
当連結会計年度は、官公庁分野のコロナ関連AIシミュレーションを含む大型案件や5Gその他次世代通信分野の実証案件、再生エネルギーに係る調査案件、医療・介護等のヘルスケア関連案件等の伸長により、売上高(外部売上高)は48,548百万円(前年度比20.2%増)、経常利益は5,190百万円(同23.7%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は285百万円減少、経常利益は7百万円減少しております。
(ITサービス)
当連結会計年度は、金融機関向けシステム基盤更改案件などが売上に貢献し、売上高(外部売上高)は68,072百万円(前年度比8.6%増)、経常利益は5,301百万円(同57.7%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2,867百万円増加、経常利益は1,037百万円増加しております。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べて14,947百万円増加し、114,652百万円(前年度末比15.0%増)となりました。内訳としては、流動資産が73,921百万円(同25.0%増)、固定資産が40,730百万円(同0.4%増)となりました。流動資産は、主に売上、受注の増加及び収益認識会計基準等の適用の影響等により、売掛金が5,779百万円、契約資産が14,561百万円それぞれ増加、棚卸資産が9,517百万円減少しております。また、短期資金運用目的の有価証券が5,000百万円増加しております。
負債は、前連結会計年度末と比べて7,632百万円増加し、43,500百万円(同21.3%増)となりました。これは、未払費用が4,793百万円、未払法人税等が2,928百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
純資産は、主に利益剰余金が6,971百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ7,315百万円増加し、71,151百万円(同11.5%増)となりました。自己資本比率は、55.0%となっております。なお、利益剰余金の増加額には、当連結会計年度の期首より前に収益認識会計基準等を遡及適用した場合の累積的影響額が含まれます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,239百万円減少し、27,857百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、9,256百万円の収入(前連結会計年度は3,252百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益12,160百万円及び減価償却費3,610百万円のほか、売上、受注の増加による売上債権及び契約資産の増加10,099百万円、未払費用の増加4,793百万円、法人税等の支払額1,506百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、税金等調整前当期純利益が4,333百万円増加、法人税等の支払額が2,642百万円減少したこと等により、6,003百万円の収入増となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,654百万円の支出(前連結会計年度は1,970百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出5,000百万円、投資有価証券の売却による収入1,359百万円、投資有価証券の取得による支出602百万円、有形固定資産の取得による支出1,312百万円、無形固定資産の取得による支出1,874百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、有価証券の取得による支出が5,000百万円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が533百万円増加したこと等により、4,684百万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,850百万円の支出(前連結会計年度は4,624百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出400百万円、配当金の支払額1,972百万円及びリース債務の返済による支出1,114百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、配当金の支払額が325百万円減少、自己株式の取得による支出が334百万円減少したこと等により、774百万円の支出減となりました。
(4)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比 (%) |
|
シンクタンク・コンサルティングサービス |
(百万円) |
48,599 |
11.6 |
ITサービス |
(百万円) |
59,783 |
18.2 |
合計 |
(百万円) |
108,382 |
15.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等に基づき収益を認識しております。
② 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||||
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
||
|
シンクタンク・コンサルティングサービス |
49,833 |
△2.2 |
34,868 |
3.8 |
|
ITサービス |
71,050 |
5.2 |
47,145 |
6.7 |
|
システム開発 |
45,487 |
25.1 |
22,282 |
26.3 |
|
アウトソーシングサービス |
25,562 |
△18.0 |
24,863 |
△6.2 |
合計 |
120,884 |
2.0 |
82,014 |
5.5 |
(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.継続的に役務提供を行い実績に応じて料金を受領するサービスにつきましては、翌連結会計年度の売上見込みを受注残高に計上しております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の受注残高に加減しております。この結果、受注残高の当期首残高は11,230百万円減少しております。受注残高の前年同期比については、当該会計基準等適用後の当期首残高と当期末残高の比較による増減率を記載しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比 (%) |
||
|
シンクタンク・コンサルティングサービス |
(百万円) |
48,548 |
20.2 |
|
ITサービス |
(百万円) |
68,072 |
8.6 |
|
システム開発 |
(百万円) |
40,853 |
8.9 |
|
アウトソーシングサービス |
(百万円) |
27,218 |
8.3 |
合計 |
(百万円) |
116,620 |
13.2 |
(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
|
三菱UFJニコス㈱ |
15,992 |
15.5 |
17,561 |
15.1 |
㈱三菱UFJ銀行 |
10,593 |
10.3 |
- |
- |
4.当連結会計年度の㈱三菱UFJ銀行については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績の状況」に記載したとおりです。
事業変革のための積極的な成長投資を進める中、基盤事業の収益性を向上させる質的改革が着実に進展しております。具体的には、成長事業への戦略的な先行投資及び働き方改革推進のためのオフィス改革コストの増加等がある中においても、基盤事業である官公庁、金融・カード向け案件の受注好調を背景に、 高付加価値ビジネスの提供や生産性向上施策の推進等により、営業利益は9,165百万円(前期比33.7%増)と大きく伸長し、営業利益率も7.9%(前期比1.2ポイント増)に向上しました。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中計2023は目標年次である2023年9月期の財務目標として、経常利益100億円、ROE10%を定めております。
当連結会計年度の実績は経常利益104億円、ROE12.8%となり、成長のための投資を拡充しつつ、計画以上に基盤事業の収益性が向上したことで、両目標とも1年前倒しで達成いたしました。中計2023の最終年度となる次期連結会計年度は、当社グループとしての成長を維持しつつ、これまでに顕在化した中計2023における課題に対処し、次期中計も視野に入れた成長への布石を打ってまいります。なお、2022年11月4日公表の通期連結業績予想のとおり、2023年9月期の連結経常利益は106億円を見込んでおります。
③ 財政状態、キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の財政状態、キャッシュ・フローの分析につきましては、「(2)財政状態の状況、(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、データセンターの設備・機器装置への投資、ソフトウェア開発費用、成長分野への事業投資や研究開発投資などで構成されます。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入等により調達する方針としております。
また、当社グループでは売上債権回収の季節変動が大きく、納期を迎えるプロジェクトが多い第2四半期までは支出が先行し営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになる傾向があります。季節的な資金需要に機動的かつ安定的に対応するため、比較的厚めの手元資金を確保するとともに、当座貸越契約を締結しております。
当連結会計年度に実施した設備投資2,953百万円の所要資金は、自己資金とリースによっております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は3,529百万円となっております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は27,857百万円となっており、また好調な業績により自己資本も充実しました。持続的な成長を実現するために、人財投資や設備投資、M&A等の事業・投資を積極的に推進していく財務基盤を備えていると考えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債、報告期間における収益及び費用等に影響を与えるような仮定や見積りを必要としております。過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、当社グループの連結財務諸表の金額に特に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(総原価の見積りに基づくインプット法による収益認識及び受注損失引当金)
当社グループが受託する調査研究・コンサルティング及びソフトウェア開発等において、履行義務の充足に係る進捗率を見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)で算出し、その進捗率に基づいて一定期間にわたり収益を認識しております。
見積総原価は、各決算日時点における受注契約ごとの仕様、遂行体制、納期、進捗状況等に基づき、作業内容や工数を主要な仮定として見積っております。
また、当連結会計年度末において将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額に対して、受注損失引当金を計上しております。
当社グループのシンクタンク・コンサルティングサービスの主な業務、ITサービスにおけるシステム開発は、仕様や業務内容がお客様の要求に基づき定められております。契約ごとの個別性が強く、お客様要望の高度化、案件の複雑化や完成までの事業環境の変化等によって、当初見積り時には予見不能な作業工数の増加により総原価の見積りが変動することがあります。総原価の見積りが大幅に変動した場合には、当社グループが認識する収益、受注損失引当金及び売上原価に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、過去の課税所得水準及び一時差異等のスケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断し、将来の課税所得の見込みを主要な仮定として繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境に著しい変化が生じるなどにより将来の課税所得の見積額が変動した場合には、将来の繰延税金資産及び税金費用に影響を与える可能性があります。
(退職給付債務及び退職給付費用)
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上設定した割引率、昇給率、退職率、死亡率、年金資産の期待運用収益率などを主要な仮定として算定しております。
年金資産の時価の下落、金利環境の変動等により、数理計算の前提に変化が生じた場合には、退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。
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