文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
◎ DENSAN VALUES(電算の価値観)
<Corporate Mission(会社の使命)>
1.5歩進んだ情報技術を、豊かな発想と情熱で活用することにより「お客さまにワンランク上の仕事を」「人々の生活に便利さを」提供する
<Business Values(仕事の価値観)>
① お客さまにとって「頼りになる企業」になろう
電算の事業である情報サービス分野は、お客さまの仕事の中枢を担うものです。電算は、お客さまにとって真に役立つサービスを長期的に提供する事ができる「頼りになる企業」になります。
② 高い志を持ち、自ら創り出す事ができる社員になろう
お客さまに高いサービスを提供するためには、一人ひとりが担当分野のプロフェッショナルになる必要があります。私たちは高い志・夢を持ち、その実現に向けてチャレンジします。
そして、チーム・個人自らが、主体的にビジョン、高い目標を持ち、具体的に実行し、結果に対し責任を持ちます。
③ 誠実でフェアであり続け、誇り高い行動をとろう
電算は、誠実でフェアな企業であり続け、社員は誇りを持ち正直な行動をとります。
④ 仕事に感動を吹き込もう
私たちが目指すのは、お客さまからの高い評価や、目標を達成した時に得られる感動ある仕事です。そのために「仕事への想い」「仕事を通じての成長」「明るいコミュニケーション」を大切にします。
⑤ 利益ある事業成長を目指そう
利益は、お客さまが私たちの仕事を評価してくれた結果であり、社員の生活の向上、企業成長のための投資、株主へのリターン、社会貢献のための原資です。
そのため電算は、利益ある事業成長を目指します。
<Corporate Vision(目指す企業像)>
「輝く会社」「輝いている社員」「輝ける仕事」
(2) 経営戦略等
情報サービス産業は、1950年代のコンピューターの民間利用拡大を皮切りに、ソフトウェア開発の拡大、アウトソーシング化、インターネットの普及、クラウドコンピューティングやビッグデータの浸透と、急速な発展を遂げております。あわせて、携帯電話やインターネットの普及により、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術) ※は私たちの日常生活をより便利なものにし、また、地方公共団体や企業などにおいても効率的な業務やサービス実現に向け、システムインテグレーションが必要不可欠なものになっております。
今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大及びアフターコロナにおけるビジネス環境の変化、政府や社会におけるDXのさらなる推進、それに伴う国・県・市区町村等の動きの加速化とニーズの拡大、超高齢化社会の到来による健康医療福祉分野の成長などが見込まれております。
当社グループは、1990年に通産省よりシステムインテグレーターの認定を受け、2003年には自社のデータセンターを建設し、時代の流れとともに変化する、ホスティング、C/S※、Webアプリケーション※、クラウドコンピューティング等のソフトウェア形態に合わせて、システムの世代交代を重ねてきました。システム提供だけでなく、顧客の業務を把握し、要求に合わせ、課題解決のためのコンサルティングから設計、開発、運用・保守までを一貫して請け負うワンストップトータルソリューションを提供しております。
これまで当社グループでは、甲信越地域における公共向けICT企業としてのブランド力、全国の提携パートナーと連携した営業力、50年以上の実績に裏付けされた信頼、高いコストパフォーマンス力、お客様の要望に対し柔軟にカスタマイズできる対応力、自社データセンターを保有し、豊富な運用実績に裏付けされた高いセキュリティ技術力、長野県に本社を置くICTソリューション企業として唯一の上場企業、といった強みを生かし、成果を積み上げてまいりました。
今後も地方が生き残り、持続可能な成長を続けるためにはICTの力は不可欠であり、当社グループはそのソリューションを提供し続ける企業として存在する必要があると考えております。お客様の期待に応え、既存事業を強化するとともに、環境変化に対応した新製品開発や新技術への対応に積極的にチャレンジし、飛躍的な成長を目指してまいります。
そのために、公共分野においては、国が定める標準仕様に準拠したシステムの開発を計画的に進め、さらに、より業務の効率化・行政サービスの向上につながるサービスの提供を追求します。また、制度改正への確実な対応を進めるとともに、自治体DX推進ソリューションの展開、提携ビジネスパートナーとの協働強化により全国展開を推進してまいります。産業分野においては、主力製品であるリース業務パッケージの新規案件及びリプレイス案件の獲得、生産管理システム・販売管理システム・病院総合情報システムの新規受注、また、Observe AI等の新領域におけるサービスの提供を積極的に進めます。なお、公共・産業分野共に、開発作業の生産性向上及び開発能力向上に向けた環境整備ならびにサービス水準向上のための継続的な人材確保と育成に取組んでまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループはこれまで、情報サービス企業として、地域や企業の情報化推進のために寄与してまいりました。これからの高度情報化社会のなかで、当社グループの果たすべき使命はますます大きくなると考えております。
今後も急激に進化するICT技術への対応、情報化のセキュリティ対策等、顧客ニーズは大きく変化、拡大していくことが予想されます。
当社グループは、このような状況に対応できるよう、全力をあげて下記課題に対応し、経営体質の強化及び業績の拡大を図ってまいります。
① 成長企業の基盤構築
当社グループは今後の成長戦略として、新製品の開発への積極的な投資、首都圏を含む全国エリアへの営業強化、データセンター事業の拡大等を図り、さらに短期及び長期の業績向上に資する新たな製品・サービスを提供します。
産業分野の拡大と収益性の向上に向けて、リース業務パッケージ、販売管理システム等の主力パッケージシステムの業務知識を活かした提案活動による拡販ならびに子会社と協業し医療関連システム事業を更に拡大することで、産業分野における安定的・継続的な成長を目指します。
当社グループの長野県・新潟県内(民間企業については本社所在地基準)での売上高は12,706百万円(2022年3月期)と、売上高全体の73.8%を占めており、長野県・新潟県以外への展開が課題です。全国展開を推進するために、当社製品群の競争力を向上させることは無論のこと、提携パートナーとの協働の強化を図ります。
また、先端技術の研究・評価を通じて、他社に先んじた新たなビジネスモデルの構築を図ります。
上記により継続的かつ飛躍的に業績を拡大することができる体質を持った成長企業としての基盤を構築します。
② 既存事業の競争力強化
日々変化する顧客ニーズを的確に把握すること及び原価低減により、製品の収益性を向上させることが、製品・品質の優位性を保ち、当社グループ製品群の競争力を向上する上で大きな課題です。
当社グループは、顧客ニーズを的確かつ継続的に把握するため、当社グループ製品を日々利用されている顧客との情報交換会を行っております。当情報交換会は、顧客と当社グループサービス開発担当者が定期的に打ち合わせをするもので、ユーザビリティの改善、顧客満足度の向上に役立っています。
また、当社グループの主力事業分野の1つで地方公共団体向けの情報処理サービスは、国家主導でのデジタル化の強力な推進、業務プロセス・システムの標準化の流れが顕著な分野であります。この流れの中で、当社は政府の施策に積極的に参画することで継続的に情報収集・検討を重ね、国が定める標準仕様に準拠したシステムの開発を計画的に推進し、さらに、より業務の効率化・行政サービスの向上につながるサービスの提供を追求します。
③ ICT・DX人材の確保及び積極的な人材育成
積極的な事業展開及び企業成長のために、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠であり、人材の確保は最重要の課題です。このような状況のもと、当社グループでは継続的に優秀な人材を採用していくために、採用基準のレベルアップを前提として、新卒・中途採用の区別なく通年で必要な人材を求める採用方針を適用しています。さらに、今後増加が見込まれるシニア層が、継続して活躍し続けるための施策を実施し、スキルを持つシニア層の、長期にわたる更なる能力発揮と貢献を促します。
また、優秀な人材の確保とあわせ、社員の人材育成さらには社員一人当たりの生産性向上を目指します。高度情報セキュリティ技術者、システム開発技術者の技術力向上と、営業・管理部門の専門知識の向上を図り、サービス力・顧客対応力・提案力等の総合力が顧客及び業界から評価される企業を目指します。
さらに、事業の企画立案と推進及び組織マネジメントの中心となる管理者に必要なスキルを定め、計画的に教育を行うなど、管理者や業務リーダーの育成を強化していきます。
④ システム開発の品質・生産性向上
当社グループでは会社の製品に対する品質・生産性の向上の推進ならびに品質管理を担当する部署を中心に、総合行政情報システムを含む当社製品の品質対策と生産性の向上を図っております。社会や顧客からの信頼と期待に応える品質の追求と実現に向け、各工程の成果レベルと品質基準を明確化し、統一した品質レベルを確保することで、安定したシステムとサービスを提供してまいります。
なお、システム開発において、予定開発工数を超過することが見込まれる場合には、原因究明を行い、稟議書や取締役会による承認を取ることとしております。また、今後各種の対策を実施することにより、さらなる生産性の向上を図り、開発工数の削減に努めてまいります。
⑤ 新技術の調査研究とサービス提供
情報サービス関連分野は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、変化が激しい業界となっております。当社グループでは、引き続き拡大が見込まれるクラウドサービスを核に、AI(Artificial Intelligence:人工知能)※、IoT(Internet of Things)※、ビッグデータ等の各領域を連動させ、成長領域に対する新たな製品・サービスを企画、新規事業としての展開を図るとともに、デジタル化・オンライン化等、DX※の新たな事業モデルを検討・企画し、事業の具現化に向けての活動を推進することで、顧客や社会からのDXニーズへの的確な対応を行ってまいります。
⑥ データセンターでの提供サービスの充実
当社データセンターで提供しているデータセンターサービスの売上のうち52.2%(2022年3月期)がハウジングサービスとなっています。より顧客の利便性を高め、コスト削減、安全性の確保等のニーズに応えるため、データセンターを活用したクラウドサービス、仮想サーバーサービス等の充実が課題です。データセンターのクラウドサービス拡販と顧客の既存システムのクラウド化提案によるデータセンター事業の拡大にも引き続き注力し、ストックビジネスの強化につなげてまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、利益の源泉となる売上高の拡大に注力する一方、適切な研究開発投資や積極的な人材育成への投資を進めながらコスト削減を図り、利益体質の向上を図ってまいります。また、収益力の向上を図るため、売上高営業利益率を経営指標とするとともに、キャッシュ・フローを重視しております。なお、売上高営業利益率につきましては、10%以上を目指しております。
[用語解説]
ここに示す用語解説は、文中で※印で示す用語の本書内での意味を説明するものであり、必ずしも一般的な用法用例を包含するとは限りません。(アルファベット、50音順)
用語 |
解説・定義 |
AI(Artificial Intelligence:人工知能) |
人間が使う自然言語を理解し、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするソフトウェアやシステム等のこと。 |
C/S |
通信ネットワークを利用したコンピュータシステムの形態の一つで、機能や情報を提供する「サーバ」と、利用者が操作する「クライアント」をネットワークで結び、クライアントからの要求にサーバが応答する形で処理を進める方式。 |
DX(デジタルトランスフォーメーション) |
データや最新のデジタル技術を活用し、人々の生活及び企業活動をあらゆる面でより良い方向に変革すること。 |
ICT(Information and Communication Technology :情報通信技術) |
情報通信技術を指す略語。IT(Information Technology:情報技術)とほぼ同義だが、ITは技術そのもの、ICTは技術の利用方法も含んで使われることが多く、国際的にはICTを用いることが多い。 |
IoT(Internet of Things) |
従来、インターネットに接続されていたパソコンやサーバー、プリンター等の情報通信関連機器に加えて、それ以外のさまざまな機器や装置をつなげる技術。膨大な量の情報を共有するクラウド技術やビッグデータ技術、人工知能等の登場により、あらゆる“モノ(Things)”に高度な通信機能が組み込まれ、インターネットで相互に情報伝達できるようになる。 |
Webアプリケーション |
Webの技術を利用して構築されたアプリケーションソフトのこと。利用者は操作するWebブラウザや専用のクライアントソフトなどを用いてWebサーバにアクセスし、必要なデータの処理や転送を指示する。 |
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