課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。こうした記述は、将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を内包するものです。将来の業績は、経営環境の変化などにより、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)経営環境

当社グループは、特に規制緩和・法令改正のある事業領域に対して、投資・事業開発を積極的に進めており、2022年3月期での主要事業は、エネルギー事業、レジリエンス事業、自動車事業、金融関連事業となっておりますが、いずれの分野においても、ブロックチェーン、AI、IoT等の技術を、それぞれの事業展開や運用の効率化へ応用することが必要となります。

新型コロナウイルス感染症対応下での行動制限期間が当初の想定よりも長引いたことにより、当該期間に取られた対処策の一部が、企業活動や個人の新たな行動様式として定着しつつあります。当社グループとしては、「ポスト・コロナ時代」においても、持続的かつ安定的な成長を実現するために、新しい価値観・生活様式に適うビジネスモデルの創出・提供、新しい働き方の実現に取り組んでまいります。

また、当社はSBIホールディングス株式会社との間で、エネルギー分野及びCrypto分野での包括的な資本業務提携契約(2022年5月12日付)を締結いたしました。今後、本提携によるシナジーを最大限に生かし、当社グループの事業拡大と企業価値の向上に繋げてまいります。

 

(2)経営の基本方針

当社グループは事業展開において、「ブロックチェーンで世の中を便利にする」をグループミッションとして設定しております。ブロックチェーンの活用により様々な付加価値を生み出すべく、新たなサービスやプロダクトを企画・開発・提供し、新規事業を構築・展開してまいります。

また、すべてのステークホルダーから信頼され期待される存在であるために、「適切な収益を確保し持続的な成長を実現することで企業価値の向上を図ること」、「コーポレート・ガバナンスの強化に努め透明かつ公正な経営を実行すること」を経営の基本方針としております。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、展開する5つの事業セグメントにおいて、経営の効率化及び事業基盤の盤石化を進めるとともに、事業ポートフォリオ・マネジメントの徹底による経営資源の再配分・収益の最適化を図ることで、継続的かつ安定的な企業価値の向上を目指しております。

 

現在、エネルギー事業、レジリエンス事業、自動車事業、金融関連事業については、一定の事業基盤が形成されているものと判断しております。他方で、エネルギー事業では昨今の電力取引価格の高騰や脱低炭素化社会の実現に向けた電力システム変革による影響等が、暗号資産交換業や暗号資産を含むデジタル資産関連事業投資を行う金融関連事業では暗号資産市場価格のボラティリティやブロックチェーン関連技術・サービスの革新、法規制の変化による影響等が大きく、その動向変化の予測には不確定な要素があります。そのため、現時点で、当社グループとして、特定の経営指標を目標として設定しておりません。

なお、当社グループでは、不確実性の高い経営環境において、情報の収集・分析、動向の適切な把握に努めるとともに、状況の変化に対し機動的かつ柔軟に対応していく方針であります。

 

 

(4)中長期的な経営戦略

当社グループでは、本有価証券報告書提出日現在、中期経営計画の策定・公表をしておりませんが、これまで規制緩和や法制度改正が行われる事業領域に対する積極的な投資・事業開発を進めてきており、現時点においてその方針に変更はありません。

中長期的なグループ成長シナリオとして、現在展開する5つの事業セグメントにおける具体的な施策は以下のとおりです。各セグメントにほぼ共通しているのは、事業環境の変化にしなやかに対応し収益基盤を盤石なものにする一方で、成長機会の見込める分野への積極的な取り組みを通じて事業基盤をさらに強化することであります。また、これらを実現するためにも、キャッシュ・フロー創出力及び財務基盤の強化に努めてまいります。

エネルギー事業

・事業環境の変化への円滑な対応:2050年カーボンニュートラル達成に向けての電源の低炭素化推進、環境価値の高い電力供給プランの推進、容量市場への対応等

・突発的な電力調達コスト増加の抑制:安定的かつ効率的な需給管理体制の維持・運用、相対電源の積極的確保、電力先物取引の活用等

・需要家のさらなる開拓:需要家の特性・志向に応じた電力プランの開発・提供、認知度向上による需要家獲得等

・他事業とのシナジー促進

自動車事業

・現在の主商材である高級車を主とした国内事業者との中古車売買の展開

・自動車販売をめぐる環境の変化(若年層のクルマ離れ、電気自動車の普及、モビリティ社会の到来等)に対応できる体制の構築

レジリエンス事業

・「エネルギー・環境×防災・減災」をテーマとした、サービスやプロダクトの開発・提供:蓄電池・発電機等の提供、スマートシティ実現支援等

・総合的な感染症対策ソリューションの充実

・補助金活用コンサルティングのノウハウ・経験をベースとした、ソリューション導入支援

・他事業とのシナジー促進

金融関連事業

・収益基盤の拡大・盤石化:取扱い暗号資産の増加、新規サービスの開発・提供等

・財務基盤の安定化:自己資本の充実、リスク管理の徹底等

・利用者満足度の向上:サービス品質及び取引システムのユーザビリティの向上、高水準でのセキュリティ維持等

・ブロックチェーンを活用した事業の開発

・投資管理の最適化

その他事業

・他事業から派生する収益機会の確実な獲得

 

 

(5)対処すべき課題

① エネルギー事業における課題

電力小売事業では、世界的な燃料価格の上昇に伴う電力取引価格の高騰や先行きが不透明な電力市場に対する懸念から、電力先物市場における取引価格も上昇しました。

当社グループでは、既に実施している電力調達における相対電源比率の適正レベルの設定、電力先物取引の活用等により、天候、燃料供給状況等の変化に伴う電力調達価格の変動リスクの低減を、今後も継続してまいります。

また、電力小売事業を含む電力業界は、発送電分離、次世代スマートメーター制度、容量市場の導入、2050年カーボンニュートラルへの挑戦、電源の脱炭素化、再生可能エネルギー発電の活用、分散型エネルギー源(DER:Distributed Energy Resources)の取込みなど、大きな制度改革とそれによる新ビジネス模索という業界再編の時期に入っているともいわれます。当社としましては、このような事業環境のもと、SDGsを推進しつつ、新たな収益機会を創出し、適正な水準の収益及びキャッシュ・フローの確保を図るべく、事業運営してまいります。

 

 

② 自動車事業における課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響の長期化及びそれに伴う政府の施策、人々の働き方の変化その他による中古車市場への影響は否めないものの、景気等の影響を受けにくいといわれている高級車を主商材とした国内の業者間売買を主軸に、引き続き展開してまいります。

なお、今後、新車販売について電気自動車(EV)やハイブリッド車に転換するとの方針が示される中、中古車市場への影響はまだ計り知れませんが、充電施設の普及その他環境を踏まえ、適切な対応ができるよう努めてまいります。

 

③ レジリエンス事業における課題

感染症対策関連事業では、『正しく恐れる』をテーマに、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策の商材を幅広く展開してまいります。その中でも、MA-T(Matching Transformation System:要時生成型亜塩素酸イオン水溶液)を原料とした自社ブランドである「すごい水」、「SUGOMIZU」などの商品ラインナップの充実を図ります。

感染症対策関連事業における取扱い商品やサービスは、人の健康・安全に密接に関連していることから、その広告や販売に関し、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連法令や広告規制等の適用を受ける場合が考えられます。当社グループでは、商材の企画・開発、広告、販売に際しては、消費者事故等の発生防止に努めるとともに、コンプライアンスを徹底してまいります。

また、省エネコンサルティング事業では、これまでの事業者向けのエネルギー使用合理化・省エネ関連のソリューションに加え、BCP(事業継続計画)対策や家庭における防災・減災対策として、再生可能エネルギーと蓄電池や発電機の組み合わせなどによる提案を積極的に展開していき、省エネルギーや防災・減災といった一部の効用にとどまらず、レジリエンス向上を促すための取り組みを推進してまいります。

レジリエンス事業では、これまでの省エネコンサルティング事業における補助金活用等のノウハウを、エネルギー分野だけではなく、環境対策、防災・減災対策、感染症対策等においても応用し、収益獲得の機会の創出・獲得に努めてまいります。

 

④ 金融関連事業における課題

金融関連事業では、当社連結子会社(孫会社)である株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」という)において、利用者に対し、快適かつ安定した取引環境の提供を継続して行ってまいります。具体的には、利用者の利便性をより向上させるため、注文方式の拡充、法定通貨・暗号資産の送受金速度の改善、口座開設申込の改善に取り組みます。また、取扱い暗号資産(国内初新規銘柄を含む)を増やし、ディーリングシステムを改善すること等で収益力を向上させるとともに、マーケティング活動を強化することで、利用者数を増やし、取引量を増加させてまいります。また、利用者の資産を安全に保管・管理するセキュリティの確保・強化は、事業遂行上極めて重要であるとの認識のもと、暗号資産の保管・管理態勢を高水準で維持し改善するべく、努めてまいります。

また、法令上及び事業遂行上必要とされるリスク管理態勢及びコンプライアンス態勢の拡充を図りつつ、これまで以上に安定した収益を確保できるよう努めてまいります。

 

 

⑤ 経営環境の変化への機動的な対応、これによる事業機会及び収益の追求

将来にわたる持続的な成長を実現するため、事業規模及び収益の拡大を戦略的に推進する必要があります。当社グループは、市場のニーズやウォンツを的確にとらえ社会・時代の変化に機動的に対応し、既存事業の強化、派生ビジネスへの取り組み、新しい発想・視点による新規の事業機会の創出をたえず行ってまいります。さらに、事業ポートフォリオを定期的に見直し、収益力及び効率性の向上を推進し、中長期的な成長基盤の確立を図ってまいります。また、成長を加速するために、その時々の経営環境を鑑み、必要に応じて、海外を含めた他の企業グループとの連携や戦略的な投資を推進してまいります。

 

⑥ 内部管理体制の拡充ならびにコンプライアンス及びリスクマネジメントの強化

当社グループは、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現することを目的として、2017年12月に策定した「コーポレート・ガバナンス基本方針」(2021年12月一部改訂)において、コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントに対し積極的な取り組みを行う姿勢を明確にいたしました。コーポレートガバナンス・コードの改訂その他事業環境の変化に応じて、当社グループにふさわしいコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいります。

また、引き続き、グループ全体において、継続的な啓発活動及び教育研修を実施し、一人ひとりが高い倫理観を醸成し、良識と責任のある行動をとることのできる企業風土を形成してまいります。

 

⑦ 優秀な人財の確保・育成

当社グループは、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題への取り組みに際して、事業環境の変化に円滑に対応して社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が必須であると考えております。業容拡大のもと、意欲のある経験値の高い人財を確保するとともに、持続的な成長を支える人財の育成、個々のパフォーマンスの最大化のため、就業環境の整備・改善に注力してまいります。

 

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループでは、現在、複数の国籍の人財を登用しておりますが、今まで以上に、グローバル化の推進、個
性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だ
けではなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。

そのために、多様な個々の従業員が意欲をもって活躍できるための就労環境の整備、職場コミュニケーションの改革、人財育成等の人事・労務施策の実施に努めてまいります。

 

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