本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、事業上のリスクとして具体化する可能性が高くないと思われる事項も含め、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下のとおり記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断ならびに当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本有価証券報告書の本項以外の記載事項も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載事項は、当社株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。そのため、以下に記載したリスク以外でも当社の想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中においては将来に関する記載事項が含まれておりますが、当該事項は、本有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、経営環境の変化等により実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業の内容に関するリスクについて
(1)法令・規制等による事業への影響について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。そのため、展開中の事業及び展開を検討中の事業において、法令の新設・改正、規制の見直し・整備等によって、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在実施している、エネルギー事業における電力小売事業ならびに金融関連事業における暗号資産交換業は、それぞれ「電気事業法」ならびに「資金決済に関する法律(資金決済法)」に基づくものであり、想定外の法令改正、制度変更、法令等の解釈・適用(その変更を含みます)等により、当社グループの期待どおりに事業を展開することができなくなる可能性があります。また、事業の実施に必要な許認可、登録等を取得・維持できない又は取消等を受けるような場合には、事業を実施することができなくなる可能性があります。その他、当社グループが行う事業に固有に適用される法規制のほかに、企業活動に関わる各種法規制(消費者保護、プライバシー保護、人権尊重、労務、公正競争、知的財産権、租税、環境に関する各種法規制を含みますがこれらに限られません)の適用を受けています。当社グループがこれらの法規制に違反する場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関等から登録・許認可の取消や罰金などの処分を受けたり、取引先から契約を解除されたりする可能性があります。その結果、当社グループの社会的信用が低下したり事業展開に支障が生じたりする可能性があります。
(2)顧客基盤について
当社グループは、収益基盤の安定化及び事業規模の拡大を実現するために、既存顧客への売上拡大を図るとともに、新規顧客を意欲的に開拓し獲得することで、顧客基盤を拡大していくことが重要な課題の一つであると認識しています。そのため、製商品・サービスの品質向上、マーケティング・チャネルの有効活用、戦略的パートナーシップの構築・発展、新規事業の開発等に取り組んでまいります。
しかしながら、諸施策が功を奏せず計画が順調に進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競争環境によるリスク
エネルギー事業における電力小売事業では、2016年4月の電力小売全面自由化以降、登録小売電気業者数は着実に伸び、2022年6月3日現在739事業者となっており、需要家の選択肢も広がり、新電力(電力自由化以降に新規参入した小売電気事業者)による電力供給の割合は2022年3月現在で21.3%(販売電力量ベース)を占めるまで成長しました。そのような環境のもと、電力小売部門における競争は激化する一方で、電力事業全体における電力小売部門の市場規模は、2019年度で約0.7兆円(同年度の電力事業全体の市場規模(約16.4兆円)における割合約4.3%)、2020年度で約0.1兆円(同年度の電力事業全体の市場規模(約15.1兆円)における割合約0.7%)と縮小しています。他方で、2020年度冬季、2021年度冬季と2期連続で卸電力取引市場の取引価格が異常に高騰しました。今後も燃料価格の高値水準継続などの要因により特に電力需給ひっ迫時に電力取引価格が高騰し又は需要に即した電力量を調達できないなどの懸念があります。
また、2050年カーボンニュートラル実現に向けての「電気事業における低炭素化」の要請、国全体で必要な供給力(発電量)を確保するための、容量市場における容量拠出金の負担の発生など、小売電気事業者が事業を継続するためのコストは今後も増加すると想定されます。
このような状況のもと、一部の小売電気事業者の経営状況の悪化、事業停止、事業撤退などがあり、また、一部の小売電気事業者による新規契約の受付停止などの事態も発生しております。
当社グループでは、電力市場の状況・課題に対して適正な利益を実現するための施策を講じてまいる所存ですが、以上のような競争環境などの要因により、当社グループのシェアが思うように伸長しない可能性があるばかりでなく、電力調達コストをはじめとする事業運営コストが上昇することにより適正な利益が確保できなくなる可能性があります。
金融関連事業においては、暗号資産交換業を行うためには資金決済法及び関連法令に基づく暗号資産交換業者登録を行う必要があります。2022年6月17日現在で、登録暗号資産交換業者数は31社となっています。また、2019年改正金融商品取引法の2020年5月施行に伴い、暗号資産デリバティブ取引の取扱いについては金融商品取引業者登録が必要となりました。他方で、当該規制やレバレッジ倍率の引下げ等の市場環境の変化もあってか、暗号資産デリバティブ取引から撤退したのもあり、2022年5月31日現在、暗号資産交換業者で第一種金融商品取引業登録を維持しているのは9社にとどまります。BPJも、事業環境を鑑み、経営資源の選択と集中を図るために、暗号資産デリバティブ取引サービスの提供を終了し、2021年12月29日をもって第一種金融商品取引業を廃業しました。
一方で、STO(Security Token Offering:セキュリティ・トークン・オファリング。ブロックチェーン等の電子的技術を使用してデジタル化し発行される証券による資金調達)については今後形成されていく市場であり、証券会社等も参入しており、暗号資産関連業界の勢力地図は一気に様変わりする可能性があります。
また、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)、DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)など、技術革新やサービス開発によってブロックチェーン関連サービスの多様化が進むとともに、「Web3.0」と呼ばれる次世代型インターネットへの期待も高まっています。
このような事業環境のもと、同業他社との競争の激化、規制強化に伴うコスト増加、技術革新又は新サービスへの対応の遅れ等により、当社グループのシェアが期待どおり伸長しない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)自然災害、不測の事故等について
エネルギー事業における電力小売事業では、気候による電力需給状況の逼迫の発生のほかに、国内外の自然災害、事故、システムトラブルその他の不測の事態が生じることにより、正常な電力供給が行われない、燃料価格の高騰等のため電力調達価格が上昇し電力コストが増加するなど、当社グループの電力小売事業に支障を来たす可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)金融関連事業に特有のリスクについて
金融関連事業においては、その事業の性質上、市場関連リスク(暗号資産の価格、為替等の市場のリスクファクターの変動により保有資産の価値が変動し損失を被るリスク、ならびに市場の混乱等で市場において取引ができなくなる、又は通常より著しく不利な条件での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク)、信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により保有資産の価値が減少し又は消失し損失を被るリスクであり、カウンターパーティリスクを含む)があるほか、システムリスク(サーバへの不正アクセス、システムダウン、ネットワーク途絶その他のシステムトラブルにより損失を被るリスク)、オペレーショナルリスク(業務プロセス、人、システムが不適切であること又は適切に機能しないこと、もしくは外生的な事業に起因して損失を被るリスク)等があります。また、特定の事業者における不祥事、特定の暗号資産における問題などの機能不全や好ましくない事象等が生じた場合に、その影響が他の事業者や市場にまで波及するというシステミック・リスクもあります。さらに、暗号資産の取引に関わる国内外の法規制、税制、会計基準や取引ルールの見直し等により、収益の前提条件が変化するリスクがあります。
当社グループにおいては、リスク管理を徹底しておりますが、万が一これらのリスクが顕在化した場合には、対応コストの増加、当社グループに対する損害賠償請求、当社グループの信用の低下、市場縮小による収益の悪化等が発生する可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、BPJは、利用者からの預かり資産につき、暗号資産交換業の実施に際して資金決済法に基づく分別管理義務が課されています。今後、当該義務に違反する事実が発生した場合、又は、法令改正等により現在の管理方法が不適切となったにもかかわらず速やかに適切な管理方法を整備できなかった場合には、行政処分等を受ける可能性があります。その場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
さらに、金融犯罪の多様化・高度化、テロ犯罪の継続的な発生を背景に、マネー・ローンダリング、テロ資金供与・拡散金融対策(以下「マネロン等対策」という)の重要性が高まる中、金融機関、暗号資産交換業者などの「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」上の特定事業者におけるマネロン等対策の強化が課題となっています。BPJは、暗号資産交換業者として、犯収法をはじめとする国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン等対策のさらなる強化・実装を継続的に行っております。しかしながら、BPJにおいてマネロン等対策が有効に機能せず、万が一法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)期間損益の変動について
エネルギー事業における電力小売事業の売上は、需要家の電気使用量の季節変動による影響を受けます。また、電気使用量の変化、発電所の休廃止、その他不測の事態による電力供給量の減少等によって電力需給のバランスが崩れるような場合には、電力調達コストが大きく変動するリスクがあります。気温・湿度・気象・発電コスト等が想定外の範囲で変化した場合には、需給のミスマッチによるインバランス料金等の負担による損失の発生、売上・利益の減少等が生じる可能性があります。そのため、当社グループにおいては、需給管理体制の充実、電力調達先の多様化、価格変動リスクのヘッジなどの施策を実施するともに、電力の調達・需給に関する契約の内容及びバランスを適宜見直し、適正な利益を確保できるように努めてまいります。
レジリエンス事業における省エネコンサルティング事業では、顧客のニーズに合わせた最適なコンサルティングの実施に努め、申請支援する補助金や補助金申請支援が可能な交付団体の多様化等を進めておりますが、補助金の交付決定等の時期により売上が偏重する傾向があります。また、補助金の予算規模や申請要件等の変更により、年間売上高が変動する可能性があります。そのため、当社グループでは、省エネコンサルティング事業と深く関係する蓄電池、発電機、エネルギーコントローラ等のエネルギー関連機器・設備や環境衛生機器その他感染症対策商材の拡販等を行うことにより、期間損益の平準化を目指しております。
また、当社グループの業績は、過去において、当社グループが提供する製商品・サービスの構成、顧客の需要・業況・取引関係、事業投資の成功又は失敗等の様々な要因によって、四半期毎、年度毎に変動しており、今後も変動する可能性があります。したがって、当社グループの過去の各四半期又は通期の実績が将来の業績の傾向を直接・間接に示唆するものではありません。
(7)提携等について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。また、新規事業の開発や既存事業の業容の拡大を効率的に推進するために、グループ外企業との新規提携及び提携強化を進めております。その過程で、海外を含めた第三者との合弁による企業設立、既存企業への追加的な投資等を国内外で行う可能性があります。
このため、これらの投資や事業買収、事業統合に際して多額の費用が発生する可能性があります。また、第三者との合弁事業、提携事業や投資先事業が大幅な不振に陥ったり、これらの事業の業績不振が一定期間以上継続したりする場合には、追加的なコストの発生や投資有価証券の減損又は評価損の計上等の可能性があります。
さらに、提携先の相手国側における法規制等の制約を受ける可能性や、事業戦略上の目的や予定していた事業収益の増大が実現できない可能性、第三者との合弁事業や提携事業等が所期の目的を達成できない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループにおいては、提携等に関する意思決定の際には、シナジー効果、将来にわたる投資採算性等を考慮に入れ、法規制・会計・税制等の影響も含めたリスクを低減・回避するべく、検討を実施してまいります。
(8)感染症対策関連事業に特有のリスクについて
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景として、既存事業である省エネコンサルティング事業(レジリエンス事業)及び旅行関連事業(現 その他事業)におけるサービスから、感染症対策関連事業が派生してきました。感染症対策関連事業は、新型コロナウイルス感染症に限定した対策に係る事業ではなく、未知の感染症等への対策も視野に含んでおりますが、感染症の感染状況の推移や収束時期等によって、業績が影響を受ける可能性があります。
感染症対策関連事業では、その取扱い商品やサービスが人の健康・安全に密接に関連していることから、広告や販売に関して、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連法令や広告規制等の適用を受ける場合が考えられます。当社グループでは、各種法規制の遵守に努めておりますが、万が一法規制違反に該当するような事態が発生した場合、関連法規制の制定・変更及び行政対応等の動向により規制対応費用の増加、課徴金納付や事業活動への制約等が余儀なくされたりする場合などには、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、感染症対策関連事業での商品やサービスの提供過程において、品質不良等により消費者に健康被害を与えるような事態が発生した場合には、販売減少、損害賠償の発生又は当社グループのブランドイメージ毀損等によって当社グループの経営成績等は影響を受ける可能性があります。
(9)気候変動に関するリスクについて
近年、気候変動への関心が国内外で高まり「低炭素社会」「脱炭素化」への移行が求められる中、電力小売事業を含む電力供給ビジネスにおいても、気候変動問題への対応をはじめとした環境負荷の低減への積極的な取組みがこれまで以上に必要になってきています。
これらの気候変動に関するリスクに対して、当社は、再生可能エネルギーの積極的な活用や需給両面での二酸化炭素排出削減などの取組みを進めております。今後のわが国の環境政策及び国際枠組みの動向などによっては、環境負荷低減や気候変動の対応のための費用が増大するなど、将来的に当社グループの事業運営及び業績に影響を受ける可能性があります。
また、金融・資本市場においてESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に活用することが急速に拡大しており、気候変動問題への戦略・取組みや気候変動リスクをはじめとする環境情報に関する開示はもちろん、環境問題への取組み自体が不十分であるなどと判断された場合には、株主・投資家等のステークホルダーから信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。
(10)サプライチェーンマネジメントについて
特に、レジリエンス事業における蓄電池等の機器の供給においては、コスト極小化のためにも、製品の開発、製商品・部品等の調達、生産・製造、製商品の供給に至るまで、適時に行う必要があります。特定の供給元に依存し調達に制約を受ける場合には、当社における生産・製造及び供給が中断あるいは遅延する可能性があります。特に昨今の世界的な半導体の不足に関しては、今後さらに供給量が減少する、又は供給不足の事態が長期化する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、製商品の生産・販売が地政学的リスク、自然災害、疫病、テロ、サイバー攻撃あるいは輸送事故などの理由により物流が停滞するような場合には、売上機会の損失、対応コストの増加などにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、製品については外部委託先を含め品質基準に基づく生産・製造を行っておりますが、万が一製品に品質不良や不具合等が発生した場合には、顧客対応、リコール、損害賠償等のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、取引先の動向把握や取引先との関係強化の推進、外部委託先への監督のほか、サプライチェーンの変化に応じた対応策、例えば、特定の取引先への依存を見直しての部品等の確保、供給に合わせた販売の調整などを行っております。
2.当社グループの事業体制に関するリスクについて
(1)人財の確保・育成について
当社グループは、価値観が多様化する社会の中で、人財の価値を最大限に引き出し、企業価値の持続的な向上に結び付けることが必要であり、人的資本経営の実現のために適切な人財戦略を立案しこれを実行することが急務であると考えております。
当社グループでは、これまでも事業ポートフォリオ・マネジメントの一環として経営資源配分の最適化に継続的に取り組み、組織構成及び人員配置の適正化を図っております。今後も、事業の進展にあわせて、ダイバーシティ&インクルージョン(「人財の多様性」と「多様性を受容し互いに包摂すること」)の推進を踏まえ、優秀な人財の確保と継続的な育成、ならびに内部管理体制の拡充を図っていく方針です。しかしながら、雇用情勢の変化その他の要因により、経営戦略及びビジネスモデルの実現のために必要な人員の確保や人財育成が計画どおりに進捗しない場合、既存の主要な人財の社外流出を防止できない場合、適切な人員配置や組織の整備ができない場合などには、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営に支障を来たすなど、当社グループの将来の成長、事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、今後の成長を図るべく、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題の取組みに際しては、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が重要な経営課題の一つであると認識し、実現すべきビジネスモデル及び戦略とその時々の人財ポートフォリオのギャップを把握し、戦略を実現するために必要な意欲のある人財を確保・育成するとともに、持続的な成長を支える人財を育成すべく一人ひとりが活躍することのできる環境を整備し維持してまいります。また、人的資本への投資や人材戦略が有効に行われているかについて、定性的・定量的にモニタリングし、必要な施策を講じてまいります。
(2)内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが極めて重要であると考え、「内部統制システム整備の基本方針」及び「コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定し、内部統制システムの適切な整備と運用、コンプライアンスの徹底を行い、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
当社グループでは、内部管理体制の一層の拡充に努めておりますが、事業の急速な拡大により十分な内部管理体制の整備又は運用が追いつかないというような状況が生じる場合や内部統制システムが有効に機能しないような場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティについて
当社グループは、事業上の重要な情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有し、事業活動のためにこれら情報を利用しています。他方で、特に個人情報については、不正な利用・アクセスや漏えいを防止するためにも、個人情報保護法等により適正な管理及び取扱いが要求されています。当社グループでは、情報管理に関する規程や取扱手順等を策定・運用するとともに、役職員等に対する教育・啓発等による情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を実施し、また、外部委託先等についても適宜その情報管理態勢を監督しております。万が一予期せぬ事態により当社グループの保有する機密性の高い重要情報が外部に流出したり、第三者が不正に取得し使用したりするような事態が生じた場合には、損害賠償や対応費用の発生ばかりでなく、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、業務遂行又はサービス提供のため、複数のコンピュータシステムを活用しています。また、これらのコンピュータシステムの多くは、顧客・取引先等のシステムとネットワークで接続されています。当社グループは、業務システムの安定的な稼動に努めるとともに、重要な業務システムについては、万が一の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。しかしながら、エラー、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により、重大なシステム障害等が発生した場合には、このような対策が有効に機能しない可能性があります。また、システムリスクやサイバーセキュリティリスクが顕在化した場合には、情報の流出、データ改ざん、システム誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、技術の進歩、情報セキュリティ確保の内外の要請、他でのセキュリティインシデントの発生状況等を踏まえ、情報活用の有効性の向上と情報セキュリティ対策の強化を図るとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発により、情報管理のさらなる徹底に取り組んでまいります。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンにおける情報セキュリティの確保についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
(4)知的財産権について
当社グループは、、競争力の源泉として重要な経営資源の一つである知的財産・無形資産について、国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応も十分に意識したうえで、中長期的な企業価値の向上を実現するために、知的財産・無形資産の投資・活用・管理を、経営戦略・事業戦略において有効に実施していくことが重要であると認識しております。しかしながら、戦略の構築・遂行において知的財産・無形資産の投資・活用・管理が適切に実施されない場合や戦略遂行の結果として想定した成果の実現に至らないような場合には、将来の価値創造や収益機会の拡大に結びつかず、あるいは各種リスクが顕在化するなどして、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、知的財産・無形資産の投資・活用・管理が企業価値の向上に資するよう、適切な戦略の策定に努めるとともに、投資等に対し実効的に監督を行い、適切な施策を講じてまいります。
また、当社グループは、知的財産権の保護が重要であることを認識し、事業活動を推進するうえで、必要となる知的財産権の確保を進めるとともに、第三者の知的財産権の抵触可能性の調査をできる限り実施しております。しかしながら、当社グループの事業活動に関係する第三者の知的財産権の状況をすべて把握することは非常に困難であり、また、当社グループが事業活動を推進するうえで必要な知的財産権を効率的に確保できない可能性もあります。知的財産権の侵害・被侵害による損失や収益機会の減少の発生を防止できない、あるいは適切な回復をすることができない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)コンプライアンスについて
当社グループは、コンプライアンスを重要な経営課題の一つとして位置付け、事業活動に際しては企業倫理及び法令遵守の徹底を図るべく諸施策を講じています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージの低下、損害賠償等により、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、コンプライアンスに関する規程を定め、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発を実施し、さらなる企業倫理の向上及び法令等の遵守に努めております。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンでのコンプライアンスの徹底についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
3.その他のリスクについて
(1)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、業績向上に対する士気高揚のため、グループ取締役及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権(ストック・オプション)を付与しています。また、今後もグループ取締役及び従業員等に対するインセンティブの一つとして新株予約権の付与について継続的な活用を検討しています。これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主の有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。
また、当社グループでは、事業投資の実施、成長戦略の実現、事業環境の変化への対応、その他の経営上の目的のために資本増強又は資金獲得を必要とする場合があり、この資金需要を充足するために、新株、新株予約権等の発行を行う可能性があります。あるいは、企業価値の向上を図るうえで事業の拡大や多角化を目的とする業務提携及びその強化を進める際にこれと並行して資本提携を行う場合があり、その際に新株、新株予約権等の発行を行う可能性があります。これらの発行及び権利行使によって、当社の1株当たりの株式価値及び議決権割合の希薄化が生じ、株価に影響を与える可能性があります。
(2)コロナウイルスが事業活動に及ぼす影響について
当社グループが行う電力小売事業(エネルギー事業)及び暗号資産交換業(金融関連事業)等は、その公共性の観点から事業を中断することなく継続することが要請されており、新型コロナウイルス感染拡大及びその長期化による事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めております。
他方で、当社グループでは、従業員等及びその家族の生命・健康を守るために、衛生管理の徹底並びに時差通勤、テレワークの推進、電話会議・電話会議等のリモート会議の活用、国内外の出張の自粛、セミナー等のイベント開催の自粛等、感染防止及び感染拡大リスク低減のための措置を、国・自治体等の方針に照らし、感染状況に応じて実施しております。それにもかかわらず、当社グループの従業員等に罹患者が発生した場合には、代替要員の確保その他の理由による臨時費用等が発生する可能性があり、また、何らかの理由で当社グループにおいて事業を継続することができなくなった場合には、休業及び顧客からの信頼の喪失等により事業機会の損失が生じる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大やその防止を理由として他の事業者や一般消費者の休業等が長期化するような場合には、外出自粛やテレワークのために家庭における消費電力、特に日中の電力需要が増加する可能性はあるものの、事業者における電力需要の落ち込みや業績悪化などが生じ、結果として電力小売事業(エネルギー事業)の売上が減少したり、売掛金の回収が困難になったりする可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を優先的に実施するために、事業者においてエネルギー合理化等のための設備投資や省エネ対策の実施に関する意欲が減退するような場合には、省エネコンサルティング事業(レジリエンス事業)の売上が減少する可能性があります。感染症対策関連事業(レジリエンス事業)においては、新型コロナウイルスの感染状況の推移、関連法規制の変更、新規の感染対策や治療法等の出現、万が一の健康被害の発生、未知の感染症の発生・流行その他の事由によって業績に影響を与える可能性があります。
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