業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の下で、ワクチン接種の進展や海外需要の回復により企業業績には持ち直しの動きがみられたものの、一部の経済活動の制限は断続的に続き、供給面での制約や原材料価格、金融資本市場の変動等による下振れリスクをはらんだ不透明な状況で推移しました。世界経済においても、米国や中国など一部の国では回復傾向がみられましたが、欧州や東南アジアでは感染再拡大により予断を許さない状況が続きました。

 段ボールの国内生産動向は、1-12月累計数量(速報値)では前年比103.2%(2021年12月速報)と、電気器具・機械器具用や通販・宅配・引越用を中心に全般的に増加傾向となりました。

 このような状況下、当社グループの当連結会計年度における売上高は563億円(前年同期比7.7%増)と前年から40億22百万円増加しました。営業利益は12億17百万円(前年同期比67.8%増)となり、前年から4億91百万円増加しました。経常利益は19億97百万円(前年同期比87.6%増)となり、前年から9億32百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は13億95百万円(前年同期比49.4%増)となり、前年から4億61百万円増加しました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント業績の金額には、セグメント間取引が含まれております。

 

包装材関連事業

 段ボールの国内生産動向は、1-12月累計数量(速報値)では前年同期比3.2%増と、電気器具・機械器具用や通販・宅配・引越用を中心に全般的に増加傾向となりました。

 このような環境下、当社グループにおいては、物流に不可欠な包装資材を供給する社会インフラとしての使命を全うするため、引き続き従業員の新型コロナウイルス感染リスク抑制に取り組みつつ、製品の安定供給に努めてまいりました。

 段ボール部門については、当社グループの国内販売数量は、段ボールケースでは輸出が好調であった電機・機械向けや外出自粛で需要が増えた通販向けがけん引し、前年同期比で3.4%増となり、段ボールシートでは、ボックスメーカーからの需要回復により、前年同期比で4.3%増となり、段ボール全体の売上高では前年同期比8.8%増となりました。

 印刷紙器部門については、前連結会計年度では新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出にともない、人の移動や店舗の営業などの自粛が求められたことを受け、大型イベントの中止または延期および大型商業施設またはテーマパーク等の営業休止または営業縮小によるギフト関連商品需要の減少、出張または観光旅行等の自粛による手土産品需要の減少などで大きな影響を受けましたが、当連結会計年度においては、緊急事態宣言の発出による経済活動の制限は継続していたものの、電機・機械部品関連や外出自粛関連の需要増、および年度後半では緊急事態宣言の解除もあり、人の往来の再開にともなうギフトや手土産品などの急激な消費回復などもあり、売上高は前年同期比で9.6%増となりました。

 海外事業については、前連結会計年度では新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンの寸断やロックダウンにより中国をはじめ、東南アジア地域の各国において大きな影響を受けました。当連結会計年度においても昨年同様新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンや経済活動の制限はあったものの、経済活動の再開にともなう反動もあり需要は急速に回復基調となり、売上高は前年同期比22.9%増となりました。

 収益面については、海外事業では原燃料価格の上昇や新型コロナウイルス感染拡大によるコストの増加等もあり、販売は大きく回復したものの収益は思ったような回復には至りませんでした。一方で、国内では新型コロナウイルス感染症からの回復による販売数量の増加に加え、一昨年までに実施した段ボールの主原材料の値上がりにともなう製品価格改定への取り組みおよび顧客ポートフォリオの見直しの取り組み効果に加え、生産に関する費用を主体としたコスト低減効果もあり利益を計上することができました。

 以上により、包装材関連事業の売上高は597億71百万円(前年同期比7.6%増)と前年比で増収となり、営業利益(セグメント利益)についても11億85百万円(前年同期比72.4%増)と大幅な増益となりました。

 

不動産賃貸事業

 当セグメントにおきましては、商業施設等への土地の賃貸事業またはマンション等建物の賃貸事業を主としていることから、新型コロナウイルス感染症の影響を殆ど受けることがなく、収入および収益ともに前年とほぼ変わらず推移いたしました。しかしながら、一部の賃貸物件において、前連結会計年度の途中で契約期間の満了を迎え、売却処分をしたことなどもあり、売上高は3億71百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益(セグメント利益)は3億3百万円(前年比7.8%減)と前年同期比で減収、減益となりました。

② 財政状態

 当連結会計年度における総資産は661億92百万円(前年同期比1.0%減)となりました。流動資産は234億10百万円(前年同期比9.5%増)、固定資産は427億82百万円(前年同期比5.9%減)となりました。

 負債合計は270億16百万円(前年同期比2.3%減)、流動負債は190億37百万円(前年同期比0.8%増)、固定負債は79億78百万円(前年同期比8.9%減)となりました。

 純資産合計は391億76百万円(前年同期比0.1%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ10億35百万円増加し、32億63百万円となりました。

 これは、営業活動により得られた資金42億98百万円、投資活動により使用した資金15億93百万円および財務活動により使用した資金16億65百万円によるものであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は42億98百万円(前年同期比55.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益19億48百万円および減価償却費18億52百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は15億93百万円(前年同期比0.3%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出14億74百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は16億65百万円(前年同期比63.4%増)となりました。これは主に、短期借入金の返済6億91百万円、長期借入金の返済4億20百万円および配当金の支払4億95百万円などによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

55,910,590

107.5

不動産賃貸事業

合計

55,910,590

107.5

(注)1 セグメント間取引は消去しております。

2 金額は販売価額(消費税等抜き)により算出しております。

 

b) 受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

55,862,259

106.9

1,517,446

93.7

不動産賃貸事業

合計

55,862,259

106.9

1,517,446

93.7

(注)1 セグメント間取引は消去しております。

2 金額は販売価額(消費税等抜き)により算出しております。

 

c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

55,964,912

107.8

不動産賃貸事業

335,263

93.7

合計

56,300,176

107.7

(注)1 セグメント間取引は消去しております。

2 販売実績には消費税等を含めておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

① 財政状態の分析

a) 資産の部

 当連結会計年度における総資産は661億92百万円(前年同期比1.0%減)となりました。流動資産は234億10百万円(前年同期比9.5%増)、固定資産は427億82百万円(前年同期比5.9%減)となりました。

 流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が10億35百万円増加したことおよび受取手形及び売掛金が5億45百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産の減少の主な要因は、含み益が減少したことなどにより投資有価証券が24億26百万円減少したことなどによるものであります。

b) 負債の部

 当連結会計年度における負債合計は270億16百万円(前年同期比2.3%減)となりました。流動負債は190億37百万円(前年同期比0.8%増)、固定負債は79億78百万円(前年同期比8.9%減)となりました。

 流動負債の減少の主な要因は、短期借入金が返済により6億82百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金または電子記録債務などの仕入債務が7億47百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債の減少の主な要因は、投資有価証券の含み益の減少にともない繰延税金負債が8億58百万円減少したことなどによるものであります。

c) 純資産の部

 当連結会計年度における純資産合計は391億76百万円(前年同期比0.1%減)となりました。

 純資産合計の減少の主な要因は、投資有価証券の含み益の減少にともない、その他有価証券評価差額金が16億43百万円減少したことなどによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の58.6%から59.1%となり、1株当たり純資産額は3,954.18円から3,943.72円となりました。

 

② 経営成績の分析

a) 売上高

 売上高は、新型コロナウイルス感染が継続している中で段ボールの需要は回復基調にあり、特に輸出が好調であった電機・機械向けや外出自粛を背景とした通販向けがけん引したことを受け、前連結会計年度に比べ40億22百万円増加し563億円となりました。

b) 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、売上高が大きく回復したことにともない、生産数量が大きく増加した影響により、前連結会計年度に比べ33億55百万円増加し466億75百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、生産数量の増加にともなう一部の変動費で増加があった一方で、新型コロナウイルス感染拡大の中における接待交際の自粛や移動の制限などで、関連する費用が抑制されたこともあり、前連結会計年度に比べ1億74百万円増加し84億7百万円となりました。

c) 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度に比べ4億91百万円増加し12億17百万円の営業利益の計上となり、売上高に対する営業利益の比率は前連結会計年度の1.4%から2.2%となりました。

d) 営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度の3億39百万円の利益(純額)から7億80百万円の利益(純額)となりました。

e) 経常利益

 経常利益は、前連結会計年度に比べ9億32百万円増加し19億97百万円の経常利益の計上となり、売上高に対する経常利益の比率は前連結会計年度の2.0%から3.5%となりました。

f) 特別損益

 特別損益は、前連結会計年度の29百万円の利益(純額)から49百万円の損失(純額)となりました。

g) 親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4億61百万円増加し13億95百万円の親会社株主に帰属する当期純利益の計上となりました。売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は前連結会計年度の1.8%から2.5%となりました。

 なお、1株当たり当期純利益金額については前連結会計年度の94.35円から140.80円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億35百万円増加し32億63百万円となりました。

 営業活動においては、前連結会計年度に比べ15億34百万円収入が増加し、42億98百万円の収入となりました。これは、前連結会計年度と比較して税金等調整前当期純利益の計上額が増加したことなどによるものであります。

 投資活動においては、前連結会計年度に比べ4百万円支出が増加し、15億93百万円の支出となりました。これは、前連結会計年度よりも有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 財務活動においては、前連結会計年度に比べ6億46百万円支出が増加し、16億65百万円の支出となりました。これは、短期借入金および長期借入金を返済したことなどによるものであります。

 財政状態およびキャッシュ・フローの状況に関する主な経営指標は次のとおりであります。

 

2020年12月期

2021年12月期

流動比率(%)

113.2

123.0

固定比率(%)

116.0

109.2

自己資本比率(%)

58.6

59.1

時価ベースの自己資本比率(%)

19.8

19.8

債務償還年数(年)

0.7

0.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

68.2

251.9

(注)上記各指標の算出方法は次のとおりであります。

流動比率=流動資産合計÷流動負債合計

固定比率=固定資産合計÷純資産合計

自己資本比率=自己資本÷総資産

なお、自己資本は「純資産額合計-新株予約権-非支配株主持分」により算出しております。

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

債務償還年数=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

 なお、株式時価総額は、期末株価数値×(期末発行済株式総数-自己株式数)により算出しており、営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。また、各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、段ボールを製造するために必要な原紙などの材料または商品の購入費用のほか、製造原価、販売費及び一般管理費などの営業費用であり、投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものであります。

 当社グループでは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金などの長期運転資金の調達につきましては自己資金および金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は9億49百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は32億63百万円であります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

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