当社グループにおける研究開発活動は、主として提出会社の開発部門が行っており、経営理念「パッケージを通じて社会のあらゆるニーズに応え、社会の役に立つ企業を目指す」のもと、「人に、モノに、地球にやさしいパッケージ」を提供し続けることを目指しております。「地球環境負荷の少ない容器包装資材の開発=3R活動、プラから紙化」と「少子高齢化社会に対応し、多くの人に識別しやすく使いやすいパッケージの開発=ユニバーサルデザイン」をテーマに、新製品・応用技術の組み合わせによる開発と海外子会社を含むグループの営業支援活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の主な研究開発概要とその成果は、次のとおりであります。
(包装材関連事業)
(1) 段ボール部門
① 省資源包装
段ボールの省資源包装のため軽量化設計に取り組んでおり、段ボールの薄物化の推進をしております。また、当社保有のノウハウを活用した構造設計技術により、包装資材の小型化も実現させており、適正包装化の取り組みを推進しております。加えて、内容品の配置を見直しパッケージの完成寸法を小さくし積載効率を向上させ、物流改善と環境負荷低減の提案を継続して行っております。
② 機能性段ボールの開発
少子高齢化にともなう就労人口減少や、人材の多様化に対応するための包装・梱包が求められております。作業負荷低減に向けたシェルフレディパッケージ(即棚陳列)の企画および形状考案に取り組み、外装箱兼陳列トレイを開発、販売しております。さらに、人材の多様化への対応として、糊付け・テープを使用しない簡易ロック機能が付いたワンタッチで組み立てられる形式を開発し、バリエーションを増やしながら販売しております。また、通販分野で活用が見込まれる易開封・易廃棄箱の開発も継続して行っており、一部は販売も開始しております。
その他に、手に優しい持ちやすい箱の開発や段ボール表面に抗菌・抗ウィルス剤等塗布することによる高機能段ボールの開発にも取り組んでおります。
このように多くのユーザービリティ―に配慮した包装・梱包の開発改善に取り組みました。
当部門に係る研究開発費は1億53百万円であります。
(2) 印刷紙器部門および軟包装材部門
印刷紙器部門におきましては、顧客の販売促進につながるデザイン提案を中心に、シェルフレディパッケージ(即棚陳列)などに取り組み、店頭での販売効果を上げる包装資材の開発に継続して取り組みました。また、輸出用ギフト商品で使用されている発泡スチロールを段ボール緩衝材に変更し、海外の環境規制に対応できる包装材を販売することができました。防災・備蓄食向けのギフト箱として家庭の居住空間に置いても違和感のないデザインを施し、内容品を補充できる機能を付加した新しいニーズにも対応することができました。
また、軟包装材部門におきましては、易開封性を目指した素材開発や開封口の開発、プラスチック使用量減を目指しバイオマス由来原料や紙製素材を活用したパッケージの開発に取り組みました。バイオマスインキを使用した製品を販売し、高付加価値商品としてレトルト袋も製造しております。
当部門に係る研究開発費は29百万円であります。
(3) その他部門
① 災害時対応
近年、災害時の避難所で使用される段ボールベットなどの防災対策商品のニーズが高まっており、備蓄用段ボールベットを開発しました。
また、大学の研究活動に参加および各自治体との防災協定締結を進めております。
② 紙製容器(パルプモールド他)
海洋プラスチックごみ問題を受けて、「プラから紙への転換」が加速し、パルプモールドは象徴的な紙製容器として注目されております。長年の設計および生産のノウハウと3Dプリンターを活用し、緩衝性に加え美粧性・耐水機能を合わせ持ったプラスチック容器に変わる紙製容器の開発に取り組んでおります。特にブリスター代替容器の開発は進んでおり、一部販売も実施しております。今後も継続して製造方法の開発、用途開発に取り組んでまいります。
③ セールスプロモーション
2016年度に導入した段ボール専用デジタルオンデマンド印刷機の活用に関して技術開発に継続して取り組んでおり、可変印刷、ラミネートおよび従来印刷との組み合わせを含めた技法開発を進め、商品化しております。マグネットシートを活用することでフレキシブルにデザイン変更可能な展示台を開発し、販売しております。
また、木材の高騰・入手難、また使用後の処分問題を受けて紙製の商品展示台や天井から吊り下げる案内板を開発し販売しております。設置期間の短縮と使用後の処分も容易になり高評価を頂いております。
④ バイオマスプラスチックの開発
プラスチック使用量減を目指し、バイオマスプラスチック素材の開発およびそれを活用したパッケージの開発を進めております。
⑤ 新型コロナウイルス対応商品
2020年度に発生した新型コロナウイルス感染症への感染防止対策用として、段ボールを利用した商品が世の中に多く出品されておりますが、当社におきましても抗菌機能付きの商品等を案内しております。また、新しい生活様式に対応したテイクアウトトレーの開発に取り組んでおります。
当部門に係る研究開発費は9百万円であります。
その結果、当社グループの研究開発費の総額は
また、以上の研究開発活動における2021年度の工業所有権の申請は9件であります。
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