業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い急速に景況感が悪化しており、未だ収束の見通しも立っておらず、今後の動向は極めて不透明な状況が続いております。

 当社グループは、「創造革命で世界中の人々を幸せに」という企業理念の下、「“FanTech”分野で新たなマーケットを創造し、世の中に価値を提供する」ことをビジョンに掲げ、世界中で利用されるプラットフォームを目指して、FanTech領域におけるプラットフォーム事業を中心に事業を展開しております。

 現在、当社グループでは、エンタープライズ向けカスタム型ファンプラットフォーム「Bitfan Pro」、誰でも無料で使えるオールインワン型ファンプラットフォーム「Bitfan」を中核とし、ライブ制作を主軸とするO2O事業、旅行・ツアー事業、スポーツマーケティング事業等を展開しております。

 「Bitfan Pro」では、主にFCサービス及びクリエイターグッズ等のECサービスに係る収入を売上高に計上しております。

 FCサービスを取り巻く環境については、スマートフォン及び高速通信の普及が進み、第5世代移動通信システム「5G」の整備が進むなど、モバイル端末機器によるインターネットの利用環境が一層整備され、今後も安定的な成長が見込まれております。また、2006年以降、ライブ・コンサート市場規模は拡大傾向にあり(出所:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)、会員向けに先行チケット販売サービスを提供するFCサービスに対する需要は高まっております。一方で、COVID-19の感染拡大及び緊急事態宣言の発令に伴い、ライブ・イベントの多くは中止や延期等の自粛を余儀なくされ、チケット先行予約も減少するなど、急速に悪化する事業環境の中で、新たなビジネスモデルを構築する必要にも迫られております。

 ECサービスを取り巻く環境については、インターネットの普及及び通信の高速化を背景に、EC市場は堅調に成長しております(出所:経済産業省「令和元年度電子商取引に関する市場調査」)。2020年のEC関連市場規模推計は、全体で20.0兆円であり、2026年度の市場規模は29.4兆円に拡大することが見込まれております(出所:野村総合研究所)。コロナ禍により急速に景況感が悪化した2020年においても、全世界的なオンラインシフトの加速によりEC市場全体では堅調な成長が見られるなど、そのサービスの重要性はより高まっていると考えられます。

 このような外部環境を背景とし、当社グループでは、「Bitfan Pro」を中心に、メジャーなクリエイターのみならず、今後芽を出すと見込まれる新人クリエイターまで幅広く取り扱い、FCの有料会員の獲得を図ってきた他、漫画・アニメ・ゲーム領域やそれらを原作とする2.5次元ミュージカル、バーチャルYouTuber(VTuber)及びスポーツチーム等の新たなジャンルに係るFCを他社に先駆けて立ち上げ、競合他社との差別化を図って参りました。さらに、「Bitfan」の開発に注力し、2020年の全面リニューアル以降、FC, EC, 電子チケット(Bitfan Pass)等の基本的な機能に加え、ライブ配信やグループチャット等のコミュニケーション機能も強化し、より魅力的なサービスを提供するためのプラットフォームの開発を進めております。また、2021年12月1日付での㈱エンターメディアFCの完全子会社化により顧客基盤を一層強化するとともに、事業拡大及び社内管理体制強化のため、有能な人材の採用を積極的に行って参りました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ326,167千円減少し、3,669,416千円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ502,089千円減少し、2,507,583千円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ175,921千円増加し、1,161,832千円となりました。

 なお、財政状態の詳細は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高4,907,966千円(前年同期比0.3%減)、営業利益97,025千円(同25.1%減)、経常利益94,575千円(同29.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益121,972千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失△22,999千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

 プラットフォーム事業は、売上高4,800,208千円(同3.6%増)、セグメント利益132,661千円(同58.0%減)となりました。

 O2O事業は、売上高73,386千円(同71.0%減)、セグメント損失△12,686千円(前連結会計年度はセグメント損失△167,639千円)となりました。

 その他事業は、売上高34,371千円(同7.6%減)、セグメント損失△24,124千円(前年同期はセグメント損失△46,146千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ676,900千円減少し、1,748,321千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、182,638千円(前連結会計年度は306,228千円の獲得)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、393,272千円(前連結会計年度は66,962千円の使用)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、101,491千円(前連結会計年度は585,261千円の獲得)となりました。

 

 なお、各キャッシュ・フローの状況の詳細は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント及びサービスの種類別に示すと、次のとおりであります。

セグメント及びサービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プラットフォーム事業

 

 

FCサービス

3,785,162

112.9

ECサービス

840,584

71.8

その他

174,461

162.1

プラットフォーム事業計

4,800,208

103.6

O2O事業

73,386

29.0

報告セグメント計

4,873,594

99.8

その他事業

 

 

G TRAVEL

1,221

㈱SEA Global

29,618

115.9

SKIYAKI 82 Inc.

3,532

30.4

その他事業計

34,371

92.4

合計

4,907,966

99.7

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.「G TRAVEL」は、連結子会社である㈱ロックガレージが提供している国内募集型企画旅行サービスであり、クリエイターのファンクラブ旅行パッケージ等の販売実績のうち、同社が売上として計上する手数料相当の金額を記載しております。

4.㈱SEA Globalは、同社が提供するコンサルティングサービス等に係る売上高を記載しております。

5.SKIYAKI 82 Inc.は、同社が韓国において提供するメディア・マネジメント・eコマース運営事業等に係る売上高を記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ326,167千円減少の3,669,416千円(前連結会計年度末は3,995,583千円)となりました。

 流動資産については、現金及び預金の減少676,900千円、前払費用(主にプロダクション等へ支払う前払ロイヤリティ及びサーバー費用)の増加58,940千円等により、流動資産は前連結会計年度末に比べ611,886千円減少の3,123,363千円となりました。

 固定資産については、有形固定資産が12,087千円、無形固定資産が287,473千円、投資その他の資産が246,491千円となり、前連結会計年度末に比べ285,718千円増加の546,052千円となりました。これは主に、クリエイターの権利獲得に係る営業権の増加154,166千円、連結子会社の取得に係る契約関連無形資産の増加116,517千円,スケジューリング可能な一時差異等の増加による繰延税金資産の増加54,521千円等によるものであります。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ502,089千円減少の2,507,583千円(前連結会計年度末は3,009,672千円)となりました。

 流動負債については、未払法人税等の減少74,635千円、前受金の減少58,333千円、預り金の減少42,210千円、役員退職慰労引当金の減少70,000千円等により、前連結会計年度末に比べ222,882千円減少の2,330,431千円となりました。

 固定負債については、長期借入金の減少271,372千円等により、前連結会計年度末に比べ279,206千円減少の177,151千円となりました。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ175,921千円増加の1,161,832千円となりました。これは主に、譲渡制限付株式報酬としての新株の発行による資本金及び資本剰余金の増加11,250千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加121,972千円等によるものであります。

 

2)経営成績

(売上高)

 売上高は、主にFCサービスの有料会員数増加の一方で、ECサービスのグッズ販売の減少、O2O事業の連結除外の影響等により、前連結会計年度に比べ0.3%減少の4,907,966千円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、ECサービスの売上減少に伴う倉庫物流費用の減少、O2O事業の連結除外に伴うライブ制作原価の減少の一方で、主にFCサービスの売上増加に伴うロイヤリティの増加により、前連結会計年度に比べ3.9%増加の3,396,175千円となりました。

 販売費及び一般管理費は、子会社の減少に伴う人件費及び経費の減少、本社オフィスの縮小に伴う地代家賃及び共益費の減少、その他グループ全体での固定費削減等の影響により、前連結会計年度に比べ7.1%減少の1,414,765千円となりました。

(営業利益)

 営業利益は、上記のとおり売上高が減少し、売上原価が増加した影響により、前連結会計年度に比べ25.1%減少の97,025千円となりました。

(経常利益)

 経常利益は、本社オフィスに入居していた持分法適用関連会社からの受取家賃8,289千円、為替差益2,772千円等を含む営業外収益12,904千円を計上した一方で、営業外費用として持分法による投資損失11,761千円、借入金に係る支払利息3,557千円等を計上した結果、前連結会計年度に比べ29.7%増加の94,575千円となりました。

(税金等調整前当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、特別利益として関係会社株式売却益75,029千円を計上し、特別損失として減損損失35,876千円、投資有価証券評価損2,369千円、事務所移転費用10,126千円及び貸倒引当金繰入額47,511千円を計上した結果、前連結会計年度に比べ15289.5%増加の73,720千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税6,713千円、法人税等調整額△54,342千円及び非支配株主に帰属する当期純損失△623千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益121,972千円となりました(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失△22,999千円)。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に重要な影響を与える要因として、提供するサービスコンテンツの品質が挙げられます。一般に広く受け入れられるような価値のあるコンテンツを多く提供することで、FCサービスの有料会員数の増加やECサービスの出荷額の増加につながり、当社グループの経営成績にプラスの影響を与えますが、一方でそのような優良なコンテンツや高品質なコンテンツを提供できない場合、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与えることとなります(詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」ご参照。)。

 この点、音楽のジャンルを中心としたミュージシャン等のクリエイターのみならず、アニメ、2.5次元ミュージカル、俳優、声優、タレント、舞台、漫画家、作家、スポーツ選手、プロスポーツチーム、YouTuber, TikToker, キャラクター等の多種多様かつ高品質なコンテンツを広く世の中に提供することで、リスクの低減及びサービス・ポートフォリオの最適化を行って参ります。

 また、クリエイターグッズ等のECサービスについては、委託先企業による商品の保管・配送費用の急激な値上げ等が行われる外部リスクが存在することから、契約条件の見直しやコスト削減に加えて段階的な送料の値上げを実施するなど、取引先及びサービスを利用するユーザーの理解を得ながら着実にリスクの低減を図って参ります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、FCサービスに係るストック収入の源泉である「有料会員数(継続課金ユーザー数)」及び無料会員(将来的に有料会員となる可能性を有する、会員登録済みの非継続課金ユーザー)を含む「総会員数」を、重要な指標として位置付けております。

 直近の連結会計年度の末日における各指標の推移は以下のとおりです。

指標

2020年1月31日

2021年1月31日

(対前期末比)

2022年1月31日

(対前期末比)

有料会員数

82.7万

87.1万(5.3%増)

100.6万(15.5%増)

無料会員数

227.0万

296.7万(30.7%増)

350.0万(17.9%増)

総会員数

309.8万

383.9万(23.9%増)

450.6万(17.4%増)

 

 上記の各会員数に係る具体的な数値目標等は設定しておりませんが、コロナ禍においても各指標は堅調に増加していると評価しており、引き続き会員数の増加及び収益の増加を実現するための経営施策を積極的に行う方針であります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(プラットフォーム事業)

 FCサービスは、有料会員より毎月又は毎年受領するファンクラブ会費を売上高に計上するストック型ビジネスであり、安定的かつ継続的な収入が見込まれるという特性を有しております。当連結会計年度におけるFCサービスの売上高は、COVID-19感染拡大によるライブ・イベントの自粛に伴い、ファンクラブの有料会員向けチケット先行予約の減少等の影響を受けたものの、新規案件の獲得及び㈱エンターメディアFCの連結子会社化による取扱いクリエイター数及び有料会員数の増加により、3,785,162千円(同12.9%増)となりました。なお、FCサービスは売上高を総額計上しております。当該売上高の増加に伴い、プロダクション向けロイヤリティ(売上原価)及び決済代行事業者向け回収手数料(販売費及び一般管理費)等の変動費が増加しました。

 ECサービスは、クリエイターによる公演・ツアー等の活動の有無により商品の出荷時期及び出荷金額が大きく変動する特性があり、ストック型ビジネスであるFCサービスと比較して、四半期ごとの売上高の変動性が大きくなる特性があります。当連結会計年度におけるECサービスの売上高は、前連結会計年度においてクリエイターグッズ等のオンラインでの販売が非常に好調であったことの反動減により840,584千円(同28.2%減)となりましたが、コロナ禍以前の連結会計年度の売上高との比較では、引き続き高い水準を維持しております。なお、ECサービスは当社が受領する販売手数料を売上高として純額計上しております。当該売上高の減少に伴い、倉庫物流事業者向け倉庫費用(売上原価)及び決済代行事業者向け回収手数料(販売費及び一般管理費)等の変動費が減少しました。

 その他の売上高は、SKIYAKI TICKET、Bitfan等のサービス提供、クリエイターグッズ等の企画製造及びECサイトでの販売を行うMD(マーチャンダイジング)サービスの提供、クリエイターのイベント制作、その他上記に含まれないサービスに係るシステム提供及び運営業務受託等により、174,461千円(同62.1%増)となりました。

 その他、人員増及び昇給に伴う人件費の増加に加え、クリエイターの権利獲得に係るライセンス費用の発生等により、売上原価並びに販売費及び一般管理費が増加しました。

 この結果、売上高4,800,208千円(同3.6%増)、セグメント利益132,661千円(同58.0%減)となりました。

 セグメント資産は、現金及び預金の減少493,074千円、前渡金の減少37,134千円、前払費用の増加59,719千円、営業権の増加154,166千円、関係会社株式の増加33,508千円、繰延税金資産の増加58,183千円等により、前連結会計年度比3.9%減の3,653,494千円となりました。

 

(O2O事業)

 O2O事業は、その主たる事業としてライブ・コンサート制作を行っているため、クリエイターによるコンサートやツアーの実施時期により売上高が大きく変動する特性があり、ECサービスと同様に、四半期ごとの売上高の変動性が大きくなる傾向にあります。

 当連結会計年度においては、O2O事業を展開する㈱SKIYAKI LIVE PRODUCTIONの株式を一部譲渡し、第2四半期連結会計期間において同社を連結の範囲から除いた影響により、売上高73,386千円(同71.0%減)、セグメント損失△12,686千円(前連結会計年度はセグメント損失△167,639千円)となりました。

 セグメント資産は、上述の連結除外によりゼロとなりました。なお、O2O事業は、翌連結会計年度である2023年1月期において報告セグメントから除外する予定です。

 

(その他事業)

 その他事業は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、連結子会社である㈱ロックガレージが行う旅行・ツアー事業、㈱SEA Globalが行うスポーツマーケティング事業、SKIYAKI 65 Pte. Ltd.(シンガポール)及びSKIYAKI 82 Inc.(韓国)の2社が行う海外におけるプラットフォーム事業等であります。

 当連結会計年度においては、COVID-19の感染拡大に伴うファンクラブ旅行の中止・自粛による旅行パッケージ販売収入の減少、自社メディアの広告収入及びスポーツコンサルティング収入等の減少に加え、グループ全体での固定費削減等の影響により、販売費及び一般管理費が減少しました。

 この結果、売上高34,371千円(同7.6%減)、セグメント損失△24,124千円(前連結会計年度はセグメント損失△46,146千円)となりました。

 セグメント資産は、SKIYAKI 65 Pte. Ltd.の清算準備開始に伴う現預金の減少73,473千円等により、前連結会計年度比35.9%減の116,255千円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、182,638千円(前連結会計年度は306,228千円を獲得)となりました。これは主に、役員退職慰労引当金の減少額70,000千円、売上債権の増加額74,565千円、前払費用の増加額59,436千円、長期前払費用の増加額31,045千円、預り金の減少額31,274千円、前受金の減少額52,570千円、法人税等の支払額111,277千円等の減少要因があったことによるものであります。

 当該営業活動によるキャッシュ・フローについては、主にECサービスに係る預り金を契約先であるライツホルダー(芸能プロダクションやクリエイター等)に対して支払うタイミングによる資金の増減が影響しており、翌連結会計年度において当該預り金を多く支払うことで現金及び預金が減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが短期的にマイナスになる可能性はありますが、継続的かつ安定的に親会社株主に帰属する当期純利益を計上している限り、中長期的な営業活動によるキャッシュ・フローはプラスになると考えております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、393,272千円(前連結会計年度は66,962千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出212,230千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出119,359千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出75,076千円、関係会社貸付けによる支出50,000千円等の減少要因があったことによるものであります。

 当該投資活動によるキャッシュ・フローについては、主にクリエイターの権利獲得に係る営業権(無形固定資産)の取得に加え、㈱エンターメディアFCの株式取得による影響が大きく、期初に策定した通期投資予算の範囲内において必要な投資を実行した結果であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、101,491千円(前連結会計年度は585,261千円の獲得)となりました。これは、借入金の返済による支出151,491千円等の減少要因があったことによるものであります。

 当該財務活動によるキャッシュ・フローについては、将来の不確実性に備えるため、前連結会計年度において実行した複数の金融機関からの借入金の返済による影響が大きく、今後も当該借入金の返済に伴い、財務活動による資金は減少する見込みです。

 

 以上の結果、当連結会計年度における営業活動により使用した資金は182,638千円となり、投資活動により使用した資金393,272千円を加味したフリー・キャッシュ・フローは575,910千円のマイナスとなりましたが、毎月開催される取締役会において、運転資本調整後の現金及び現金同等物の残高推移をモニタリングしており、事業継続及び将来の投資に必要な資金が十分に確保されていることを確認しております。今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を注視しつつ、企業グループの成長のために必要な資金の調達及び投資を随時実行していく方針であります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、プラットフォーム及び各サービスチャネルの開発に係る社内エンジニアを中心とした人件費、中長期的な成長のための事業投資・資本業務提携に係る出資や株式取得等を行うための投資資金、本社費等の一般管理費等であります。

 当社グループの主たる事業であるプラットフォーム事業は、各サービスのユーザーより決済代行会社を通じて利用料や代金を受領し、それを後日ライツホルダーに分配するという代金の前受けを主体としたビジネスモデルであります。これを資金繰りの観点から考察すると、仕入等が販売よりも先に発生する他の業種と比較して一定の優位性が認められ、かつ、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,748,321千円であり、当社グループの事業規模に照らして十分な資金を保有しているため、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はないと考えております。

 また、資金が不足する場合には主に金融機関からの借入れにより必要な資金を確保する方針であり、2020年2月において、金融機関4社から合計1,100,000千円の借入を実行するとともに、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行2行との間で合計700,000千円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております(借入実行残高なし、借入未実行残高700,000千円)。

 今後も、資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めて参ります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。また、これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、当該連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しており、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症に関する一定の仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

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