課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「創造革命で世界中の人々を幸せに」という企業理念の下、「クリエイター」の活動を支援すると同時に、「ファン」にとって価値のあるサービスを、時代に合ったテクノロジーによって実現します。また、この新しいマーケットネットワークを創造する分野を、「Fan × Technology = “FanTech”」と定義し、当社グループの事業領域としております。

 当該領域において、自社システムの継続的なアップデートを通じて、あらゆるクリエイターに利用されるファンプラットフォームの確立を目指しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、あらゆるクリエイターの経済活動を支えるために、「クリエイター領域の拡大」、「コンテンツ設計の深堀り」及び「プライム(上位)コースの強化」を戦略の柱として掲げております。

 具体的には、「Bitfan Pro」及び「Bitfan」の開発を主軸として、得意とするエンタテインメント領域におけるサービス提供に加え、YouTube等を中心に活動するクリエイターへのサービス提供も開始するなど、顧客領域を拡大しております。また、COVID-19感染拡大の影響を受けて、従来はライブ・イベントのチケット先行が中心であったFCサービスにおけるコンテンツの内容を見直すとともに、コンテンツ設計を重視した動画サブスクリプションサービスや、それに伴うプライム(上位)コースの導入を推進しております。

 今後も、長期にわたるプラットフォーム運営により培った知見を活かしながら、「Bitfan Pro」及び「Bitfan」を中心に、あらゆる「クリエイター」と「ファン」をつなぐプラットフォームサービスの構築を実現して参ります。

 

(3)経営環境

 当社グループが事業活動の対象とするエンタテインメント業界では、1998年をピークとして音楽生産ソフト金額が縮小(※1)する一方で、2006年以降はライブ・コンサート市場規模が拡大傾向にあったことから(※2)、音楽市場においては、その消費活動がモノ消費からコト消費へスライドし、ライブ・コンサートを中心としたリアルな体験を提供する市場は、今後も継続して拡大していくと考えられておりました。

 しかし、2020年から始まったCOVID-19感染拡大の影響により、多くのライブ・イベントが自粛を余儀なくされる中、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及と共に、米国を中心に「クリエイターエコノミー」という個人の情報発信やアクションによって形成される新たな経済圏が誕生しております。YouTubeやInstagram, Twitchなどのプラットフォームを中心に、プロ・アマチュア含め世界では約5,000万人(※3)のクリエイターがいると推定されております。誰もがコンテンツや商品を作り、いつでも発表・販売可能で、全ての人がクリエイターとなりうる時代の到来を受けて、当社が提供するファンプラットフォームを中心としたサービスの収益は、今後も継続的に成長していくと考えられます。

 このような経営環境の下、当社グループの他にFCサービス、クリエイターグッズ等のECサービス及び電子チケットサービス等の類似サービスを提供する企業は複数存在しますが、当社グループの競合他社との競争優位性は次のとおりであります。

 

① プラットフォームの開発力とノウハウ

 当社グループが提供するプラットフォームは、高い専門性を有する優秀な人材を確保しつつ、企画、開発、サイト運営及びカスタマーサポートに至るすべてのプロセスを当社グループで一貫して行う体制を整え、サービス提供に必要なノウハウを蓄積しております。また、効率化されたプラットフォーム上で多くのサービスを展開しているため、各サイトの運用から得られる改善点を迅速にシステムに反映することで、サービス全体のクオリティをスピーディーに高めていくことが可能です。

 

② サイト制作スピードと運用体制

 効率化されたプラットフォーム及び業務フローにより、非常に短期間で多数のFCサービス、ECサービスのリリースが可能であり、年間150以上のサービス(オフィシャルサイト、ファンクラブサイト、ECサイト等)リリース実績があります。また、専門知識を備えたIT業界、音楽・エンタテインメント業界の経験者がサイトの運用やライツホルダーに対するコンサルティング業務を担当しており、パートナー企業・クリエイターと適時にコミュニケーションを図りながら、ファンに向けたサービスを提供する体制を構築しております。

 

③ 安定的な収益基盤による投資原資の確保

 当社グループは、ストック型のサービスを主軸に事業を展開しております。2022年1月末現在、FCサービスの有料会員数は100万人に達しており、当該有料会員から受領するFC会費収入による安定的な収益基盤を確保しております。このような事業活動による投資原資の確保により、「Bitfan Pro」及び「Bitfan」の長期的な機能開発や、顧客基盤の拡大及びプロダクトの機能強化を目的とした企業買収が可能となっております。

 

④ 戦略的パートナーシップ

 当社グループは、比較的小規模な中堅・中小の芸能プロダクションから日本を代表する大手企業まで、多くの企業向けにプラットフォームを提供しております。特定のクリエイターに係る個別契約のみならず、対象企業に所属するクリエイターのFC, ECサービス等を包括的に当社グループが提供する包括契約を締結している契約先も存在するなど、過去の取引実績に基づく強固な協力関係を多くの企業と築いております。

 また、連結子会社である㈱SEA Globalとのスポーツ領域におけるプラットフォーム提供の推進など、音楽業界にとどまらない分野へのサービス展開を積極的に行っております。

 加えて、当社グループは、2014年2月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱(以下「CCC」という。)と、CCCの会員基盤やTSUTAYAなどの事業基盤を活用したファンビジネスの展開に向けた資本業務提携を行っており、CCCグループ(※4)に属しております。当該提携により、CCCの顧客基盤を活かしたFCサービス等の展開が可能になっております。

 

(※1)一般社団法人日本レコード協会「音楽ソフト 種類別生産金額推移」

(※2)一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「ライブ市場調査データ」

(※3)SignalFire「SignalFires Creator Economy Market Map」

(※4)当社のその他の関係会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱を中心とするCCCグループは、「『カルチュア・インフラ』を、つくっていくカンパニー。」をブランド・ステートメントとして掲げ、書店事業を中心としたエンタテインメント事業、Tポイントを中心としたデータベース・マーケティング事業のほか数々のネットサービスや新たなプラットフォームサービスを企画し、それらのプラットフォームを通じて新しいライフスタイルの提案を行うこと」を事業としています。なお、カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱は証券取引所に上場しておらず、有価証券報告書を作成しておりません。

 

(COVID-19感染拡大の影響について)

 当社グループでは、COVID-19感染拡大に伴う外出自粛及びライブ・イベント等の自粛又は延期等により、主に各セグメントにおいて以下の影響が生じております。

セグメント

主な影響

売上高及び営業利益への影響

プラットフォーム事業

(FCサービス)

チケット先行予約の減少によるFCサービス有料会員数の伸び悩み

(ECサービス)

クリエイターによるオンライングッズ販売の加速によるEC商品出荷金額の増加

(FCサービス)

売上高成長率及び営業利益成長率の鈍化

 

(ECサービス)

売上高及び営業利益の増加

 

O2O事業

ライブ・イベント制作数の減少

売上高及び営業利益の減少

その他事業

ファンクラブ旅行販売件数の減少

売上高及び営業利益の減少

 

 これら事業環境の急激な変化を受けて、プラットフォーム事業においては、FCサービスのチケット先行予約に依存しないビジネスモデルを構築するため、上記「(2)経営戦略等」に記載のとおり、顧客領域の拡大に加えて、動画サブスクリプションサービスの開設や、それに伴うプライム(上位)コースの導入を推進しております。また、ECサービスにおいては、クリエイター等のオリジナルグッズの企画製造販売を行うMD(マーチャンダイジング)サービスの取り扱いクリエイター数及び取引規模を拡大することで、ECサービスの売上高を維持・成長させる方針を掲げております。

 O2O事業においては、COVID-19感染拡大の影響によりコンサート・イベントの開催が困難な状況にあることを踏まえ、同事業を展開する㈱SKIYAKI LIVE PRODUCTIONにおいて、業務委託費等の不要なコストの削減、賃料の低い新オフィスへの本社移転、非中核事業の当社への事業譲渡等の必要な施策を推進しており、今後の正常化に備えております。また、当社が所有する株式の一部譲渡により、同社を連結の範囲から除いて持分法の適用範囲に含めたことで、連結財務諸表への影響を限定しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが属する音楽業界・エンタテインメントを主として取り扱うIT業界においては、当社グループ及び大手数社がシェアを持つ構図になっております。

 このような状況の下、当社グループは、エンタープライズ向けカスタム型ファンプラットフォーム「Bitfan Pro」及び誰でも無料で使えるオールインワン型ファンプラットフォーム「Bitfan」の競争優位性が他社に対する強みであると考えており、その強みを活かして芸能プロダクション、音楽レーベル、個人で活動するクリエイター等のライツホルダー(各種コンテンツの権利保有者)に対して継続的に営業活動を行って参りました。その結果、多くのライツホルダーと業務提携契約を締結し、有料会員数の継続的な増加を実現しております。

 一方で、現状では小規模な組織により事業を運営していることもあり、コーポレート・ガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。また、当社グループサービスの要である「Bitfan Pro」及び「Bitfan」の更なる機能拡充により競争力を持たせるため、一層十分な開発リソースを確保していく必要があることも課題として認識しております。

 以上を踏まえ、当社グループとして以下の具体的な課題に取り組んで参ります。

 

① 人材の確保

 現在IT業界においては、優秀なエンジニアの確保が困難な状況が続いております。当社グループとしましては、従業員が働きやすい環境づくりや福利厚生の充実を図っております。

 具体的には、外部サービスを含む複数の社内業務管理システムや電子稟議システムの導入等により業務の効率化を推進することで、従業員が仕事とプライベートを両立できる環境の構築に努めており、当連結会計年度における従業員の月平均の所定外労働時間は、全体で約9時間6分、エンジニアに限ると約2時間5分となっております(いずれも2021年2月1日~2022年1月31日実績。なお、一般社団法人情報サービス産業協会が2021年3月に公表した「2020年版 情報サービス産業 基本統計調査」によれば、同協会に加盟する事業者におけるエンジニアの月平均の所定外労働時間は、約19時間10分)。

 また、リモートワーク制度を導入し、従業員が在宅で就業できる環境を整備するとともに、時間単位有給休暇制度の導入や年次有給休暇の計画的取得の推奨等の施策により、従業員が有給休暇を取得しやすい環境を整備しており、当連結会計年度における有給休暇の取得率は83.7%でした。

 加えて、求職者を惹きつけるような魅力あるクリエイターのファンクラブ・ファンサイトを継続的にリリースしていくことが、当社グループの業務の魅力とやりがいをわかりやすい形で伝えるための重要な手段になると考えております。

 

② コンテンツ力の更なる強化

 当社グループでは、既存コンテンツの継続的な成長に加え、新規コンテンツの獲得のための新たなパートナー獲得に向けた取り組みを行っております。引き続き、多くのライツホルダー企業とのアライアンスの促進や、ブレイク前のクリエイターの発掘等を行って参ります。また、新たなジャンルを開拓するため、クリエイターエコノミー領域へ営業網を拡大しており、YouTuber, TikTokerをはじめとするあらゆる分野のクリエイターへの営業活動を強化し、当社グループのサービスを利用していただくクリエイターとファンの双方にメリットを提供できるよう、積極的にコンテンツを拡充して参ります。

 

③ 内部管理体制の強化

 当社が今後一層の事業拡大を進めるとともに事業環境の変化に適応していくためには、内部管理体制を強化していくことも重要であると考えております。当社としましては、内部統制の実効性を高めコーポレート・ガバナンスを強化していくことで、リスク管理の徹底や業務の効率化を図って参ります。

 

④ システム基盤の強化

 当社グループが掲げる「創造革命」を実現するためには、単なるコンテンツの提供者ではなく、トータルソリューションを提供するプラットフォーマーとしての立ち位置を確立することが必要であり、自社開発と他社との提携を組み合わせてプラットフォーム機能の拡充を進めております。また、当社グループは収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システム稼働の安定性を確保することが重要な経営課題であると認識しております。「Bitfan Pro」をはじめとする当社サービスの利用者増加に対応するための負荷分散や、「Bitfan」の機能拡充等、継続的にシステム基盤と機能の強化を図っていく方針であります。

 

⑤ 会員情報の管理体制

 当社グループの事業では多数の会員の個人情報を取り扱っており、その数はサービスの拡大に比例して増加しております。そのため、今後個人情報の管理体制をより一層厳格に行うことを重要な課題として認識しております。

 不正アクセス等への事前対策はもちろん、情報漏洩の多くが内部の関係者のヒューマンエラーに起因しているという実情を踏まえ、情報の取り扱いに関する社内規程を厳格に定め、全役職員を対象に情報セキュリティに関する社内研修を定期的に実施するとともに、毎年機密情報・個人情報の適切な管理に関する誓約書を提出させるなど、引き続き全役職員の情報管理意識及び情報リテラシーの向上に努めております。

 加えて、当社は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「ISO/IEC27001:2013」の認証を取得しており、より強固な情報管理体制を構築するとともに、万が一の事態に備え、個人情報漏洩時の損害保険にも加入しております。

 

⑥ グローバルな事業展開

 当社グループでは、社名にも想いを込めたように、グローバルな事業展開を目指しております。「Bitfan Pro」及び「Bitfan」を中核とした当社グループのサービスをグローバルに展開し、世界中のクリエイターに利用されるよう、現地でのパートナー企業の選定、協業の際の当社グループシステムとの連携等の推進を重要な経営課題として認識しております。現在までに、シンガポールの現地子会社であるSKIYAKI 65 Pte. Ltd.を設立し、韓国の現地法人であるSKIYAKI 82 Inc.を連結子会社化するとともに、当社が提供するプラットフォームサービスの多言語翻訳、他通貨決済、海外送金等のグローバル対応を実現して参りました。

 一方で、長期化するCOVID-19感染拡大の影響を受けて、グループ全体でのグローバル戦略の見直しが必要と考え、現在は在外子会社2社の整理を継続的に検討しております。すでに当社プラットフォームのグローバル対応は完了していることから、今後は海外における現地パートナー企業との提携等を通じて、世界中で利用されるプラットフォームの確立を目指して参ります。

 

⑦ 他の企業との資本提携の推進

 当社グループは、当連結会計年度末日時点において当社及び連結子会社5社、持分法適用関連会社3社により構成されておりますが、当社グループを取り巻く事業環境の急激な変化に対応し、収益基盤をより一層強固にするため、当連結会計年度を通じてグループ全体の最適化を図って参りました。

 連結子会社であった㈱SKIYAKI LIVE PRODUCTIONについては、株式の一部譲渡により連結の範囲から除いて持分法適用関連会社とし、Remember㈱及び㈱コンテンツレンジについては、全株式を譲渡し持分法適用の範囲から除くとともに、新たに㈱エンターメディアFCの全株式を取得し、完全子会社化しております。今後も、事業上のシナジーが見込める提携先企業の選定と、当初想定していたシナジーが見込めないグループ会社の整理を継続的に検討し、グループ全体の最適化による収益向上を図って参ります。

 なお、具体的なM&A戦略としては、当社グループとのシナジーが見込まれる以下の目的に適合した投資先を検討対象としております。

 

(顧客基盤の拡大)

 当社グループが提供する「Bitfan Pro」及び「Bitfan」等のプラットフォームサービスにおいて、多くのファンを獲得できる可能性があるクリエイターを獲得するための投資

 

(プロダクトの機能強化)

 上記当社プラットフォームサービスにおいて、クリエイターやファンに向けた新たな機能を追加するための投資

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、FCサービスに係るストック収入の源泉である「有料会員数(継続課金ユーザー数)」及び無料会員(将来的に有料会員となる可能性を有する非継続課金ユーザー)を含む「総会員数」を、重要な指標として位置付けております。具体的には、新規サービスのオープン時に、当初見込有料会員数と実績値との比較分析を行うとともに、毎月の取締役会において有料会員数及び総会員数の月次推移を報告し、今後の会員増に向けた戦略・施策を協議するなど、定期的なモニタリング及び経営へのフィードバックを行っております。

 

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