(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況で推移しました。景気の先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、国内外の感染症の動向や供給面での制約、原材料価格の上昇による下振れリスクの高まりなど不透明な状況にあります。
このような環境の中、当社グループにおいては本年度を初年度とする「中期経営計画2023」に基づいて、既存事業の収益力向上などに努めた結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、460億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億97百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は、166億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億98百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は、293億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億98百万円増加いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は328億12百万円(前期比8.7%増)、営業利益は26億58百万円(前期比51.0%増)、経常利益は29億82百万円(前期比37.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億16百万円(前期比22.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、経営管理方法を最適化するため、従来「アグリ」セグメントに含めておりました製品の一部を「化学品」セグメントに、「化学品」セグメントに含めておりました製品の一部を「アグリ」セグメントに区分を変更しております。
また、「化学品」セグメント内の区分整理を行い、従来「機能性材料」に含めておりました製品の一部を「水処理薬剤」に、「その他化学品」に含めておりました製品の一部を「水処理薬剤」、「機能性材料」に区分を変更しております。
以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(アグリ)
肥料の販売数量が海外原料市況の上昇に伴う値上がりを見越した駆け込み需要の影響などで増加したことに加え、販売価格を改定したことにより、売上高は100億11百万円と前期に比べ12.2%の大幅な増加となり、営業利益は9億17百万円と前期に比べ20.8%の大幅な増加となりました。
(化学品)
水処理薬剤は、販売数量が超高塩基度ポリ塩化アルミニウムなどの好調な出荷により増加し、売上高は84億9百万円と前期に比べ1.2%の増加となりました。
機能性材料は、生産調整が続いていたスマートフォン向け高純度酸化タンタルと新型コロナウイルス感染症により一時的に需要が低迷した自動車関連セラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウムの販売数量が回復し、売上高は57億57百万円と前期に比べ45.3%の大幅な増加となりました。
その他化学品の売上高は1億91百万円と前期に比べ11.5%の減少となりました。
それらの結果、売上高は143億57百万円と前期に比べ15.0%の大幅な増加となり、営業利益は24億75百万円と前期に比べ70.1%の大幅な増加となりました。
(建材)
石こうボードの販売数量が減少したことに加え、販売価格が下落したことにより、売上高は29億2百万円と前期に比べ3.4%の減少となり、加えて製造固定費の増加もあり、営業損失は4百万円(前期は48百万円の営業利益)となりました。
(石油)
燃料油の販売数量は減少したものの、原油価格の上昇による販売価格の値上がりにより、売上高は19億66百万円と前期に比べ8.8%の増加となりましたが、市況の悪化などもあり、営業利益は12百万円と前期に比べ73.4%の大幅な減少となりました。
(不動産)
ショッピングセンターの賃料収入が、リニューアル工事に伴い減少したことなどにより、売上高は12億61百万円と前期に比べ18.4%の大幅な減少となり、営業利益は6億35百万円と前期に比べ26.2%の大幅な減少となりました。
(運輸)
荷動きが低調に推移したことにより、売上高は23億12百万円と前期に比べ4.0%の減少となりましたが、運輸外注費の削減や修繕費の減少などもあり、営業利益は2億49百万円と前期に比べ231.1%の大幅な増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは28億23百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは23億19百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは4億98百万円の支出となり、この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ7百万円増加し、64億33百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加による資金の減少が10億58百万円、その他の負債の減少による資金の減少が5億43百万円、法人税等の支払が6億83百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益26億79百万円、減価償却費11億88百万円、たな卸資産の減少による資金の増加が5億18百万円、仕入債務の増加による資金の増加が5億46百万円あったことなどにより、28億23百万円の資金の増加(前連結会計年度30億24百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出が26億5百万円あったことなどにより、23億19百万円の資金の減少(前連結会計年度10億9百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払が3億89百万円あったことなどにより、4億98百万円の資金の減少(前連結会計年度5億61百万円の減少)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日)
|
前年同期比(%) |
アグリ(百万円) |
9,536 |
105.5 |
化学品(百万円) |
14,071 |
112.8 |
建材(百万円) |
2,880 |
96.7 |
石油(百万円) |
1,927 |
108.9 |
不動産(百万円) |
17 |
46.7 |
運輸(百万円) |
200 |
73.7 |
合計(百万円) |
28,634 |
107.8 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の金額には、外注製品受入高が含まれております。
b.受注実績
製品の大部分について、需要予測をもとに見込生産方式を採用しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日)
|
前年同期比(%) |
アグリ(百万円) |
10,011 |
112.2 |
化学品(百万円) |
14,357 |
115.0 |
建材(百万円) |
2,902 |
96.6 |
石油(百万円) |
1,966 |
108.8 |
不動産(百万円) |
1,261 |
81.6 |
運輸(百万円) |
2,312 |
96.0 |
合計(百万円) |
32,812 |
108.7 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和2年1月1日 至 令和2年12月31日) |
当連結会計年度 (自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
吉野石膏株式会社 |
3,130 |
10.4 |
3,017 |
9.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、460億37百万円(前期比30億97百万円増)となりました。流動資産は、商品及び製品が5億80百万円減少しましたが、受取手形及び売掛金が6億61百万円、電子記録債権が3億97百万円それぞれ増加したことなどにより、223億52百万円(前期比4億53百万円増)となりました。固定資産は、有形固定資産が19億31百万円、投資有価証券が8億31百万円それぞれ増加したことなどにより、236億85百万円(前期比26億44百万円増)となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債は、預り保証金が5億70百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が5億46百万円、未払金が7億84百万円、繰延税金負債が2億59百万円それぞれ増加したことなどにより、166億59百万円(前期比7億98百万円増)となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が15億26百万円、その他有価証券評価差額金が7億27百万円それぞれ増加したことなどにより、293億78百万円(前期比22億98百万円増)となりました。
2) 経営成績
(売上高及び営業利益)
売上高は328億12百万円(前期比8.7%増)、営業利益は26億58百万円(前期比51.0%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は3億80百万円と前連結会計年度に比べ85百万円の減少、営業外費用は56百万円と前連結会計年度に比べ3百万円の減少となり、経常利益は29億82百万円(前期比37.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は11百万円と前連結会計年度に比べ16百万円の減少、特別損失は3億13百万円と前連結会計年度に比べ2億31百万円の増加、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は7億63百万円と前連結会計年度に比べ2億14百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は19億16百万円(前期比22.9%増)となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を及ぼす可能性のある要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。これらのリスクの回避に努めるとともに発生した場合の対応に万全を期してまいります。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、企業の持続的発展と企業価値の向上を実現するためには、株主資本の有効活用が不可欠であると考え、売上高、経常利益に加えてRОEを重要な指標の一つとして位置づけております。
当社グループでは令和3年1月から3カ年を対象とする「中期経営計画2023」をスタートさせ、①成長事業への積極的投資、②既存事業の収益力向上、③経営基盤の強靭化、④コンプライアンス経営の推進、を基本方針とし、連結売上高320億円、連結経常利益25億円、ROE6.0%以上を最終年度の経営目標として定めております。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当社グループは、営業活動によって得られた資金を、市場環境や資本効率等を総合的に勘案し、更新投資及び成長投資、手元資金、株主還元等に適切なバランスで配分し、また必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。なお、更新投資は生産設備の更新及び合理化に、成長投資は研究開発及びそれに伴う設備投資並びに人材獲得・育成等に、手元資金は運転資金、財務基盤の強化等に、株主還元は配当金の支払等に充当しております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
同期間における営業活動によるキャッシュ・フローは28億23百万円の収入であり、投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得等により23億19百万円の支出及び財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払等により4億98百万円の支出となったことから、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度から7百万円増加し、64億33百万円となっております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資資金については長期借入金での調達をしております。また、多額の資金需要が発生した場合には、これらに加えエクイティファイナンス等による調達手段についても検討することとしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間の収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますので、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.たな卸資産
当社グループのたな卸資産の評価方法は、総平均法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)であります。当社グループが保有するたな卸資産について、市場価格の下落等により多額の簿価切下げが発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定を変更した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、税制改正に伴い、税率変更等が実施された場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要となり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループでは、翌連結会計年度中は一定期間継続するものと仮定して、当該連結会計年度の会計上の見積りを行った結果、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないと判断しております。
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