課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、グループ理念「創業者精神に則り、自然と環境を守り、確かな価値の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献」のもと、企業の持続的発展と企業価値の向上を図り、株主、取引先、従業員、地域社会等からの信頼と期待に応えるとともに、法令その他の社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行い、社会の発展に貢献することを経営の基本方針としております。

 また、政府の掲げる温室効果ガス削減目標を踏まえた非財務に関する取り組みについては「サステナビリティビジョン2030」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献していくこととしております。ESGに配慮し、社会課題の解決と企業価値の向上を両立すべくグループ一丸となって取り組んでまいります。

 

(2) 経営環境

 世界経済は、変異株の発生により新型コロナウイルス感染症の影響が長引いているものの、総じて危機的な状況からは脱して回復に向かっていると判断しております。当社グループを取り巻く経営環境は、経済活動の再開に伴って製品需要は全般的に改善傾向にあるものの、原材料不足の深刻化や価格の高騰など事業活動への影響が懸念されます。また、サステナビリティの取り組み、気候変動への対応などが新たな重要課題として認識され、当社グループの各事業においても、これらに関連した新たなリスク及び収益機会について適時・適切に対処していくことで、当社グループの持続的成長につなげていく必要があります。なお、事業別の経営環境については以下のとおりです。

 アグリ事業は、農地面積の減少や少子高齢化による農業就業者の減少に歯止めがかからない中、持続可能な農業の実現に向けた政府の改革が推し進められています。先端技術を利用したスマート農業の推進、2050年に向けた「みどりの食料システム戦略」に基づく化学肥料の使用量削減や有機農業拡大の取り組みなど、農業を取り巻く環境は重要な転換期を迎えています。

 化学品事業の水処理薬剤は、人口減少、工場の稼働率低下などに伴う市場の縮小による価格競争の激化、人手不足に伴う物流運賃の上昇などにより、厳しい状況が続くものと予想されます。その一方で、気候変動などによる原水の水質悪化、環境負荷低減の観点から、当社が開発した超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの市場への浸透が進んできております。

 化学品事業の機能性材料は、セラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウム、スマートフォンなどに使用される高純度酸化タンタル、徐放製剤用生分解性ポリマーなどの増販を見越して、生産能力増強などの設備投資を実施してまいりました。スマートフォン需要については回復基調にありますが、その他の製品も含めて新型コロナウイルス感染症再拡大などに伴う事業環境の変化による減速懸念もあり、先行きは依然不透明であります。

 建材事業は、石こうボード出荷量と関連性の高い新設住宅着工戸数の漸減が予想されているほか、燃料価格の高騰などによる製造コストの上昇が懸念されます。

 石油事業は、自動車の電動化、気候変動への対応強化に伴う化石燃料からの燃料転換等により、需要の減退が予想されています。

 不動産事業は、電子商取引が台頭する中、ショッピングセンターの収益性を維持するため、大規模なリニューアルを実施しました。

 運輸事業は、景気の先行きが不透明な中、荷動きの動向にも不確実性があります。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループにおいては令和3年を初年度とする3カ年の「中期経営計画2023」の1年目が終了いたしました。「中期経営計画2023」では①成長事業への積極的投資、②既存事業の収益力向上、③経営基盤の強靭化、④コンプライアンス経営の推進、を基本方針とし、コロナ禍からの緩やかな経済の回復を見込み、最終年度の経営目標を連結売上高320億円、連結経常利益25億円、ROE6.0%以上としておりました。令和3年度は、アグリ事業では肥料の値上がりを見越した駆け込み需要が発生するとともに、化学品事業の機能性材料ではスマートフォンや自動車に関連する製品を中心に大幅な需要回復となりました。その結果、当社グループの業績は、中期経営計画最終年度の目標数値を上回る結果となりました。しかしながら、令和4年度は、前年の駆け込み需要の反動や供給面での制約、原材料価格の上昇に加えて、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の影響も懸念されることから、事業環境は厳しくなるものと予想しており、需要動向を的確にとらえた生産と販売価格の是正等に努めることで収益を確保してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 成長事業への積極的投資

 企業が持続的に成長するためには、新たな事業を含め成長が期待される事業への積極的な投資が不可欠です。当社が平成30年に完全人工栽培に成功した「バカマツタケ」は、生産・販売体制を早期に確立させるべく、資源を集中して取り組んでまいります。また、メディカル材料、コラーゲン材料、各種酸化物ナノ材料などの開発商品についても、社会との共通価値創造を意識しつつ、顧客ニーズを把握し、産官学連携などを通じて、サステナブルな成長に向けた取り組みを推進します。

 

② 既存事業の収益力向上

 当社グループの既存事業のうち、アグリ事業(肥料)と化学品事業(水処理薬剤)は、市場の縮小や価格競争など厳しい事業環境の中にあります。生産性向上、コスト削減及び提案型営業による販売力の強化などにより、一層の収益力向上に努めてまいります。一方で、肥料や水処理薬剤などの基礎化学品は、今後のサステナブルな社会の実現にも不可欠な製品であり、新たな収益機会の創出にもつながるものと考えております。なかでも、超高塩基度ポリ塩化アルミニウム「PAC700A」は、気候変動が進む中、環境負荷の低減に貢献できる製品として積極的に提案し拡販に努めてまいります。また、長年培った技術力を活かし、海外事業にも取り組んでまいります。その他既存事業につきましても収益力の向上に努めてまいります。

 

③ 経営基盤の強靭化

 気候変動や新型感染症、大規模自然災害の発生など事業環境にまつわるリスク、不確実性が高まる中で、より強靭な経営基盤の確立が求められています。そのような環境下にあっても、ステークホルダーの負託にお応えするため、リスクマネジメントの観点をより重視し、事業継続計画(BCP)の継続的改善、労働安全衛生マネジメントシステムの構築・運用、労働環境の改善や生産性向上に関わる設備の更新・保全、製品の品質・信頼性向上に関する取り組みを進めてまいります。また、それらを強力に推し進めるため、人材育成、ダイバーシティの取り組みなどにも注力してまいります。

 

④ コンプライアンス経営の推進

 コンプライアンスは、企業における不祥事の防止だけでなく、企業の持続的な成長を実現し、社会に必要とされる企業グループであり続けるために不可欠な経営上の重要課題です。当社グループでは、全ての役職員が法令・規程・社会規範などに沿って、常に高い倫理感とともに良識ある行動をとることができるよう、コンプライアンス教育及びコーポレート・ガバナンス体制の強化などを通じて、コンプライアンス経営を推進してまいります。「③経営基盤の強靭化」に加え、これらを併せて実施することにより、公正で透明性の高い経営と責任ある企業活動を推進してまいります。

 

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