研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

2019年4月から始まりました第11次中期経営計画におきましては、複数製品の上市を目標に掲げるとともに、当社の既存技術と、新たに導入する技術を融合させ、当社だからこそ活かせる独自技術の構築を推進してまいりました。

2021年度の具体的な活動内容として、半導体・液晶製造用特殊ガスおよび電池材料の分野をけん引している精密化学品開発部を新製品開発本部から事業本部へ編入し、顧客密着型の開発活動をそれぞれの本部の連携により進めております。基礎化学品事業分野の新規製品開発および有機機能材料製品の開発につきましては、市場開発部が中心となり、自社技術を深耕した新製品の市場投入に向けた活動を行っております。新規事業分野の探索および研究開発計画の立案から評価までの統括管理は、開発企画部が遂行しております。研究・知的財産部は、開発戦略に沿った特許権利網の構築に取り組んでおります。これら4部門と総合開発センター、総合開発センター渋川開発室、および総合開発センター水島開発室とが相互連携することで研究開発活動に取り組んでおります。

この第11次中期経営計画実行期間にあたる当連結会計年度の研究開発投資額は、1,488百万円でありました。

 

次に、研究開発テーマの概要および今後の方向性を説明します。

「既存事業の強化」を目的に半導体・液晶製造用特殊ガスと電池材料については事業本部と連携することにより新製品開発のスピードアップを図っていきます。

それと並行して、SDGsの概念に基づいた将来の製品開発のための基礎検討を推進します。具体的には半導体産業、エネルギー関係、環境対応製品および医療分野において、当社の優位性・独自性を活かした製品開発を目指しております。

 

(1) 半導体・液晶製造用の特殊ガス

現在、半導体・液晶市場ではNF3(三フッ化窒素)、CF4(四フッ化炭素)、およびWF6(六フッ化タングステン)等の各種フッ素系特殊ガスが、シリコン基板表面に回路パターンを刻むエッチング用途、および製造装置内面のクリーニング用途に使用されています。当社は独自の技術によりこれらの特殊ガス製品を開発してまいりました。年々微細化が進む半導体分野においては、微細エッチング用のガスとして、C4F6(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、COS(硫化カルボニル)やCH3F(モノフルオロメタン)等を開発し、市場に提供してまいりました。さらに、近年の3D化や地球温暖化防止に対応する新規ガスや、配線用途およびパワー半導体用途の新規材料開発にも注力しております。また、世界有数の製造能力と品質とを合わせもつ半導体・液晶用特殊ガスメーカーである当社では、顧客に密着したタイムリーな開発を促進するため、2017年に韓国に拠点を設置し、現在は生産を開始しております。また、開発に関しては各種設備の設置に向けた準備を行っています。

 

(2) 電池材料

リチウムイオン二次電池(LiB)業界では、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに更なる高容量化、長寿命化、難燃化等の研究が盛んに行われており、当社でもLiB用電解質LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)の開発に成功し、この分野に参入いたしました。また、LiPF6に続く新製品として、LiBF4(ホウフッ化リチウム)を2017年4月より市場に投入いたしました。現在、高性能電解液用の各種添加剤を開発中であり、ラインナップ強化を図っていく計画です。さらに、次世代電池材料の探索も行なっており、電池材料事業の拡大を目指してまいります。

 

(3) 有機機能性材料

当社が得意とするフッ素化技術をはじめ様々な有機合成技術を活用した展開を目的とした事業展開を進めております。将来の収益性を確保していくために自社原材料や技術を用いた当社独自の付加価値を加えた新製品開発を推進することで、事業拡大を目指してまいります。

 

 

(4) 基礎化学品

基礎化学品事業の収益力強化を目的に、新規製品の開発に着手しております。環境規制対象となっている既存製品の代替を目指し、鋭意検討を進めております。

 

(5) 鉄系材料

当社では、導電性の鉄、フェライト、マグネタイト等のコア材表面に各種絶縁性樹脂をコーティングした現像剤用キャリヤーを複写機、プリンター等画像形成装置市場に提供しております。さらに、当社においてこれまでに培ってきた技術を活かした新規材料の開発、およびその用途開拓を推進することで鉄系事業の拡大を目指します。

 

(6) 新規材料

SDGsの概念に基づいて、当社の独自性を活かし、競合他社に対して優位性を発揮できる新規材料の創出と、当社の基盤技術から派生する新しい技術開発を推進しております。

さらに、5~10年先の新規コア事業の創出を目的に、半導体産業、エネルギー関係、環境対応製品および医療分野における当社の独自技術を活かした製品開発に長期的視点で取り組んでおります。

「新しい技術開発」につきましては、ESGを考慮した環境対応技術やリサイクル技術の開発を目標に、自社開発や外部研究機関との連携により推進してまいります。

 

(7) 研究開発の効率化

研究開発の効率化に関する施策は、以下のとおりです。

昨今のコロナ禍において、顧客とのオンライン面談や、学会・セミナーのオンライン参加を積極的に実施しております。

開発担当者が自由な発想で独創的な開発テーマを行えるように、業務時間のうちの20%を自由な時間に充当した「20%ルール」の運用を継続しております。

AIによる材料設計プラットフォームを構築し、開発テーマへの展開や、計算ソフトによる分子設計や物性予測による開発支援を行っております。

その他、社内外の開発リソースの効率的な運用による開発促進を目的に、大学などの外部研究機関との共同研究も積極的に推進してまいります。

 

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