当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(当期の経営成績の概要)
※1.達成率は、2021年10月29日公表の連結業績予想と比較しております。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における世界経済は、半導体をはじめとする部品不足による自動車の減産、海上物流の逼迫によるサプライチェーンの混乱など、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済並びに社会の混乱が十分に解消し切れないところへ、ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済制裁及び物流ルートの制限による影響が加わり、世界的にインフレが加速したことにより、コロナ禍以前の水準へ景気が回復するまでにより長い時間を要することとなりました。一方で、新型コロナウイルス変異株の蔓延が引き続き懸念されるものの、欧米を中心にコロナ禍でも必要な対策を取った上で経済活動を維持しようとする動きが進展しており、堅調な個人消費が、ウィズコロナ、ポストコロナを見据えたビジネスや市場を牽引しました。
当社グループの主要顧客である自動車産業におきましては、2021年の世界ライトビークルの販売台数は、世界的な半導体不足により自動車メーカー各社では計画比で減産を余儀なくされ、前年比5%増であったものの、コロナ禍以前の水準に届かない結果となりました。一方で、温室効果ガス排出量削減への意識が高まり、世界シェア上位の自動車メーカーが相次いで電動モデルを発表するなど、電動車へのシフトが加速しております。
当社グループにおきましては、経済の正常化が進む欧米市場が需要回復を牽引し、車載関連素材、歯科材料、産業用構造部材などで、コロナ禍以前の水準を上回りました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、販売数量が前期比で18.2%増加した影響、原材料価格の高騰に伴う販売単価上昇等により29,365百万円(前期比25.1%増、業績予想29,200百万円に対して達成率100.6%)、営業利益は、販売数量の増加、生産効率化等により3,768百万円(前期比87.0%増、業績予想3,000百万円に対して達成率125.6%)、経常利益は、ベトナム子会社における為替差益の計上等により6,000百万円(前期比181.5%増、業績予想3,800百万円に対して達成率157.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、ベトナムの鉱物事業会社への投資に関する特別損失の計上等により1,849百万円(前期比49.7%増、業績予想2,800百万円に対して達成率66.1%)となりました。
用途別の販売状況は、次のとおりであります。
(触媒用途)
当社グループの主力製品である自動車排ガス浄化触媒材料は、前年下半期から続く自動車販売台数の急回復及び環境規制強化による当社製品需要増加の影響を受けて、販売数量を伸ばし、コロナ禍以前の水準を上回りました。しかし、当連結会計年度下半期にかけては、半導体などの部品不足による自動車減産の影響が顕著となり、需要回復が鈍化しました。
これらの結果、触媒用途の当連結会計年度の売上高は、17,670百万円(前期比21.1%増、業績予想17,580百万円に対して達成率100.5%)となりました。
(電子材料・酸素センサー用途)
電子材料は、半導体等の部品不足による最終製品の生産調整の影響を受けたものの、コロナ禍でも需要が堅調であった医療機器、家電、通信機器に加え、自動車販売台数回復と電装化の進展を受けて、圧電素子やMLCCなどの電子部品用途で売上高を伸ばしました。二次電池材料は、電動車市場の成長に伴う需要増に加え、新規採用が計画通りに進捗し、車載電池の多様化の影響を受けて減収となった前期を大幅に上回りました。
酸素センサー材料は、自動車販売台数の回復に伴う需要を取り込み、増収となりました。
これらの結果、電子材料・酸素センサー用途の当連結会計年度の売上高は、2,879百万円(前期比14.1%増、業績予想2,940百万円に対して達成率97.9%)となりました。
(ファインセラミックス用途)
当社グループの次世代主力製品と期待する燃料電池材料は、各国・地域の持続可能エネルギー推進政策などにより市場成長が継続しており、堅調に推移しました。
歯科材料並びに産業用構造部材は、経済正常化が進む先進主要国が需要を牽引し、コロナ禍以前の水準を上回りました。キッチンセラミックスは、インバウンド需要の回復には時間を要するものの、最終製品の販路拡充等により、増収に転じました。
これらの結果、ファインセラミックス用途の当連結会計年度の売上高は、3,450百万円(前期比39.6%増、業績予想3,650百万円に対して達成率94.5%)となりました。
(耐火物・ブレーキ用途)
耐火物は、国内の粗鋼生産量は回復基調にあるものの、中国の粗鋼減産により耐火物材料が供給過多となった影響を受け、コロナ禍以前の水準に届きませんでした。
ブレーキ材は、自動車販売台数の回復に加え、原料市場価格高騰の影響を受けて、増収となりました。
これらの結果、耐火物・ブレーキ用途の当連結会計年度の売上高は、3,366百万円(前期比48.6%増、業績予想3,030百万円に対して達成率111.1%)となりました。
(その他用途)
セシウム化合物は、医療機器用途が堅調に推移したことに加え、家電並びに自動車のアルミニウム配管ろう付に使用されるセシウムフラックスが、自動車販売台数の回復を受けて増収となったものの半導体等の部品不足による最終製品減産の影響を受けて伸び悩み、コロナ禍以前の水準には届きませんでした。
セシウム化合物及びフラックス以外の売上高についても、経済活動の正常化に伴う需要を取り込み、増収となりました。
これらの結果、その他用途の当連結会計年度の売上高は、1,998百万円(前期比23.6%増、業績予想2,000百万円に対して達成率99.9%)となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a. 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて972百万円増(前期比3.5%増)の28,502百万円となりました。主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加(2,123百万円)、製品の増加(1,151百万円)、有価証券の減少(1,200百万円)、現金及び預金の減少(735百万円)、受取手形及び売掛金の減少(298百万円)によるものであります。
b. 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて813百万円増(前期比2.8%増)の29,540百万円となりました。主な要因は、有形固定資産合計の増加(1,657百万円)、その他の増加(721百万円)、貸倒引当金の増加(1,805百万円)によるものであります。
当連結会計年度末における負債残高は、前連結会計年度末に比べて754百万円増(前期比3.0%増)の26,227百万円となりました。短期借入金の増加(1,400百万円)、未払法人税等の増加(1,023百万円)、支払手形及び買掛金の減少(1,273百万円)によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて1,032百万円増(前期比3.4%増)の31,816百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(1,301百万円)によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は3,231百万円(前期比2,426百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,535百万円、貸倒引当金の増減額1,784百万円、棚卸資産の増減額△3,095百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は4,219百万円(前期比2,229百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,382百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は8百万円(前期は2,485百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,400百万円、長期借入れによる収入2,341百万円、長期借入金の返済による支出3,150百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産金額は実際原価に基づいて算出しております。
2.同一品目であっても複数の用途に用いられることがありますので、生産実績については用途別に示すことが困難なため、表示しておりません。
当社グループは主に見込生産を行っているため、記載を省略しています。
販売実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
当社グループは単一セグメントであるため、用途別に表示しております。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売割合で10%以上の相手先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
・経営方針や経営戦略、経営目標に関する事項
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入であります。
一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売製品に係る原材料費であり、主な設備投資需要は、工場設備投資に係る投資資金であります。従いまして、運転資金については、営業キャッシュ・フローで充当し、設備投資資金は金融機関からの借入を基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。
なお、営業活動・財務活動により獲得したキャッシュ・フローを固定資産の取得等に充当しておりますので、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ2,227百万円減少し、8,333百万円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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