文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、『世に価値あるものを供給し続けるには、価値ある人生を送るものの手によらねばならぬ。価値ある人生を送るためには、その大半を過ごす職場を価値あるものに創り上げていかねばなるまい。』という経営理念のもと、『稀な元素とともに、「100年企業」へ』をビジョンに掲げ、永続的に成長を続ける企業グループを目指します。
「価値あるもの」とは、社会課題の解決に貢献する独創的で付加価値の高い製品のことです。次に「価値ある人生」とは、自身の夢や理想の実現に向かって成長する公私ともに充実した生き方のことです。そして「価値ある職場」とは、ジルコニウムのトップメーカーの一員であることに誇りを持ち、「キゲンソらしさ」を体現する仲間がいる職場のことです。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業以来、「世に価値あるものを供給し続ける」を軸とした経営理念に基づき、ジルコニウム化合物の開発・供給を通じて、社会課題の解決に取り組んでまいりました。
しかしながら、足元の自動車販売台数予測は、新型コロナウイルス感染症拡大前の予測に比べ、大きく減少しております。また、自動車業界ではカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを活発化させており、それに伴って自動車の電動化へのシフトが加速するなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。
そのような状況の下、当社グループは、主力の自動車排ガス浄化触媒材料で成長の原資を確保しつつ、次世代の事業の柱となる分野へ、早期に経営資源を振り向けるため、2023年3月期から2032年3月期を対象とする中期経営計画『DK-One Next』をスタートいたしました。
『DK-One Next』の策定にあたり、経営理念のコンセプトである「価値あるもの」「価値ある人生」「価値ある職場」を再認識し、中期経営方針を「新たな事業を創出し続け、今後10年に起こる大きな環境変化を乗り越える」と定めました。この中期経営方針の下、対象期間を前期(2023年3月期~2026年3月期)、中期(2027年3月期~2029年3月期)、後期(2030年3月期~2032年3月期)に分け、「事業領域と収益の拡大」と、「100年企業の基盤の確立」に取り組みます。「事業領域と収益の拡大」におきましては、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアを戦略分野と位置付け、前期では、これらの分野へ製品を展開しているファインセラミックス、二次電池、水素関連向けの売上高を確実に増大させてまいります。「100年企業の基盤の確立」におきましては、「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の「6つの柱」で環境変化に適応し、体質の強化を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
中期経営計画『DK-One Next』では、2026年3月期の事業規模に関する数値目標として、連結売上高40,000百万円、収益性に関する数値目標として営業利益4,000百万円、EBITDA9,000百万円、ROIC6.0%以上といたします。財務規律といたしましては、2023年3月期から2026年3月期までの累計で、投資キャッシュフローと配当金の合計を、営業キャッシュフロー以内といたします。
(注)目標とする経営指標には、2021年9月時点の原料市場価格と為替を用いております。
なお、目標とする経営指標に関する記述は、国内及び諸外国の経済状況、当社グループの事業に関連する業界の動向についての見通し、その他当社業績へ影響を与える要因について、現在入手可能な情報をもとにした予想を前提としています。これらは、市況・競合状況・当社新製品の採用の可否など多くの不確実な要因の影響を受けます。従いまして、当予測と実際の業績が大きく異なる場合があることをご了解いただきますようお願いいたします。
中長期的な経営戦略のもと、さらなる事業拡大と収益基盤の強化を図るため、次の課題に優先的に取り組んでまいります。
① 売上高の増加と新規製品・用途の開発活動の強化
自動車業界のEV化に対して、既存の自動車排ガス浄化触媒用途の市場シェアの向上を図るとともに、車載用二次電池、燃料電池用途等の開発を進めてまいります。また、ファインセラミックスなどジルコニウムが持つ特性を活用した分野への需要拡大を進めるとともに、既存の枠組みにとどまらない新規開発品及び新規用途を開拓してまいります。
② 海外事業拠点を含めたグループ経営の高度化
原鉱石からの一貫生産や、海外販売子会社を活用した製品の安定供給体制により、顧客の多様なニーズを満たすことで、顧客との長期的かつ良好な関係を構築しております。今後、これらの事業基盤をさらに強固にするために、物流拠点の再構築や物流手段の見直しを進めるとともに、海外拠点と国内各部門の有機的なつながりの強化を図るなど、グループ経営の高度化を図ってまいります。
③ 収益性と資産効率の向上
当社グループが中長期的に安定した経営基盤を維持し続けるために、収益性や資産効率を高めてまいります。収益性及び資産効率を向上させるため、生産プロセスの改善・改革をさらに推進するとともに、ITシステムを活用した業務のリストラ推進、グループ全体での棚卸資産管理、資金管理の効率的な運用と資産残高の適正化に取り組んでまいります。
④ ジルコニウム化合物のサプライチェーン強化
当社グループは、ジルコニウム中間体であるオキシ塩化ジルコニウムの生産が中国に偏在している現状に対処するため、ベトナム国で採掘されるジルコニウム鉱物を用いたオキシ塩化ジルコニウムの生産拠点を設置してサプライチェーンの強化を図っております。ジルコニウム鉱物の安定調達は、当社グループが行っているジルコニウム化合物のサプライチェーン強化の重要な課題であり、これを実現するための投資を行ってまいりました。しかしながら、当該投資に関する契約の解消等により、2022年3月期の決算において損失計上を行いました。他方で、ベトナムにおける鉱物事業の規模が拡大したことにより、短期的には、当社グループが必要とするジルコニウム鉱物を調達できる目処は立ちました。引続き、これまで行った調査・検討に基づき、ベトナムにおける中長期的なジルコニウム鉱物の安定調達に取り組んでまいります。
⑤ 多様な人材が活躍できる基盤づくり
当社グループが成長を続けるためには、新しい発想を生み出したり、グローバル展開を担える多様な人材の確保・育成が必要であり、女性活躍、人材の国際化、若手人材の積極登用を推進してまいります。このような人材が活躍できる環境整備を進めるとともに、本社、国内事業所と海外関係会社との人材交流を含めたグループの連携を高めながら、人材の確保・育成を進めてまいります。
⑥ 温室効果ガスの排出削減への対応
気候変動の問題に対して温室効果ガスの排出量の削減が世界的な課題となっており、当社グループにとっても真摯に取り組むべき課題の一つであると考えております。当社グループとしては、エネルギー削減の継続的な活動に地道に取り組みながら、中長期の温室効果ガスの排出量の削減に対して、サプライチェーン全体の排出量を把握し、その削減に向けた取り組みを進めてまいります。
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