文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「事業活動を通じて、社会的な課題解決を支援する」ことを使命とし、社会の課題、時代の最先端ニーズに応えることで成長してまいりました。近年では、「素材のチカラを未来のタカラに」のスローガンのもと、創業以来、培った技術を深化発展させ、社会環境の変化に沿って新たな価値を創出すべく取組みを進めております。
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症に対して世界的なワクチン接種の進展等により行動制限が緩和され、景気に持ち直しの動きが見られるものの、新たな変異株の出現による感染再拡大により、先行きは依然として不透明な状態が続いております。また、ウクライナ情勢により、さらなる原材料及びエネルギー価格の高騰等、世界的に経済活動の停滞が懸念される状況にあります。
当社グループにおいては、創業200周年を迎える2023年に向けた中期事業計画「Vision2023」(2021年8月4日公表)の計画達成に向け邁進しております。本計画では、「電子素材」セグメントを成長事業とし、「機能性顔料」セグメントを安定した収益基盤事業として位置付けております。
計画期間中には、事業の成長に向けた生産能力強化や既存設備・インフラ維持更新への投資の他、次世代電子素材材料や環境関連材料等の新規事業への投資、ESGの取組みを推進するための投資も積極的に行い、事業拡大、企業価値向上を実現してまいります。
電子素材 セグメント |
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機能性顔料 セグメント |
・磁石材料 |
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・顔料 |
・誘電体材料 |
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・環境関連材料 |
・軟磁性材料 |
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・リチウムイオン電池用材料 |
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<電子素材セグメントの取組み>
電子素材セグメントでは、主に「自動車」、「通信・家電」市場を事業フィールドとして製品展開を行っております。
磁石材料は、主に自動車や家電用のモーター用途としてこれまでも利用されておりますが、特に自動車の電動化等に伴い需要が増加しております。今後も、CASEの進展等により市場は拡大する見通しであり、当社では磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石用の材料を中心に事業成長を進めてまいります。当連結会計年度には中国のボンド磁石専業の成形メーカーである江門協立磁業高科技有限公司を子会社化し、ボンド磁石成形品の事業を開始いたしました。部品から原料に繋がる技術情報の一元的な管理等により、各段階での品質レベルと開発スピードの向上を図るとともに、一貫した開発・生産体制の安定化を進め、これまで以上にお客様からの信頼を向上させてまいります。
誘電体材料は、ICT機器や電気自動車に多く使われる積層セラミックコンデンサー用途として利用されており、ICTの発展やCASEの進展等により、一層の市場拡大が予想されています。今後、コンデンサーの小型化に対応したさらなる微粒子化のニーズに応えるべく、開発を推進し、計画の達成に向け取り組んでまいります。
軟磁性材料については、車載用途を中心とした電子機器のノイズ対策材料や電気自動車用非接触給電向けの厚膜大判フレキシブルフェライトプレート等の開発、マーケティングを進めており、第92期(2025年3月期)以降における事業拡大を目指してまいります。
リチウムイオン電池用材料においては、主に車載用途として市場が急速に拡大していることから独BASF等のビジネスパートナーと組み、グローバルな需要拡大に対応できる体制を整えてまいりました。今後も市場拡大が見込まれることから、ビジネスパートナーと協力し、品質と生産性の向上を図りながらさらなる事業拡大に取り組んでまいります。
<機能性顔料セグメントの取組み>
機能性顔料においては、主に「塗料」、「複写機/プリンター」、「環境」市場を事業フィールドとして製品展開を行っております。これまで塗料、複写機、プリンター用の材料である顔料を中核として成長してまいりました。創業以来、収益の基盤となる事業であり、引き続き特徴ある製品開発や原価低減等の収益性の向上に取り組み、事業活動を行ってまいります。
また、世界では地球温暖化による異常気象等、深刻な問題が発生していることから各国において様々な取組みが行われ、持続可能な社会の実現に向け歩みが始まっております。当社グループは、環境負荷低減に寄与する研究開発として、鉄系触媒を用いたメタン直接改質法によるCO₂フリー水素製造システム、CO₂分離回収技術、リチウムイオン電池の再資源化技術等の実現に取り組み、持続可能な社会への貢献と事業成長を目指してまいります。
<持続可能な開発目標(SDGs)への取組み>
当社グループは、事業を通じてSDGsの実現に向けた活動を進めるべく、会社設立100周年を迎える2033年を達成目標年度とした「戸田工業グループ 環境ビジョン2033」を2019年6月に策定しました。2021年6月には、CO₂等の温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を引き上げ、具体的な数値目標を掲げて環境保全活動に取り組んでおります。
戸田工業グループ「環境ビジョン2033」 環境経営5本柱 (1) 生物多様性への取組み (2) 温室効果ガスの削減 (3) 環境調和型商品、技術の提供 (4) 循環型社会形成への取組み (5) 産業廃棄物の有効活用 |
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温室効果ガス削減目標 (1)エネルギー原単位 20%削減 (2)再生可能エネルギー 20%以上 (3)売上高基準のGHG排出量 40%削減 (4)輸送、通勤時のCO₂排出量 30%削減 |
最後に、当社はメーカーとしてお客様のニーズに応える製品を安定継続的に供給することが重要な責務であると認識し、事業活動に取り組んでまいります。そして、今後も会社を生々発展させることを通じて、株主様、お客様、従業員及び地域社会の皆様に対する社会的責任を果たしてまいります。
経営理念 私たちグループは、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させながら、永遠に生々発展 します。 誠実・信頼を基盤とし創造力と製造力を結集させ、魅力ある独創性に富んだ新素材及び ソリューションを通じて、広く社会に貢献します。 |
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