事業等のリスク

2【事業等のリスク】

[体制]

 当社グループでは、代表取締役を委員長として、執行役員を中心に構成するリスク管理委員会を設置し、全社的及びグループ横断的な立場からリスク管理経営の有効な推進を図っております。また、当社グループを取り巻く各リスクについて、責任部署を定め、当該責任部署において基本計画の策定、対策の実施、評価及び改善を行う取組みを進めるとともに、責任部署を統括するリスク管理責任者を定め、各リスクへ適切に対応できる体制を構築しております。リスク管理委員会は、リスク管理責任者を通じて、それぞれの活動の進捗や課題を把握し、必要に応じて是正指示を行い、これらリスク管理活動について、取締役会に報告を行っております。それにより、取締役会は当社グループ全体のリスクを網羅的、継続的に監視する体制の整備を進めております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)予期し得ない事業環境急変のリスク

 当社グループは、グローバルに事業展開していることから、海外における政治・経済の情勢悪化、輸出入や外資企業への規制、テロ・戦争・パンデミックの発生に伴うサプライチェーンの分断や、世界的な貿易摩擦が長期化した場合には、当社の企業収益が悪化する恐れがあります。コスト構造のスリム化や資材調達の複数化等の施策により、収益体制の強化にも取り組み、事業環境の変化への対応を準備しております。しかしながら、これら世界経済等の予期し得ない環境の変化があった場合、当社グループの資金繰り環境、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(2)製品品質

 当社グループでは、モノづくりへの取組みを進めていくための原点である「Toda Spirits」を定め、「継続的改善活動を展開し、顧客の信頼と満足を得る品質を提供する」という品質方針の下、品質保証活動を推進しております。各事業所において品質マネジメントシステム(ISO9001)の運用、車載製品に対する源流管理、プロセス管理の強化、営業及び製造から独立した品質保証部による品質監査、人材育成の強化等の活動を行っております。しかしながら、各国規制の変化や車載用製品を中心に顧客の要求水準が高まる中、品質上の欠陥や事故が発生し、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(3)原燃料の調達について

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適正な在庫の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、一部原材料等は、代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や環境規制、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油及び石炭をはじめとするエネルギー価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。原油及び石炭等建値相場の影響を受ける原燃料の仕入れも増加しております。このような仕入価格の変動を販売価格への転嫁や海外を含めた当社グループでの共同購入及び共有化等の原価低減活動で吸収しきれなかった場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(4)新製品の開発力、技術革新、事業拡大について

 当社グループは、酸化鉄総合メーカーとして、製品開発力と供給力を高めてまいりました。加えて、更なる発展のため、酸化鉄以外の事業への多角化も進めております。また、市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を高めるための組織改革により、事業開発のスピードアップや営業力の拡充を図っております。しかしながら、既存製品市場における需要減退、競合先による安価な製品又は代替製品が出現した場合、新製品の開発が計画通りに進展しない場合、技術革新による新製品が出現した場合等により、当社グループの競争力が低下する恐れがあり、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(5)減損損失のリスク

 当社グループは、品質及び生産性の向上並びに事業開発のため、製造設備等の設備投資を継続的に行っており、多額の有形固定資産を保有しております。有形固定資産については、定期的に調査を行い、減損の兆候が認められる場合は適切な会計処理を行っております。しかしながら、固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(6)情報セキュリティ

 当社グループでは、事業や業務を行うにあたり情報システムを活用するとともに、取引先や当社グループ内の機密情報等を保有しております。新たな対策技術の導入やソフトウエアのバージョン管理を含む技術的対策、入退出管理の強化等の物理的対策並びに情報セキュリティ関連の社内規程の改定や当社グループ及び協力会社の従業員等に対する教育による人的・組織的対策により、情報セキュリティの強化を図っております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失による情報流出等、情報システムの停止等が発生した場合、当社グループの信用、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(7)訴訟等のリスク

 当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、法規制等の変更や知的財産権を含む権利侵害の発生等により、訴訟、クレーム又は種々の紛争に関わる可能性があります。法規制の把握、契約条件の明確化、知的財産権の適正な管理、弁護士等専門家との連携により、紛争等の未然防止に努めております。しかしながら、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(8)コンプライアンス

 当社グループは、コンプライアンス行動規範を定め、当該規範の遵守を徹底するための体制作り、従業員に対するコンプライアンス教育の実施、内部通報制度を通じて、グループ全体のコンプライアンスの維持及び向上に取り組んでおります。しかしながら、当社グループにおいて、故意又は過失による不正、ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生する可能性があります。これらの内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(9)災害等のリスク

 地震・集中豪雨等の自然災害、火災等の事故、重大な感染症によるパンデミック、電力や物流等の社会インフラの長期的な停止等によって、当社グループの各拠点において事業活動に支障が生じる可能性があります。BCPの策定、設備の定期点検や改修及び定期的な防災訓練等の対策を行っておりますが、この様な災害等が発生した場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより、売上が低下し、加えて製造拠点等の修復又は代替のために、巨額な費用を要することにより、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、2020年以降のコロナ禍の長期化に対して、当社グループでは、不要不急の出張や面談の禁止、時差出勤や在宅勤務の推奨、マスク着用と手洗いうがい、消毒の徹底等の感染予防対策、需要に応じた生産調整や在庫及び原材料等の確保、感染者が発生した場合のBCP対策等を行うことで事業活動への影響の低減に努めております。しかしながら、今後、更なる感染拡大や流行の長期化により、当社グループにおける稼働やサプライチェーンの停滞が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(10)戦略的提携のリスク

 当社グループは、既存事業の拡大あるいは、新たな事業への進出等のために、事業戦略の一環として企業買収・M&A等の戦略的提携を行う可能性があります。これら戦略的提携に際しては、市場動向や相手企業について十分な調査検討を行っております。しかしながら、買収・提携後に市場環境の著しい変化があった場合等、当初想定した計画通りに進捗しない場合には、投下資金の回収ができない場合や追加費用が発生すること等により当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(11)人材確保と人材育成

 当社グループは、経営戦略やグローバル経営といったマネジメント能力及び専門性を有した人材の確保が重要と考えております。新卒採用及び経験者の通年採用を通じて人材の獲得を行うとともに、階層毎の教育プログラムを充実させ、人材の育成も推進しております。しかしながら、少子高齢化、労働人口減少等により人材獲得競争が激化し、事業運営に必要となる優秀な人材の確保が困難となり育成が計画的に推進できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(12)為替レートの変動

 当社グループは、海外売上高が51%を占め、その大部分を外貨建てで輸出しており、また海外の関係会社も19社ありますが、各地域における売上・費用・資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されており、海外関係会社への貸付等も行っております。常に為替変動のモニタリングを行い、円建て又は安定的な通貨での取引、外貨建て取引については、外貨預金口座での決済を行う等の対策をとっておりますが、円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(13)カントリーリスク

 当社グループは、中国をはじめとしたアジア、北米、ヨーロッパに海外拠点を有しております。各拠点とは定期的に海外安全情報等を共有して適時適切な対応がとれるよう努めております。しかしながら、これら拠点のある国において、紛争やテロ、政治情勢の悪化、大規模災害、パンデミック、労働争議、外資規制等が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(14)環境に関わるリスクへの対応

 当社グループは、製品の製造過程において、原材料、廃棄物等の化学物質、また、燃料、電気、蒸気等のエネルギーを扱っております。このため当社グループは、化学物質管理、エネルギー管理を徹底し、法規制に沿ったリスクアセスメントを実施しております。また、2019年に「環境ビジョン2033」を策定し、数字目標を掲げて環境保全活動に取り組んでおります。しかしながら、環境に関わる法規制が変更された場合や、自然災害及び火災等の事故による化学物質の流失が発生した場合、当社グループの信用、財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

(15)気候変動に関わるリスクへの対応

 当社グループは、過去より、他の産業から発生する副生成物の再資源化、自社内で発生する廃棄物の有効利用、環境貢献材料の開発等、CO2排出量削減による気候変動対策に取り組んでおります。しかしながら、異常気象により原材料及びエネルギー価格が高騰した場合や、CO₂排出量に関する新たな規制が導入された場合、生産コストが増加し、当社グループの財政状況及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また現在、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に基づいた情報開示の準備を行っております。

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