業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及が進み、行動制限が緩和されたこと等による持ち直しの動きが見られました。また新規感染者数についても「全数把握」の見直しなど、徐々にウィズコロナへ移行しつつあります。一方で新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ見通せず、ウクライナ情勢の緊迫化や原材料・エネルギー価格の高騰、急速な円安進行の影響による物価の高騰は続いており、引き続き、個人消費の低迷や企業収益の悪化が懸念される不透明な状況となっております。

歯科医療業界におきましては、医療従事者の業務量の削減や業務効率化をはじめとしたデジタル化やDX化を推し進めていく中、2021年10月20日に運用が開始されたオンライン資格確認等システムについての政府主導による議論が大きく進み、2022年8月10日、中央社会保険医療協議会(中医協)は2023年4月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認システムの導入を原則として義務づける療養担当規則の改正案を答申、更に2022年10月13日、政府は2024年秋にも現在使われている健康保険証の廃止を発表するなど、駆け込み需要が大きく見込まれる状況にあります。

そのような中、当社は事業理念に沿った「サポートなくして販売なし」「お客様の笑顔 お客様の満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」「親しまれ・愛され・信頼されるサポート」をモットーに対面型の営業サポートを継続してまいりましたが、約2年半に亘る歯科医院の新型コロナウィルス感染リスク対策の結果、予約中心の受付や予約制限による来院患者の調整、感染を懸念する患者の通院マインドの低下などで来院患者数は大きく減少、更に物価高騰による経費の増加やオンライン資格確認等システム導入による一時的な経費負担増が加わり、歯科医院の経営が逼迫されたことや後継者不足でシステムの買替控えや閉院・廃院する歯科医院が散見されるなど、引き続き、システム販売にも影響が出ております。

    一方、当社は当事業年度につきましてオンライン資格確認等システムの販売に邁進し、受注率87%(2022年9

   月30日現在)を達成しました。

これら一連の活動を、主力商品である歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」販売へと繋げてまいりました結果、当事業年度の売上高は2,215,419千円(前年同期比6.5%減)、営業利益は416,487千円(前年同期比30.8%減)、経常利益は475,052千円(前年同期比16.8%減)、当期純利益は316,275千円(前年同期比15.8%減)となりました。

なお、当社は、「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は4,045,753千円となり、前事業年度末より27,587千円増加いたしました。

 a. 流動資産

流動資産は2,260,720千円と前事業年度末より374,943千円減少いたしました。主な内訳は、有価証券購入に伴う現金及び預金の減少361,277千円、売掛金の減少142,284千円と、商品の増加73,703千円であります。

 b. 固定資産

固定資産は1,785,032千円と前事業年度末より402,531千円増加いたしました。主な内訳は、ソフトウェアが22,984千円、社債等購入に伴う投資有価証券が354,460千円増加しております。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は455,953千円となり、前事業年度末より59,170千円減少いたしました。

 

 a. 流動負債

流動負債は408,417千円と前事業年度末より61,111千円減少いたしました。主な内訳は、買掛金の減少44,283千円、未払法人税等の減少13,579千円、未払消費税等の減少15,517千円であります。

 b. 固定負債 

固定負債は47,536千円と前事業年度末より1,941千円増加いたしました。退職給付引当金の増加1,941千円によります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は3,589,799千円となり、前事業年度末より86,758千円増加いたしました。主な内訳は、利益の獲得による増加と配当金の支払による減少の結果として利益剰余金が93,475千円増加したことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,488,580千円となり、前事業年度

    末より361,277千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりでありま

    す。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は342,682千円(前年同期は247,995千円の収入)となりました。これは主として法人税等の納付による189,051千円の支出等があったものの、税引前当期純利益の獲得による478,248千円の収入、減価償却費48,746千円の計上、売上債権の減少142,284千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって支払った資金は481,224千円(前年同期は574,520千円の支出)となりました。これは主として投資有価証券の売却による144,899千円の収入があったものの、有形固定資産の取得による支出24,973千円、無形固定資産の取得による支出73,317千円、投資有価証券の取得による支出487,210千円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって支払った資金は222,735千円(前年同期は444,716千円の収入)となりました。これは配当金222,735千円の支出があったことによります。

 

④生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

  当社で行う事業は、提供する商品の性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しておりま

  す。

 

b. 受注実績

当事業年度におけるシステム売上高に関する受注実績は、次のとおりであります。なお他の収益形態は、その性格上、受注実績の記載になじまないため記載を省略しております。なお、当社は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、地域ブロック別に記載しております。

地域ブロック別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

九州ブロック

374,174

74.7

9,829

62.6

中国ブロック

345,928

73.6

14,123

150.2

関西ブロック

350,448

85.6

19,364

105.2

四国ブロック

215,011

77.7

4,616

93.4

関東ブロック

50,626

84.2

6,041

合計

1,336,188

77.8

53,974

111.4

 

(注) 地域ブロック間取引はありません。

 

c. 販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、収益形態別及び地域ブロック別に記載しております。

収益形態

販売高(千円)

前年同期比(%)

システム売上高

1,330,541

76.7

オンライン資格確認売上高

444,112

101.0

プログラム改定売上高

311,559

356.5

自動精算機等売上高

14,164

32.7

機器修理売上高

15,971

181.2

その他

99,069

178.0

合計

2,215,419

93.5

 

 

地域ブロック別

販売高(千円)

前年同期比(%)

九州ブロック

639,939

94.1

中国ブロック

606,134

91.8

関西ブロック

543,045

96.0

四国ブロック

360,576

94.1

関東ブロック

65,723

81.2

合計

2,215,419

93.5

 

  (注) 1.地域ブロック間取引はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売

実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。

 

 

また、ブロックごとの当社のシェアは次のとおりであります。

2022年9月30日現在 単位:件)

地域ブロック別

オンライン請求

歯科医院数

電子媒体請求

歯科医院数

小計

当社顧客数

当社シェア(%)

九州ブロック

(注)1

2,008

4,456

6,464

909

14.1

中国ブロック

(注)2

1,136

2,325

3,461

864

25.0

関西ブロック

(注)3

2,247

5,416

7,663

744

9.7

四国ブロック

(注)4

373

1,033

1,406

514

36.6

関東ブロック

(注)5

3,559

10,068

13,627

87

0.6

 

(社会保険診療報酬支払基金 「レセプト請求別の請求状況」令和4年度8月診療分より)

(注) 1.九州ブロックは、福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県で構成されております。

2.中国ブロックは、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、島根県で構成されております。

3.関西ブロックは、大阪府、兵庫県で構成されております。

4.四国ブロックは、香川県、愛媛県、高知県で構成されております。

5.関東ブロックは、東京都、神奈川県で構成されております。

6.上記データは社会保険診療報酬支払基金による「レセプト請求別の請求状況」から、2022年11月11日時点

    で公表されている2022年9月30日現在における公表数値と、同じく2022年9月30日現在における当社の顧

    客数を対応させて記載しております。

7.上表の「オンライン請求歯科医院数」とは、オンラインによるレセプト請求を行っている歯科医院数

です。「電子媒体請求歯科医院数」とは、電子媒体(例えばCDロム等)を提出することでレセプト請求を

行っている歯科医院数です。各ブロックで記載しているこれらの数値は、(注)1から(注)5までで

記載している当社の営業拠点が所在する都府県の歯科医院数を合計しております。

8.ブロックごとの「オンライン請求歯科医院数」と「電子媒体請求歯科医院数」の合計を分母として、

ブロックごとの当社の顧客数の合計を分子として当社シェアを算定しております。

9.シェアの算定に当たって使用する当社の顧客数は、各営業拠点が管轄する顧客数であります。そのため、

実際の顧客の所在地と異なっている場合があります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当社が目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

当事業年度の売上高営業利益率は18.8%(前事業年度25.4%)と前年より下落となりました。これは主として売上総利益が154,390千円減少し、販売費及び一般管理費が30,723千円増加したことに起因します。今後も継続的に全社的な生産性向上に向けて、事業活動全般に対して必要な施策を行い、より収益性の高い企業を目指して取り組んでまいります。

当事業年度末における顧客数は3,118件(前事業年度末から24件減少)となっております。当期は新型コロナウイルス感染症等による影響で閉院・廃院等による引退が重なったことにより85件が減少し、新規顧客として61件を獲得となりました。

(売上高)

当事業年度の売上高は、2,215,419千円(前年同期比6.5%減)と減収となりました。

厚生労働省が推進する、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる等のオンライン資格確認等システムに係る売上が444,112千円(前年同期比1.0%増)となりました。システム売上については、歯科医院内の新型コロナウイルスへの感染リスク対策として来院患者数も調整せざるを得ない状況や、感染を懸念する患者の通院マインドの低下もあり、来院患者数減少、物価高騰による経費の増加の影響も加わり歯科医院経営が逼迫され、システムの買替控えを始め、閉院・廃院する歯科医院も散見され、販売システム数456件(前期は596件)と減少しました。この結果、システム売上高は1,330,541千円(前年同期比23.3%減)となりました。

 

プログラム改定売上については、臨時的な改定が複数回発生し、2年に一度の医療保険制度の改正の年ということもあり、全体として311,559千円(前年同期比256.5%増)となりました。

(売上総利益)

当事業年度の売上原価は、プログラム改定に伴う人件費が14,407千円、クラウド予約システム構築の資産計上に係る減価償却費が9,789千円増加し、結果として当事業年度の売上総利益は154,390千円減少し、1,629,405千円(前年同期比8.7%減)となりました。

(営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、本社第2建物の取り壊し費用9,000千円、上場に伴うIRコンサルティング料による日興アイアールへの支払い、株主数増加に伴う招集通知の発行部数増加による宝印刷への支払い18,073千円増加により、販売費及び一般管理費は30,723千円の増加となり、営業利益は416,487千円(前年同期比30.8%減)となりました。

(経常利益)

当事業年度の営業外収益に有価証券利息16,902千円、受取配当金17,500千円、投資有価証券売却益21,809千円を計上したこともあり、経常利益は475,052千円(前年同期比16.8%減)となりました。

(当期純利益)

当事業年度の当期純利益は、法人税等の計上158,659千円、法人税等調整額3,313千円の計上により316,275千円(前年同期比15.8%減)となりました。

 

b. 財政状態の分析

当事業年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社の運転資金等については、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は1,488,580千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。

今後の資本的支出としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりで、その調達源については、原則として、営業活動によるキャッシュフローを財源とします。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり、当事業年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。これらの見積りについて、当社は当事業年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的な仮定等に基づき算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性の影響から、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。

当社が財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

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