研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルのそれぞれの事業部門で定めた狙いに対して、基礎研究や応用技術から新規事業の開拓まで、先端技術で際立つための研究・開発を進めた。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、37,010百万円である。また、各セグメント別の研究開発内容及び研究開発費は次のとおりである。

(1) 住宅事業

 住宅事業では、「地球環境にやさしく、60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供」という事業ミッションのもと、新築住宅分野では、鉄骨系及び木質系ユニット住宅の新製品開発・要素技術の開発を、リフォーム分野では、ストック型住宅事業の強化に向けたリフォーム技術・メニュー開発を行っている。

 当連結会計年度の主な成果としては、以下の通りである。

 新築住宅分野では、“人生100年時代”に備えたレジリエンス機能に加え、換気システム・建材の機能や暮らし方提案を強化し“新しい生活様式”への対応力を高めた「レジリエンス 100 STAY&WORKモデル TS」を発売した(7月)ほか、新開発の大容量蓄電池と大容量太陽光発電システムを搭載し、「環境貢献」「経済性」「レジリエンス」の3つのスマート性能を大幅に進化させた「新スマートパワーステーションFR GREENMODEL」を発売した(10月)。

 リフォーム分野では、外壁・バス・蓄電池を中心に、商品ラインアップの拡充と対応力の向上を行った。

 当事業に係る研究開発費は3,410百万円である。

 

(2) 環境・ライフライン事業

 環境・ライフライン事業では、持続経営力強化と新たな成長に向けて、事業基盤再構築および生産性の抜本的改革および売上・利益のトップライン引き上げに取り組んでいる。これらに向けて研究開発部門では、生産革新技術開発にてBCPや生産性改善を実施するとともに、2021年度は21件の新商品を上市した。

 配管・インフラ分野では、金属管代替による新市場獲得と過去上市製品のお客様要望に応えた品揃えによるシェア拡大を実施している。排水管市場ではビルや集合住宅・ホテル等で採用されているエスロン単管式排水システムの拡充、雨水対策市場では易点検型ドロップシャフトの拡充製品を、プラント市場では半導体工場等に使用される透明で優れた帯電防止性能を有するエスロンDCプレートに真空成形で形状付与した後も帯電防止性能を保持するサーモフォームDCプレートを上市した。

 建築・住環境分野では、自動洗浄浴槽および高齢者入浴用器具の拡充製品を上市した。

 機能材料分野では、欧州高速鉄道車両内装材をターゲットに欧州鉄道内装用燃焼規格(EN45545)をクリアした欧州鉄道EN規格品を上市した。

 当事業に係る研究開発費は6,244百万円である。

 

 

(3) 高機能プラスチックス事業

 高機能プラスチックス事業では、高機能素材、成形加工品の新製品及び新素材、生産技術の開発を推進している。

 当連結会計年度の3戦略分野別の主な成果は以下のとおりである。

 エレクトロニクス分野では、次の成長領域と位置づける半導体・実装関連で、工程材(セルファⓇ)や回路の高集積化に必要な層間絶縁フィルムなどの部材を上市済みであり、さらに開発を継続中である。

 情報通信分野では、5G電波死角エリア解消を目的とした透明フレキシブル電波反射フィルムの新製品開発を進めている。

 また、融合強化領域と位置づけるカーエレクトロニクス部材(分野横断)では、環境対応車のリチウムイオンバッテリー向け放熱材料の拡販、新製品開発を進めている。

 モビリティ分野では、自動車の軽量化・省エネ・高度情報化に対応した新製品の開発に注力している。具体的には、自動車用中間膜において高性能遮音・遮熱などの新製品に加えて、搭載が拡大しているディスプレイ用途に向けた最適な製品の開発が進捗中である。また、発泡成形技術を利用した自動車用軽量化部材、薄膜技術を活用したADAS用ミリ波レーダーに用いる電波吸収体などの新製品開発・市場開拓を進めている。

 住インフラ材分野では、防火・耐火関連の新製品開発に注力している。当期は、不燃性ポリウレタンフォームの特長を活かし、有機材料として国内初の不燃認定を取得したウレタン系現場発泡不燃性断熱材(パックスフレイムⓇ)の拡販・新製品開発を進めている。また高齢化社会に向けた介護士の負担を減らすセンサー(ANSiELⓇ)を開発。独自開発の高精度センサーで検知速度が速く誤情報がほとんどないため市場評価も高く、製品だけでなく周辺アプリの開発も進めている。その他、昨今のCOVID-19による抗ウイルス製品ニーズの高まりを受け、建材市場(壁・床材など)に向けSIAA規格に準拠する製品の開発を進めている。

 当事業に係る研究開発費は14,180百万円である。

 

(4) メディカル事業

 メディカル事業では、検査事業と医療事業の研究開発を推進している。

 検査事業分野では、新領域への参入と機器ビジネスの更なる伸長のための新プラットフォーム開発に注力している。具体的には、高感度免疫測定技術で「がん」領域の拡大、および、遺伝子POCTシステムによる遺伝子検査市場参入を推進している。

 医療事業分野では、新たなペプチド合成法によるペプチド製造技術の開発と独自のPALSAR核酸測定技術を活用した高感度核酸医薬分析の市場開拓を推進している。

 当事業に係る研究開発費は6,943百万円である。

 

(5) その他事業

 その他事業では、「新事業創出による新たな社会的価値の創出と社会貢献」を目指し、主に環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野などの社会課題の解決に繋がるイノベーション創出に注力している。

 環境・エネルギー分野では、CO2排出量削減への大きな貢献が期待される究極の資源循環システムであるバイオリファイナリー技術(ごみ焼却施設が排出するガスから微生物の力でエタノールを製造)商用化の実証に向けて、岩手県久慈市に建設されたプラントが稼働した。さらに製鉄の際に排出されるガスからCO2を分離・回収し、再利用する技術開発にも取り組んでおり、世界をリードする鉄鋼および鉱業会社であるArcelorMittal, S.A.と鉄鋼プロセスに活用するカーボン・リサイクルの国際共同研究開発に着手した。

 一方、再生可能エネルギーの活用に向け、ペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでいる。「超軽量」の特徴から壁や重量制約のある工場屋根などへも設置が可能である。また、定置型リチウムイオン電池事業では、災害に強いレジリエント住宅用の蓄電池開発に注力し、エネルギー自給自足型の暮らしに特化した大容量蓄電池システムに採用された。

 ライフサイエンス分野では、細胞培養ソリューションとして足場材などの開発を進めている。

 当事業に係る研究開発費は6,231百万円である。

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