業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 a.経営成績

 当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに従来基準での比較で説明しております。

 

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数が一時的にピークアウトしたことから個人消費に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、変異株による感染者数の再拡大や資源エネルギー価格の高騰による物価上昇圧力、ウクライナ情勢の緊迫化も相まって、今後の先行きは不透明な状況となっております。

 そのような状況下、当社グループにおきましては、2020年10月に連結子会社化したシノムラ化学工業株式会社の業績寄与や巣ごもり需要等による軽包装材料セグメントの受注増加により従来基準では増収となりました。損益面では、下期以降の原油価格の高騰の影響が原材料価格を押し上げ収益を圧迫しておりますが、上期の堅調な需要を着実に取り込み営業利益は増益となりました。また、中国の関連会社「長鼎電子材料(蘇州)有限公司」に対する出資金を2022年1月に「浙江長星控股有限公司」に売却し売却益を特別利益に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。

 その結果、当社グループの経営成績は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用後で売上高286億74百万円、営業利益7億41百万円(前年同期比21.0%増)、経常利益9億73百万円(前年同期比7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億15百万円(前年同期比37.7%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、適用前の従来基準と比較すると、売上高が34億36百万円減少し、売上原価が34億34百万円減少いたしました。適用前の従来基準で算定した場合の売上高は321億10百万円(前年同期比7.1%増)であります。

 

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

セグメント別

 

売上高

 

構成比

 

 

軽包装材料

 

11,285百万円

 

39.4%

 

 

産業資材

 

9,464百万円

 

33.0%

 

 

機能性材料

 

7,639百万円

 

26.6%

 

 

その他

 

283百万円

 

1.0%

 

 

合計

 

28,674百万円

 

100.0%

 

 

 

(軽包装材料)

 食品用包材は、電子レンジ対応食品包材「レンジDo!」が巣ごもり需要や従来品からの切り替え需要により好調を維持しましたが、その他の食品包材の受注は落ち込みました。

 医薬品・医療用包材は高防湿PTP包装用フィルム「テクニフィルム」の受注回復及び一般医療用包材の受注回復により従来基準では増収となりました。

 日用品等の包材は、エアー緩衝材や化粧品関連が不調な中、ハンドソープ、消毒液等の詰替え用パウチの受注が堅調に推移したほか、その他の一般包材も受注が回復し、従来基準では増収となりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は112億85百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用前の従来基準で算定した場合の売上高は126億17百万円(前年同期比5.1%増)であります。

 

 

(産業資材)

 テープ基材等に使用される紙・布へのラミネート製品については、防災用品としての養生用テープ需要が堅調に推移しました。更に2020年10月に連結子会社化したシノムラ化学工業株式会社の業績寄与により増収となりました。

 剥離紙については、半導体不足の影響等による自動車メーカー各社の減産の影響を受け、自動車関連部材用途は低調であったことに加え、スマートフォン向けFPC(フレキシブルプリント基板)用工程紙についても同様の理由で下期の受注が減少いたしました。しかしながら、夏までの受注増加とシノムラ化学工業株式会社の業績寄与により増収となりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は94億64百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用前の従来基準で算定した場合の売上高は115億36百万円(前年同期比28.7%増)であります。

 

(機能性材料)

 オレフィン系粘着加工品については、テレワーク、オンライン授業の普及によりノートパソコン、タブレット端末用途の需要が増加し、粘着塗工タイプの表面保護フィルム「サニテクト」が従来基準では増収となりました。

 その他の粘着加工品については、中国の関連会社であった「長鼎電子材料(蘇州)有限公司」との資本関係解消等を起因に精密塗工タイプの表面保護フィルム「SAT」の受注が減少し減収となりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は76億39百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用前の従来基準で算定した場合の売上高は76億58百万円(前年同期比10.7%減)であります。

 

 b.財政状態

(資産)

 総資産は前連結会計年度末と比べて42百万円減少いたしました。これは受取手形及び売掛金が16億3百万円減少等の減少要因や、電子記録債権が6億47百万円増加、仕掛品が2億94百万円増加、原材料及び貯蔵品が2億59百万円増加、流動資産その他に含まれる未収入金が1億41百万円増加および投資その他の資産のその他に含まれる長期未収入金が2億94百万円増加等の増加要因によるものであります。

(負債)

 負債は前連結会計年度末と比べて11億11百万円減少いたしました。これは支払手形及び買掛金が3億99百万円減少、未払金が1億52百万円減少、未払法人税等が2億7百万円減少、流動負債その他に含まれる未払消費税が2億12百万円減少、繰延税金負債が1億32百万円減少および長鼎電子材料(蘇州)有限公司に対する債務保証損失引当金が引当金取崩に伴い2億50百万円減少等の減少要因や、電子記録債務が5億30百万円増加等の増加要因によるものであります。

(純資産)

 純資産は前連結会計年度末に比べて10億69百万円増加いたしました。これは利益剰余金が13億18百万円増加等の増加要因や、その他有価証券評価差額金が2億78百万円減少等の減少要因によるものであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、棚卸資産の増加額および有形固定資産の取得による支出等の減少要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益15億76百万円(前年同期比20.2%増)および減価償却費等の増加要因により、前連結会計年度末に比べ2億58百万円増加し当連結会計年度末には71億85百万円(前年同期比3.7%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は12億37百万円(前年同期比39.4%減)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益15億76百万円(前年同期比20.2%増)や、減価償却費8億10百万円(前年同期比7.1%増)等の増加要因や、棚卸資産の増加額6億63百万円(前年同期は棚卸資産の減少額3億70百万円)等の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は6億59百万円(前年同期比12.9%増)となりました。これは有形固定資産の取得による支出6億78百万円(前年同期比48.2%増)等の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3億35百万円(前年同期比50.5%減)となりました。これは連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出55百万円(前年同期は実績なし)や長期借入金の返済による支出2億62百万円(前年同期比65.9%減)等の減少要因によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

前年同期比(%)

軽包装材料(千円)

12,611,291

106.8

産業資材 (千円)

11,553,186

131.2

機能性材料(千円)

7,497,506

100.9

報告セグメント計(千円)

31,661,984

112.9

その他(千円)

37,769

22.9

合計(千円)

31,699,753

112.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.有償受給取引に係る顧客から購入した原材料等の支払いを含めた金額となっております。

 

b. 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

前年同期比(%)

軽包装材料(千円)

51,293

114.5

産業資材 (千円)

7,745

131.4

機能性材料(千円)

207,745

18.7

報告セグメント計(千円)

266,785

23.0

その他(千円)

210,378

39.4

合計(千円)

477,163

28.2

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c. 受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

軽包装材料

13,330,717

108.4

3,491,977

125.7

産業資材

11,706,678

128.1

1,085,873

118.5

機能性材料

7,311,021

82.3

630,220

64.5

報告セグメント計

32,348,418

106.7

5,208,071

111.5

その他

301,383

78.8

33,977

113.4

合計

32,649,802

106.4

5,242,048

111.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.有償受給取引に係る顧客から購入した原材料等の支払いを含めた金額となっております。

 

d. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

前年同期比(%)

製品

 

 

軽包装材料(千円)

11,231,052

産業資材 (千円)

9,457,135

機能性材料(千円)

7,413,993

報告セグメント計(千円)

28,102,181

その他(千円)

35,937

小計(千円)

28,138,119

商品

 

 

軽包装材料(千円)

54,767

産業資材 (千円)

7,841

機能性材料(千円)

225,933

報告セグメント計(千円)

288,542

その他(千円)

247,505

小計(千円)

536,048

合計(千円)

28,674,167

(注)当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、前年同期比(%)を記載しておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は軽微と判断していますが、感染拡大の収束が遅れた場合には、見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。

 

a.有形固定資産の減損

 当社グループは、有形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、減損損失の認識の要否の判定をしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識の見積りにあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、見積りの金額に影響を及ぼす可能性があります。

b.退職給付に係る負債

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。

c.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討結果につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討結果につきましても、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは、資金の流動性維持、健全性の高い財務基盤の構築を図ることを財務の基本方針としております。資金調達の方法といたしましては、必要な運転資金及び設備投資資金を内部留保と金融機関からの借入によって賄っております。当連結会計年度においては、長期借入金1億53百万円を資金調達し流動性の確保を行いました。

 今後も継続して設備投資を実施していくため、投資金額の抑制を図り資金負担を軽減するとともに、営業活動により得られるキャッシュ・フローの拡大、資本効率の向上を図ってまいります。

 

 

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