事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)携帯情報端末向け製品におけるリスク

 当社グループの機能性材料セグメントの製品である表面保護フィルムは、その大半がFPD(フラットパネルディスプレイ)向けに生産されております。FPDは、最終製品である液晶テレビやパソコンなどに組み込まれますが、中でもスマートフォン、タブレット端末などの携帯情報端末に搭載されるタッチパネル向けに付加価値の高い表面保護フィルムが使用される傾向にあります。

 その反面、タッチパネルは技術革新のスピードが速く、使用される光学用部材やその構成が短期的に変更されるリスクが常にあります。特に、近年では携帯情報端末の世界的普及と特定機種へのシェア集中によって、表面保護フィルム受注の振れ幅は拡大傾向にあるため、その振れ幅が著しく拡大した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原材料の価格変動・調達に関するリスク

 当社グループの製品は、石油化学製品(主にポリエチレン)を主な原材料としているため、その仕入価格は原油価格や為替相場の変動の影響を受けるものであります。また、製造原価に占める原材料費の割合が高いことから、原材料費の上昇が生産合理化と製品価格への転嫁で吸収しきれない場合には、売上総利益の低下につながり、収益成長に影響を及ぼします。

 また、当社グループは、使用する主要原材料、副資材等が、現在十分に確保されているものと認識しておりますが、これらの市場で世界的な需給逼迫が生じた場合には、主要原材料等の供給不足または供給遅延が発生し、当社グループが機動的にこれら主要原材料等を調達できないことが想定されます。あるいは、大規模災害等の発生によって原材料メーカーの生産設備が被災し、主要原材料等が一定期間調達不能に陥る場合もあり得ます。そのような場合には、当社グループの生産活動に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品の品質に関するリスク

 当社グループでは、品質に留意して製品の製造を行っておりますが、品質上の問題が発生する可能性をゼロにすることはできません。

 一方、当社グループの製品は、ユーザーにとっては一般に副資材として使用されており、ユーザーの商品価格と比較すると極めて少額ですが、多くの場合、その製品品質の良し悪しがユーザーの商品の品質に直接影響するというリスクを有しております。中でもLCD(液晶ディスプレイ)や電子部品等に使用される製品については、要求される品質レベルが年々高度化しており、品質リスクが顕在化した場合のユーザーの経済的損失は決して少なくありません。

 このため当社グループでは、万一に備えて製造物賠償責任保険に加入しておりますが、製品の不具合によるユーザーの損害が、当該保険の支払限度額を超える規模で発生した場合は、補償費用の負担が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)生産拠点集中のリスク

 当社グループの生産拠点は、静岡工場、袋井工場、掛川工場、掛川工場WEST、奈良工場、東邦樹脂工業㈱本社工場、シノムラ化学工業㈱静岡工場の合計7拠点でありますが、そのうち静岡工場、袋井工場、掛川工場、掛川工場WEST及びシノムラ化学工業㈱静岡工場の5拠点が静岡県内に立地しております。この地域は、以前より東海地震の発生が懸念されており、近年建設された掛川工場及び掛川工場WESTはその点を十分考慮して設計されておりますが、静岡工場、袋井工場及びシノムラ化学工業㈱静岡工場は、築後相当年数が経過しており、万一、大地震が発生すれば、これら3拠点の生産活動に相当程度の支障が生じる可能性があります。そのため、各セグメントにおいて、耐震性の高い工場や他県の工場への生産移管によって対処できるようリスクの軽減を図っておりますが、リスクを完全に排除できているわけではありません。また、想定外の規模の大地震が発生した場合は、掛川工場及び掛川工場WESTを含む5拠点に甚大な被害が及ぶことになりかねず、当社グループの生産活動に多大なる影響が生じる可能性があります。

 

(5)環境関連の法規制リスク

 当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、化学物質の管理、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染並びに温室効果ガスの排出等を規制する様々な環境関連法令の適用を受けております。このため当社グループでは、ISO14001の認証を取得するなどして環境に配慮した事業活動を展開しておりますが、環境関連法規制は年々厳しさを増しており、その確実な対応が課題となっております。

 また、地球温暖化防止に対する世界的気運の高まりを受け、2021年10月、わが国政府も2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを閣議決定のうえ表明しましたが、この目標を達成するため、近い将来、産業界に対し新たな規制が課せられることが予想されます。

 このように当社グループは常に環境規制に関するリスクに晒されており、将来、当社グループの事業収益に不相応な規制が追加または強化された場合には、この対応に係る費用が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)海外進出に伴うリスク

 当社グループは、2015年12月に中国上海市において当社グループの製品を主に取り扱う販売会社:燦櫻(上海)商貿有限公司(当社出資比率100%の連結子会社)を設立いたしました。

 同社は中国市場を主な活動エリアとする海外拠点であり、今後、わが国と中国との間の政治問題や現地の社会・経済情勢の変化、そして雇用環境、税制、各種法的規制の違い等に起因する様々な問題に巻き込まれるリスクがあります。そのため、これまで中国ビジネスに精通したコンサルタントや監査法人などから都度アドバイスをいただき、慎重に対応してまいりましたが、現時点で予期し得ない事態が発生した場合には、事業の遂行に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)新たな感染症の流行リスク

 2019年末に中国において発生した新型コロナウイルス感染症は、その後急速に周辺国から全世界へと流行が拡大しました。それを受けて、当社グループにおいては感染防止のための規則を制定し、全従業員に周知するとともに、時差通勤・在宅勤務制度の導入、事業所間の移動の原則禁止及びリモート会議の推進を図りました。また、職場内の従業員の動線見直しによる執務場所の変更や、万一の首都ロックダウンに備えて代替本社を静岡県掛川市のR&Dセンター内に設置可能とするなど、可能な範囲で事業継続のための対応をしてまいりました。

 その後、ワクチン接種の普及が世界的規模で進み、収束の兆しが見え始めたため、段階的に通常の事業活動体制に移行してまいりましたが、その後も新型株の出現等によって感染者が一定数発生しており、完全に収束するには至っておりません。そのような状況で、万一、当社グループ内で集団感染が発生した場合には、療養または自宅待機を要する対象者の役職や人数によっては、重要な機能の停止や一部のラインまたは事業所全体の稼働停止を余儀なくされることもあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

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