文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、「未来に向けて新しい価値を創造し、社業を通じて社会に貢献する。」という企業理念の下、創業以来、包装関連業界において多岐・多様にわたる市場ニーズを的確にとらえ、技術を磨きながら、産業の発展や生活の利便性を向上させる製品づくりを行ってまいりました。その間に培われた“ラミネート技術”、“コーティング技術”、“フィルム多層押出し技術”の3つの生産技術が当社グループのコア・テクノロジーであります。
このコア・テクノロジーをベースとした複合化技術によって、紙、プラスチック、金属箔等がもつそれぞれの特性を活かしながら、軽包装材料(食品用包材、医薬品・医療用包材、日用品等の包材)、産業資材(紙・布へのラミネート製品、剥離紙)、並びに機能性材料(オレフィン系粘着加工品、その他の粘着加工品)の製品を製造し、販売を行っております。
この事業活動を通じて、今後も社会に必要とされる製品を供給し続けるとともに、健全な成長・発展を遂げることが、すべてのステークホルダーが当社グループに期待する社会的役割であると考えております。
(2)経営戦略等
当社グループが生み出しうる収益の源泉は、創業80年にわたり培ってきた前述のコア・テクノロジーにあります。どのような時代にあっても、このコア・テクノロジーを絶えず進化させることで、既存の自社技術の陳腐化に備えるとともに、新技術の開発を推進いたします。
また、市場の動向、社会の変化を常に注視しながら、顧客のどのような要望にも真摯に対応することで製品開発のためのニーズを的確に捉えるよう努力いたします。その上で、魅力ある製品のラインアップ拡充と高付加価値製品の開発・拡販を推進し、収益基盤の安定化を図ります。同時に徹底したコスト削減を実施し、価格競争力と収益力の強化に努めます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための指標等について特に定めているわけではありませんが、売上高営業利益率を収益性の指標として使用しております。
(4)経営環境
当社グループは、前述のコア・テクノロジーを基に、時代の変化に合わせて技術を進化させ、今日まで製品の開発・改良を積み重ねてまいりました。その過程で当社グループの事業は大きく3つのセグメントに集約され、現在に至っておりますが、当社グループを取り巻く経営環境もセグメント毎に異なることから、以下にそれぞれの特徴を記述いたします。
軽包装材料セグメントにおきましては、紙、プラスチックフィルム、金属箔等を主原料とする軟包装材料を製造・販売しております。当社グループの製品は、食品用、医薬・医療用、日用品等(洗剤・トイレタリー用、精密機器用、その他様々な用途)に使用され、そのほとんどを国内ユーザー向けに販売しておりますが、国内市場は少子化に伴う人口減少が見込まれる中、拡大は期待できず、競合メーカーも数多く存在するため、競争は激化しております。また、近年、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化しており、将来の規制強化に対する対応を含め、この問題の取り組みが求められております。
産業資材セグメントにおきましては、紙・布へのラミネート製品(主として粘着テープ用基材)や剥離紙(主としてラベル用)を主要製品として製造・販売しております。これらの製品を使用して製造される顧客の最終製品の多くが国内では飽和状態に近く、競合他社の数も限られていますが、互いに他社の動向を警戒しながら激しいシェア争いが続いております。また、海外製品の流入による国内市場の侵食も進行しており、顧客からの価格や品質に対する要求は厳しさを増しております。
機能性材料セグメントにおきましては、FPD(フラットパネルディスプレイ)用など光学用途の表面保護フィルムを製造・販売しております。この市場は、近年のスマートフォンやタブレット端末の急速な普及に伴って成長を続けており、これら携帯情報端末の短期的なモデルチェンジと部材メーカー間の技術開発競争によって活況を呈しております。しかし、市場が世界規模に拡大する中、新技術や新製品のライフサイクル短縮化が進行し、大幅な需給変動が短期的に繰り返される状況にあります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
現在、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済の停滞状況から徐々に正常化への道筋にあるものの、昨年来の原油価格などの商品価格の急激な上昇や米国金融引き締めによる世界経済への影響、本年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの地政学リスクの高まりも相まって、今後の見通しが難しい状況にあります。
そのような状況の中、当社グループにおいては、事業セグメント毎に以下の取り組みを行い、業績改善に努めてまいります。
(軽包装材料)
需要の拡大が見込まれる電子レンジ対応食品包材の市場において、「レンジDo!」の拡販に努めてまいります。収益面では、子会社の東邦樹脂工業株式会社との連携を含め、当事業セグメント全体の生産性の改善に努めてまいります。また、将来の需要拡大を見据えて、環境対応包材の開発に取り組んでまいります。
(産業資材)
将来の需要の拡大が期待されるIT分野、自動車分野、メディカル分野向けの拡販に努めてまいります。収益面では、子会社のシノムラ化学工業株式会社との連携を含め、グループ内の工場間において、最適な生産体制を構築する他、新製品の開発や販売面での協力を進め、収益性の改善に努めてまいります。
(機能性材料)
テレビやスマートフォン向けに加えて、自動車関連部材向けの拡販に注力してまいります。中国をはじめとした東アジア市場に対しては、現地拠点の活用に加え、新たに得た技術提携先や販売代理店との協業により需要の掘り起こしを行ってまいります。顧客密着型の開発態勢を充実させ、顧客との協業関係を強化してまいります。
(サステナビリティへの取り組み)
各事業セグメントに共通する課題としましては、気候変動対策をはじめとした、サステナビリティに関する諸問題への取り組みが挙げられます。このため、当社では、2022年2月に「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。今後は、当委員会の企画・立案の下、これらの課題に対して全社横断的に取り組んでまいります。
(6)その他、会社の経営上重要な事項
該当事項はありません。
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