事業等のリスク

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 内部統制について

当社グループと特定の顧客との間の一部取引(以下「本件取引」)に関連して、当社の会計処理の一部について、不適切な会計処理が行われていたことが判明し、当社は、2022年1月11日付で東京証券取引所より「改善報告書」の提出請求、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求を受け、2022年1月25日付で「改善報告書」を提出しました。また、当社は、本件取引に関連して、2021年10月15日に中間報告及び2022年2月25日に最終調査報告書をそれぞれ特別調査委員会より受領しました。当社は、これらを受けて、2016年9月期から2020年9月期までの有価証券届出書及び有価証券報告書、ならびに2018年9月期第3四半期報告書から2021年9月期第2四半期までの四半期報告書について一連の訂正を行っております。その後2022年4月1日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されたこと受け同年5月19日に改めて改善計画・状況報告書を公表し、同年12月7日付で「改善状況報告書」を提出しました今後は、特別調査委員会からの提言も踏まえ、「改善報告書」及び「改善計画・状況報告書」に記載の改善措置と併せて、再発防止策の策定と着実な実行、及び内部管理体制等の強化に努めてまいります。

ただし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」において開示した通り、同日付で株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。当社は、当社と増進会ホールディングスとの間で安定的かつ強固な関係を構築し、旧経営陣による当社の経営への影響力を排除することにより市場からの信頼を回復させるとともに、増進会ホールディングスから内部管理等に精通した役職員の派遣を受け入れることにより内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が見込まれ、しかしながら、上記の内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が予定通りに進まない場合には、当社グループの信用の回復、経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社株式は2022年4月1日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されており、これより1年後に内部管理体制確認書を提出し、東京証券取引所による審査を受ける予定です。当該審査において、内部管理体制に問題が認められない場合には、指定は解除になりますが、問題があるとされる場合は、原則として上場廃止、又は6か月間の特設注意市場銘柄指定の延長後の再審査となります。当社は、上記のとおり、内部統制体制を再構築し、その運用に努めておりますが、特設注意市場銘柄指定が解除されない場合には、上場廃止となり、株価に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

(2) 教育プラットフォームサービスの収益化について

当社グループは、現在展開している学習サービスをスタディギアブランドに統一し、英検の唯一の公式ラーニングサービスである「スタディギア for EIKEN」に続き、漢検、数検等、新たな公式ラーニングサービス提供をスタートいたしました。

今後、的確なマーケティング戦略や営業戦略を通じて、同プラットフォームの個人ユーザー及び広告主を獲得し、収益の拡大を図ってまいりますが、計画通りに課金ユーザーや広告主の獲得が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 英検協会との関係について

当社グループは、主要事業において、特定の取引先に対する販売に大きく依存しております。英検協会に対して多くのサービスを提供しており、同協会に対する2022年9月期の全売上高に占める売上割合は49.9%となっております。当社グループの受注案件は多岐にわたりますが、その多くは、当社グループの能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストに係る業務設計及び運用力等に基づき受注しており、他社代替性が低いものと理解しております。今後も英検協会との安定的な取引関係の継続に努めてまいりますが、英検協会の業績が悪化した場合や英検協会との契約内容に変更が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) テストセンター事業の安定的運営について

当社グループは、英検協会による1日で英語4技能を測定することができる受験形態の「英検S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターの運営を2020年6月より本格的に開始いたしました。当社グループは、2022年9月末現在で42の直営のテストセンターを運営しており、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の発生に伴う稼働リスクが生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて

テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることで、ある程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の特に大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 当社グループの業績(売上高、営業利益)が四半期ごとに偏重する傾向があることについて

当社グループの主要顧客には公的機関を含む教育機関が多く、その多くが3月末を会計年度末としているため、受託事業における検収やなどが3月に集中する場合があります。また、テストセンター事業での英検等の受検者が第3及び第4四半期に増加する傾向が売上高と営業利益が増加する傾向にあります。

また、「テスト運営・受託事業」において、当社グループは2021年の全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)及び中学校第3学年の生徒を対象とした調査を共同受注しておりますが、この案件の売上高及び営業利益は第2及び第3四半期に集中する傾向にあります。

以上のとおり、当社グループの売上高及び営業利益は、商品やサービスの特性及び大きなプロジェクトの受注状況により、四半期毎の偏重が生じる傾向があります。なお、2022年9月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりです。
 
(単位:売上高/営業利益・千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2022年9月期合計

売上高

(%)

営業利益

(%)

売上高

(%)

営業利益

(%)

売上高

(%)

営業利益

(%)

売上高

(%)

営業利益

(%)

売上高

(%)

営業利益

(%)

テスト等ライセンス事業

332,416

(26.2)

73,272

(27.3)

409,652

(32.3)

156,166

(58.2)

255,376

(20.1)

△4,804

(△1.8)

270,665

(21.3)

43,912

(16.4)

1,268,111

(100.0)

268,547

(100.0)

教育プラットフォーム事業

592,082

(22.8)

132,064

(18.1)

642,100

(24.8)

203,390

(27.9)

701,551

(27.1)

213,032

(29.2)

657,301

(25.3)

181,555

(24.9)

2,593,035

(100.0)

730,042

(100.0)

テストセンター事業

692,147

(24.0)

91,377

(27.2)

626,756

(21.7)

△70,835

(△21.0)

684,121

(23.7)

116,791

(34.7)

879,011

(30.5)

199,187

(59.2)

2,882,036

(100.0)

336,521

(100.0)

AI事業

75,542

(24.5)

△145,086

(-)

75,607

(24.5)

25,557

(-)

72,110

(23.3)

25,477

(-)

85,664

(27.7)

17,322

(-)

308,924

(100.0)

△76,729

(-)

テスト運営・受託事業

388,067

(14.3)

△61,212

(△197.1)

662,603

(24.5)

20,066

(64.6)

1,295,519

(47.9)

49,187

(158.4)

360,126

(13.3)

23,017

(74.1)

2,706,316

(100.0)

31,059

(100.0)

合計

2,080,255

(21.3)

90,416

(7.0)

2,416,720

(24.8)

334,345

(25.9)

3,008,678

(30.8)

399,683

(31.0)

2,252,769

(23.1)

464,996

(36.1)

9,758,424

(100.0)

1,289,441

(100.0)

(注)四半期毎の割合は通期に対するパーセンテージです。

 

(7) 売上計上の期ずれが業績に与える影響について

当社グループが展開している「テスト運営・受託事業」においては、システム開発受託、コンテンツ開発受託等のサービスを行っております。また、ライセンス及びソフトウエアの提供においても、仕様変更や機能拡充等に関して変更料等を計上する場合があります。これらのサービスの提供においては、取引先の都合による検収時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上高及び利益の計上について翌四半期あるいは翌連結会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 海外事業展開について

現在、当社グループの海外拠点の活動はソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務・教育ベンチャーへの投資が中心となっており、コストセンターとなっています。海外事業展開に際しては、事前に進出する国の法律や規制等の確認及びマーケット動向調査や分析等に努めていますが、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替・金利などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) テスト運営・受託事業における収益性について

テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 少子化による需要の低下について

国内の教育市場については、構造的な少子化傾向がこのまま継続して市場の縮小と受験競争の緩和が進み、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループが提供するサービスの中心となる英語学習市場については、英語学習の低年齢化、英語試験の4技能化の要請、旺盛な企業による職員に対する英語教育需要等により足元は拡大傾向にありますが、少子化の影響による教育市場の縮小を受け、英語学習市場の拡大が頭打ちになる可能性があります。

 

(11) 教育に関わる各種制度の変更について

国内市場においては、2019年11月に決定した大学入試における民間の英語資格・検定試験活用の延期をはじめ、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対しては早期の察知及びこれを踏まえた適切な対応に努めておりますが、早期の察知や十分な対応ができない場合等において、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) システム開発について

当社グループが開発する教育関連システムについては、受託開発から当社グループがリスクをとって開発して使用料を得るライセンスモデルへと移行しております。これによりライセンス収入が経常的に見込める予定です。一方で、開発に際しては、戦略との整合性や投資金額の妥当性の検証に努めておりますが、アップフロントの開発コストが想定以上にかかった場合、サービス開始前の資金需要が発生する可能性があるとともに、さらにサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) コンテンツ開発について

当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また、ラーニングのためのツールは、様々なデバイスに対応する教材のアプリ化などにより必要な技術も高度化する傾向にあります。当社グループは、開発に際し、戦略との整合性や投資金額の妥当性の検証に努め、これらのサービスインに1~2年先立ってコンテンツ制作リスクを負って開発を行いますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 減損会計

当社グループは、各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられますが、今回の一連の調査の過程で、当2022年9月期において減損損失を595百万円計上しております。また、当社グループは海外を中心にEdTech企業及びEdTechに特化したベンチャーキャピタルに対して投資を行っており、これら投資先の業績が投資時の想定に届かない場合、保有するベンチャー企業株式等やベンチャーキャピタルの持分について減損損失の計上が必要となることが考えられます。

そのような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(15) 有利子負債依存度について

当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2021年9月期末及び2022年9月期末でそれぞれ42.0%、40.1%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。金融機関による下記(24)の本件取引に関する不適切な会計処理の評価次第では、金融機関との関係又は今後のファイナンスやその条件に影響が出る等により、当社グループのキャッシュ・フロー、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) システムトラブルについて

当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 個人情報の管理について

株式会社教育測定研究所は、「英ナビ・スタディギア」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。

株式会社教育測定研究所及び株式会社教育デジタルソリューションズはプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 人材の確保・育成について

当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成は重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。

しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(19) 自然災害

当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。

しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京に被害が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(20) 新型コロナウイルス感染症について

当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症について感染拡大初期より対応・対策を進め、グループの従業員及びその家族の安全確保を第一として、グループ各社の感染状況の情報集約体制の構築、全社的な在宅勤務の実施、また、出社する場合は、外出前の検温、マスクの着用、手指の消毒、相互の離隔といった対応を引き続き実施しております。

今後も感染の拡大や変異によるワクチン効果の低下が発生した場合には、グループ各社や委託先の従業員の感染症罹患による事務所等における稼働率低下、各種試験団体による試験の中止や受験者数の大幅な減少、販売先・取引先における事業活動の制限の影響等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(21) 技術革新等について

インターネット、クラウドコンピューティング、AIの開発環境は技術進歩が速く、当社グループはソフトウエア投資等を通じて技術進歩に対応するべく努めておりますが、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(22) 知的財産権について

当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(23) 配当政策について

当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。

ただし、当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。

 

(24)法的規制等について

当社グループは、下請法の他、広告事業拡大に伴い景品表示法の適用を受けております。当社グループではこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、当社グループに適用のある各種法令・規則や税制等に関連して、今後急激に変更若しくは新たな規制の導入等が行われ又は当社グループが行政処分、行政指導、司法手続等の対象になった場合や、その他当社グループに関連して訴訟や紛争等が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(25)継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、当連結会計年度において、テストセンター事業を中心にした売上の増加により前年比増収となった一方で、テストセンター事業に関連する事業損失引当金の計上や、人員増等に伴う人件費の増加、ソフトウエア開発投資に伴う減価償却費の増加、地代家賃の増加等により、営業損失234,391千円を計上しております。これに伴い足元の顧客からの受注状況や既存プロジェクトの採算性を見直したことで、減損損失等595,849千円を計上しております。また、その他にも当社グループにおける過年度に遡及した会計処理の訂正に起因した訂正報告書を提出するための特別調査費用や追加の監査費用を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円を計上しており、営業キャッシュ・フローは△581,118千円となっております。このため、当社グループでは継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。

 しかしながら、当社グループでは、従来取り組んでいた不採算なプロジェクトからの撤退の検討や採算性の高いプロジェクトへの注力による選択と集中を推進するほか、新規の開発計画の見直し、販管費を含めた固定費の削減等を行うことで、営業キャッシュ・フローの創出、収益率の改善を継続的に図り経営基盤の強化・安定に努めてまいります。

資金面においては、主力金融機関と良好な関係を維持しており、継続的な支援が得られるよう取引金融機関と協議することで、手元流動資金の確保に努めており、当連結会計年度末において6,053,510千円の現金及び預金を確保しており、財務基盤は安定しております。

また、当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」にて開示の通り、同日付で株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。

以上から、当社グループでは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

(26)増進会ホールディングスとの関係について

当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」において開示した通り、株式会社増進会ホールディングスとの間で資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。当社と株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携は当社の収益力の強化ひいては当社の企業価値向上に資すると考えておりますが、資本業務提携契約解消等により、当社と株式会社増進会ホールディングスの関係に変化が生じた場合には、上記「(1)内部統制について」に記載の点に加え、レピュテーションリスクの増加、共同研究や協同プロジェクトを単独で遂行することによるリスクの増加、資本業務提携契約に基づく当社に対する貸付等の資金調達の支援を得られなくなること等が生じる可能性があります。このような場合及びその他の理由で株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携又は当社の収益力の強化若しくは当社の企業価値向上が予定通りに進まない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得