新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会・経済活動や世界の人々の暮らしに引き続き大きな影響をもたらしています。世界各国でワクチン接種が進むものの、変異ウイルスの拡大もあり、経営環境は依然として不透明な状況が続いています。
新型コロナウイルス感染症の拡大の長期化は、生活者の衛生に対する意識の変化や、外出自粛やマスク着用の常態化に伴うメイク等に対する価値観の変化、また、Eコマース利用の急増等の消費行動の変化をもたらしています。
このような中で、当社グループの主要市場である日本のトイレタリー市場は、繰り返される感染症の再拡大や昨年発生した需要拡大の反動により、本格的な回復には至っていません。また、化粧品市場は、各地で続いた緊急事態宣言の影響が大きく、回復の力強さは見られない状況にあります。
以上の環境下における、新型コロナウイルス感染症の拡大と生活者の変化に伴うリスクは次のようなものがあり、適切な対応ができない場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。
・感染力の高い変異ウイルスの影響等による、当社グループ拠点やサプライチェーン上での集団感染(クラスター)の発生、又は、国や自治体からの要請に伴う、操業の一時中断や製品・サービス提供への支障
・リモートワークができない業務が原因となる商品開発や発売計画の遅れ
・感染再拡大や長期化による、化粧品市場等の回復の遅れ
・生活者の意識や価値観の変化、消費行動の変化への対応不足による競争力の低下
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新型コロナウイルス感染症への対応として、緊急事態対策本部会議(本部長:代表取締役社長執行役員)を開催して、社員と家族の安全確保、事業活動の継続を中心に、次のような対応を実施しました。
・国や自治体の方針、又は、感染状況に応じた勤務体制、働き方(リモートワーク・在宅勤務の推進、出張制限、研修・イベント・見学の制限等)を「危機管理措置」として実施
・社員と家族における感染者・濃厚接触者等の状況を把握し、対象者のケアとクラスター発生防止対策の実施
・社員と家族に対するワクチンの職域接種の実施
・感染拡大国や地域における、感染防止対策の強化と、当社グループ会社間の連携による事業継続活動の実施
・業務のデジタル化の一層の推進と、リモートワーク等の新しい働き方に対する会社制度の見直し
また、事業戦略として、コアブランドへの集中投資や新しい生活様式に対応するデジタル化の推進、Eコマースの強化等に取り組みました。
★主なコーポレートリスクのテーマと対応
<パンデミック>
新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、次のパンデミックに備えたガイドライン、行動計画の見直しを進めました。
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社会的課題への対応に関するリスク
当社グループのコンシューマープロダクツ事業、ケミカル事業は、景気変動や消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。
海洋プラスチックごみ問題、気候変動、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境・人権の問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会的課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流や、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。そして、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、この傾向を一層高めています。こうした社会的課題に関する生活者の意識や顧客ニーズの変化に対して、適切な製品やサービスを提供できない場合、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。また、社会的課題への取り組みが不十分と見なされた場合、企業価値の低下につながる可能性があります。
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当社グループは、事業戦略にESG視点を融合させた、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)の下で、原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るあらゆる段階での技術革新によるイノベーションと、当社グループメンバー全員がその目的や内容を正しく理解し、それぞれの役割と責任を果たすためのKLP推進活動を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指しています。そして、この成果を早期に示せるよう、しっかり取り組むと同時に、これら取り組みを積極的にステークホルダーに示すことに努めています。
コンシューマープロダクツ事業においては、生活者との接点である各「ブランド」を通じて、対応すべき社会的課題を明確にし、モノ発想ではなく、生活価値視点でのマーケティングである『Life Value Solution Marketing』を推進しています。商品設計の段階から社会・環境に配慮した『ESGよきモノづくり』で、当社グループの持てる資産の最大化を行うことで、生活者のより豊かな暮らしと、社会のサステナビリティへの貢献に取り組んでいます。
ケミカル事業においては、ケミカルの技術革新を通じて社会的課題の解決に貢献し、顧客ニーズの変化や技術の高度化に対応しています。サステナブルで特徴ある油脂誘導体等の開発を強化し、情報材料・機能材料事業でも、さらなる環境負荷低減に導くソリューションを提供していきます。
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