当社グループは、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、自社研究に加え、技術導入、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究など、あらゆる方法で最先端の技術を取り入れて、研究開発活動に取り組んでおり、優れた医薬品の継続的な創製を目指しています。また、感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスへの貢献を目指しています。さらに、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の本格的な事業開始に向けた準備を進めています。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
(1)精神神経領域
① ulotaront(開発コード:SEP-363856)
統合失調症を対象とした米国でのフェーズ3試験および日本・中国でのフェーズ2/3試験を推進しました。
② SEP-4199
米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を開始しました。
③ 新たに2品目のフェーズ1試験を開始しました。
(2)がん領域
① DSP-7888(一般名:アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)
米国および日本において、再発または進行性膠芽腫を対象としたフェーズ3試験を実施していましたが、中間解析の結果を受け、最終解析で主要評価項目を達成する可能性が低いと判断し、本試験を中止しました。
② 新たに1品目のフェーズ1試験を開始しました。
(3)再生・細胞医薬分野
① 「リサイミック」(開発コード:RVT-802)
米国において、小児先天性無胸腺症を適応症とした承認を2021年10月に取得しました。
② 他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞
京都大学において実施されているパーキンソン病を対象とした医師主導治験の全7例の移植が完了しました。
③ 他家iPS細胞由来網膜シート
神戸市立神戸アイセンター病院において、当社が製造した網膜シートを用いた網膜色素変性全2例に対する臨床研究が実施されており、移植から1年後も生着していることが確認されました。
(4)感染症領域
① lefamulin
中国において、2021年10月に細菌性市中肺炎を対象とした承認申請を行いました。
② 薬剤耐性菌感染症治療薬
北里研究所との共同研究を通じてカルバペネム耐性菌感染症治療薬を目指して創製された KSP-1007のフェーズ1試験を米国で開始しました。なお、本共同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。
③ マラリアワクチン
愛媛大学、European Vaccine Initiative(EVI)およびInstituto de Biologia Experimental e Tecnológica(iBET)とのマラリア発病阻止ワクチンの共同研究ならびに愛媛大学および米国PATHとのマラリア伝搬阻止ワクチンおよびマラリア感染阻止ワクチンの共同研究を推進しました。なお、これら3つのプロジェクトについては、それぞれグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の助成案件に選定されています。
④ ユニバーサルインフルエンザワクチン
医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究では前臨床研究を推進しました。なお、本共同研究は、AMEDのCiCLEに係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。
(5)その他の領域
① レルゴリクス配合剤
米国において、子宮筋腫に伴う過多月経を適応症とした承認を2021年5月に取得しました(製品名「マイフェンブリー」)。さらに、2021年7月に子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを対象とする適応追加申請を行い、同年9月に受理されました。
欧州において、中等度から重度の子宮筋腫を適応症とした承認を2021年7月に取得しました(製品名「ライエクオ」)。
② 「ツイミーグ」(一般名:イメグリミン塩酸塩)
日本において、2型糖尿病を適応症とした承認を2021年6月に取得しました。
(6)フロンティア事業
① 2021年10月に、BehaVR, Inc.(ビヘイビア社)との間で、社交不安障害、全般不安障害および大うつ病性障害を対象としたVRコンテンツの共同開発および販売提携契約を締結しました。
② 日本において、株式会社Save Medicalと共同開発を実施していた2型糖尿病管理指導用モバイルアプリケーション(開発コード:SMC-01)について、フェーズ3試験の結果、主要評価項目が未達となり、開発を中止しました。
③ 手指麻痺用ニューロリハビリ機器、認知症周辺症状用機器、メンタルヘルスVRコンテンツ等の既存テーマの研究開発を提携先と協力して推進しました。
このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は 949 億円(前連結会計年度比 28.5%減 )となりました。なお、当該金額は当連結会計年度に計上した減損損失等9億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は940億円(前期比3.2%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
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