業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 気象リスクへの関心の高まり、世界的なテーマである気候変動への適応策・緩和策ニーズの増加や情報通信技術の発展によって、気象サービス市場は今後も成長を続けると当社は考えています。

 売上面では、モバイル・インターネット気象事業において、積極的な広告投資を通じた認知度向上、予報精度の改善、独自コンテンツの充実によりアプリ利用者数が増大し、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が引き続き好調に推移しました。また、航海気象事業において、コロナ影響による港湾混雑等で荷動きの鈍化が残るものの、運賃高騰など海運市況の回復が進み既存顧客へのサービス提供数が増加したことや円安が進んだ影響により売上が増加しました。その結果、当期の連結売上高は19,650百万円(前期比4.3%増)となりました。

 利益面では、テレビCMやネット広告等の積極的な広告投資やソフトウエア開発能力の継続的強化に伴う人財投資を増加させました。一方、ソフトウエア開発のインハウス化・アジャイル化による開発体制の効率化や、多様な働き方の一つとしてリモートワークを推進すると同時にオフィスの一部返却による最適化を図りました。その結果、営業利益は2,904百万円(前期比18.8%増)、経常利益は3,063百万円(前期比19.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益はソフトウエア開発計画の見直しに伴う減損損失及び投資有価証券評価損などの特別損失を計上し、2,157百万円(前期比15.9%増)となりました。

 

(事業別の状況)

 

<航海気象>

港湾の人員不足による滞船状況の改善が見られなかったものの、コンテナ船の運賃高騰などで海運市況全体としては回復の動きを見せました。サービス提供数に相関する船舶の稼働率についても緩やかながら改善し、アジア・欧州のコンテナ船、アジアのバルク船、日本の自動車船の既存顧客を中心に売上が増加しました。

 

<航空気象>

エアライン市場ではコロナ影響による市況低迷が継続していることからアジア顧客を中心に売上が減少したものの、国内ヘリコプター市場では動態管理システムの拡販で顧客獲得が進み、航空気象事業全体の売上は横ばいとなりました。

 

<陸上気象>

サービスの主要な提供先である国内の鉄道及び高速道路市況は、回復傾向となるものの従来水準までは戻らず厳しい状況が継続しました。また、一部顧客への売上及び一時的な受託調査業務が減少しました。

 

<環境気象>

エネルギー供給の不安定化に伴う価格高騰が継続し、再生可能エネルギーの発電量予測サービスへの引き合いが日本及び欧州で増加しました。また、製造、小売向けにはマーケティング強化を継続し、全体では増収となりました。

 

<その他BtoB気象>

スポーツ気象事業において、東京オリンピック・パラリンピックにおける気象情報提供に関する業務の委託を受けた結果、売上が増加しました。

 

<モバイル・インターネット気象>

テレビCM放映やネット広告などの積極的な広告投資による認知度の向上によってアプリ利用者数が順調に増加しました。また、日本国内における天候が比較的安定する中で、自社配信コンテンツの充実、アプリのUI/UXの継続的な改善などを通じてユーザーのアプリ満足度・活用度を向上させる各種取り組みを行った結果、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が増加しました。

 

 なお、広告収入における地域別売上高の集計方法に関して、従来は顧客の会社所在地に紐づけて集計しておりましたが、ビジネスの展開地域の実態と合わせるために、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに実際のサービス提供地域に紐づけた集計方法に変更しております。また、「収益認識に関する会計基準」を適用したことにより、当連結会計年度のモバイル・インターネット気象事業の広告事業において従来の会計処理方法に比べて売上高及び費用がそれぞれ159百万円の減少となっています。

 

<放送気象>

主要顧客である放送業界の業績は昨年のコロナ影響の反動で回復を見せ、放送局向けシステムの更新サイクルの影響でシステム販売が増加したものの、放送局の構造的変化によるコスト見直しの影響を受け、売上は横ばいとなりました。

 

 

事業区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

(百万円)

増減率

(%)

SRS

トールゲート

合計

SRS

トールゲート

合計

合計

 

航海気象

18

4,779

4,798

3

5,198

5,202

8.4

 

航空気象

119

807

927

55

878

934

0.8

 

陸上気象

470

3,180

3,651

243

3,019

3,262

△10.6

 

環境気象

149

719

869

114

780

894

2.9

 

その他 BtoB

7

6

13

16

48

65

388.2

BtoB事業 計

765

9,493

10,259

433

9,925

10,359

1.0

 

モバイル・インターネット気象

18

6,087

6,106

15

6,806

6,821

11.7

 

放送気象

513

1,963

2,477

561

1,908

2,470

△0.3

BtoS事業 計

532

8,051

8,583

576

8,714

9,291

8.2

合 計

1,297

17,545

18,843

1,010

18,640

19,650

4.3

 

 

(参考)地域別売上高

地域区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

(百万円)

増減率

(%)

SRS

トールゲート

合計

SRS

トールゲート

合計

合計

 

日本

723

5,817

6,540

401

5,873

6,275

△4.1

 

アジア

3

1,718

1,722

-

1,927

1,927

11.9

 

欧州

38

1,652

1,691

32

1,833

1,865

10.3

 

米州

-

304

304

-

290

290

△4.6

BtoB事業 計

765

9,493

10,259

433

9,925

10,359

1.0

 

日本

532

7,562

8,094

576

8,041

8,618

6.5

 

アジア

-

485

485

-

672

672

38.4

 

欧州

-

2

2

-

1

1

△63.8

 

米州

-

0

0

-

-

-

-

BtoS事業 計

532

8,051

8,583

576

8,714

9,291

8.2

合 計

1,297

17,545

18,843

1,010

18,640

19,650

4.3

(注)トールゲート:高速道路の料金所に例えた当社独自の事業形態。サービス提供の対価として継続的に発生する売上

SRS(Stage Requirement Settings):将来のトールゲート売上につながる一時的な調査やシステム販売

BtoS事業:個人向け事業(Sはサポーターの意)を指す

 

② キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等891百万円を支払う一方で、税金等調整前当期純利益2,931百万円を計上したことなどにより3,573百万円の収入(前期2,479百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支払などにより395百万円の支出(前期615百万円の支出)となりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより1,098百万円の支出(前期1,094百万円の支出)となりました。

 現金及び現金同等物に係る換算差額93百万円を加算し、現金及び現金同等物の当期末残高は11,422百万円(前期末9,249百万円)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績及び受注実績

当社グループの主な事業は、気象情報を中心とした総合的なコンテンツ提供サービスです。加えて、継続的にサービスを行うトールゲート型ビジネスを主に展開しているため、受注生産方式を採用していません。このため、生産実績、受注実績を数量、金額で示すことはしておりません。

 

b. 販売実績

当連結会計年度における事業別売上高は下記のとおりであります。

事業区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

増減率

 

百万円

百万円

BtoB事業

10,259

10,359

1.0

BtoS事業

8,583

9,291

8.2

合計

18,843

19,650

4.3

(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

2,363

12.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

<1>経営成績の分析

当社グループは「Global Business (BtoB事業での国内:国外のトールゲート売上比率 50:50)」の基本戦略のもと、4ヵ年の中期経営計画を策定しております。3年目となる当期における進捗については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 

<2>財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金などの増加により、前連結会計年度末に比べて1,434百万円増加し、19,127百万円となりました。負債は、契約負債などの増加により、前連結会計年度末に比べて30百万円増加し、2,283百万円となりました。

 純資産は、前期末及び当中間期末に配当1,098百万円を行う一方で、親会社株主に帰属する当期純利益2,157百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて1,404百万円増加し、16,843百万円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は87.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

<1>キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

<2>所要資金の調達方針

 当社グループの所要資金の調達は、当社グループにおける財務安定性及び資本コストの適正性を勘案して行うことを方針としております。また、グループにおける資金需要を当社にて一元把握し、調達することとしております。基本的に、多額な設備投資以外の資金需要は「営業活動によるキャッシュ・フロー」により確保することとし、子会社(グローバルビジネスモデルにおけるSSB)にて資金の不足が生じる場合には、当社からの貸付けによって補うことを原則としております。

 なお、グローバルビジネスモデルにおけるSSBは、本来的に戦略性に重点をおいた販売拠点展開として投資しているため、資金を固定的に用いるのではなく、その販売拠点の戦略性の変化に対してダイナミックに変化させることができるものとなっております。

 

<3>資金調達の方法

 運転資金につきましては、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を原資として、必要な場合は金融機関からの短期的な借入を行い、設備投資・投融資資金につきましては、金融機関からの長期借入金・社債及び証券市場を通じての増資等により調達することとしております。また、より効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。

 

<4>資金の流動性について

 当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の方針としております。当連結会計年度は、現預金及びコミットメントラインを十分に確保し、資金の流動性を維持しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は11,422百万円となっております。また、流動比率は707.7%となっております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。

 

<1>貸倒引当金の計上

 当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財政状態の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。

 

<2>固定資産の減損処理

 当社グループは、事業用資産について、内部管理上、キャッシュ・フローを生み出す最小単位を基準として資産のグルーピングを行っております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討してまいりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

<3>繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。

 

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