研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、民間の気象情報会社として「全世界79億人の情報交信台」という夢を掲げ、気象が水・エネルギー・交通・通信に続く第5の公共資産=公共インフラであると考え、世界中のあらゆる企業、個人の生命、財産に対するリスクを軽減し、機会を増大させることを実現する気象サービスを目指しています。すでにグローバルに展開している航海気象に加えて、航空気象、陸上気象、環境気象についてもグローバル展開を推進していく今後を見据えて、革新的な気象サービスを実現する技術及びインフラの構築に注力しています。研究開発活動においては、技術的な側面にとどまらず、事業の立ち上げを視野に入れ、市場創造を実現する体制の構築に取り組んでいます。

 

(1)革新的サービスを実現する技術開発及びインフラ構築

 航海気象事業では、造船工学手法を活用した船舶性能の推定精度向上やビッグデータとAI的評価を活用した最適航路抽出ロジック構築など、運航最適化を支援する航路計画策定システムの開発を行っています。公益財団法人の無人運航船プロジェクトに参画し、開発したシステムと超高解像度予測モデルを用いて、航海気象専門の気象予報士が陸上から運航を支援し、世界屈指の海上交通過密海域である東京湾内での実証実験に成功しました。

 また、陸上気象事業では、自動車会社と共同で、気象とコネクティッドカーから得られる車両データを活用した道路の凍結箇所を把握するための実証実験を行いました。過去にも道路冠水検知や、ワイパーデータを用いた実証実験を行っており、継続してドライバーの安全性向上に向けた取り組みを行っています。

 観測インフラについては、高頻度観測小型気象レーダー「EAGLEレーダー」の実証実験を開始しました。本レーダーで周囲360度を高速スキャンし、雲の立体構造を高頻度で観測することで、ゲリラ豪雨や大雪などの突発的な気象をリアルタイムで把握することが可能です。除雪作業判断支援サービスへの活用に向けた準備を進めています。設置は日本のみならずアジアへ展開しており、第一弾としてベトナムのハノイに設置しました。ベトナムでは、洪水リスクの早期検知や予測精度の向上に活用します。さらに、雨・雪・雲(霧)を自動判別する世界初の多周波気象レーダーの開発を新たに開始しました。ドローンや空飛ぶクルマなど次世代空モビリティの発展を見据えて、低高度の雲の内部の観測を可能にすることを目的としています。

 

(2)革新的サービスを実現する予報モデル及びAI技術開発

 気象災害による被害を減らすべく、超局地的な予測モデルや短時間予報解析モデル等、より高解像度・高頻度の予測モデルを開発し、継続的に予報精度の改善を行っています。また、AIを利用することで、既存のモデルで上手く表現されなかった地形効果による雲の発達や衰弱・速度変化も反映されるようになりました。さらに、雨雲レーダーの高解像度化により、ゲリラ豪雨などの局地的かつ突発的な現象など従来モデルでは困難だった現象の捕捉や地域への天気予報精度を向上させています。具体的には、過去の発電量実績データと気象データのAI学習を通じて構築した高精度な統計モデルによる日射量予測のAPI提供を開始しています。また、過去の浸水災害のビッグデータを活用し、96時間以内の浸水被害リスクをピンポイントで予測する技術も開発しました。

 

 なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は534百万円であります。

 

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