業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、緊急事態宣言の再度発出、まん延防止等重点措置の再適用で経済活動が大きく制限されました。また、原油価格や原材料価格の上昇が個人消費に与える影響、混沌とした世界情勢、特にウクライナ情勢等、依然として先行き不透明な厳しい状況が続いております。

このような環境の中、当社は慶應義塾大学発ベンチャーとして、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする”をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」という目標のもと、新型コロナウイルス感染症の感染防止を第一に、自宅勤務、時差出勤、事務所及び研究室の衛生管理等を実施し事業活動を行ってまいりました。研究開発では、「両利き経営」の概念のもと、基礎研究(発見・新規知財)の継続及びパートナー企業との共同研究開発(深堀・知財の導出)を強化してまいりました。事業開発では、ドライアイ領域での特許実施許諾契約(TLM-001)の締結、近視領域での共同研究契約(TLM-003)のマイルストーン達成及び契約対象国追加による実施許諾契約、共同研究契約の追加覚書の締結、老眼領域での業務委託契約(TLM-006)のマイルストーン達成、脳領域での共同研究契約(TLG-005)のマイルストーンを達成いたしました。

これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高は640,921千円(前年同期売上高687,502千円)、営業利益は136,169千円(前年同期営業利益250,242千円)、経常利益は202,340千円(前年同期経常利益255,838千円)、当期純利益は153,319千円(前年同期当期純利益201,609千円)となりました。

なお、当社は研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

② 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して539,217千円増加し、1,617,795千円となりました。

流動資産は、前事業年度末と比較して511,143千円増加し、1,515,127千円となりました。これは主に、当期純利益の獲得、共同研究契約の前受研究費等による現金及び預金の増加564,156千円及び当社パイプラインであるTLG-001の治験費用等による仕掛品の増加85,235千円であった一方で、前事業年度に達成したマイルストーン・ペイメントの回収等による売掛金の減少144,144千円によるものであります。

固定資産は、前事業年度末と比較して28,073千円増加し、102,667千円となりました。これは主に、研究用機器の導入による工具、器具及び備品の増加24,588千円によるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して385,897千円増加し、873,442千円となりました。

流動負債は、前事業年度末と比較して410,377千円増加し、674,102千円となりました。これは主に、共同研究契約の前受研究費等による契約負債(前事業年度は前受金)の増加484,900千円によるものであります。

固定負債は、前事業年度末と比較して24,480千円減少し、199,340千円となりました。これは、長期借入金の返済による減少24,480千円によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して153,319千円増加し、744,353千円となりました。これは、当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加153,319千円によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、564,156千円増加し、当事業年度末には1,174,929千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は654,914千円(前年同期は36,724千円の収入)となりました。

これは主に、税引前当期純利益202,340千円、売上債権の増減額144,144千円及び契約負債(前期は前受金)の増減額484,900千円の増加要因があった一方、棚卸資産の増減額85,235千円及び法人税等の支払額85,761千円の減少要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は72,228千円(前年同期は43,602千円の支出)となりました。

これは、有形固定資産の取得による支出72,228千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は18,530千円(前年同期は236,972千円の収入)となりました。

これは、長期借入金の返済による支出18,530千円によるものです。

 

 

④ 生産、受注、仕入及び販売の状況

a. 生産実績

当社は直接的な生産活動は行っておりませんが、製造原価の品目としては経費のみであることから、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

研究開発事業

640,921

93.2

合計

640,921

93.2

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、前事業年度のマルホ㈱に対する販売実績はありません。また、当事業年度の大日本住友製薬㈱(現 住友ファーマ㈱)に対する販売実績は当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

相手先

前事業年度

(自  2020年4月1日

  至  2021年3月31日)

当事業年度

(自  2021年4月1日

  至  2022年3月31日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

マルホ㈱

100,000

15.6

ロート製薬㈱

540,882

78.7

407,325

63.6

大日本住友製薬㈱(現 住友ファーマ㈱)

90,000

13.1

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析

当事業年度末の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。

 

・売上高

当事業年度の売上高は640,921千円(前期比46,581千円減)となりました。これは主に、ドライアイ領域の実施許諾契約を締結したことによる、契約一時金100,000千円及び近視領域の実施許諾契約及び共同研究契約の追加覚書を締結したことによる、契約一時金、マイルストーン・ペイメントの合計416,000千円の計上によるものであります。

 

・売上原価、売上総利益

当事業年度の売上原価は83,903千円(前期比3,165千円増)となりました。これは主に、脳領域における研究費の計上によるものであります。その結果、売上総利益は557,018千円(前期比49,746千円減)となりました。

 

・販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度の販売費及び一般管理費は420,848千円(前期比64,325千円増)となりました。これは主に、事業拡大による人件費167,511千円(前期比33,816千円増)、研究開発強化による研究開発費116,972千円(前期比8,750千円増)、減価償却費28,258千円(前期比14,063千円増)等の計上によるものであります。その結果、営業利益は136,169千円(前期比114,072千円減)となりました。

 

・営業外収益、営業外費用、経常利益

当事業年度の営業外収益は67,201千円(前期比60,252千円増)となりました。これは主に、脳領域における研究開発等の助成金収入66,101千円(前期比61,513千円増)の計上によるものであります。営業外費用は1,030千円(前期比321千円減)となりました。これは主に、支払利息1,027千円(前期比273千円減)の計上によるものであります。その結果、経常利益は202,340千円(前期比53,498千円減)となりました。

 

・特別損失、法人税等合計、当期純利益

当事業年度の特別利益、特別損失の計上はありません。当事業年度の法人税等合計額は49,021千円(前期比5,208千円減)となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税を47,408千円(前期比10,369千円減)計上したことによるものであります。これらの結果を受け、当事業年度の当期純利益は153,319千円(前期比48,289千円減)となりました。

 

 

② 財政状態

財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、各パイプラインの事業化(上市)を目指して実施許諾または共同研究開発を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいりました。当事業年度の達成状況につきまして、売上高については、ドライアイ領域での特許実施許諾契約(TLM-001)の締結、近視領域での共同研究契約(TLM-003)のマイルストーン達成及び契約対象国追加による実施許諾契約、共同研究契約の追加覚書の締結、老眼領域での業務委託契約(TLM-006)のマイルストーン達成、脳領域での共同研究契約(TLG-005)のマイルストーンが達成したことにより640,921千円となりました。また、研究開発費については、116,972千円となりました。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」並びに「第2 事業の状況 5研究開発活動」に記載のとおりであります。

今後もパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、基礎研究の強化を図るとともに、国内に展開している各パイプラインを海外へと横展開を推進し、各パイプラインの進捗状況等を目標に努めてまいります。

なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社のパイプライン」に記載しております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

当社の資金の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資資金となります。

 

⑥ 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。

当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。

 

(仕掛品の評価)

仕掛品の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。

当該収益性の見積りには、マイルストーンの達成などの将来の未確定事象に係る見積要素が含まれており、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであります。

そのため、翌事業年度において、研究開発結果によりマイルストーンの達成が困難となり共同研究開発が終了した場合には、損失が発生する可能性があります。

 

⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

⑧ 経営者の問題認識と今後の方針にあたって

当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」ということを経営方針としております。この経営方針実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。

 

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