業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  (1)経営成績等の状況の概要

     当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状

   態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末(2021年12月31日)における資産合計は、前連結会計年度末(2020年12月31日)と比較して

 399億89百万円増加し、6,981億29百万円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度

 末と比較して171億67百万円増加し、1,983億86百万円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、

 前連結会計年度末と比較して228億22百万円増加し、4,997億42百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高2,920億33百万円(前連結会計年度比20.2%増)、営業利益327億79百万円(同85.6%増)、経常利益449億79百万円(同135.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益279億4百万円(同83.0%増)となりました。

 部門別の経営成績は次のとおりです。

 「電子・情報」の分野は、売上高1,545億56百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。「機能材料・その他」の分野は、売上高1,374億76百万円(同28.9%増)となりました。

 なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

  (注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて135億7百万円増加し、1,347億23百万円となりました。

 営業活動によって得られた資金は698億81百万円(前連結会計年度比220億19百万円の収入増)となりました。

 投資活動に使用した資金は317億54百万円(同119億94百万円の支出増)となりました。

 財務活動に使用した資金は291億78百万円(同214億39百万円の支出増)となりました。

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

  当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)における生産実績をセグメントごとに示す

 と、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

286,439

129.4

合計

286,439

129.4

 (注)1.生産金額は、平均販売価額により算出したものです。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 b.受注実績

 基本的に見込み生産を行っています。なお、当連結会計年度において特記すべき事項はありません。

 

 c.販売実績

  当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)における販売実績をセグメントごとに示す

 と、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

292,033

120.2

合計

292,033

120.2

 (注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LGディスプレイ㈱

31,754

13.1

41,898

14.3

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

  (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(2022年3月31日)において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

(百万円)

総資産

658,139

698,129

39,989

負債

181,219

198,386

17,167

純資産

476,920

499,742

22,822

 

 (総資産)

     当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して399億89百万円増加し、6,981億29百万円

   となりました。流動資産では、短期借入金の返済、自己株式の取得等があったものの、販売が好調であったこと

   等から現金及び預金が増加しました。

     固定資産では、減価償却が進んだ一方で、薄型パネルディスプレイ(FPD)用ガラス事業を中心とした設備

   投資等により有形固定資産が増加しました。また、投資有価証券の一部を売却したことにより投資有価証券が減

   少しました。

 

 (負債)

   当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して171億67百万円増加し、1,983億86百万円

 となりました。流動負債では、借入金の返済により短期借入金が減少しましたが、稼働の上昇により支払手形及

 び買掛金が増加しました。また、償還期限が1年以内の社債が固定負債から流動負債に振り替わったため、1年

 内償還予定の社債が増加しました。

   固定負債では、新たに借入を行ったことから、長期借入金が増加しました。

 

 (純資産)

     当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して228億22百万円増加し、4,997億42百万

   円となりました。配当金の支払いや株主還元として自己株式の取得をしたものの、親会社株主に帰属する当期純

   利益の計上により利益剰余金が増加しました。また、通貨が円安に振れたことから為替換算調整勘定が増加しま

   した。

 

b.経営成績

  (当連結会計年度の経営成績)

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(%)

売上高

242,886

292,033

20.2

営業利益

17,660

32,779

85.6

(営業利益率)

(7.3%)

(11.2%)

-

経常利益

19,109

44,979

135.4

親会社株主に帰属する当期純利益

15,252

27,904

83.0

 

  (部門別の経営成績)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

比率

(%)

電子・情報

136,197

56

154,556

53

18,359

13.5

機能材料・その他

106,689

44

137,476

47

30,787

28.9

合計

242,886

100

292,033

100

49,147

20.2

 

     2021年度(当連結会計年度)は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の流行が依然として世界経済に

   影響を及ぼす中、当社グループでは、営業所及び事業場内での感染症の発生防止に取り組みながら事業活動を継

   続してきました。

     このような事業環境の中、主力のFPD用ガラスについては、巣ごもり需要やテレワーク等の新しい働き方の

   浸透を背景に、テレビやモニター等のディスプレイ市場の強い需要を取り込みました。ガラスファイバについて

   は、半導体不足による自動車関連市場の市況悪化の影響が懸念されましたが、年間を通して出荷は好調に推移し

   ました。また、医薬用管ガラス等の出荷も堅調であったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。

     研究開発面では、生産性の向上やエネルギー使用量削減、環境負荷低減を実現する革新的な製造プロセス技術

   の水平展開を進め、FPD用ガラスの収益性の向上に大きく貢献しました。製品開発については、全固体ナトリ

   ウム(Na)イオン二次電池の開発が進展しました。新たに結晶化ガラスを用いた負極材の開発を行い、結晶化

   ガラス正極、固体電解質と一体化したオール酸化物全固体Naイオン二次電池の駆動に世界で初めて成功しまし

   た。中期経営計画「EGP2026」の期間中の事業化を目指して研究開発を推進しています。このほか、5G

   通信に最適な低誘電正接のLTCC用材料の開発など多くの開発成果を残しました。

     事業戦略面では、FPD用ガラス事業において、中国厦門でマーケットニーズが高まる第10.5世代ガラスに対

   応した溶融・成形工程及び加工工程の能力増強に取り組んできました。

     さらに、カーボンニュートラルが地球規模の重要課題となる中、カーボンニュートラルに向けた実行計画を取

   り纏め、電気溶融の全社的水平展開、省エネ設備への切り換え、ユーティリティ設備更新の加速、水素等のCO2

   フリー燃料の技術開発、再生可能エネルギーへの投資や調達等の取り組みを推進しています。2021年11月には、

   気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しています。今後、気候変動が事業に

   もたらすリスクと機会を分析し、財務面への影響を適切に開示してまいります。

 

     部門別の状況は次のとおりです。

     「電子・情報」分野では、FPD用ガラスは、強い需要が継続する中、生産が好調であったことに加えて、第

   10.5世代サイズの出荷が当連結会計年度より本格化し、販売は前連結会計年度を上回りました。光関連・電子デ

   バイス用ガラスは、家電や半導体、自動車部品向けの需要が堅調に推移し、販売は前連結会計年度比で増加しま

   した。

     「機能材料・その他」分野では、ガラスファイバは、自動車部品向け高機能樹脂用途を中心に需要が旺盛であ

   ったことから、販売は前連結会計年度比で増加しました。医薬用管ガラスも、世界的に旺盛な需要が続く中、感

   染症ワクチン容器向けの需要も加わり、販売は前連結会計年度比で増加しました。耐熱ガラスは販売が前連結会

   計年度比で増加し、建築用ガラスも底堅く推移しました。

     これらにより、売上高は2,920億33百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。

     損益面では、原燃料費や物流費の高騰等が利益を圧迫する要因となったものの、これらのコスト上昇分の一部

   を製品価格に転嫁したことや、稼働率の上昇、生産性向上等により、営業利益は327億79百万円(同85.6%増)

   となりました。この結果、売上高営業利益率は11.2%と前連結会計年度と比べ、3.9ポイント上がりました。

     また、営業利益の増加に加えて、海外子会社への融資に係る債権債務の評価替えによる為替差益を計上したこ

   と等から、経常利益は449億79百万円(同135.4%増)となりました。

     特別利益については、投資有価証券売却益や2019年に発生した台風による国内生産設備の損傷に係る受取保険

   金を計上したものの、前連結会計年度に計上していた特別修繕引当金戻入額がなくなったことから、前連結会計

   年度比では減少しました。特別損失については、主に国内事業場の停電に伴う操業の一時的な停止や設備修繕等

   の費用を事故損失として計上しました。

     この結果、特別利益から特別損失を差し引いた純額は58億40百万円の損失となり、税金等調整前当期純利益は

   391億39百万円(同96.7%増)となりました。法人税、住民税及び事業税は122億3百万円を、法人税等調整額は

   △12億98百万円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は279億4百万円(同83.0%

   増)となりました。

     なお、1株当たり当期純利益は290円98銭(同84.4%増)となりました。

 

2021年度実績

2022年度業績予想

(2022年2月2日公表)

EGP2026目標値

売上高

2,920億円

3,300億円

4,000億円

営業利益

327億円

370億円

450億円

(営業利益率)

(11.2%)

(11.2%)

(11%)

経常利益

449億円

370億円

-

親会社株主に帰属する当期純利益

279億円

300億円

-

 

     2022年度については、感染症は変異株による感染拡大の再燃により、依然として経済活動に影響を及ぼしてい

   ますが、各国でワクチン接種が進む中で、世界経済は緩やかに回復していくものと期待しています。一方、原材

   料や部材の供給不足、物流の混乱、更には原燃料価格や物流費の高騰等を懸念しています。

     このような中、当社としては、生産や販売への影響を抑えるべくサプライチェーンの強化や費用管理の徹底を

   行うとともに、拡販と生産性の向上に努め、上記業績予想の達成を目指してまいります。

     「電子・情報」分野においては、FPD用ガラスは、ディスプレイ市場の安定した成長を見込んでいます。中

   国厦門において生産設備の能力増強を進め、中国市場における大板サイズの需要を取り込んでいきます。光関

   連・電子デバイス用ガラスは、半導体、自動車等の注力市場において拡販と製品開発に取り組んでいきます。

     「機能材料・その他」分野においては、ガラスファイバは、自動車関連市場向けを中心に安定した出荷を見込

   んでいます。医薬用管ガラスは、更なる生産性の向上に努め、旺盛な需要に対応していきます。耐熱ガラスや建

   築用ガラスは、新規顧客開拓等に努め、拡販に取り組んでいきます。

 

     当社グループでは、2022年度から5か年の新中期経営計画「EGP2026」をスタートしています。

     初回の「EGP2018」では「企業理念の浸透」、「事業の拡大」、「積極的なM&A」に、2回目の「E

   GP2021」では「事業基盤の強化」、「プロセス技術の革新」、「研究開発の推進」に取り組んできまし

   た。これらの結果、2015年度と2021年度を比較すると、事業規模の拡大だけでなく、事業ポートフォリオを大き

   く改善することができました。

     「EGP2026」では、目指すべき企業像である“世界一の特殊ガラスメーカー”の実現に向けて、「既存

   事業の持続的な成長」、「戦略事業の立ち上げ」、「カーボンニュートラルの推進」に全社を挙げて取り組んで

   まいります。「EGP2026」については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課

   題等(3)経営環境、中長期的な会社の経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 <中期経営計

   画>〇新中期経営計画「EGP2026」」をご覧ください。

     なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に

   記載しています。

 

     〔中期経営計画の変遷〕

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②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

47,861

69,881

22,019

投資活動によるキャッシュ・フロー

△19,759

△31,754

△11,994

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,739

△29,178

△21,439

現金及び現金同等物期末残高

121,215

134,723

13,507

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

   当連結会計年度は、前述の経営成績を収めたことから、391億39百万円の税金等調整前当期純利益を計上しま

  した。また、稼働の上昇により仕入債務が増加しました。これらの結果、当連結会計年度において営業活動によ

  って得られた資金は698億81百万円(前連結会計年度比220億19百万円の収入増)となりました。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

   主としてFPD用ガラス関連設備の固定資産の取得により、当連結会計年度において投資活動に使用した資金

  は317億54百万円(同119億94百万円の支出増)となりました。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

       新たに借入や社債の発行を行ったものの、株主への配当金の支払いや借入金の返済、自己株式の取得等を行っ

      たことから、当連結会計年度において財務活動に使用した資金は291億78百万円(同214億39百万円の支出増)と

      なりました。

       上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額45億59百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物

      の残高は、前連結会計年度末と比べ135億7百万円増加し、1,347億23百万円となりました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

   当社グループは、事業環境の変化に耐えうる強固な財務基盤を目指すとともに、経営全般の更なる効率化を追

 求するべく、キャッシュ・フロー重視、資産効率重視(金融資産・棚卸資産の圧縮、設備の生産性向上と集

 約)、財務の健全性を財務方針に掲げています。

   設備投資に関しては、設備の更新やガラス溶融炉の定期修繕のほか、マーケットの成長やカスタマーニーズに

 応じた投資を行うとともに、工場の強健化やカーボンニュートラルの実現に向けた投資を実行してまいります。

 研究開発に関しても、会社の成長基盤となる基礎的研究開発を継続的に行うとともに、成長分野への事業展開を

 見据えた製品開発を進めてまいります。

   当社グループの所要資金は、主として設備資金及び運転資金であり、これらを自己資金、借入金及び社債の発

 行等で賄っています。また、グループファイナンスを活用することで手許資金の活用を図っています。一方、当

 社グループは機動的な資金調達を行うため、国内金融機関と総額250億円のコミットメントライン契約を締結して

 います。当社としましては、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持していることに加えて、日本格付研

 究所の格付は「シングルAプラス」となっていることから、安定的に資金調達ができるものと認識しています。

   今後も、健全な財務基盤の下、事業環境の変化する中においても安定した事業運営が行えるよう努めてまいり

 ます。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

将来に亘る事業の存続と発展を期するためには、継続的な研究開発と成長投資、並びにこれらの活動を支える売上と利益が不可欠であると考えます。このため、当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率を重要な指標と位置付けています。

2022年2月2日に公表しました中期経営計画「EGP2026」においても、これらを経営目標として掲げ、

確実に達成してまいります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。当社グループの連結財務諸表で採用する会計方針や、連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益費用の報告金額に影響を及ぼす見積りのうち、下記のものが特に重要なものと判断しています。

 

・固定資産の減損

当社グループでは、減損損失の認識及び測定を行う単位として資産のグルーピングを行い、減損損失を認識する必要のある資産又は資産グループについて、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しています。減損損失の認識及び測定にあたっては、その時点における合理的な情報等を基に将来キャッシュ・フローの見積りを行っていますが、事業計画や市場環境等の変化により、見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、感染症拡大による影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。

 

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