課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、提出日現在(2022年3月31日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

    当社グループは、《日本電気硝子 企業理念体系》の下、世界一の特殊ガラスメーカーを目指し、材料設計、

   溶融、成形、加工といった技術により様々な特性や機能を持つガラス製品を開発、生産し、市場に潤沢に供給する

   ことにより、社会のニーズに対応していくことを経営の基本においています。

    同時に、時代に即したCSR(企業の社会的責任)の中から重点課題を設定し活動を推進することにより、企業

   の社会的責務を果たしてまいりたいと考えています。これらの取り組みを通して、社会の発展に貢献するとともに

   企業アイデンティティの発信にも努め、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。

 

   《日本電気硝子 企業理念体系》

    わたくしたちは、“文明の産物”の創造を通して社会に貢献するという創業の精神を、企業理念の底流をなすも

    のと位置付けています。

 

   (企業理念)

「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」

スローガン:  GLASS FOR FUTURE

 

   (目指すべき企業像)

    「世界一の特殊ガラスメーカー」

 

   (大切にしている価値観)

・お得意先第一

お得意先のご要望を理解し、そのご要望にどこまでもお応えすること。

・達成への執念

執念をもって、課題を為し遂げること。

・自由闊達

前例にとらわれない自由な発想と、部門や世代にとらわれない自由な発言を尊重すること。

・高い倫理観

いかなる局面においても、常に高い倫理観を持って誠実に行動すること。

・自然との共生

自然と共存することを常に意識し、環境負荷の低減に努めること。

 

  (2) 目標とする経営指標

      将来に亘る事業の存続と発展を期するためには、継続的な研究開発と成長投資並びにこれらの活動を支える売

    上と利益が不可欠であると考えています。このため、当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率を重要

    な経営指標と位置付け、中期経営計画において目標値を設定しています。

 

  (3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

   <経営環境>

     ○事業内容

    当社グループは、電子・情報の分野におけるガラスをはじめとする特殊ガラス製品及びガラス製造機械類の

   製造、販売を行っています。「電子・情報」の分野においては、薄型パネルディスプレイ用ガラス、化学強化

   専用ガラス、光関連ガラス及び電子デバイス用ガラスの製造、販売等を行っています。「機能材料・その他」

   の分野においては、ガラスファイバ、建築用ガラス、耐熱ガラス、照明用ガラス、医療用ガラス及びガラス製

   造機械類の製造、販売等を行っています。

    主要製品は以下のとおりです。

 

区 分

製 品 分 類

主 要 製 品 名

電子・情報

薄型パネルディスプレイ(FPD)用

ガラス

液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス

有機EL(OLED)ディスプレイ用ガラス

化学強化専用ガラス

化学強化専用ガラス<Dinorex>

光関連ガラス

光通信デバイス用キャピラリー・フェルール

光通信デバイス用レンズ部品

マイクロプリズム

電子デバイス用ガラス

機能性粉末ガラス

イメージセンサ用板ガラス

小型電子部品用管ガラス

蛍光体ガラス<ルミファス>

機能材料・

その他

ガラスファイバ

機能樹脂強化用チョップドストランド

建築材料用ウェットチョップドストランド

樹脂強化用ロービング

自動車用チョップドストランドマット

セメント強化用耐アルカリ性ガラスファイバ

建築用ガラス

ガラスブロック

結晶化ガラス建材<ネオパリエ>

防火設備用ガラス<ファイアライト>

超薄板ガラス-樹脂 積層体<Lamion>

超低反射膜付ガラス<見えないガラス>

耐熱ガラス

超耐熱結晶化ガラス<ネオセラム>

調理器トッププレート用超耐熱結晶化ガラス

<StellaShine>

照明用ガラス

 

医療用ガラス

医薬用管ガラス

放射線遮へい用ガラス<LXプレミアム>

ガラス製造機械

 

 

     ○当連結会計年度の経営環境

    世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の流行が企業活動に影響を及ぼしたものの、各国

   政府の経済対策やワクチン接種の進展等を背景に回復軌道をたどりました。国内経済においても、海外経済が

   回復する中、企業の生産活動や設備投資については持ち直しの動きが続きました。

    このような中、当連結会計年度においては、年間を通してディスプレイ市場や自動車部品向け高機能樹脂市

   場の強い需要を背景に、主力のFPD用ガラスやガラスファイバの出荷が増加し、また、医薬用管ガラス等の

   出荷も堅調であったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。

    損益面においては、営業利益が前連結会計年度を大幅に上回り、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純

   利益についても前連結会計年度を大きく上回る実績となりました。

 

   <当社グループの経営戦略>

     ○ビジネスモデル

  ガラスは、元素の組み合わせや製造方法により多種多様な機能と形状を可能にする素材です。長年育んでき

 た広範なガラスの技術と独自の発想を掛け合わせ、社会が求める様々な高機能ガラス製品を提供しています。

 この「モノづくり」(※)のための「創造力」、「技術力」、「人材力」、「組織力」こそが当社の強みで

 す。

  「電子・情報」の分野ではFPD用ガラス、光関連・電子デバイス用ガラスなどのビジネスを、また、「機

 能材料・その他」の分野ではガラスファイバ、医薬用管ガラス、耐熱ガラス、建築用ガラスなどのビジネスを

 展開し、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築していきます。

 

 

創造力

「板」、「管」、「球」、「繊維」、「粉末」、「成形品」、薄膜・樹脂・金属等との「ハイブリッド製品」といった多種多様な形状と機能を持つガラスで新しい価値を創出しています。

技術力

基礎研究として、材料設計・評価、プロセス設計・開発、製品化研究を行うとともに、計算科学(ICTやAI等を活用したデータ解析を含む)を用いた研究を行っています。これらに、精密成形・加工、超薄板成形等の応用研究を組み合わせ、新製品を開発しています。

人材力

多角的なスキルアップを推進するための人材育成プログラムにより、“あらゆるステージで世界一のパフォーマンスを発揮できる人材”を育成しています。

組織力

研究開発部門、プロセス開発部門、事業本部の一体的な開発体制と企業戦略、マーケティング部門の支援により、シーズ・ニーズにスピーディに対応しています。

 

 ※当社グループが目指す「モノづくり」

      社会のニーズに応えるべく、最先端の技術をベースに研究開発を推進し、優れた製品を生み出し、最高

    水準の品質と高効率の生産により、潤沢に市場に製品を供給する。再び、市場からの声を研究開発に活か

    す。こうした循環を当社が目指すべき「モノづくり」と考えています。

 

     ○展開する市場分野

自動車

:軽量化材料、照明、ディスプレイ、自動運転(カメラ・センサ等)、各種電子機器

エネルギー

:二次電池、再生可能エネルギーシステム

医療

:先進医薬容器、先端医療機器・設備

半導体

:次世代半導体材料(小型高精細・高機能)、半導体製造プロセス

ディスプレイ

:高機能ディスプレイ(高精細・薄型軽量・フレキシブル)

情報通信

:光通信デバイス(次世代高速通信対応)

社会インフラ

:高機能防火設備、高性能構造材料(安全・耐久・軽量)

家電・住設

:高機能家電・住設材料、多機能壁材

 

   <中期経営計画>

     ○前中期経営計画「EGP2021」

     当社は、2019年度より3年間、中期経営計画「EGP2021」に取り組み、業績の力強い成長と同時に、

       人材の成長、技術基盤の成長、開発力の成長も図り、企業体質をより強くすることに注力してきました。

     この間、全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池をはじめ将来を支える製品開発を進め、同時に品質や生

       産性の向上に加えて、カーボンニュートラルにも資する革新的な製造プロセス技術を開発し、ディスプレイ事

       業の収益性向上を実現しました。また、ディスプレイ、医療分野等において積極的に投資を行い、成長市場で

       の事業強化を行いました。ガラスファイバは欧米拠点において損益面で苦戦するも、生産体制、組織の改革は

       着実に進捗し成長への基盤を築くことができました。これらにより、急激な国際情勢の変化や感染症拡大など

       厳しい事業環境が続く中、売上高は目標レベルを達成し、利益面では目標を上回り、着実に企業体質を強化し

       てまいりました。

 

     (「EGP2021」の経営目標と実績)

 

2021年12月期

(目標)

(実績)

売上高

3,000億円

2,920億円

営業利益

250億円

327億円

営業利益率

8%

11.2%

 

     ○新中期経営計画「EGP2026」

      (スローガン)

        “STRONG GROWTH” ~ 自らが変化し、スピードをあげて、やり遂げよう

 

      (基本方針)

        企業体質をより強くし、世界一環境に優しいガラスづくりを通して、

        「世界一の特殊ガラスメーカー」を目指す。

 

      (期間)

        2022年1月1日~2026年12月31日(5か年)

 

      (経営目標)

        売上高          4,000億円(電子・情報2,100億円、機能材料・その他1,900億円)

        営業利益           450億円

        営業利益率             11%

        目標達成年度        2026年度

 

        各事業分野において、成長に向けた戦略を着実に実行し、目標を達成する。

 

      (成長に向けての重点施策)

        ①事業基盤の強化

          ・強固なサプライチェーンの構築

          ・工場の強健化

          ・基礎的研究開発の継続

 

      ②機動的な投資

          ・マーケットの成長やカスタマーニーズに応じた迅速な投資

          ・DXの推進とスマートファクトリーの実現

          ・M&Aの積極的な取り組み

 

        ③新事業の推進

          ・全固体Naイオン二次電池など新製品の事業化

          ・半導体分野における基板ガラス、カバーガラス、LTCC材料事業の拡大

          ・他社との協業、提携等の積極的な活用

 

        ④カーボンニュートラルの推進

          ・全プロセスの電化を進め、競争力向上との両立を目指す

          ・再生可能エネルギーへの投資と調達

          ・CO₂フリーエネルギー(水素等)の技術開発

 

        ⑤人材戦略

          ・高度な知識や技術を持つ人材の採用と育成

          ・多様な人材の登用

          ・働きやすく、働きがいのある職場の整備

 

      (財務方針)

        ・営業利益率は10%超に

        ・強固なバランスシートの維持

        ・総資産のスリム化による資産効率の向上

        ・キャッシュ・フローを見据えた経営

 

      (利益還元方針)

        ・安定配当の継続(株主資本配当率(DOE)2%以上を維持)

        ・業績、財務状況等を踏まえた配当の拡充

        ・自己株式の弾力的な取得

 

   <カーボンニュートラルへの取り組み>

       当社グループは、大切にしている価値観として“自然との共生”を掲げ、「世界一効率の高いモノづくりこそ

     が、世界一環境にやさしいモノづくりにつながる」との考えの下、品質や歩留まりの向上を通じて省エネルギー

     やCO₂排出削減に取り組んできました。

       今後も持続可能なモノづくりを追求するとともに、地球温暖化防止に貢献するため、2030年に2018年比で

     CO₂排出量(Scope1+2)36%削減、生産量原単位(Scope1+2)で60%削減を目標に定め、取り

     組んでいきます。また、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指していきます。電気溶融の全社的水平

     展開、省エネ設備への切り換え、ユーティリティ設備更新の加速、水素等のCO₂フリー燃料の技術開発、再生

     可能エネルギーへの投資や調達等を織り込んだ野心的な取り組みを推進し、これらの目標を達成していきます。

 

     (これまでの進捗)

       ・2021年4月に「カーボンニュートラルプロジェクト」を立ち上げ、実行計画を作成し、2022年度から取り組

         みを開始

       ・2021年11月にTCFD提言への賛同を表明。表明にあたり、初期的なシナリオ分析を実施

         炭素税とエネルギーコストの増加が重大なリスクと認識

       ・環境配慮製品については、拡販、開発を推進

         例:ガラスファイバ(風力発電用風車ブレード用途等)、全固体Naイオン二次電池、等

 

     (TCFD提言への賛同)

         気候変動が事業にもたらすリスクと機会を分析し、財務面への影響とその対応を皆さまにお伝えできるよ

       う、2021年11月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-

       related Financial Disclosures。TCFD)の提言への賛同を表明しまし

       た。

         今後、TCFD提言に基づいた分析を進めるとともに適切に開示を行っていきます。

 

     (カーボンニュートラル(CN)及びTCFDの推進体制)

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