業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)および(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、一部の連結子会社14社について、当連結会計年度より決算日を3月31日に変更、または連結決算日に仮決算を行う方法に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が普及したことにより、経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、第4四半期以降はオミクロン変異株の発生による感染再拡大やウクライナ情勢を起因とする原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が加速するなど、依然として不透明な状況が継続しております。

このような経済環境の中、特殊鋼の需要は、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少した前年と比べ大きく回復しました。主要需要先である自動車関連の受注は、自動車生産の回復に加え、今後の更なる増産に備えた在庫補填の動きが見られましたが、足元では部品不足や新型コロナウイルス感染症の再拡大による生産調整により、回復のペースが鈍化しています。産業機械関連の受注は、国内外の景気回復に伴い堅調に推移しました。また半導体関連の受注は、5Gやデータセンター、車載向けなど幅広い需要が堅調に拡大し、高位な状況が継続しました。この結果、鋼材売上数量は前期比で増加しました。

一方、主要原材料である鉄屑価格は、国内需給のタイト化および国際価格の上昇により前期比で高騰し、ニッケルなどの各種合金類についても、グローバルでの需要増加や供給制約によって大幅な価格上昇が発生しました。また原油・LNG市況がひっ迫したことを受け、エネルギーコストも大きく増加しました。これらを含めたコスト上昇分については、原価低減活動により吸収を図るとともに、再生産可能な価格水準に向けた販売価格の改定にも取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の連結経営成績は、売上高は前期比1,169億44百万円増収5,296億67百万円、経常利益は前期比265億58百万円増益392億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比223億78百万円増益268億94百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

特殊鋼鋼材

構造用鋼は、主要需要先である自動車関連や産業機械向けの受注増加を受け、前期比で数量が増加しました。工具鋼も、自動車関連需要を中心に各業態で受注が高位となり、前期比で数量が増加しました。主要原材料である鉄屑価格は、国内需給のタイト化および国際価格の上昇により前期比で高騰し、エネルギーコストも原油価格の高騰により増大しました。

この結果、当連結会計年度における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量の増加および原材料価格の上昇を販売価格に反映したことにより前期比35.6%増加1,978億3百万円、営業利益は、前期比64億60百万円増益38億27百万円となりました。

 

機能材料・磁性材料

ステンレス鋼および高合金は、自動車関連や産業機械向けの受注増加に加え、半導体関連需要も高位で推移したことで、前期比で数量が増加しました。磁石製品は、自動車関連および半導体関連の需要増加により、粉末製品は、自動車関連を中心とした需要の増加により、売上高は前期比で増加しました。

この結果、当連結会計年度における機能材料・磁性材料の売上高は、売上数量の増加およびニッケルなど各種合金価格の上昇により前期比32.2%増加1,976億4百万円、営業利益は前期比144億77百万円増益266億50百万円となりました。

 

 

自動車部品・産業機械部品

エンジンバルブ部品・型鍛造品は、自動車生産の増加を受け、精密鋳造品は、自動車生産の増加に伴うターボ関連製品の需要が底打ちし、それぞれ売上高は前期比で増加しました。自由鍛造品は、航空機需要が調整継続しているものの、半導体関連や重電需要、舶用バルブが好調に推移し、売上高は前期比で増加しました。

この結果、当連結会計年度における自動車部品・産業機械部品の売上高は、売上数量の増加により前期比14.6%増加925億4百万円、営業利益は前期比70億88百万円増益49億79百万円となりました。

 

エンジニアリング

主に自動車部品向け熱処理炉を中心とした受注減少により、当連結会計年度におけるエンジニアリングの売上高は、前期比9.9%減少182億14百万円、営業損益は前期比21億35百万円減益12億77百万円の損失となりました。

 

流通・サービス

当連結会計年度における売上高は、連結子会社の決算期変更の影響もあり、前期比42.6%増加235億40百万円、営業利益は前期比10億48百万円増益28億34百万円となりました。

 

当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。2023年度の当該指標の達成を目指し、行動方針として掲げております①成長分野のビジネス拡大、②事業体質の強靭化、③海外展開拡大、④ESG経営の推進を実施してまいります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

200,505

+37.3

機能材料・磁性材料

201,268

+35.4

自動車部品・産業機械部品

94,362

+17.6

エンジニアリング

18,214

△9.9

合計

514,350

+30.2

 

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、前期に比べ、当社グループの生産実績が著しく増加しており
ます。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた自動車関連や
産業機械向けの受注が回復しているためであります。

 

② 受注状況

当社グループ(当社および当社の連結子会社)の受注・販売形態は、素材供給等のグループ間取引が多岐にわたり、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは重量で示すことは行っておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

197,803

+35.6

機能材料・磁性材料

197,604

+32.2

自動車部品・産業機械部品

92,504

+14.6

エンジニアリング

18,214

△9.9

流通・サービス

23,540

+42.6

合計

529,667

+28.3

 

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手別の販売実績は、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先が
ないため、記載を省略しております。

3 当連結会計年度において、前期に比べ、当社グループの販売実績が著しく増加しており
ます。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた自動車関連や
産業機械向けの受注が回復しているためであります。

 

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ626億80百万円増加7,281億87百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「棚卸資産」の増加560億92百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」の増加150億57百万円、減少の主な内訳は、「現金及び預金」の減少91億72百万円、「有形固定資産」の減少81億45百万円であります。

総資産の増減の主な内訳と要因は、下記のとおりであります。

・「棚卸資産」および「受取手形、売掛金及び契約資産」は、原材料市況の高騰、堅調な需要への生産対応および売上増加等により増加しております。

・「現金及び預金」は、前期末では新型コロナウイルス感染症に伴う事業や金融環境の変化に対応するため増加させておりましたが、事業の安定および金融情勢の正常化に伴い平常水準に戻したため、当連結会計年度末では減少しております。

・「有形固定資産」は、設備投資を事業基盤再構築投資等に厳選したこと、自動車部品・産業機械部品事業において収益性が低下した事業用資産を当期に減損したことにより減少しております。

また、当社グループの当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ256億50百万円増加3,650億4百万円となりました。純資産の増加の主な内訳と要因は、親会社株主に帰属する当期純利益268億94百万円の計上等による「利益剰余金」の増加220億85百万円であります。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.3%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ99億14百万円減少し、556億44百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、166億84百万円(前期は337億66百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益407億46百万円、非資金損益項目である減価償却費267億97百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加508億93百万円、売上債権及び契約資産の増加238億96百万円、仕入債務の減少28億17百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、145億68百万円(前期比148億26百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出190億66百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、194億2百万円(前期比164億2百万円の増加)となりました。収入の主な内訳は、コマーシャル・ペーパーの増加370億円、長期借入れによる収入78億円、短期借入金の増加37億34百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出103億69百万円、社債の償還による支出100億円であります。

 

当社グループでは、原材料およびエネルギー価格の高騰により運転資金が増加していることから、原燃料コストの上昇に応じた販売価格の改定を進めるとともに、効率的な生産運営や原価低減活動、固定費の圧縮を推し進め、安定的なキャッシュ・フローを創出するよう事業活動を続けてまいります。設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。また、手元流動性の適正レベルは時々の環境を考慮し、弾力的に運営してまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得