当社グループは特殊鋼をベースにした高い技術力を背景に「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」を経営理念とし、「新製品・新事業の拡大」「既存事業の基盤強化」のため、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社「技術開発研究所」を中心に、新製品、新材料、新技術の研究開発を推進しており、研究開発スタッフはグループ全体で319名であります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
主に当社が中心となり、自動車用構造材料、工具鋼などの素材開発および製鋼、精錬、凝固から製品品質保証までプロセス革新等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
コモンレールなどディーゼルエンジン用の耐高圧部品では、燃費、環境性からさらなる高圧化が指向されています。また最近では、カーボンニュートラルに向けた、製造時の熱処理省略も求められています。当社では、鋼材成分を最適化することで、熱処理を省略しつつ、かつディーゼルエンジンとしては最高クラスの高圧にも耐えうる高強度非調質鋼を開発いたしました。本開発鋼は、一部の耐高圧部品に採用され、2021年から量産を開始しております。
主に当社が中心となり、耐食・耐熱材料、高級帯鋼、接合材料、電磁材料等の素材開発および電子デバイスの研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
当社が開発した、最も幅広く使用されているTi-6Al―4V合金と同等の機械的特性を有しつつ、レアメタル(希少金属)のV(バナジウム)を含まないチタン合金DAT57Mが世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会ASTM Internationalの規格ASTMB348/B348M(チタン・チタン合金の棒およびビレットの規格)にGrade41として登録されました。今後、レアメタルフリー化などを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献してまいります。
タッチパネルの表面電極、メタルメッシュ用黒化膜を成膜出来るターゲット材料を開発いたしました。従来の黒化膜よりも信頼性(長期変色耐性)が高いため、ITOに代わりタッチパネルのメタルメッシュ化が進むとされる車載ディスプレイや電子黒板などの用途に最適です。今後これらの用途への採用に向けてマーケティングを継続してまいります。
主に当社が中心となり、エンジンバルブやガスタービンディスク等の自動車部品および各種産業機械部品の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
航空機エンジン用タービンディスクの次世代新材料として新Ni基合金を㈱IHIと共同で開発いたしました。既存の類似合金より高温強度等の特性を向上し、実製品規模の製造プロセス技術も同時に開発いたしました。これらの成果は、世界的に権威のある国際会議Superalloys2020(2021年9月開催)にて発表しております。今後実用化へ向けた取り組みを継続してまいります。
近年発展しているIoT、AI技術を使用し、切削工程をリアルタイムで監視、そのセンシングデータを機械学習で解析することにより工具の異常検知や寿命予知をする基盤技術を開発いたしました。今後この成果を応用し、実操業ラインでの生産能率の向上、製造コストダウンへの貢献が期待されます。
主に当社が中心となり、環境保全・リサイクル設備や省エネルギー型各種工業炉等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向け、温室効果ガスの排出量削減に対するニーズは年々高まっており、工業炉についてもその対策が求められています。
水素はその燃焼においてCO2を全く排出しない、脱炭素化の実現に有効なエネルギーであることから、当社では2021年に水素を燃料とするラジアントチューブバーナの開発に着手し、自社内の実験装置を用いて燃焼テストを重ねることで、環境性能の確認に取り組んでまいりました。
本開発は、今後さらなる検証を重ね、来たる水素社会へ向け製品展開することで、地球環境の保護とお客様の永続的な発展に寄与してまいります。
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