(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
特殊鋼製品 |
286,154 |
34.9 |
素形材製品 |
328,766 |
36.5 |
磁性材料・パワーエレクトロニクス |
155,524 |
45.4 |
電線材料 |
242,158 |
27.5 |
報告セグメント計 |
1,012,602 |
35.0 |
その他 |
- |
- |
合計 |
1,012,602 |
35.0 |
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
特殊鋼製品 |
276,102 |
21.9 |
素形材製品 |
324,158 |
23.0 |
磁性材料・パワーエレクトロニクス |
142,392 |
27.3 |
電線材料 |
237,170 |
24.3 |
報告セグメント計 |
979,822 |
23.6 |
その他 |
1,738 |
△2.1 |
合計 |
981,560 |
23.6 |
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
特殊鋼製品 |
261,760 |
20.4 |
素形材製品 |
313,965 |
26.6 |
磁性材料・パワーエレクトロニクス |
136,216 |
28.3 |
電線材料 |
230,181 |
21.6 |
報告セグメント計 |
942,122 |
23.8 |
その他 |
2,169 |
△15.1 |
調整額 |
△ 1,590 |
△5.6 |
合計 |
942,701 |
23.8 |
(注)上記の調整額にはセグメント間の内部売上収益が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる事項としては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの業績は、次のとおりです。
当連結会計年度の世界経済は、各地域におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大の抑制状況や経済対策によってばらつきがあるものの、総じてみれば景気の回復が継続しました。当社グループの事業領域においては、自動車関連は半導体の供給不足やCOVID-19拡大を受けた東南アジア各国のロックダウン(都市封鎖)等の施策に伴う完成車メーカーの生産調整の影響はありましたが、前年度との比較では、需要が増加しました。FA・ロボット関連は、自動車やスマートフォン等の製造に関わる設備投資需要が増加しました。半導体関連は、情報通信機器や自動車用途の需要が増加しました。また、原材料価格上昇(価格スライド制)や外国為替が円安となった影響もあり、売上収益は前年度比23.8%増の942,701百万円となりました。
利益面でも、原材料価格上昇に伴う諸経費やエネルギーコスト増加の影響はありましたが、各種コスト構造改善施策の効果や売上収益の増加によって、調整後営業利益※は前年度比31,786百万円増の26,809百万円となりました。営業利益は、前年度にその他の営業費用として35,857百万円の減損損失を計上したこと等により、75,908百万円増の26,695百万円となりました。税引前当期利益は前年度比83,328百万円増の32,740百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前年度比54,315百万円増の12,030百万円となりました。
なお、今後、株式会社BCJ-52による当社の普通株式に対する公開買付け等(以下、「本公開買付け」といいます。)が予定されております。本公開買付け及びその後に予定される一連の取引により、同社は当社を完全子会社とすることを企図しております。これにより、当社は日立グループから離脱し、当社普通株式は上場廃止となる予定です。本取引後、当社は新パートナーの下で改革を進めることにより、これまで以上の変革と成長のスピードアップ、投資資金の獲得、外部知見の導入を行い、当社の競争力と収益力を回復させ、再成長により企業価値の向上をめざします。
セグメントの業績は、次のとおりです。各セグメントの売上収益は、セグメント間の内部売上収益を含んでおります。当連結会計年度において、当社グループが営む事業の内容について、重要な変更はありません。
特殊鋼製品
当セグメントの売上収益は、前年度比20.4%増の261,760百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、工具鋼は、国内、海外向けともに需要が増加し、前年度を上回りました。産機材は、自動車関連製品の需要が増加し、前年度を上回りました。航空機エネルギーは、主力の航空機関連材料がCOVID-19拡大に伴う移動制限等の影響により低水準で推移しました。しかしながら、中小型旅客機向け需要の回復が期を追うごとに顕著となったこと等により、当年度全体としては前年度並となりました。電子材は、有機ELパネル関連部材が伸長したことに加え、半導体パッケージ材料の需要が高水準で推移し、スマートフォンや電池向けのクラッド材も堅調となったことから、前年度を上回りました。
ロールは、各種ロールは前年度並となりましたが、鉄骨構造部品が第3四半期連結会計期間以降、需要の回復が継続したことや、射出成形機用部品が好調を維持したことにより、全体としては前年度を上回りました。
調整後営業利益は、主力製品の需要の増加等により、前年度比16,309百万円増の17,120百万円となりました。また、営業利益は調整後営業利益の増加に加え、前年度にその他の営業費用として12,226百万円の減損損失を計上したこと等により、前年度比27,837百万円増の15,861百万円となりました。
|
|
|
素形材製品
当セグメントの売上収益は、前年度比26.6%増の313,965百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、自動車鋳物のうち、耐熱鋳造部品は製品構成の変化や完成車メーカーの生産調整の影響により前年度を下回りました。鋳鉄製品は完成車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、原材料価格上昇(価格スライド制)の影響や、北米市場においては商用車や建設機械・農業機械向け需要が増加したこと等により、前年度を上回りました。この結果、自動車鋳物全体としては前年度を上回りました。
配管機器のうち、主力の継手類は、国内、米国向けともに住宅着工戸数の回復等により増加したため、前年度を上回りました。半導体製造装置用機器は、半導体市場の活況により設備投資需要が好調に推移し、前年度を上回りました。この結果、配管全体としては前年度を上回りました。
調整後営業損益は、北米自動車鋳物の収益性が悪化したものの、耐熱鋳造部品の収益性改善やその他の事業も需要が増加したこと等により、全体としては、前年度比3,201百万円改善し9,611百万円の損失となりました。また、営業損益は調整後営業利益の改善に加え、前年度にその他の営業費用として5,847百万円の減損損失を計上したこと等により、前年度比7,838百万円改善し11,290百万円の損失となりました。
|
|
|
磁性材料・パワーエレクトロニクス
当セグメントの売上収益は、前年度比28.3%増の136,216百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、磁性材料は、希土類磁石、フェライト磁石とも、自動車向けが完成車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、前年度との比較では増加しました。特に、希土類磁石ではFA・ロボット向けの需要も好調を維持したことから、磁性材料全体として前年度を上回りました。
パワーエレクトロニクスのうち、軟磁性材料およびその応用品は、スマートフォンやタブレット端末、サーバー機器等の情報通信向けが好調となりました。また、変圧器用のアモルファス金属材料もアジア向けを中心に増加したことから、全体としては前年度を上回りました。セラミックス製品は、自動車向けが伸長したほか、サーバー機器向け需要が増加し、医療機器向けも前年度から引き続き好調を維持したことにより、前年度を上回りました。この結果、パワーエレクトロニクス全体としては前年度を上回りました。
調整後営業利益は、磁性材料、パワーエレクトロニクスとも需要が増加したことにより、前年度比10,313百万円増の12,794百万円となりました。また、営業利益は調整後営業利益の増加に加え、前年度にその他の営業費用として15,657百万円の減損損失を計上したこと等により、前年度比27,031百万円増の12,947百万円となりました。
|
|
|
電線材料
当セグメントの売上収益は、前年度比21.6%増の230,181百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、電線のうち、鉄道車両用電線は、中国向けの需要が減少し、前年度を下回りました。医療向けは、チューブ、ケーブルとも需要が増加し前年度を上回りました。巻線は、自動車や産業機器向けを中心に需要が回復し、前年度を上回りました。機器用電線はFA・ロボット向けが伸長し、前年度を上回りました。この結果、電線全体としては前年度を上回りました。
自動車部品は、完成車メーカーの生産調整を受け、第2四半期連結会計期間以降、需要回復の動きが鈍化したものの、全体としては前年度を上回りました。
調整後営業利益は、電線を中心に需要が増加したことにより、前年度比664百万円増の5,224百万円となりました。また、営業利益は調整後営業利益の増加に加え、前年度にその他の営業費用として2,003百万円の減損損失を計上したこと等により、前年度比1,854百万円増の3,686百万円となりました。
|
|
|
その他
当セグメントの売上収益は、前年度比15.1%減の2,169百万円となり、調整後営業利益は前年度比579百万円減の300百万円となりました。また、営業利益は、前年度比4,303百万円増の5,571百万円となりました。
※当社グループは、事業再編等の影響を排除した経営の実態を表示するため、連結損益計算書に表示している営業利益又は営業損失からその他の収益、その他の費用を除いた指標である調整後営業利益を記載しています。調整後営業利益は、当社の親会社である日立製作所を中心とする日立グループ統一の利益指標です。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 財政状態等の概要
a. 資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末における当社グループの財政状態として、連結財政状態計算書における増減を分析すると、以下のとおりであります。
資産合計は1,069,695百万円で、前連結会計年度末に比べ97,446百万円増加しました。流動資産は570,455百万円で、前連結会計年度末に比べ107,897百万円増加しました。これは主に棚卸資産が58,312百万円、現金及び現金同等物が25,306百万円、売上債権が19,711百万円増加したこと等によるものです。非流動資産は499,240百万円で、前連結会計年度末に比べ10,451百万円減少しました。これは主に繰延税金資産が13,387百万円、有形固定資産が2,482百万円減少したこと等によるものです。
負債合計は538,577百万円で、前連結会計年度末に比べ58,446百万円増加しました。これは主に、償還期長期債務及び長期債務が26,214百万円減少した一方、短期借入金が27,805百万円、買入債務が50,020百万円増加したこと等によるものです。資本合計は531,118百万円で、前連結会計年度末に比べ39,000百万円増加しました。これは主に利益剰余金が12,954百万円、為替円安により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等により、その他の包括利益累計額が26,074百万円増加したこと等によるものです。
b. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金が投資活動及び財務活動に使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ25,306百万円増加し、124,645百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、29,851百万円となりました。これは主に当期利益が11,890百万円、減価償却費及び無形資産償却費が46,531百万円に対して、運転資金の増加により19,145百万円を支出したこと及び事業構造改革関連費用6,066百万円の支払等によるものです。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、6,372百万円となりました。これは主に有形固定資産の売却による16,609百万円の収入に対して、有形固定資産の取得により27,342百万円を支出したこと等によるものです。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、7,873百万円となりました。これは主に短期借入金が21,512百万円純増した一方、長期借入債務の償還により29,953百万円を支出したこと等によるものです。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ)概況
2020年10月に当社グループは、早期の業績改善に向けてコスト構造改革を実行するとともに、将来の成長投資の原資を確保できる収益基盤への変革をめざし、2022年度までの事業計画を公表しました。
この事業計画のもと、2021年度は「飛躍のための力をつける-Set to Grow-」をスローガンに掲げ、将来の成長に向けた諸施策を実行しました。特にコスト構造改革と損益分岐点の引き下げにより、需要変動に強い筋肉質な収益構造を構築することに注力しました。この結果、2021年度の業績は自動車関連や半導体関連の需要回復等に加え、収益構造が強化されたことにより黒字転換を果たしました。
2022年度は、「変革と成長を加速する -Accelerating Transformation and Growth-」をスローガンに掲げ、以下に注力します。
A. 安全文化の構築
B. 至誠(インテグリティ、誠実さ、正直さ)の実践
C. 成長のための経営基盤のさらなる強化
C-1 収益性の改善とキャッシュ・フローの確保
C-2 モノづくり力強化と資本効率の向上
D. 環境経営の推進
こうした取り組みにより当社グループは、将来の成長のための投資資金を創出できる事業構造を構築し、中長期的なめざす姿である「持続可能な社会を支える高機能材料会社」に向かって前進してまいります。
なお、今後、株式会社BCJ-52による当社の普通株式に対する公開買付け等(以下「本公開買付け」といいます。)が予定されています。本公開買付け及びその後に予定される一連の取引により、同社は当社を完全子会社とすることを企図しております。これにより、当社は日立グループから離脱し、当社普通株式は上場廃止となる予定です。日立グループからの離脱により、株式会社日立製作所のポートフォリオ戦略の制約を受けることなく、我々独自の成長戦略を描くことができるようになります。また、非上場化することによって、長期的視点での戦略立案や、大規模な投資、大胆な改革を、スピード感を持って実行することができます。当社は、新パートナーの持つグローバルな知見やネットワークを生かした投資機会の探索や資金獲得、成長戦略の立案と実行を通じて、急速な市場環境の変化にさらにスピーディーかつ高いレベルで対応することにより競争力と収益力を回復させ、持続的な成長と企業価値の向上をめざしてまいります。
現在の主要な取り組みと2021年度の実績値は以下のとおりです。
ⅱ)資本効率の向上
当社グループの資本コストは現時点で7.5%と算定していますが、足元ではROICが資本コストを下回る状況です。このため、需要変動に強い収益構造を構築するために、コスト削減により損益分岐点の引き下げを行い、利益拡大と投下資本の圧縮によって早期にROICの改善を図ってまいります。
利益拡大については、材料価格高騰に対する販売価格の引き上げに加え、引き続き、高付加価値製品、成長事業の拡大、IoTを利活用したモノづくり改革による品質改善や原価低減を実施します。加えて、ITを活用した間接業務改革等による固定費削減等も推進しています。また、低収益・ノンコア事業の縮小・撤退・切り離し等により、事業ポートフォリオを継続的に見直しております。
投下資本の圧縮については、CCC(Cash Conversion Cycle:運転資金手持日数)の短縮に向け、IoTを利活用した最適生産計画の策定や当社グループ内優秀事例の共有を進めています。棚卸資産については、当社では製造拠点と調達部門には材料在庫を、製造拠点と事業本部には仕掛品・製品等の生産棚卸資産を、国内外販社と事業本部には流通在庫を、各々の責任区分として在庫管理体制をとっております。これに加え、コーポレートの横ぐし機能強化により、売上見通しに基づき的確な棚卸資産管理を迅速に行う体制を構築し、一段の在庫圧縮に努めCCCのさらなる短縮をめざします。2021年度末のCCC実績値は、82.9日(2020年度実績対比△6.2日)となりました。
なお、株式会社BCJ-52による当社の普通株式に対する公開買付けが行われる予定であり、これにより資本と借入金の構成は変化することになりますが、各事業が使用する運転資金や固定資産等の投下資本に対する資本効率の向上に取り組んでいくことに変わりはなく、事業部門ごとにROICによる管理の浸透を図ることが重要と考えています。現在、事業セグメントごとの利益と投下資本を踏まえてROICの目標を設定することにより、グループ全体のROICの早期改善につなげています。
ⅲ)キャッシュ・フローの改善
キャッシュ・フローについては、利益の拡大、運転資本効率の改善、重点領域に対する厳選投資等により、フリー・キャッシュ・フローの確保に取り組んでおります。
2021年度においては、営業キャッシュ・フローは、299億円となりました。これは主に当期利益が119億円、減価償却費及び無形資産償却費が465億円に対して、運転資金の増加により191億円を支出したこと及び事業構造改革関連費用61億円の支払等によるものです。一方、投資キャッシュ・フローについては、△64億円となりました。これは主に有形固定資産の売却による166億円の収入に対して、有形固定資産の取得により273億円を支出したこと等によるものです。この結果、フリー・キャッシュ・フローは235億円となりました。
ⅳ)投資判断プロセスの明確化
事業本部が行う設備投資では、事前の検討段階からコーポレート部門が参画し、意思決定の前段階での審査プロセスおよび審査部門長の責任を明確化しており、また、従来事業部門に意思決定を委任していた小規模投資についても、意思決定プロセスを見直し管理を強化しております。
投資には、設備の更新や合理化、生産能力の増強や拠点の新設、安全投資などに加え、M&Aなどが含まれますが、通常の投資と戦略投資は、投資判断や投資回収など、定義・区分を分けて実行しています。また、品質不適切行為に関する再発防止等の取り組みの一つとして、人的関与を極力排し、検査データの適切な生成・管理を自動的に行えるシステムに総計約100億円を投じて構築し、2024年頃までに各製造拠点にて順次導入を進めます。
戦略投資の計画立案にあたっては、キャッシュ・フローを重視し、ディスカウント・キャッシュフロー・メソッドに基づく現在価値評価(正味現在価値(NPV))やROIC・投資回収期間を用いて投資判断の意思決定を行っています。
ⅴ)バランスシートマネジメント
財務体質の改善と資本効率の向上に向け、バランスシートのスリム化を推進しています。債権流動化やファクタリングの拡大、製造リードタイム改善などCCCの短縮による運転資本の圧縮、キャッシュ・プーリング・システム(CPS)の活用による当社グループ内での余剰資金と借入金の一元化、選択と集中による構造改革を推進しましたが、円安や原材料価格の上昇による運転資金の増加等により、2021年度末の総資産は10,697億円(2020年度末比+10%)となりました。
また、成長投資に必要な資金については、事業から創出する資金および手元資金で賄うことを基本方針としています。ただし、成長の機会を逃さないためには、現在のD/Eレシオ0.4倍程度から0.5倍以下を目安に、また、発行体格付 A+(株式会社格付投資情報センター(Rating and Investment Information, Inc. (R&I))を維持することを念頭に、柔軟に資金調達を行っていきます。
ⅵ)キャッシュ・アロケーション
当社グループは、経営環境、業績、将来の事業展開を総合的に勘案し、中長期的な成長のための内部留保と、株主への利益配分を決定することを基本方針としています。
株主価値向上については、TSR(Total Shareholder Return:株主総利回り)の向上を念頭に、事業成長による株価上昇と株主還元のバランスが取れた利益配分をめざします。新中期経営計画においては、高収益・高成長分野へのリソース集中と構造改革・経営基盤強化施策を実行することで、事業の成長による株主価値の向上に努めます。
なお、株式会社BCJ-52による当社の普通株式に対する公開買付けが行われる予定であることを踏まえて、2021年4月28日開催の当社取締役会において、第84期に係る期末配当並びに第85期に係る中間配当及び期末配当を行わないことを決議いたしました。
お知らせ