文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[古河電工グループ理念]
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、
・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。
・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。
■Core Value(コア・バリュー)
古河電工グループ理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観として
<正々堂々><革新><本質追究><主体・迅速><共創>の5つを定め、「Core Value」としております。
■古河電工グループ ビジョン2030
当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、目指す時間軸と事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。
ビジョン2030は、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」という当社グループの基本理念を踏まえ、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が 示す社会課題の解決を念頭に置いて、当社グループの2030年におけるありたい姿を描くとともに、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にしております。
ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。
さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。なお、昨今の事業環境の変化と社会的要請の高まりを踏まえ、2021年度において「人権・労働慣行」を「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」のサブ・マテリアリティとして追加しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。
*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「新中計」という)を新たに策定いたしました。
<経営環境>
新中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代などを踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。
このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。
<各事業領域における市場環境の見通し>
世界経済は、拡大基調が続くとみられますが、新型コロナウイルスの感染再拡大やロシア・ウクライナ情勢の長期化など不確実な要因があり、リスクバランスは下振れの方向にあります。先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しておりましたが、それに加えコロナ禍でのテレワークの定着と拡大により、データセンタ関連の光ネットワークの建設が今後も続くと考えられます。足元では、引き続き世界的な光ファイバ等の需給バランスが悪化しておりますが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
エネルギー分野は、国内に関しては新エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。
自動車分野は、日系自動車メーカーが相次ぎ電気自動車(EV)への投資計画を発表するなど、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。
機能製品分野は、引き続き半導体市場の中長期的な拡大・成長が見込まれ、当該分野は継続的に成長する見通しであります。
<新中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>
新中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。
*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼などの特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。
①資本効率重視による既存事業の収益最大化
選択と集中による投資配分の最適化を一層推進し、また各事業において資本効率性をより高めるための施策を実施することで、当社グループ全体での収益の改善・拡大を目指してまいります。具体的には、当社を取り巻く事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するべく、収益性・成長性などの観点から事業の位置付けを定め、これに応じた経営資源の配分を決定し、事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。また、低採算製品の縮小と高付加価値製品への注力、コスト構造見直しに基づく原価低減の推進や外部パートナーとの共創による競争優位性の確保を通じた製品の収益力向上、生産技術向上に基づく効率化や製造能力の増強による製品供給能力の強化に注力するなど、資本効率向上の取組みを推進し、既存事業の収益改善・拡大を行うことで、「稼ぐ力の最大化」を図ってまいります。
②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備
グループの枠を超えた外部パートナーとの共創により、互いの有する技術やアイデア等を掛け合わせ、次世代インフラ構築や環境配慮に寄与する新事業創出に向けた基盤整備を推進してまいります。また、機能強化や品質改善による製品の高付加価値化及びコスト低減等による製品競争力の向上によるモノづくりの強化にとどまらず、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスを開発・提供することを通じて、新たな提供価値の創造を目指してまいります。
③ESG経営の基盤強化
当社グループを取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する力の強化に取り組み、持続的に成長する企業への変革を実現してまいります。その一環として、サステナビリティ指標及びその目標値を設定し、企業経営の中核にESG要素を取り込んでまいります。また、コーポレート機能の強化に取り組み、事業の成長・変革を下支えする経営基盤の構築を図ってまいります。
(3) 目標とする経営指標
新中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROEなどを経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、新中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するための指標をサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、管理職に占める女性比率、人権に関する教育の強化等)として目標を設定しており、収益機会とリスクの両面から、企業価値向上に向けた取組みを実施し、これらの達成を図ってまいります。
当社グループ経営理念及びビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。
2025年度の財務目標値
2025年度のサステナビリティ目標値
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