業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 経営成績の状況

当期のわが国経済は、一部の業界で回復の傾向が見られたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足等の影響により、先行き不透明な状況が続いた。

こうした中、当社グループは、受注・売上の拡大に注力するとともに、生産の効率化とコスト削減活動を進め、業績の改善を図った。

繊維機械事業、工作機械関連事業ともに受注・売上は前期を上回ったが、十分な量を確保するには至らず、生産は低水準で推移した。

この結果、全体では当期の受注高は29,361百万円(前期比34.8%増加)、売上高は27,796百万円(同比33.3%増加)となった。損益面では、工作機械関連事業は利益を確保したものの、繊維機械事業で新型エアジェットルームの本格生産開始に伴う初期投資費用の増加等もあり、営業損失3,723百万円(前期 営業損失4,484百万円)、経常損失3,605百万円(前期 経常損失4,688百万円)となった。

また、特別利益では、資本政策として政策保有株式の圧縮を進め、投資有価証券売却益197百万円を計上した。一方、特別損失として保有株式の下落により投資有価証券評価損559百万円が発生したことに加え、固定資産の減損損失333百万円を計上した。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失4,495百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失4,520百万円)となった。

セグメント別の状況は下記のとおりである。

 

繊維機械事業

繊維機械事業では、主要市場のインド市場は、前半は感染再拡大に伴うロックダウン等の影響を受けたが、第3四半期以降はコロナ禍の鎮静化に伴い、受注が回復した。中国市場では、内需向け織物用を中心に需要が続いた。一方で、設備投資計画の遅れや電力供給制限による客先工場の稼働休止などにより、受注・売上ともに計画を下回った。

こうした市場環境の中、当社は環境性能・高速性に優れた新製品(エアジェットルーム「ZAX001neo」、ウォータジェットルーム「ZW8200」)を市場投入し、需要の掘り起こしに取り組んだ。特に新型エアジェットルームは、インド、パキスタンで積極的に市場投入した結果、目標とした高速性、省エネ性能を達成して高い評価を得て、すでに多くの受注をしている。中国市場でも、上海市で6月に開催された国際繊維機械見本市で両機種の紹介を行ったほか、11月にはプライベート展を開催し、多くの引き合いを得た。準備機械においても、新型サイジングマシンの販売を開始した。

また、販売網の強化ため、中国四川省に連絡事務所を新設したほか、イタリア・ミラノ市に設立した子会社TSUDAKOMA Europe s.r.l.の営業を開始し、欧州市場での販売強化を図った。

この結果、受注高は23,421百万円(前期比39.2%増加)、売上高は22,293百万円(同比43.3%増加)となった。一方、損益面では、生産が低水準で推移したことに加えて、新型エアジェットルームの本格生産開始に伴い、新設計部品生産のための治具・型投資や、生産工程の再編過程での効率の低下など、初期投資費用が増加した。また、海上輸送運賃の急騰や原材料の高騰の影響もあり、営業損失は2,504百万円(前期 営業損失2,856百万円)となった。

 

 

工作機械関連事業

工作機械関連事業では、好調なEMS業界向けのNC円テーブルの大口受注を得た。主要な納入先の国内自動車業界や工作機械業界でも回復の傾向が見られたが、半導体部品の供給不足に加え、東南アジア地域での感染再拡大に伴う部品調達難等が重なり、設備投資計画の延期などの影響を受けた。一方、開発面では自動車業界のEV化に対応した機種の開発を進めた。

この結果、受注高は5,940百万円(前期比19.8%増加)、売上高は5,502百万円(同比3.9%増加)となった。損益面では、売上が増加したことに加え、従来から進めていた設計のプラットフォーム化等によるコストダウンの効果が表れたものの、営業利益は29百万円(前期 営業損失407百万円)となった。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ852百万円増加し32,325百万円となった。主な増減は、現金及び預金の減少に加え、固定資産の減損及び投資有価証券で評価損を計上したものの、売上の増加に伴い営業債権が増加したこと等によるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ4,896百万円増加し27,073百万円となった。主な増減は、生産の増加により仕入債務の増加及び借入金の導入等によるものである。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失4,495百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,044百万円減少し5,252百万円となり、自己資本比率は15.9%となった。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,989百万円減少し4,871百万円になった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失4,311百万円の計上などによりマイナス2,905百万円となった。(前期 マイナス3,522百万円)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出910百万円などによりマイナス626百万円となった。(前期 マイナス1,174百万円)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入による収入3,300百万円などにより1,525百万円となった。(前期 4,366百万円)

 

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維機械事業

18,965

125.6

工作機械関連事業

6,800

126.4

合計

25,765

125.8

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていない。

 

b 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前期比(%)

受注残高
(百万円)

前期比(%)

繊維機械事業

23,421

139.2

6,393

121.4

工作機械関連事業

5,940

119.8

1,884

130.2

合計

29,361

134.8

8,277

123.3

 

(注) 金額には消費税等は含まれていない。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維機械事業

22,293

143.3

工作機械関連事業

5,502

103.9

合計

27,796

133.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去している。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

  なお、前連結会計年度における江蘇蘇美達国際技術貿易有限公司については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略している。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

江蘇蘇美達国際技術貿易有限公司

4,043

14.5

 

3 金額には消費税等は含まれていない。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  経営成績

当社グループは、売上高に占める輸出比率が高く、また主力の繊維機械事業ではインドや中国など、持続的な成長を図るための様々な経済改革を進める市場が売上の中心となっており、世界経済や国際政治あるいは各国の経済・金融政策の動向に大きな影響を受けざるを得ない。
 こうした環境に対し、当社グループは、2021年から2023年度をターゲットとした「中期経営計画2023」に取り組んでいる。

当連結会計年度の当社グループの経営成績は、(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおりであるが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による需要の急激な冷え込み、主力市場での経済活動の停滞、海外渡航制限による営業活動の自粛等から、連結売上高、営業利益率共に目標の達成には至らなかった。全体では、受注高は29,361百万円(前期比34.8%増加)、売上高は27,796百万円(同比33.3%増加)となった。損益面では、生産・売上は前期比増加し、売上原価率は前期比6.1%改善し93.1%となった。販売費及び一般管理費は売上が増加し販売手数料や荷造運送費等の増加により前連結会計年度に比べ992百万円増加し5,646百万円となった。その結果、営業損失3,723百万円(前期 営業損失4,484百万円)となった。

営業外収益では、受取配当金、為替差益の計上等により287百万円となった。一方、営業外費用は、支払利息、持分法による投資損失等により169百万円となった。特別利益では、政策保有株式の圧縮を進め、投資有価証券売却益の計上等で198百万円となった。特別損失では、投資有価証券評価損や減損損失等の計上で905百万円となった。セグメント別では、繊維機械事業では、受注高は23,421百万円(前期比39.2%増加)、売上高は22,293百万円(前期比43.3%増加)、営業損失2,504百万円(前期 営業損失2,856百万円)となった。工作機械関連事業では、受注高は5,940百万円(前期比19.8%増加)、売上高は5,502百万円(同比3.9%増加)、営業利益29百万円(前期 営業損失407百万円)となった。

 

財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ852百万円増加し32,325百万円となった。主な増減は、現金及び預金の減少に加え、固定資産の減損及び投資有価証券で評価損を計上したものの、売上の増加に伴い営業債権が増加したこと等によるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ4,896百万円増加し27,073百万円となった。主な増減は、生産の増加により仕入債務の増加及び借入金の導入等によるのである。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失4,495百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,044百万円減少し5,252百万円となり、自己資本比率は15.9%となった。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、長期借入金の借入による収入があったものの、税金等調整前当期純損失の計上、有形無形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ1,989百万円減少し4,871百万円となった。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りである。

当社グループの運転資金需要は主に、原材料及び部品等の購入費用、製造費、販売及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備である。
 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としている。
 運転資金は自己資金及び金融機関等からの借入により調達しており、設備投資資金は自己資金を充当している。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成している。この連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりである。

連結財務諸表の作成にあたり、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した見積りが含まれているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載している。

 

 

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