事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループは、輸出比率が高く、為替変動をはじめ国際経済の影響、取引相手国の政治状況・経済政策の影響を受けざるを得ない。また、直近では米中貿易摩擦問題に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済への影響が重大なリスクとなっている。このような状況から、主に次の要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクと考えている。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

①新型コロナウイルスの感染状況

繊維機械事業では、営業面においては、特に海外市場における販売促進活動及び客先での実機試験など対面を要求される活動が大幅に制限される。また、当社顧客においても最終市場への販売・アクセスが制限されるため、当社製品への投資が慎重になっている。工作機械関連事業では、コロナ禍における行動変容に伴って需要が拡大した業界もあるが、当社グループの主力市場である工作機械業界、自動車業界では設備投資に慎重な動きが拡大した。社内においては、労使が連携して「新型コロナウイルス対策チーム」を立ち上げ、県・市町村・保健所・医療機関等と連携しながら地域・グループ内における感染防止対策を行っている。

 

②米中間の経済対立

特に繊維機械事業における主力市場の中国では、米国が重要な繊維製品の輸出相手国となっており、米中貿易摩擦・追加関税引き上げにより、繊維製品輸出が減少すると設備投資に影響が及ぶ。一方、こうした環境の中で、中国から隣国等への生産拠点の移動現象も見られ、新たな商機と捉えていく。

 

③インド市場の金融政策

インド市場は、繊維製品においては中国に次ぐ市場であるが、金融面に脆弱性がある。当社は代金回収リスクを回避するためL/C決済を行っているが、金融政策の急激な変更、銀行融資業務の停滞が、L/Cの発行遅延リスクとなる。

 

④半導体等、基幹部品の不足及び素材価格の変動リスク

当社製品の主要素材である半導体をはじめとする原材料の供給不足やサプライチェーンの混乱により、生産の減速、納期の遅延が生ずるリスクがある。また、主要素材である金属類、半導体等の価格高騰に加え、災害によるサプライチェーンの寸断や国際的な需給バランスの変動も調達コストの上昇リスクとなる。サプライチェーンの多様化により、リスクの解消を図っている。

 

⑤海上輸送運賃の高騰リスク

当社は、主に船便によるコンテナ輸送で当社製品を顧客へ引渡しを行っている。コンテナ不足による物流停滞は、海上輸送運賃の高騰を引き起こし、輸出契約時に見込んでいた海上輸送運賃を上回る費用が発生するリスクとなる。海上輸送運賃の高騰を反映した販売価格の改善を積極的に顧客に提案することで、採算性の改善を図っていく。

 

⑥為替変動リスク

当社は輸出にあたっては、為替リスクを回避する手段として、円建て契約を基本としているが、急激な円高は相手側の円調達リスクとなる。また、当社客先とその最終仕向国の間の為替変動による資金調達リスクが、当社客先の設備投資に影響する。

 

⑦金利上昇リスク

米国の量的金融緩和の縮小とともに、利上げの想定が見込まれている。米国の金融政策の変更が市場に与える影響を注視する必要がある。

 

⑧継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、令和元年11月期以降3期連続で営業損失を計上することとなった。特に令和2年11月期、令和3年11月期は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による需要の急激な冷え込みとともに、主力市場における経済活動の停滞、海外渡航制限による営業活動の自粛等から、受注・売上が大きく減少し、大幅な営業損失の計上を余儀なくされた。令和4年11月期についても、世界経済は回復傾向に向かうと見られるものの、新型コロナウイルス感染拡大による事業活動への影響は不透明であり、継続的に営業キャッシュ・フローを確保するにはいましばらくの時間を要することが見込まれる。このような状況から、当社グループには、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。

当社グループは、2021年度から2023年度をターゲットとする「中期経営計画2023」を策定しているが、このような状況を解消し、健全な企業活動を継続するために、特に2022年度においては、以下の点を重点項目として取り組んでいく。

 

繊維機械事業の受注・売上拡大

繊維機械事業では、直近の受注・成約残高は増加している。また、当期に入り、主力市場のインド市場、中国市場でL/C(信用状)の開設が進んでいることから、昨年度より受注・成約済み案件の実行が増加し、環境は改善すると判断している。当期は商談・成約案件を確実に受注・売上に結び付けるとともに、下記の取り組みを通して、さらなる拡大を図る。

a. 新型エアジェットルーム ZAX001neoの販売促進

2021年度に販売を開始したZAX001neoの販売拡大のため、客先から要望を得ている仕様の拡大・充実を図り、早期に市場投入を行う。また、主要市場においてモデル工場の展開、プライベート展示会の開催等を通してZAX001neoシリーズの市場への普及を図る。

b. 新型ウォータジェットルームの販売強化と中国内需向けボリュームゾーンの市場確保

当社の強みであるウォータジェットルームは、世界経済の回復期においては、輸出用の高品位織物製織のために当社の高性能ウォータジェットルームの需要が高まると見ており、新型ウォータジェットルームZW8200の販売促進を図る。

また、中国市場における市場シェアを確保するため、2022年下期を目途に中国子会社 津田駒機械製造(常熟)有限公司の製品ラインアップを刷新し、中国内需向けのボリュームゾーンへの販売拡大を図る。

c. 準備機械の販売体制見直しによる販売促進

ウォータジェットルームと同様に当社の強みである、サイジングマシン(準備機械)は販売会社の株式会社T-Tech Japanに対するバックアップ体制を強化し、販売拡大を図る。

 

繊維機械事業における採算性の改善

a. 販売価格改定

採算性を改善するために、原材料や海上輸送運賃の高騰などを反映した販売価格の改善を積極的に顧客への提案を進めている。

b. タイムリーかつ詳細な原価管理の実施

新基幹システムの機能を活用し、タイムリーかつ詳細な製造コストの把握、設計図面の見直しも含めた製造コストの削減を進める。

 

工作機械関連事業の受注・売上の拡大、採算性改善

工作機械関連事業では、主要な納入先の工作機械業界や自動車業界等の回復を背景に直近の受注残高、成約案件は増加している。当期はこれらを確実に売上に結び付けるとともに、下記の取り組みを通してさらに拡大していく。

a. 自動車業界の回復、EVシフトに対応した製品の販売促進

工作機械関連事業においては、当社の主要な納入先の自動車業界ではエンジン車の生産は当面継続するため、自動車業界の正常化とともに当社が強みとする特注機の需要が回復すると見込んでいる。一方、EV化の動きも加速している。部品の多様化に伴い、当社においても、汎用機の需要が増加すると見込んでいる。これまで進めてきた効率的な設計を可能とした開発(プラットフォーム)手法の効果を最大限に発揮できると判断しており、顧客に迅速に製品供給できるよう効率的な生産管理体制を構築する。

b. 新製品の迅速な市場投入、EMS業界の需要取り込み

2022年度は、EMS関連業界の需要の拡がりが見込まれる。当社は、実績のある従来機種に加え、新製品を提供し、受注の取り込みを進める。

 

キャッシュ・フロー確保に向けた対応策

資金計画については、令和4年度の通期予算を基礎に策定している。通期予算は、最近の受注高および受注見込額の推移、過去の売上推移による趨勢を検討の上、収益予測を行っている。また、コスト・費用面においても現状の事業構造を基に計算しているが、更にコストダウン計画の遂行、経費節減の徹底によって改善を図っていく。なお、資金計画には主要金融機関からの借入更新が含まれている。

取引金融機関とは、定期的に資金計画及び中期経営計画の進捗状況の説明を行うなど、緊密な関係を維持している。

また、売却の意思決定を行った政策保有株式などの保有金融資産について、相手企業との同意の内容や株式相場を勘案したうえで売却を実施してゆく。

これらの施策により、主要金融機関からの支援等の対応策を含めて資金計画を検討した結果、翌事業年度末までの資金繰りに懸念は無いと判断している。

以上のことから、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。

 

 

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