(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度においては、COVID-19の感染拡大の波が繰り返されましたが、重症患者の発生率の低下等から経済活動への影響は縮小し、緩やかな景気拡大が続きました。しかしながら、ウクライナ情勢の緊迫化、中国のゼロコロナ対策を受けたサプライチェーンの停滞、急激かつ一方的な円安の進行等による、資源価格をはじめとした物価の高騰や原材料や商品の仕入れ納期の長期化等、対応が難しい経営環境が続きました。
そうした環境の中、当社グループにおきましては、神岡工場内に建設中であった生産本部棟・新組立棟を令和4年4月に竣工させ産業機器事業部門等の生産能力拡大をはかるとともに、同年10月発刊の新総合カタログの発刊準備をおこなうなど、業績向上のための施策も積極的に実行してまいりました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、引き続きプロフェッショナルセグメントが好調を維持し、全社の業績を牽引いたしました。その結果、売上高9,681百万円(前期比5.6%増)となりましたが、神岡工場生産本部棟・新組立棟建設や建設業界向けクラウドシステムサービス「Goolip」の開発等の積極的な成長投資による減価償却費の増加や、前述の新総合カタログの製作に伴う広告宣伝費の増加、さらに前期は保険解約返戻金を計上した、営業外収益の減少等の要因により、営業利益228百万円(同18.5%減)、経常利益194百万円(同28.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益143百万円(同24.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
イ.プロフェッショナルセグメント
プロフェッショナルセグメントは、インテリア内装施工機器・工具・副資材を主力商材とするインテリア事業部門と、畳製造装置を主力商材とする畳事業部門等で構成しております。当連結会計年度のプロフェッショナルセグメントの売上高は7,466百万円(前期比7.5%増)となりましたが、クラウドシステムサービス「Goolip」の発売開始に伴う減価償却費の発生や新総合カタログ製作で広告宣伝費が増加したことなどから、営業利益は186百万円(同28.3%減)となりました。
インテリア事業部門は、圧倒的シェアの自動壁紙糊付機をはじめ人気商品を多く持つとともに、ホームセンター・建機レンタル・防水等の新市場への販売推進、業務用プリンター、クラウドシステムサービス「Goolip」等の新商品の追加により、事業拡大をはかっております。当連結会計年度におきましては、「新しい営業方式」の継続や復活し始めたリアル展示会への対応等充実した営業活動が功を奏して、50周年記念モデルを含む自動壁紙糊付機をはじめとして、内装施工機器や工具、副資材の販売が好調に推移いたしました。また、令和4年9月には同年10月1日発刊の新総合カタログでの価格見直しを告知したことで、消耗品を中心に前倒し受注が増加しました。その結果、売上高は6,245百万円となりました。
畳事業部門は、リアル開催していた畳店経営セミナーをリモート開催に切り替えたことで参加者が大幅に増加するなど、「新しい営業方式」が効果を発揮しました。そうしたことから、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(中小企業庁)及び「事業再構築補助金」(中小企業庁)における採択案件の過半数を当社関連案件が占め、他社機器から当社機器に乗り換える畳店も顕著に増加しました。その結果、売上高は1,206百万円となり、畳製造機器の業界トップシェアを確実にすることができました。
その他、インテリア・畳両事業部門の取引先に対するコンピュータシステム及び関連資材等の販売につきましては、売上高は13百万円となりました。
ロ.コンシューマセグメント
コンシューマセグメントは、棺用畳をはじめとする各種特殊機能畳等の商品販売及び畳替え仲介のサービス事業を主力とするコンシューマ事業部門と、産業用、一般住宅用等のソーラー発電システムの販売施工を主力とするソーラー・エネルギー事業部門及び売電事業で構成しております。当連結会計年度のコンシューマセグメントの売上高は741百万円(前期比5.7%減)、営業損失12百万円(前期は営業損失16百万円)となりました。
コンシューマ事業部門は、フィットネスクラブ向け防音・防振床材の販売、ネット販売によるBtoCビジネスは順調に推移しておりますが、棺用畳販売や、住宅向けの畳替え需要はCOVID-19の影響が続いて低迷しました。その結果、売上高は574百万円となりました。
ソーラー・エネルギー事業部門につきましては、制度改正により売電目的の低圧ソーラー案件が激減したほか、機材の納期遅延により、受注案件の設置工事が遅れ低調な推移となりました。その結果、売上高は111百万円となりました。一方、兵庫県佐用町に設置しているメガソーラー発電所「三日月サンシャインパーク」をはじめとする売電事業は、順調に稼働し、売上高は55百万円となりました。
ハ.インダストリーセグメント
インダストリーセグメントは、畳製造装置やインテリア内装施工機器の開発製造で培った当社のコア技術(「縫製」「裁断」「検尺」「塗布」「剥離」「折畳」「測定」)を活用したオーダーメイド産業用機器を開発する産業機器事業部門と、味噌汁、うどん・そば等に対応するオリジナルのマルチディスペンサーを主力商品とする食品機器事業部門で構成しております。当連結会計年度のインダストリーセグメントの売上高は978百万円(前期比5.9%増)、営業利益80百万円(同62.4%増)となりました。
産業機器事業部門につきましては、主要製品である各種のEV用二次電池製造装置のリピート受注が増加しましたが、部材の仕入れ納期遅延が出荷スケジュールに影響いたしました。その結果、売上高は676百万円となりました。なお、令和4年4月に生産本部棟・新組立棟が竣工したことも相まって、大手顧客からの引き合いと受注は確実に増加しております。
食品機器事業につきましては、COVID-19の影響で低迷していた大手飲食チェーンからのマルチディスペンサーの引き合いが、回復傾向に転じました。その結果、売上高は301百万円となりました。
ニ.ニュー・インダストリーセグメント
令和2年10月1日に子会社化した株式会社ROSECCを当セグメントに位置づけております。主な得意先である自動車関連業界はCOVID-19の影響からまだ立ち上がれておらず、大型案件の売上が重なった前期にも及ばず、当連結会計年度のニュー・インダストリーセグメントの売上高は495百万円(前期比4.1%減)、営業損失25百万円(前期は営業損失12百万円)となりました。
②財政状態
イ.資産の部
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,805百万円増加し、10,430百万円となりました。資産のうち流動資産は、受取手形及び売掛金が318百万円、棚卸資産が233百万円、電子記録債権が84百万円増加したこと等により5,943百万円となりました。固定資産につきましては、主に有形固定資産が1,124百万円増加したこと等により、1,133百万円の増加となりました。
ロ.負債の部
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,745百万円増加し、7,589百万円となりました。負債のうち流動負債は、支払手形及び買掛金が236百万円増加、電子記録債務が252百万円増加、未払金が333百万円増加したこと等により、916百万円の増加となりました。固定負債につきましては、主に長期借入金が797百万円増加したことにより、828百万円の増加となりました。
ハ.純資産の部
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ60百万円増加し、2,841百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額が20百万円減少したものの、利益剰余金が82百万円増加したこと等
によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ67百万円減少し、1,087百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果、資金は263百万円の増加(前連結会計年度は460百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益193百万円、減価償却費196百万円、仕入債務の増加486百万円、未払金の増加104百万円等の資金増加要因が、売上債権の増加421百万円、棚卸資産の増加233百万円、法人税等の支払額97百万円等の資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果、資金は1,088百万円の減少(前連結会計年度は794百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出974百万円、無形固定資産の取得による支出108百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は757百万円の増加(前連結会計年度は442百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,533百万円等の資金増加要因が、長期借入金の返済による支出684百万円、配当金の支払額53百万円等の資金減少要因を上回ったためであります。
④生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
プロフェッショナル |
1,749,524 |
103.6 |
コンシューマ |
355,984 |
102.7 |
インダストリー |
665,404 |
98.9 |
ニュー・インダストリー |
328,697 |
98.1 |
合計 |
3,099,612 |
101.9 |
(注)金額は製造原価によっております。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
プロフェッショナル |
3,364,757 |
108.8 |
コンシューマ |
63,327 |
101.1 |
インダストリー |
427 |
58.2 |
ニュー・インダストリー |
75,389 |
93.7 |
合計 |
3,503,902 |
108.2 |
(注)金額は仕入価格によっております。
ハ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
インダストリー |
1,499,955 |
178.3 |
716,975 |
414.5 |
ニュー・インダストリー |
433,574 |
100.8 |
82,357 |
59.8 |
合計 |
1,933,530 |
152.1 |
799,332 |
257.3 |
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
プロフェッショナル 製品 商品 |
2,876,119 4,590,016 |
107.0 107.9 |
計 |
7,466,136 |
107.5 |
コンシューマ 製品 商品 |
598,929 142,694 |
92.3 103.6 |
計 |
741,623 |
94.3 |
インダストリー 製品 商品 |
969,047 9,265 |
105.9 110.0 |
計 |
978,312 |
105.9 |
ニュー・インダストリー 製品 商品 |
391,381 104,513 |
97.5 90.4 |
計 |
495,895 |
95.9 |
合計 |
9,681,967 |
105.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における経営成績等の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローについて、営業活動の結果得られた資金は263百万円、投資活動は神岡工場内の新工場棟の建設、クラウド型業務管理ツール「Goolip」開発等への投資の結果使用した資金は1,088百万円、財務活動は必要資金をSDGsシンジケーションを活用した金融機関借入で調達した結果得られた資金は757百万円となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,087百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
財務政策について、運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、大型投資の資金は必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達することを基本方針としております。
当連結会計年度における投資資金は、株式上場時に得た資金を含む自己資金と金融機関からの借入により充当いたしました。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,874百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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