当社グループは、当社及び連結子会社2社により構成されており、水関連事業及びエネルギー関連事業を行っています。各事業の内容は以下の区分のとおりで、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。
なお、当社の親会社である株式会社ハマダグループ、株式会社ハマダ及び株式会社ハマダコムは、当社事業とは異なる事業を営んでいます。ただし、当社は株式会社ハマダに対し、水関連事業及びエネルギー関連事業に係る製品製造工程の一部について製造委託を行っています。また、株式会社ハマダコムとの間で当社姫路工場の土地及び建物に係る賃貸借契約を締結しています。
(1) 事業の内容
① 水関連事業(当社、那賀設備(大連)有限公司、NAGAOKA VIETNAM CO., LTD.)
超高速無薬注生物処理装置(以下「ケミレス」という。)及び省エネルギー型充填塔式気散処理装置(以下「エアシス」という。)等の設計・製造・施工・販売・メンテナンス、並びに、取水用スクリーン及び建築・土木分野の建設向け排水用スクリーンの製造・販売を行っています。これらの製品で取水・水処理された地下水は、生活用水、工業用水、農業用水等に幅広く利用されています。
② エネルギー関連事業(当社、那賀設備(大連)有限公司)
スクリーン・インターナルの製造・販売を行っています。スクリーン・インターナルは、石油精製、石油化学、肥料プラントの心臓部である反応塔内で、原料の原油や天然ガスを変化させ、反応、抽出、分離を行う触媒をサポートする内部装置です。スクリーン・インターナルを経由して化学繊維やプラスチック、ペットボトル等、私たちの暮らしに欠かせない様々な製品が作られています。
(2) 製・商品及びサービスの特長
① ナガオカスクリーンの特長(水関連事業及びエネルギー関連事業)
ナガオカスクリーンの基本性能は、固体と液体又は気体を効率良く分離することで、様々な用途に使用されます。製品の基本的な特長は、三角形の断面のワイヤー形状により目詰まりを起こしにくく、構造的に強度がある等です。このナガオカスクリーンを使用して、エネルギー関連事業のスクリーン・インターナルや水関連事業の取水用スクリーン等を生産しています。
② スクリーン・インターナルの特長(エネルギー関連事業)
スクリーン・インターナルは、石油精製、石油化学プラントの心臓部である触媒反応・合成等のプロセスで使用されます。スクリーン・インターナル上に触媒を広げ、液体又は気体の石油原料を流し、触媒と化学反応させて物質を変化させます。この原料の流れを均一な整流に保つことは、プラント生成物の質の均一化に大きく関係しますので、スクリーン・インターナルはスクリーンのスロット・サイズだけでなく、形状加工や溶接等2次加工を含めた製品全体の高い精密性が要求されます。また、通常、触媒反応・合成等のプロセスは圧力容器で覆われており、容器の中は高温・高圧・高腐食になります。そのような過酷な使用環境下でも長期間使用できる高い耐久性も要求されます。もし、スクリーン・インターナルに不具合が生じると、プロセスに影響を与えるだけでなく、プラント全体の生産に不具合が生じてしまいます。このようにスクリーン・インターナルは、プラントにおける重要機器の1つです。そのため、プロセス・オーナーから認証を取得するためには、非常に厳しい水準の生産体制や能力に対する審査に合格することが求められています。
③ 取水用スクリーンの特長(水関連事業)
当社の取水用スクリーンは、井戸や集水埋渠などの取水設備に使用されています。当社の取水用スクリーンは、開口率が大きいため取水効率が高く、周囲の砂層に含まれる水を井戸内へ緩やかに流れ込ませる特性を持っています。これにより、スクリーンの周囲の砂層を極力動かさずに取水することができ、砂層の目詰まりを防ぐことができます。この技術・ノウハウを「サンド・コントロール」と呼んでいます。また、取水用スクリーンを横にして川底などに埋設し、上を覆う砂層を通して取水する集水埋渠では、埋設されたスクリーンの上部にある砂層の目詰まりを解消するために、取水方向と逆方向に空気や水を押し出して、砂層に溜まった微細物を取り除き、取水効率を元に戻します。この技術・ノウハウは「逆洗」と呼ばれています。これらの技術・ノウハウにより、井戸や集水埋渠の寿命が伸長し、安定した取水量を維持することができます。また、「サンド・コントロール」、「逆洗」の技術・ノウハウは、ケミレス及びハイシスでも活用されています。
④ ケミレスの特長(水関連事業)
ケミレスは、地下水に含まれる飲用基準を超える濃度の鉄分やマンガンなどの金属イオン及びアンモニア態窒素、ヒ素などの無機物を、溶存酸素を使った接触酸化処理並びに硝化菌や鉄分バクテリアなどの生物処理で水処理する装置です。
水処理装置は、塩素を代表とする薬品を使った薬注処理装置が現在の主流となっています。これに対し、ケミレスは、無薬注でかつ超高速の水処理装置であり、薬物処理では排出されてしまう産業廃棄物を出さない等、環境にやさしいという特長があります。また、ケミレスの処理性能を支えているのが洗浄技術であり、集水とは逆方向の水の流れで下部集配水管を通して処理水を逆噴出させることで、ろ過層に沈着した鉄分・アンモニア態窒素・マンガンの処理済み物質を排水とともに排出させ、同時にケミレス上部からも処理水を噴出し、ろ過層の表面を洗浄する技術です。ろ過層を洗浄することにより生物ろ床の損傷リスクが懸念されますが、当社が培ったノウハウで、原水の水質を見極めて生物ろ床の損傷を装置の処理能力を低下させない範囲で洗浄頻度・時間を自動制御し、ろ過層に溜まった処理済物質を取り除きます。これにより、ケミレスのろ過プロセスの処理能力を半永久的に持続することができます。
⑤ エアシスの特長(水関連事業)
エアシスは、地下水や河川水に含まれる有機性化合物質(以下「VOC」という。)や遊離炭酸などの汚染物質を99%以上除去し、難しいとされる水道法水質基準超過の低濃度VOCも0.001mg/L(水道法水質基準値の10分の1)まで除去します。同時に、既存技術と比べ、運転に必要なエネルギー量の60%削減を実現します。更に、エアシスに改良を加えたエアシスPlusは、空気中に含まれるVOCの除去も可能とします。
エアシス及びエアシスPlusはこれまで主に土壌汚染対策装置として販売してきましたが、用途を拡大し、上水道向けに、遊離炭酸を低減した「おいしい水」を提供することが可能となりました。
⑥ 高速海底浸透取水システム(ハイシス)の特長(水関連事業)
ハイシスは、当社の取水技術・ノウハウを用いて日立造船株式会社と共同で開発した海水淡水化プラント向けの海水取水装置です。
従来の海水淡水化プラントは、海水を海中から直接取水するシステムのため、初期費用・維持費用ともに割高にならざるを得ない構造となっています。その結果、淡水から造水する場合と比較して、造水コスト(一定量の水を造り出すコスト)が高すぎて事業化の大きな障壁となっています。原因の1つは、取水設備の表面及び内部に海洋性生物が付着・成長してしまうことです。それらを除去するために、塩素系薬剤を大量に海中へ投入する必要があります。塩素系薬剤の使用は、海域環境の汚染に繋がるだけでなく耐性菌の発生やプラント内部での海洋性生物の再増殖を起こし、前処理工程で各種薬剤の投入が必要になり、ランニング・コストつまり造水コストが増加する一因となっています。また、各種薬剤は逆浸透膜の寿命を縮める原因となり、逆浸透膜を短い周期で交換する必要があります。更には、投入した薬品を中和するための設備、海洋性生物等の不純物を除去して処理する産業廃棄物処理設備などの初期投資とランニング・コストも必要となります。
一方、ハイシスは、海の砂でろ過をして取水するため、取水部分への海洋性生物の付着や海洋性生物・ゴミ等の不要物の取り込みが無くなります。また、取水した海水の水質が清澄であることから、濁り等の懸濁物質を取り除く薬品処理工程も不要となります。これらにより、処理設備を縮小することができ、また、汚泥などの産業廃棄物が発生しないことから、環境負荷を低減することができます。
(3)事業系統図
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