業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当期においては、各国の経済活動がコロナ禍から回復に向かい、製造業全般において設備投資意欲が回復いたしましたが、半導体不足を含むサプライチェーンの混乱、原材料価格及び物流コストの高騰、ロシアによるウクライナ侵攻など、先行きの不透明な状況が継続しております。

 自動制御機器の需要は、半導体・電機関連分野では、中国・日本を中心に北米・欧州・アジアなど各地域とも引続き高水準となりました。自動車関連分野では、半導体等部品不足による減産の影響は継続しておりますが、EV・二次電池関連の需要が伸長いたしました。工作機械関連は、海外向けを中心に総じて堅調に推移いたしました。医療機器関連、食品機械関連、その他の業種向けの分野ではコロナ後の新たな省人化・自動化の観点から、需要は堅調に推移しております。

 

 

 (地域別の販売の状況)

日本では、新型コロナウイルス感染症の拡大により先送りされていた設備投資が再開され、半導体関連及び工作機械向けの売上が大幅に増加いたしました。自動車関連は減産の影響はありましたが、前期を上回る水準となりました。医療機器関連、食品機械関連、その他の業種向けはコロナ後の新たな省人化・自動化需要などもあり、好調でありました。

北米では、米中貿易摩擦の影響もあり、積極的な設備投資が行われ、特に半導体関連の売上は好調を持続いたしました。基幹産業である自動車関連は、半導体不足の影響は受けたものの、EV関連の投資は活発であり、関連する工作機械向けなどを含めた幅広い業種で、需要が回復いたしました。

欧州では、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んでいた需要は、半導体・電機関連及び工作機械向けを中心に年度後半から急回復いたしました。自動車関連では、半導体不足の影響はあったものの、EV関連投資もあり、前期を上回る水準でありました。ロシアによるウクライナ侵攻の影響は限定的でありました。

中国では、米中貿易摩擦の影響や政策の後押しもあり、半導体関連及び二次電池関連の需要が急拡大したほか、EV関連の投資が活発に行われ、自動車関連向け及び工作機械関連向けも好調でありました。台湾では、半導体関連設備投資が引続き堅調でありました。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンなどの影響の懸念は残っております。

その他アジアでは、年度前半は新型コロナウイルス感染症の拡大による影響がありましたが、年度後半には回復に転じました。韓国、シンガポール、マレーシアでは半導体関連を中心に需要が回復いたしました。インドやタイは、自動車関連で半導体不足の影響はあったものの、前期を上回りました。

南米・オセアニアなどその他の地域では、新型コロナウイルス感染症からの回復が進み、売上は前期を上回りました。

 

このような環境において、当社グループは、部品の調達不足による生産への影響を回避するため、サプライヤーの複数化や質の向上へむけた様々な取り組みを行うとともに、需要の伸長に対応した製品供給能力の確保と生産の持続可能性の向上のための生産拠点の複数化にむけて、引続き積極的な設備投資に努めました。また、省エネルギー性能に優れた小型・軽量化を進めた新製品や、耐久性能に優れた新製品の開発等、世界中のメーカーに直に接して、そのニーズを汲み上げる積極的な販売活動を引続き推進いたしました。

この結果、当期の連結売上高は727,397百万円(前期比31.7%増)となり、販売費及び一般管理費が人件費の増加を主因に増加したものの、増収効果から営業利益は227,857百万円(同48.6%増)となりました。受取利息は減少したものの、円安により為替差益が増加し、経常利益は272,981百万円(同58.9%増)税金等調整前当期純利益は272,851百万円(同58.2%増)親会社株主に帰属する当期純利益は192,991百万円(同58.5%増)となりました。

自己資本当期純利益率(ROE)は、前期に比べて3.9ポイント上昇して13.2%となりました。

 

② 財政状態

 当期末における総資産は230,080百万円(前期末比14.9%)増の1,769,951百万円となりました。

 (a) 資産の状況

流動資産は161,452百万円(前期末比14.7%)増の1,258,406百万円となりました。

主な要因は、現金及び預金が利益の獲得により、55,542百万円(同8.8%)、受取手形及び売掛金が増収により、37,004百万円(同21.2%)、棚卸資産が旺盛な需要に対応するため原材料を中心に戦略的な在庫の積み増しにより、54,793百万円(同22.0%)それぞれ増加したことであります。

固定資産は68,627百万円(前期末比15.5%)増の511,545百万円となりました。

主な要因は、投資有価証券が売却等により、13,632百万円(同18.8%)減少した一方、有形固定資産が利益剰余金の増加に伴い増加した現金及び預金を充当して、グループ管理機能向上を目的とした本社建設のための用地取得や更なる需要の取り込みのための積極的な設備投資を行ったことにより、72,043百万円(同36.3%)、保険積立金が契約に基づく積み増しにより5,424百万円(同3.7%)それぞれ増加したことであります。

 (b) 負債の状況

 当期末における負債合計は50,794百万円(前期末比31.8%)増の210,677百万円となりました。

主な要因は、支払手形及び買掛金が受注の増加に伴う仕入の増加により18,010百万円(同40.8%)、未払法人税等が増収による課税所得の増加により、14,753百万円(同49.1%)それぞれ増加したことであります。

 

 (c) 純資産の状況

 当期末における純資産合計は179,286百万円(前期末比13.0%)増の1,559,274百万円となりました。

主な要因は、自己株式が市場買付により49,997百万円(同84.5%)減少(マイナス項目の増加)した一方、為替換算調整勘定が円安により75,836百万円(同629.0%)、利益剰余金が利益の獲得により153,086百万円(同12.0%)それぞれ増加したことであります。

自己資本比率は、前期末の89.4%から当期末は87.9%となり、1株当たり純資産額は、前期末の20,835円47銭から当期末は23,808円08銭となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前期末比2,243百万円減559,296百万円となりました。

 (a) 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動により得られた資金は156,093百万円(前期比35,619百万円の収入増)となりました。

前期対比の主な変動要因は、課税所得の増加に伴う法人税等の支払額の増加24,179百万円、棚卸資産の増加額29,319百万円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益の増加100,368百万円により資金が増加したことであります。

 (b) 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動により使用した資金は116,215百万円(前期は73,440百万円の収入であり、差引189,655百万円の支出増)となりました。

前期対比の主な変動要因は、定期預金の預入・払戻による差引支出133,797百万円、有形固定資産の取得による支出の増加49,307百万円により資金が減少したことであります。

 (c) 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動により使用した資金は88,933百万円(前期比32,923百万円の支出増)となりました。

前期対比の主な変動要因は、自己株式の取得による支出の増加21,314百万円、配当金の支払額の増加13,023百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

723,677

+34.5

 

(注)  金額は、販売価格によっております。

 

(b) 受注実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

817,402

+43.1

156,415

+135.5

 

 

(c) 販売実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

727,397

+32.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績の分析

 当期の売上高は、727,397百万円(前期比31.7%増)となりました。需要動向及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のとおりであります。

 売上総利益は、363,851百万円(同36.9%増)となりました。旺盛な受注に対応するための派遣社員費用の増加や原材料価格の高騰などの影響がありましたが、増収により売上総利益率は前期比1.9ポイント上昇して50.0%となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費の増加を主因に135,993百万円(同20.9%増)となり、増収に伴い販管費負担率は前期比1.7ポイント低下して18.7%となりました。営業利益は227,857百万円(同48.6%増)となり、営業利益率は前期比3.5ポイント上昇して31.3%となりました。

 営業外損益では、円安に伴い為替差益が33,144百万円(同286.7%増)となり、経常利益は272,981百万円(同58.9%増)、経常利益率は前期比6.4ポイント上昇して37.5%となりました。

 特別損益では、前連結会計年度で計上した関係会社株式売却益がなくなり支出超過となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は192,991百万円(同58.5%増)となりました。

 なお当期の期中平均為替レートは、USドル=112円39銭、ユーロ=130円55銭、人民元=17円51銭、期末為替レートは、USドル=122円41銭、ユーロ=136円77銭、人民元=19円26銭でありました。

(b) 財政状態の分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。

(c) 新型コロナウイルス感染症の影響

 当期の前半において売上の減少が見られましたが、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (1) 海外での事業展開に伴うカントリーリスク」に記載のとおり、生産活動が維持できたこと及び平常時から厚めの在庫を保持する戦略が奏功したことなどから、新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループの経営成績及び財政状態に与えた影響は、限定的なものにとどまりました。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用並びに資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等に基づき合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(棚卸資産の評価に関する事項)
  (ⅰ) 当社グループの製品の特性(需要及び材質)

当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどに組み込まれる要素部品であります。自動制御機器製品の単価は比較的低廉ですが、その不具合や欠品によってラインの停止や稼働遅れが生じた場合、お客様は多大な損失を被ります。そのため、お客様のニーズに合致した製品を短納期で即納することができるかどうかが、競争上、極めて重要な要件となります。

当社グループの製品を採用してくださったお客様は、次にラインや装置の図面を更新するまで長期間にわたり継続して同一の製品を購入される傾向があります。

また、当社グループの製品の主要な材質は、アルミニウムや樹脂など腐食に強い素材であり、製品は経年劣化しにくい特性を持っております。

さらに、在庫の陳腐化リスクを低減するため、最終製品に組み上げる前の段階で在庫として保持する等の対応も行っております。

 

 (ⅱ) 当社グループの在庫保有方針

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境 ② 当社グループの競争優位性」に記載のとおり、豊富な品揃えと潤沢な在庫は当社グループの競争優位性の重要な要素であり、戦略的に厚めの在庫を保持するという方針を変更する予定はありません。

 (ⅲ) 棚卸資産の評価減金額の算定方法

当社は、上記の製品の特性及び在庫保有方針を踏まえつつ、時間の経過に応じた販売実績の減少に伴う収益性の低下を棚卸資産の評価に適切に反映するため、当社及び各連結子会社が保有する在庫の品番別の残高、過去の一定期間(概ね10年)の販売・使用の実績データ等を分析し、滞留状況に応じた評価減率を設定して、棚卸資産の評価減金額を算定しております。

 (ⅳ) 重要な会計上の見積りに関する注記との関係

上記(ⅰ)~(ⅲ)に記載のとおり、当社は、在庫需要の長期的な安定性は来期以降も継続するものと仮定し、在庫の短期的な廃棄や陳腐化を想定しておらず、当連結会計年度における会計上の見積りが翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがないと判断していることから、連結財務諸表及び財務諸表における重要な会計上の見積りに関する注記には、棚卸資産の評価に関する記載を行っておりません。

(3) 資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 
② 資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料・部品等の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費、研究開発費であります。投資を目的とする資金需要の主なものは、土地、建物、機械設備等の購入など設備投資であります。

 

③ 財務政策

当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施するための資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

長期運転資金及び設備投資資金については自己資金により賄い、短期運転資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達することを基本としております。

 当期末における借入金の残高は11,544百万円、現金及び現金同等物の残高は559,296百万円であります。

なお当社は、2022年2月14日開催の取締役会の決議に基づき、当期中に734,700株、49,996百万円の自己株式の取得を実施いたしました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

  「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営戦略の現状及び見通し

  「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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