課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、企業として目指す姿を表した「経営理念」を以下のとおり定めております。

① 自動化・省力化に貢献する

空気圧機器をはじめとする自動制御機器製品の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」ことが、当社の社会的使命であると認識しております。

② 本業に専心する

「産業界の自動化・省力化に貢献する」要素部品メーカーとしての本分に徹し、本業である自動制御機器事業に経営資源を集中して、競争力の向上に努めてまいります。

③ グローバルに製品を供給する

世界各国・地域のルールやニーズに沿った製品、世界のどの市場でも通用する製品を供給してまいります。

 

(2) 経営環境

① 市場環境
 (a) お客様の多様性

当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、自動化された工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどのオートメーションを支える要素部品として、あらゆる産業分野で使用されております。

当社グループは、特定の業種、特定のお客様への依存度が低いため、産業構造の変化や需要環境の急変への耐性が相対的に高いと認識しております。

 (b) 製品の汎用性の高さ

空気圧機器は、汎用性が高く、お客様の創意工夫によって、用途が無限に拡大してまいります。当社グループは、お客様のニーズに応える製品開発を進めており、これを通じて新規需要の開拓が可能であります。

 (c) 環境保護への要請の高まり

環境保護の取り組みは人類共通の喫緊の課題であり、お客様の環境保護への要請は年々高まっております。

大気中に放出しても問題のない圧縮空気を動力源とする空気圧機器は、それ自体が環境にやさしい特性を備えております。

 (d) 労働力人口の減少と人件費の高騰

少子・高齢化は世界的に進んでおり、多くの先進国では、労働力人口の減少が始まっております。また、これまで労働集約型の生産活動を担ってきた新興国においては、経済発展に伴い人件費が高騰しつつあります。

空気圧機器は、人の手による作業の代替に適した自動制御機器であり、労働力人口の減少や人件費の高騰に対処するための自動化・省力化ニーズに合致しております。

 

② 当社グループの競争優位性

 (a) 空気圧機器の総合メーカー

空気圧機器は、一連の空気配管上で使用される様々な機器でシステムを構成しております。当社グループは、それらの機器すべてを製造販売する総合メーカーであり、お客様に各種の空気圧機器をワンストップで供給することができます。

 (b) 環境性能に優れた製品開発

当社グループは、製品設計の段階から、環境負荷の少ない製品の開発に取り組んでおります。また、お客様のニーズに応じた製品開発を続ける中で技術力を培い、特に製品の小型化・軽量化を得意としております。

空気圧機器の小型化・軽量化は、空気圧機器を組み込んだ装置やロボットの重量を減らし、お客様の工場全体のエネルギー消費量の削減を可能にいたします。

 (c) 豊富な品揃えと潤沢な在庫

空気圧機器には、お客様の使用状況に応じた様々なバリエーションが要求されます。当社グループは、70万品目に及ぶ豊富な品揃えで、お客様のあらゆるニーズにお応えいたします。

空気圧機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン等に組み込まれる要素部品であり、空気圧機器の不具合や欠品によってライン等が停止すれば、お客様は多大な損失を被ります。そのため当社グループは、製品の品質管理に万全を期すとともに、戦略的に厚めの在庫を保持することにより、お客様のご注文に迅速に対応できる短納期即納体制を整えております。

 

 (d) グローバルネットワーク

お客様の事業はグローバル化が進んでおります。

当社グループは80以上の国と地域に拠点を持ち、直販の営業人員を配置することで、お客様のニーズを的確にとらえ、ニーズに合った製品をグローバルに供給できる体制を構築しております。

 

③ 新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が収束を迎える時期を予測することは難しく、当社グループは、少なくとも2023年3月期末までは現在の状況が継続するものと想定しております。

長期的には、人と人との接触機会を減らすため、自動化需要が高まるとの予測がある一方、これまでの個人消費や設備投資のマインドが収縮の方向へ大きく変化する可能性も考えられます。

当社グループは、冒頭に掲げた「経営理念」及び後記の「長期経営ビジョン」を堅持し、経営環境の急激な変化にも対応できる経営基盤の確立に引続き努めていきたいと考えております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 長期経営ビジョン

以上のような市場環境及び製品特性を踏まえて、当社グループは「中期経営計画」を策定せず、「長期経営ビジョン」という形で、より長期的な視点で継続的に取り組むべき課題を設定しております。

(a) お客様のニーズを的確にとらえた製品開発を進め、納期・品質・価格等においてお客様のご要望にお応えできる体制づくりに努める。
(b) 生産設備の新規拡充と既存設備の更新に集中的に取り組み、将来を見据えたグローバルな最適生産体制を確立するとともに、合理化・コストダウンを加速する。
 (c) グローバル市場における競争に勝ち残り、より一層高いマーケットシェアの獲得を目指す。
 

② 事業上及び財務上の課題に対する具体的な取り組みの内容

 (a) 製品供給能力の確保

想定される中長期的な需要の伸長及び米中貿易摩擦など経済のブロック化の動きに備えて、当社グループは国内外において生産及び物流の体制を強化し、製品供給能力の確保に努めております。

新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、サプライチェーンも含めた事業の継続性確保及び耐久性向上の観点をより重視して、設備投資計画の見直しを進めております。

 (b) 販売戦力の強化

お客様の事業のグローバル展開が進む中、ITを活用し、当社グループのグローバルネットワークを有機的に結合させることや、営業人員に対する教育研修プログラムを改善すること等を通じて、販売戦力のより一層の強化に取り組んでおります。

 (c) 保有資産の有効活用

当社グループの保有する現金は、経営の安定に寄与しておりますが、為替や金利の変動リスクに対応し、また機動的な資金の活用を可能にするため、グループ内での現金配分の見直しを実行しております。

 

③ サステナビリティに関する取り組み

 当社グループは、事業活動を通じた社会的課題の解決に取り組んでおります。

 2022年1月に、サステナビリティに関する取り組みを監督するための取締役会の諮問機関として、サステナビリティ委員会を設置するとともに、環境関連のデータ収集と再生可能エネルギーの利用促進など具体的な環境対策を企画立案する部署として「エコファクトリー推進室」を設置いたしました。

 なお、リスク及び収益機会の両面から、当社グループが持続的に成長するうえでの重要課題(マテリアリティ)を、以下のとおり特定しております。

 (a) 人権の尊重・ダイバーシティの推進・職場の安全安心確保

     ・SMCグループ企業及びサプライチェーンにおいて、人権侵害のない環境づくりに取り組みます。

     ・ダイバーシティに取り組み、国籍・性別・年齢等に関わらず、多様な人材が活躍できる企業を目指します。

     ・従業員が安全・安心に働ける職場環境の維持に努めます。

 (b) 気候変動・環境課題への対応

・製造時及び使用時のCO2排出量を削減した省エネルギー・省資源型製品(エコプロダクツ)の開発・供給を推進いたします。

・工場におけるCO2排出量削減、廃棄物の削減など(エコファクトリー)に取り組み、そのノウハウをお客様への提案にも活かします。

 

 (c) グローバルな製品の安定供給

・事業活動全般にわたるBCP(事業継続計画)を推進し、いかなる時にも製品供給を持続できる体制を構築いたします。

     ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を徹底し、事業活動の継続に取り組みます。

 (d) 人材の育成・自動制御技術の普及

     ・グローバルな人事評価制度・表彰制度・教育研修制度を整備し、人材の育成と活用に努めてまいります。

 ・奨学金や各種セミナーの開催等を通じて、自動制御技術の普及に努めるとともに、次世代を担う人材の育成に貢献いたします。

 

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