当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及により先進国を中心に持ち直しの動きが見られたものの、半導体の供給不足や原材料の価格高騰、部品の調達難航など依然として厳しい状況は継続しています。加えて、2月にはロシア軍がウクライナ国内に軍事侵攻を行うなど、先行きが見通せない状況です。また、わが国の経済につきましても、サプライチェーンの停滞や地政学的リスクの上昇など、今後も不透明な状況が続くと思われます。
このような状況のなか、当社グループでは、金属素形材事業においては自動車部品の供給不足が未だ解消されておらず、原材料の価格高騰についても高騰分の販売価格への転嫁の遅れから売上は回復基調で推移しましたが収益は依然厳しい状況となっています。そのためメキシコ子会社、タイ子会社の資産に対して減損損失3,705百万円を計上しております。一方、産業機械事業におきましては、国内建設市場が高水準で推移しており好調を維持し、工作機器事業も欧米の経済活動の活発化など世界経済の持ち直しの動きに伴い、回復傾向で推移しました。
その結果、当連結会計年度の売上高はグループ全体で、58,676百万円(前期比 20.4%増)、営業利益は、2,101百万円(前期比 281.3%増)、経常利益は、3,062百万円(前期比 162.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は、951百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益244百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態及び経営成績に影響を及ぼしています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)
自動車関連業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行に起因する部品の供給不足や半導体不足が継続していますが、市場は少しずつ回復に向かっています。また、農業機械・建設機械関連業界におきましても、北米及び欧州を中心に市場が活況であり好調を維持しました。
このような状況のもと、当カンパニーにおきましては、国内外の生産拠点間の連携強化や生産ラインの自動化による生産性改善などに取り組み収益力の向上を図るとともに、脱炭素社会移行に伴う事業機会や付加価値の高い製品への移行など、事業課題の解決に向けた活動を行ってまいりました。また、メキシコ子会社では、自動車の次期モデルに搭載される部品の量産に向けて準備を進め、タイ子会社では生産アイテムの見直しによる収益改善に注力いたしました。
自動車メーカー各社の生産調整は依然として続いているものの、原材料価格高騰分の一部分については、販売価格への転嫁が進み、自動車部品及び農業機械・産業機械部品ともに売上高が増加したものの利益につきまして当初の材料費負担の影響が残りました。
その結果、当カンパニーの売上高は、27,026百万円(前期比 16.5%増)、セグメント損失(営業損失)は、224百万円(前期セグメント損失(営業損失)664百万円)となりました。
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)
国内の建設業界におきましては、公共工事は高水準を維持し、民間設備投資につきましても概ね回復基調で推移しました。また、当カンパニーの関連分野におきましても、輸入資材や原油の価格高騰、鋼材不足による工程の遅れなどの問題はあるものの好調を維持しました。
このような状況のもと、コンクリートプラント事業では、新商品の販売拡大や既存商品の品質向上に努めました。荷役機械関連事業では、新規市場の開拓を進めるとともに生産機能を甲山工場に集約することで効率的な生産体制を構築し、収益性を向上させてまいりました。自走式立体駐車場事業ではスーパーロングスパンタイプ立体駐車場の市場認知度の向上を図ってまいりました。
コンクリートプラント事業につきましてはプラントの建替工事が好調で売上高が増加しました。荷役機械関連事業も高水準の売上高を確保し、自走式立体駐車場事業も商業施設及び医療施設向け大規模物件を完工したことにより売上が増加しました。
その結果、当カンパニーの売上高は、21,336百万円(前期比20.5%増)、セグメント利益(営業利益)は、2,381百万円(前期比30.4%増)となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)
工作機械関連業界におきましては、資材調達の難航、物流の停滞による輸出コストの上昇等の懸念は残るものの、国内外を問わず半導体関連及び自動車関連の設備投資が積極的に行われ回復傾向で推移しました。内需につきましては、補助金関連により設備投資が活発化し、堅調に推移しました。外需につきましては、中国が先行して回復し、2021年後半からは欧米も回復傾向で推移し、好調な受注を維持しました。
このような状況のもと、当カンパニーにおきましては、パワーチャックの高付加価値商品であるBRシリーズの生産性向上及び販売拡大に注力しました。なお、「BRチャック」と「Tnut-Plus」に関する技術が2021年度日本機械学会賞を受賞しております。また、ホームページ上にウェブショールームを開設し、最新の商品情報や技術情報の発信に努めました。さらに、ロボット周辺機器市場での事業化を推進するために、新規市場開拓に向けたアカウントの獲得やロボットハンドのラインナップ拡充などを行ってまいりました。
その結果、当カンパニーの売上高は、9,807百万円(前期比31.4%増)、セグメント利益(営業利益)は、1,051百万円(前期比122.0%増)となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,499百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、減価償却費3,849百万円、減損損失3,705百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額2,312百万円及び棚卸資産の増加額1,545百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,702百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出4,644百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、675百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額421百万円であります。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,748百万円減少し、8,600百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格で表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、前連結会計年度の期末受注残高と当連結会計年度の期首受注残高は一致いたしません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(現在の商号は、株式会社アイシン)に対する販売高は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10に満たないため記載しておりません。
本項に記載した予想、見通し、方針等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用に影響を与える見積りを行っております。また、見積りに関しては、過去の実績等の情報に基づいて判断しておりますが、不確実な要素も含んでおり、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、不確実性が大きく将来の事業計画の合理的な作成が困難でありますが、期末時点で入手可能な情報に基づいて検証しております。
当連結会計年度末の総資産は、売上債権の増加などにより、前連結会計年度末に比べて406百万円増加し、73,311百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、仕入債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べて2,023百万円増加し、36,576百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に属する当期純損失の計上があり、前連結会計年度末に比べて1,616百万円減少し、36,735百万円となりました。純資産から非支配株主持分を差し引いた自己資本は36,326百万円となり、自己資本比率は49.6%となりました。
当連結会計年度の売上高は、前期比20.4%増の58,676百万円となりました。
事業別では、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは、北米及び欧州を中心に農業機械・産業機械関連業界が活況であり、前期比16.5%の増収となりました。
キタガワ サン テック カンパニーは、コンクリートプラント事業及び自走式立体駐車場事業の売上高が増加し、荷役機械関連事業も高水準の売上高を維持したことにより、前期比20.5%の増収となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、国内外ともに企業の設備投資意欲が向上し、前期比31.4%の増収となりました。
当連結会計年度の営業利益は、前期比281.3%増の2,101百万円となりました。
事業別では、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは、自動車部品の原材料価格の高騰分について販売価格への転嫁を進めていましたが、当初の材料費負担の影響が大きく224百万円の赤字となりました。
キタガワ サン テック カンパニーは、自走式立体駐車場事業が商業施設及び医療施設向け大規模物件を完工したことにより売上が増加し前期比30.4%の増益となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、国内外を問わず受注が好調であり、生産量の増加に伴い営業利益につきましても前期比122.0%の増益となりました。
当連結会計年度の経常利益は、営業収益が大幅に増加し、営業外収益につきましてもスクラップ売却益などの増加により、前期比162.3%増の3,062百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、メキシコ子会社及びタイ子会社の資産に対して減損損失3,705百万円を計上したため、951百万円の赤字となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に
記載しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループにおける資金需要の主なものは、製品製造のための原材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金、また、製造設備の増強、合理化及び更新を目的とした設備資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達となります。
当連結会計年度におきましては、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーを中心に設備投資を行なったことにより、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は8,600百万円となり、前期末比1,748百万円の減少となりました。
当社グループ経営陣は、企業価値の最大化を目指し、現在の経営環境や入手可能な情報を元に最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループ全体としては、各セグメントの成長追求、開発体制の再構築、人的資源の戦略的投入、持続的成長へ向けた経営基盤の確立を経営課題と認識して取り組んでまいります。
なお、各セグメントの具体的な取り組みは「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した活動を進めてまいります。
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