文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「信用を重んじ、確実を旨とする」住友の事業精神のもと、次の企業理念に基づき事業活動を進めていきます。そして、ものづくりに携わる企業として、コンプライアンス、品質、安全を最優先に、顧客に満足いただける製品・サービスの提供を行い、唯一無二の精密な技術で社会課題の解決に貢献することで、全てのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としております。
『私たちの企業理念「光かがやくその未来(ゆくて)」』
私たちは、独創的な未来技術で発展し続け、豊かな明日を拓きます。
・法令等を遵守し、高い倫理観に基づき事業活動を行います。
・お客さまの満足とニーズを第一とし、魅力ある存在をめざします。
・時代の風を感じとり、世界に目を向け変化に挑戦します。
・人を大切にし、多様な個性の実現と調和をはかります。
・社会に心をひらき、環境、地域との調和、共存に努めます。
(2) 中長期的な経営戦略
・2021~2023年度中期経営計画
① 基本方針
2021~2023年度中期経営計画においては、当社グループが有する各資本を最大限に活用し、「持続可能な社会を支える世界一の『精密』を誰よりも先に創る」のスローガンの下、「精密」技術と「精密」なものづくりを追求・発展させる、すなわち、技術の差別化と製造ノウハウにより様々な社会課題を解決しながら、現在の「航空宇宙事業」「産業機器事業」「ICT事業」の3事業での活動を進めてまいります。そして将来に亘り、私たちの「精密」技術と「精密」なものづくりで①安全・安心な社会の実現、②地球環境にやさしい省エネルギー社会の実現、③世界のものづくりの基盤づくり、④スマート社会の実現を通じて社会に貢献してまいります。
当社は現在の事業ポートフォリオを再構築し、各事業に期待する役割を以下のとおり、明確化しております。
「積極投資」 :将来の収益基盤を構成させるため、会社資源を積極投資する。
「収益基盤強化」 :業務の効率化によって収益性をさらに向上させ、獲得キャッシュの最大化を図る。
「市場・製品開発促進」:成長性があり、持てる技術・技能を高め、ポスト中計での積極投資分野への移行を狙う。
「合理化推進」 :大胆に合理化を推進する。
② 事業ポートフォリオ再構築から収益基盤4分野・新成長分野へ
本中期経営計画における事業ポートフォリオの再構築を経て、「航空宇宙分野」、「熱マネジメント分野」、「精密油圧機器分野」、「ICT分野」の4分野に整理統合し、持続的成長の実現を目指してまいります。なかでも、ICT分野、熱マネジメント分野を注力拡大分野と位置づけ、ポスト5G・デジタル社会の推進、及び脱炭素社会の実現に向けて、新たな成長事業の創出を行います。
<将来の収益基盤4分野>
1.航空宇宙分野
★安全・安心な社会を支える精密加工・製造技術
2.熱マネジメント分野
★地球環境に優しい省エネを支える精密な熱設計・解析技術
3.精密油圧機器分野
★世界のものづくりを支える精密油圧技術
4.ICT分野(MEMS・半導体製造装置、MEMSデバイス、MEMS応用製品、オゾン発生装置)
★スマート社会の5G、人工知能、ビッグデータ、高機能端末を支えるMEMS製造プロセス、デバイス・高精度センサ設計製造技術、半導体製造プロセス用オゾン発生装置設計製造技術
③ 経営基盤の継続強化
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、引き続き以下のような施策に取り組むことで、経営基盤の継続強化を行ってまいります。
A)ガバナンス・内部統制・コンプライアンス継続強化
・ガバナンス強化諸施策推進
・三線ディフェンスに基づくリスク管理強化
・コンプライアンス・品質・安全最優先
B)基幹システム刷新
・経営と事業を支える次世代ITシステム基盤の構築
C)環境
・省エネルギー活動を通じた温室効果ガス排出量の削減
・SDGsやパリ協定を意識した中長期目標策定の検討
D)社会
・持続的なサプライチェーンの構築
・ダイバーシティ推進
・従業員の健康維持・増進、多様な働き方を始めとした『働き方改革』へのまい進
④ 2021年度の活動成果
中期経営計画初年度である2021年度は、事業ポートフォリオの再構築を進め、注力拡大分野である熱マネジメント分野とICT分野へのビジネス基盤のシフトに着手しました。
熱マネジメント分野では、輸送機の電動化や高速通信インフラに伴い高性能化、高発熱化する電子部品の冷却、 気候変動対策として非化石エネルギーバリューチェーンにおける極低温用途などの新しい事業領域に、産業機器、航空機で当社のもつ熱制御技術を結集して取り組む体制を整備し、その領域への技術開発とビジネス開拓の推進に取り組んでおります。
ICT分野では、アクチュエーターとセンサの両機能を併せた圧電薄膜性能で世界最高レベルの単結晶PZT薄膜の開発・販売を開始するなど、MEMS関連事業の拡大に取り組んでおります。その事業戦略の中枢としてMEMSソリューション室を創設しました。
2022年度は、これらに加え安定収益の獲得を目指す航空宇宙分野・精密油圧機器分野を併せた4分野を2024年度以降の収益基盤4分野とし、その実現に向け事業ポートフォリオの再構築を加速してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
上記(2)に示す中期経営計画最終年度(2023年度)の収益性目標としてROE 9%、財務規律として連結フリー・キャッシュ・フロー3年累計で黒字、D/Eレシオ 0.8以下を計画します。
(4) 経営環境
経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に含めて記載しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
・内部統制及びコンプライアンス問題への取り組み
当社は、2019年1月の防衛省への費用過大請求発覚以降、内部統制の充実やガバナンスの強化、コンプライアンス意識の徹底、部門間連携の強化といった点が課題と認識し、内部統制・ガバナンス・コンプライアンスに携わる組織や人材の増強、社内ルールの整備、役職員に対する教育・意識向上活動等を通じ、当社の体制・ルール・意識の各面において改革を推し進めてまいりました。今後もこれらの取組みを継続し、そのさらなる定着を図ってまいります。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
新型コロナウイルス感染拡大防止や感染者発生の影響最小化のため、リモートワーク、時差出勤・通勤手段の見直し、スプリット勤務等により、状況に応じた対応を行っています。
引き続き、当期及び中長期的な業績への影響の見極めとその対策、さらにはこの事態が終息した後の当社事業環境にもたらされる変化に適応していくための準備を行ってまいります。
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