(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計額は、前連結会計年度末に比べ110億58百万円増の2,447億32百万円となりました。これは主に、有形固定資産が70億21百万円増加し、投資その他の資産のその他が23億96百万円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計額は、前連結会計年度末に比べ130億95百万円減の1,073億27百万円となりました。1年内償還予定の社債が150億円減少し、支払手形及び買掛金が29億54百万円減少し、長期借入金が96億85百万円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べ241億53百万円増の1,374億4百万円となりました。非支配株主持分が127億56百万円増加し、為替換算調整勘定が62億38百万円増加し、利益剰余金が26億49百万円増加したことなどによるものであります。
(経営成績)
当連結会計年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されたことから次第に消費が持ち直し、グローバルで半導体の需要拡大が継続するなど、経済の回復が着実に進みました。しかしながら、2022年2月に発生したロシアのウクライナ軍事侵攻による地政学的リスクの高まりから、世界的な景気の先行きに不透明感が広がりました。
こうした環境下、当社グループでは、当期より「2021年中期経営計画」をスタートいたしました。本計画は「2018年中期経営計画」(以下、「18中計」)と一体化した経営戦略であり、「サンケンコアの復活を実現すること」、「アレグロ マイクロシステムズ インクの一段の成長」を目標としております。計画初年度となる当期におきましては、社会システム事業の譲渡を完了させ、サンケンコアへの経営リソース集中を図るとともに、18中計から構造改革として進めてまいりました半導体デバイス国内2工場の閉鎖並びに新モジュール工場の稼働等、半導体デバイスの生産体制最適化を完了させました。一方、開発改革におきましては、昨年5月から稼働を開始した本社ものづくり開発センターを核とする新製品開発の活動を一層加速し、利益改善に取り組んでまいりました。また、当期はESG経営・DX推進につきましても注力し、サステナビリティ委員会を設置して体制を整備するとともに、石川サンケン堀松工場を皮切りにカーボンオフセット実現に向けた活動を前進させてまいりました。さらに、サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達、全社員へのDX浸透教育、健康経営・エンゲージメント向上活動など、ESG・DXを経営の基軸に据えた各施策に注力してまいりました。
当連結会計年度における市況環境は次の通りです。
自動車市場向け製品は、コロナ禍でのサプライチェーンにおける高水準な部材確保の動きとともに、xEV化やADASの伸長もあり、旺盛な需要が継続いたしました。また、エアコンや洗濯機等のインバータ化・DCモータ化が進む白物家電市場向け製品が堅調に推移し、更に産機市場向け製品につきましても、サーバ向け製品の売上が安定した推移となる等、世界的な半導体不足を背景とした需要に対し、供給能力を上回る状況が継続いたしました。
当連結会計年度の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けた前年に比べ、強い半導体需要の追い風を受け、連結売上高は 1,756億60百万円 と、 188億64百万円 (12.0%)増加 いたしました。損益面につきましても、売上増加に伴い、連結営業利益は 137億20百万円 (前連結会計年度 連結営業損失 11億98百万円 )となり、連結経常利益につきましては、過去最高値となる 137億円 (前連結会計年度 連結経常損失 34億6百万円 )を計上いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、構造改革に伴う関係会社整理損及び棚卸資産評価損等を事業構造改革費用 19億38百万円 に集約して特別損失として計上したこと等から、 32億4百万円 (前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失 69億52百万円 )となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、574億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億68百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、136億75百万円のプラスとなり、前期に比べ60億46百万円の収入増となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、125億98百万円のマイナスとなり、前期に比べ3億3百万円の支出増となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、65億92百万円のマイナスとなり、前期に比べ276億79百万円の収入減となりました。これは主に、株式の発行による収入の減少によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1 金額は、販売価格で表示しております。
2当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。
3当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまして、連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。
2当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまして、
連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しました。
3 当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。
4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまし
て、連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績については以下の通り分析しております。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。
経営成績等の分析
(売上高及び営業損益)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ188億64百万円(12.0%)増の1,756億60百万円となりました。自動車市場向け製品は、コロナ禍でのサプライチェーンにおける高水準な部材確保の動きとともに、xEV化やADASの伸長もあり、旺盛な需要が継続いたしました。また、エアコンや洗濯機等のインバータ化・DCモータ化が進む白物家電市場向け製品が堅調に推移し、更に産機市場向け製品につきましても、サーバ向け製品の売上が安定した推移となる等、世界的な半導体不足を背景とした需要に対し、供給能力を上回る状況が継続いたしました。
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ28億15百万円(2.4%)増の1,204億75百万円となりましたが、売上原価率は前連結会計年度に比べ6.5ポイント良化し、68.6%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ11億30百万円(2.8%)増の414億64百万円となりました。これは主として、労務費の増加によるものであります。売上高販管費比率は前連結会計年度に比べ2.1ポイント良化し、23.6%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度に比べ149億18百万円増の137億20百万円の利益となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2021年4月から向こう3ヵ年にわたる中期経営計画において、最終年度である2024年3月期の目標値を連結売上高1,700億円、連結営業利益率13%、ROE12%として、主要課題に取り組んでまいりました。上記に記載した影響等もあり当連結会計年度の売上高は1,756億60百万円と目標値を上回る結果となりましたが、営業利益率は7.8%、ROEは3.6%と目標値を下回る結果となりました。
なお、当連結会計年度より、パワーシステム事業に含まれていたユニット製品を半導体デバイス事業に移管しております。また、パワーシステム事業のうち社会システム事業につきましては、期中に譲渡を完了いたしました。これらに伴い、半導体デバイス事業以外のセグメントの重要性が低下したことから、セグメント別の記載を省略しております。
(為替変動の影響)
当社グループの海外売上高は1,282億23百万円で、連結売上高総額の約73.00%を占めており、そのほとんどを米ドル建で取引しております。また、主要な在外連結子会社の財務諸表は米ドル建で作成されております。このため、為替相場の変動は、円高が売上減少、円安が売上増加の方向に影響する傾向があります。
一方、原価面でみますと、ほぼ同じ外貨ボリュームがあることから、売上高への影響額は利益段階では縮小することになります。
(営業外損益及び経常損益)
当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度に比べ21億89百万円損失(純額)が減少し、19百万円の損失(純額)となりました。これは主として、為替差益を計上したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ171億7百万円増の137億円の利益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べ33億65百万円損失(純額)が減少し、4億25百万円の損失(純額)となりました。これは主として、固定資産売却益が増加したことと、事業譲渡損失引当金繰入額が減少したことなどによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ101億56百万円増の32億4百万円の利益となりました。
(キャッシュ・フロー)
当社グループの資金状況は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、136億75百万円の収入(対前年度比60億46百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、125億98百万円の支出(対前年度比3億3百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、65億92百万円の支出(対前年度比276億79百万円減)となりました。前年度比の主な要因は、株式の発行による収入の減少によるものです。これにより、当連結会計年度末における有利子負債残高は673億84百万円となり、有利子負債依存度は27.5%となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、574億44百万円(対前年度末比23億68百万円減)となりました。
(財務政策)
当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入などでありますが、2022年3月31日現在の残高は、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金113億8百万円、コマーシャル・ペーパー60億円、社債50億円、長期借入金430億15百万円となっております。当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金によることを基本としておりますが、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、未使用のコマーシャル・ペーパー発行枠240億円、当座貸越未実行分231億円及びコミットメントライン契約161億円などにより調達可能と考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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