事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

(1) 事業上のリスク

①国際情勢

当社グループは、生産・販売の多くを海外で行っております。海外ビジネス展開において、各国・地域における政治や外交上の問題、地政学的リスクの高まり、法制度・規制変更、経済状況の悪化、貿易摩擦、エネルギー不足、原材料価格・物流価格の高騰などが、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対しては、現地法人を通じた情報収集、各所管部門の統制による法令順守等の対応を図ってまいります。

 

②感染症の拡大

当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において生産及び販売を行っております。当該各地域では新型コロナウイルスをはじめとする感染症の拡大により経済が悪影響を受けるリスクがあります。新型コロナウイルス感染症では、先進国各国でのワクチン接種は進展したものの、未だ、変異株発生による感染拡大の可能性は残っており、新たな変異株により感染が拡大した場合、経済の回復に悪影響を及ぼすリスクがあり、これが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染拡大への当社対応として特別対策本部の活動を継続し、事業への影響に関わる情報収集と対応、感染防止策の導入、在宅勤務の定着、出張者及び希望する従業員へのPCR検査の実施、ワクチン職域接種(3回)等を行ってまいりました。

 

③新製品開発

当社グループは、市場のニーズに合った製品を開発し、市場に投入していく必要があります。当社グループは常に市場動向を把握し研究開発に取り組んでおりますが、製品のタイムリーな市場投入が出来なかった場合あるいは製品が市場に受け入れられなかった場合、当社グループの収益性が低下し業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、開発改革を推進しており、2021年5月から稼働を開始した本社ものづくり開発センターを核とする新製品開発活動を一層加速し、利益改善に取り組んでおります。

 

④価格競争

半導体業界における価格動向は需要変化により上下するものの、長期的には価格低減による競争力確保が必要となります。特に、海外競合企業の台頭は当社製品の価格決定に大きな影響を及ぼしております。価格競争は今後とも厳しさを増していくものと予想されますが、当社グループは一層の原価低減に努めるとともに、当社固有の技術を生かした付加価値の高い製品を市場投入することなどによってこれに対応してまいります。しかしながら、当社の価格引下げへの対応力を上回るような競合企業による低価格製品の出現あるいは取引先の需要の変化があった場合、当社グループの収益性を低下させ、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対しては、設計段階からの部材共通化・材料コストダウンといった調達改革に取り組んでおります。

 

⑤為替変動

当社グループは、日本国内のほか、アジア、北米等の海外各国において生産及び販売を行っているため、当該各地域における経済動向などの環境変化が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該各国、地域における現地通貨もしくは米ドルにて会計処理を行っていることから、円換算時の為替レートにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが生産を行う国の通貨価値の上昇は、製造と調達のコストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、製品並びに原材料の海外調達の拡大による債権債務・取引高のバランスヘッジ並びに為替予約取引等によりリスクヘッジを行い、米ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしております

 

⑥資金調達

当社グループは、設備投資、研究開発などのための必要資金の調達方法として、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入等を行っております。当社グループに対する債券市場あるいは金融機関からの信用が低下した場合、こうした資金調達手段が制限されるか、もしくは調達コストが上昇し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦知的財産権

海外の国、地域によっては、知的財産権による保護が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。一方、当社グループの事業に関連した知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社グループの認識し得ない知的財産権が存在した場合においては、知的財産権を侵害したとの第三者の主張に基づき、ロイヤリティーの支払要求、当該知的財産権の使用禁止もしくは訴訟の提起がなされ、これらにより費用負担の増加が生じまたは製品の開発・販売が制限される可能性があります。当社グループでは、自ら開発した技術とノウハウを用いて競合他社との製品の差別化を図っており、これら独自の技術を保護するために必要に応じ、でき得る限り知的財産権の出願、登録を行っております。

 

⑧情報セキュリティ

情報セキュリティについては、システム上の防御機能の導入に加え、取引先との契約条件、技術情報、製造条件などの企業秘密、個人情報、情報資産の保護管理を強化するため「情報管理規程」を制定し、グループ全体で教育や情報管理手順などの監査を実施するなど、情報管理体制を徹底しています。

一方、情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、当社グループのブランドイメージ及び評判や事業に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループが法的な責任を追及される可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、不正侵入の防止あるいは検知、不正侵入への対応、データアクセス制限など、損害を防止するために当社グループが行っている対策、セキュリティへの取り組みや管理が、不正アクセス等に対し完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人情報を含むビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、または承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、当社グループや取引先の情報システムまたは事業が破壊される可能性があります。こうした情報セキュリティに対する事象によって、多額の復旧費用が発生する可能性があり、さらに、売上の喪失、取引先及びその他の第三者との関係悪化、情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用などが生じ、当社グループの事業や活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらが当社グループのブランドイメージや評判を傷つける可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑨災害リスク

大規模な災害や停電などが生じた場合、当社グループの設備や事業活動が被害を受け、それがサプライチェーンや製造その他の事業遂行における混乱を引き起こし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの生産拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内にあり、本社機能がある埼玉、生産拠点が所在する東北・北陸地方で大地震が起きた場合、建物や機械設備、棚卸資産が被害を受け、また、当該生産拠点での生産活動の中断といった被害を受ける可能性があります。また、原材料、部品、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、物流、販売に使用される、当社グループや資材調達先及びその他の取引先の世界各地にある拠点や設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ、大規模停電といった予期できない事象により、破壊、あるいは一時的な機能停止等の可能性があります。これらの拠点や設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、または拠点や設備の修繕・置換えにかかる多額の費用などが生じる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩法的規則

当社グループは、日本を含め世界13の国、地域に生産・販売拠点を有し、各国、地域の定める様々な法令、規則、規制等(以下、「法的規制」)の適用を受け、事業が成立しております。また、当社グループが全世界において生産・販売等に必要な技術・製品・材料等の輸出入につきましては、展開する各国、地域の定める関税、貿易、為替、戦略物資、特定技術、独占禁止、特許、環境等に関する法的規制の適用を受け、事業活動を展開しております。万一、これらの法的規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限されることはもとより社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 品質・環境リスク

①品質問題

当社グループは、顧客の品質基準及び当社の品質基準を満足する各種製品を供給しております。品質管理体制を維持向上させるため、品質管理に関する国際基準ISO9001及びIATF16949の認証を取得し、必要に応じてUL規格等、製品の安全規格への適合認定も取得しています。しかしながら、将来、全ての製品について欠陥がなく、また製品の回収、修理等が発生しないという保証はありません。大規模な製品の回収、修理等及び損害賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②環境問題

当社グループは、各生産拠点が存在する国の環境汚染、公害防止に関する法的規制を遵守することは勿論のこと、SDGsへの取り組みとして、中期経営計画において当社としてのマテリアリティを明確化し、環境問題の解決に貢献する企業像を目指しております。製品の製造過程で使用する環境負荷物質及び製品に含有する環境負荷物質につきましては、その把握・削減に努めております。サステナビリティへの取り組みにつきましては、気候変動への取組み、環境マネジメント、環境リスク管理、省資源・生物多様性への取組み、環境データに関し、当社ホームページでの情報開示を進めるとともに、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により、気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会を把握し、今後の対応について明確にしています。環境に係る規制を遵守できなかった場合、環境負荷物質を大量に漏洩させる事故を起こした場合、あるいは含有が禁止されている環境負荷物質を製品から排除できなかった場合、その改善のために多額のコストが生じるほか、事業活動の制限、顧客への賠償責任、社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 上場子会社の取り扱い

当社グループの上場子会社につきましては、開発戦略、事業ポートフォリオ戦略といった成長戦略との整合性の観点から、今後も一体的運営を継続すべきと考えており、これが、当社グループとしての企業価値最大化の実現に繋がるものと認識しております。しかし、経済・事業環境の変化、将来の不確実な要因、予期できない要因などにより、想定していた効果を得られない可能性があります。

 

上記項目のほか、当社製品が使われるエレクトロニクス製品の技術動向や市場環境が激変することで、当社製品に対する需要が減少する可能性があります。また、原材料の高騰や、生産拠点、資材調達先における火災、社会通信インフラ障害の発生等、さまざまな災害の発生に加え、各国、地域の法令、税制等の大幅な変更や、ロシアによるウクライナ侵攻といった地政学的リスクの急激な高まり、貿易摩擦など予期し得ないカントリーリスク、更には、製品の欠陥による人命、社会環境、企業活動への影響と、これによる訴訟・賠償等のリスク、退職給付債務の算定基礎率の変動リスク、他社との協業ビジネスが大規模な市場変動等の理由により効果を享受できないリスクなどが発生する可能性があります。
 これらリスクのいずれかあるいは複数が発生し、結果として社会的信用の低下や事業活動の停滞、多額の損失の発生などにつながった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

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