文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社及び当社グループは、グループの存在意義、大切にすべき価値観、社員の日々のビジネス活動における行動の原理原則を示した「富士通フロンテック・ウェイ」を2008年11月に制定し、この行動規範の下で、真に豊かで活力ある企業文化を創造し、持続的な発展と企業価値の向上を目指してまいります。(「富士通フロンテック・ウェイ」の詳細につきましては、当社ホームページ(https://www.fujitsu.com/jp/group/frontech/about/csr/)をご参照ください。)
(1) 会社の経営の基本方針:「お客様最前線のDX企業」
当社グループは、「最先端の技術で人とICTをつなげる製品やサービスの提供」をコンセプトに、フロントテクノロジー製品の開発、製造、販売、サービスにおいて、プロダクトからソリューション・サービスを含めたトータルビジネスを推進することで、「B to B to Front(お客様の最前線:フロント)」という領域を担う企業としての存在感と価値を提供すべく、一丸となって事業を展開してまいります。
(2) 経営環境等
当社を取り巻く今後の経営環境は、国内ではゼロ金利政策による金融機関の厳しい事業環境の継続や決済手段の多様化に伴うキャッシュレス化の進展など、変化への対応がますます大きな課題となっております。海外でも、ATM市場はリサイクル化のニーズが新興国を中心に一層顕著になってきた一方、アジア新興メーカーの台頭で価格競争はし烈さを増しております。
さらに、コロナウイルスの感染拡大により、国内サプライヤーからの部材確保難、当社フィリピン子会社における工場の操業の制限に加え、国内外におけるお客様の投資の見直しや時期延伸などの影響、公営競技における運営収益の減少などの影響を受ける見通しであります。
一方では、様々な業界において人手不足が深刻化する中で自動化、省力化、安全、安心を求めるニーズが高まり、新たなサービスモデルが創出される環境が整ってまいりました。特に、コロナウイルス感染拡大の収束後においては、非対面・非接触、医療機関を中心としたトレーサビリティ管理などを求めるニーズが大きくなるとも思われます。
このような状況のもと、従来型のビジネスモデルを前提としたビジネス推進体制の変革も急務となっております。プロダクト関連の共通化などによる業種・業態を超えた対応力の強化とコストダウン、ソリューション・サービス起点での一層の競争力の向上などに努めてまいります。
(3) 経営戦略等ならびに優先的に対処すべき経営上及び財務上の課題
金融、流通、産業、公共などの各分野でも、キャッシュレス、シェアリングエコノミー、労働力の減少といった変化への対応がますます大きな課題となる中、当社グループは「ふれる・つなぐ・かえる」をコンセプトに「お客様最前線のDX企業」として、お客様フロントの改革をサポートしてまいります。企業や更にその先のお客様に、当社のご提供するハードウェアに先ず「ふれて」頂くことで、我々のソフトウェアが企業と人を「つなぎ」、そこから今までにない新しいサービスやソリューションが展開され、企業が人々の生活をより豊かなものに「かえる」とともに企業のフロント業務もより革新的なものに「かえる」、このコンセプトで暮らしやすく安心・安全な社会の実現を中期ビジョンとして目指してまいります。
これを実現するため、当社は「顧客ニーズの変化を先取りしたソリューション・サービス起点でのビジネス拡大」、「ユニーク技術をコアとしたソリューションビジネス創出、特長あるLCMサービスの展開」、「メカコンポーネントビジネスの領域拡大」の3つを中期的な重点戦略として推進してまいります。
<重点戦略>
①顧客ニーズの変化を先取りしたソリューション・サービス起点でのビジネス拡大
キャッシュレスの大きな流れの中でも、依然として残るキャッシュの管理効率化ニーズの高まりを追い風に、競争力あるメカコンポーネントをベースにそれぞれの業種に特化したシステム製品としてカスタマイズし、ソフトウェアと合わせて、業務改革ソリューションとしてご提供することでビジネス拡大を目指します。金融のみならず、現金管理や商品トレーサビリティーのニーズが大きい流通等の市場にも的確に応えてまいります。
②ユニーク技術をコアとしたソリューションビジネス創出、特長あるLCMサービスの展開
ユニーク技術である手のひら静脈認証、RFIDなどの用途拡大などによるビジネス拡大に加え、ハード/ソフト/サービスをセットにしたサブスクリプション型のビジネスモデルも準備し、導入の容易性も高めてまいります。また、買収したFulcrum社のマルチモーダル生体認証プラットフォームをベースに海外でもソリューション・サービスビジネス化の推進を図ります。更に、LCMサービスにおいても流通店舗向けトータルサービスやマルチベンダー保守などを展開してまいります。
③メカコンポーネントビジネスの領域拡大
グローバル市場において、トータルコスト削減ニーズの高まりの中で、金融ATMはCD機からリサイクル機へ、流通市場においてはスマートセーフからリサイクル機を中心とした現金管理装置への置き換え需要がますます拡大することが見込まれます。コスト競争力のあるコンポーネントを投入することで、装置メーカー/ソリューションプロバイダーなどのパートナーとの関係を一層強化し、それぞれの顧客要件に対応した製品のOEM供給を展開し、地域的な拡大と新領域への深掘を図り、市場シェア向上を目指してまいります。
財務上の課題につきましては、当連結会計年度において、グローバルプロダクトビジネスにおける成長戦略の着実な実行とそれに伴う安定的な収益基盤の構築を図るため、事業構造改善に取り組みました(特別損失の計上)。今後も、調達・サプライチェーン体制の見直し、不採算事業の見直しなどのコスト構造改革、事業の効率化を徹底して継続し、市況に左右されないより筋肉質な経営基盤を作り上げてまいります。
以上の計画を確実に推進することにより、中期的な業績目標として、連結売上高1,300億円、連結営業利益78億円(連結営業利益率6.0%)を目指してまいります。
今後も、当社グループの基本理念と行動指針である「富士通フロンテック・ウェイ」のもと、真に豊かで活力ある企業文化を創造するとともに、長年培ってきたものづくりのDNAと、業種、業務ノウハウに基づいた高い現場力で、変革にチャレンジし続け、業績の向上と企業価値の向上を目指してまいります。
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